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運命
しおりを挟む「ありがとうございました」
僕は名前も知らないその人にお礼を言い、その場を後にしようとした。
「もちろんいつかは分かってるよね?」
「分かってます」
僕はクリスマスの日、決断しなければならない。
僕は相変わらずゆいちゃんと楽しい日々を過ごしながら、絆を深めていった。うん、今のゆいちゃんならたいちくんになびく事は考えにくいよな。僕はこのままこっちで暮らす心づもりでいた。
クリスマス当日。
僕は先に準備が出来た為、ゆいちゃんちを訪れていた。
「ごめん、何着ようか迷っちゃって」
部屋から出てきたゆいちゃんは、いつもと雰囲気が違い、とても大人っぽくて綺麗だった。僕が見惚れていると、
「‥‥変、かな?」
「ううん!全然!めっちゃかわいい!」
「本当?嬉しい!」
ゆいちゃんの満面の笑みを見て僕は確信した、これはいけると。
「じゃあ行こっか!」
モールに向かう途中でゆいちゃんが言ってきた。
「てかさ、今日たいちに話あるって言われたんだよね」
「そ、そうなんだ。何時頃?」
「また電話するって、何だろう」
「僕も一緒でいいよね?」
恐る恐る聞いてみる。
「当たり前でしょ!デートの途中に呼び出すなんて非常識だもんね。でもなんか深刻そうだったから仕方なくオッケーしちゃったんだ」
「そうなんだ!」
僕はホッとした。
僕達はショッピングを楽しみながら過ごしていた。
時刻は五時五十五分。
ゆいちゃんのスマホが鳴った。
「うん、分かった」
短い電話を切ると、ゆいちゃんは僕にこう言った。
「なんかどうしても一人で来いって言われたから、ちょっと行ってくるね!」
「えっ!待ってよ、僕も行くよ!」
「なんか面倒臭いからすぐ済ましてくるよ!そこで待ってて!」
僕は予想外の事に少し焦った。でも、もう大丈夫だよな。きっとゆいちゃんは僕を選んでくれるはず。今度こそ大人しく待っておかないと。
僕はゆいちゃんに言われた通り待つ事にした。
きっと大丈夫、僕は死なないし、ゆいちゃんとこれからも過ごせるんだ。
確か、ゆいちゃんが向かってった方にイルミネーションがあるんだよな。
ここでもちらほらライトアップはしてあるなぁ。でも向こうには大きなクリスマスツリーとかあるんだろうな。そんな事を考えながらぼーっとしていた。
その時、僕の前で小さな女の子が泣いていた。
「どうしたの?ママとパパは?」
「ママ、いないー」
「お兄ちゃんも探してあげるから一緒に行こ?」
僕はほっておけなくて、その子の親を探す事にしたのだが人が多すぎて、すぐには見つからないだろうと思っていた。
「あっママだ!ママー!」
交差点の向こう側にママとパパを見つけたようだった。見つかったんだ、よかった。
そう思った瞬間、その子が道路に飛び出してしまった。
「あっ!だめ!!」
僕はその子を追いかけてしまった。
その子は交差点を走り抜け奇跡的に両親の所に行けたが、後を追った僕はハッとした。
車のブレーキ音とクラクションの音が街中に鳴り響く。
やってしまった。
ゆっくり落ちながら街の時計を見ると丁度六時を指していた。
僕はゆいちゃんと過ごした日々が頭の中を駆け巡っていた。
あぁ、バチが当たったのかな。
僕は僕で勝負すればよかったのに‥‥
後悔してももう遅かった。
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