先生と私とゾンビ

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第二十二話

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「話は終わりましたか」

 刈谷くんが抱き合っている私たちの側に近づいてきた。

「見て分かる通り、俺たちの仲は誰にも引き裂けないぞ」

「朱理ちゃん、本当にいいの?」

「うん」


 私は先生に言った。
「トイレ行きたいです」

「そうか、じゃあ出ようか」

「はい」

 私たちは屋上を出る事にした。


 刈谷くんを横目に見ながらトイレに向かう。
 女子トイレの一番奥に入ると、そこにはメモがあった。


「朱理、これからはずっと一緒だぞ」

 先生がトイレの外で待っている。

「もちろんですよ、先生、私大きい方なので、少し離れてもらえますか?焼き豚食べすぎちゃいました」

「朱理は可愛いな、分かったよ、階段の所で待ってるよ」

 先生の足音が遠のいて行く。


 しばらくするとバタバタと足音が響く。
 
 (きた)

 その瞬間、うゔぁぁぁぁ!!と言う叫び声が聞こえてきた。

 私は耳を塞いで待つ。

 数分間に渡り聞こえていた叫び声も消え、私はそーっとトイレを出る。


 そこには血だらけで倒れている先生がいた。

 体中かじられたのか肉が千切れている。

「うぇぇぇぇ」

 私は気持ち悪くなりもどしてしまった。

「大丈夫?」

「うん、少しビックリして」

 刈谷くんは優しく私を支えると、学校の外に連れ出してくれた。
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