君の人生の中の一瞬の出来事。僕の人生の中では一生の出来事。

9minute

文字の大きさ
20 / 22

究極の選択

しおりを挟む

 僕は居ても立っても居られなくなった。

「ゆいちゃんごめん、急用思い出したからさ今日は解散にしない?」

「急用って何?」

「あぁ、お母さんに用事頼まれてたんだ!」

「分かったよ、じゃあこの動画見終わったらねー」

「う、うん」

 僕はゆいちゃんと解散し、先程の病院に向かう。あの人に会って話を聞かないと。

 僕はベンチの当たりを探していると、歩いている本人を見つけた。

「すいません!」

「君はさっきの」

「ちょっとお話、いいですか?」

「いいとも」

 僕達はベンチに腰掛ける。

「動画、見ました」

「視聴者さんか、ありがとうね」

「僕もなんです」

「ん?」

「僕もあなたと同じなんです」

「そうかい」

「色々聞きたくて来ました」

「よく来てくれたね。で、聞きたい事とは?」

 僕は勇気を出して聞いてみる事にした。

「チャンスはその日しかないって言ってましたけど、戻る方法があるんですか?」

「ある」

「教えて下さい」

「前回と同じ事をすればいいだけだよ」

「同じ事?」

「俺は屋上から飛び降りる。そしたら本来の場所に戻れるんだよ」

 僕の場合車に轢かれたから、もう一度同じ場所で轢かれるって事か。

「時間も関係ありますか?」

「もちろんだよ、俺の場合は午後六時だった」

「確か、僕もそのくらいだったと思います」

「やっぱりな」

「あの、その日に戻らないとどうなるんですか?」

「これはあくまで憶測だが、戻ったとしても、本来死ぬはずだったやつは死ぬ」

「じゃあ戻らない方がいいですよね、絶対」

「でも、戻らなくても死ぬ」

「えっどうゆう事ですか?」

「魂は一つしかないからな。例えば一命を取り留めていたやつは生きれるだろう。向こうでも、こっちでも」

「じゃあ分からないって事ですね‥‥」

「あぁ、俺の場合は確実に死ぬだろうな。だからどこで何をしていようが関係ないんだよ」

「じゃあなんでここにいるんですか?」

「君みたいに何も知らずにこっちにいるやつに教える為だよ。どうせ死ぬなら一つくらいは誰かの役に立ちたいからな」

「すごいですね」

「まぁ、最初からそんな考えだったわけじゃないけどな、過去に戻って同じ事を経験していくうちに見方も変わるわけよ多少」

「そうだったんですね」

 この人意外と普通の人だった。

「で、君はどうしたいんだ?」

「僕は‥‥」

 僕はどうしたいんだろう。

 あの日、ゆいちゃんがたいちくんに何て言ったのか分からないままだし、それに今回だってどうなるか分からない。結局僕はゆいちゃんの事信じてないって事か‥‥。

「死ぬはずじゃなかったのなら、このままこっちで暮らせますよね?」

「絶対とは言えないが、多分な」

 あの事故で生きれていたとして、こっちに残ってゆいちゃんと過ごすか、元に戻ってゆいちゃんと過ごすか。でも、ゆいちゃんの答えは知る事が出来ないし。

 あー!!どうしたらいいんだよ!!
 
 でも待てよ、今の状況の方が可能性はあるんじゃないか。こっちの方がゆいちゃんと過ごした時間は長いし、今なんかラブラブだし、キスだってした。向こうでは、たいちくんの方がゆいちゃんと過ごした時間は長い。

 てかそうなったらたいちくんってどうなるんだろう。本来結ばれるかもしれなかったのに、僕が入れ替わったせいで‥‥。

 って、たいちくんの事なんかどうでもいいじゃん。

 頭ではそう思いながらも、罪悪感が湧いていた。何故なら今のたいちくんが本来の僕だから。


 元に戻るには前と同じ状況で死ぬ事。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

二年間の花嫁

柴田はつみ
恋愛
名門公爵家との政略結婚――それは、彼にとっても、私にとっても期間限定の約束だった。 公爵アランにはすでに将来を誓い合った女性がいる。私はただ、その日までの“仮の妻”でしかない。 二年後、契約が終われば彼の元を去らなければならないと分かっていた。 それでも構わなかった。 たとえ短い時間でも、ずっと想い続けてきた彼のそばにいられるなら――。 けれど、私の知らないところで、アランは密かに策略を巡らせていた。 この結婚は、ただの義務でも慈悲でもない。 彼にとっても、私を手放すつもりなど初めからなかったのだ。 やがて二人の距離は少しずつ近づき、契約という鎖が、甘く熱い絆へと変わっていく。 期限が迫る中、真実の愛がすべてを覆す。 ――これは、嘘から始まった恋が、永遠へと変わる物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

処理中です...