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第二十一話
しおりを挟む何故か不穏な空気が漂う屋上。
「朱理ちゃん、学校を出よう」
刈谷くんが私の手を引っ張り、ドアを出ようとしている。
「待ちなさい!」
先生も私の手を掴み、引っ張る。
やっぱり、取り合いになってしまったか。
「ちょっと刈谷くん、どうして私を連れ出そうとするの?外にはゾンビがいるんじゃないの?」
「そうだぞ!一体何をするつもりだ!」
先生めっちゃ怒ってる。
「じゃあ言ってもいいんですね?先生」
刈谷くんは何か知っているようだ。
「何の事だ」
明らかに動揺している先生。
私はどうしたものかと困っていた。
「朱理ちゃん、このゾンビ事件はね」
「ちょっと待った!俺が説明する、だから朱理と二人にしてくれ、頼む」
「わかりました」
刈谷くんは先生に言われた通り、少し離れた場所で私たちの事を見ていた。
ん?刈谷くん何か言ってるな。
「朱理、ごめん」
「なんで先生が謝るんですか?」
「このゾンビ事件は‥‥俺が仕組んだんだ」
「‥‥はい?」
私は耳を疑った。
仕組んだ?先生が?どうやって?
「俺は朱理が本気で好きだ」
「それは私もですよ、でも意味がわかりません」
「実は俺の実家はかなりのお金持ちなんだ」
「ん?」
「俺は朱理をどうしても手に入れたかった。そこでゾンビを雇ったんだ」
私は頭の中がハテナで埋め尽くされていた。
「ゾンビを雇った?」
「だから、食べられてた生徒も全員買収して演技させてたんだよ」
「でも刈谷くんは?」
「俺もビックリしたよ、まさか刈谷くんだけには伝わってなかったみたいでね」
「えっ、て事は学校にいる全員で私を騙してたって事ですか?」
「結果的にそうなるな」
「信じられない」
「そりゃそうだよな‥‥ごめん」
「そんなに私の事好きだったなんて」
「え?もしかして許してくれるのか?」
「当たり前じゃないですか!私だって先生の事めっちゃ好きなんですよ!」
「朱理‥‥」
「先生‥‥」
私たちは強く抱き合った。
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