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第15話
しおりを挟む土曜日の午後2時。
私は気分の乗らないまま公園に居た。
「ごめーんももちゃん、待った?」
柊生が小走りで来た。
「私も今来たとこだよ」
「よかった。あれ?なんか今日いつもより可愛くない?」
目をまん丸にして不思議そうに私の顔に近づく柊生。
「えっ、そうかな?」
「ももちゃんって会う度に、可愛さが更新されていくね」
柊生の笑顔が胸に突き刺さるようだった。
「そんなに褒めても何も出ないよー」
とは言いつつも悪い気はしない。悪い気はしないんだけど素直に喜べない自分もいる。
「そうだ、昨日は試作出来た?」
「あ、うん、でもまだ完成じゃないから今日も続きをするんだ。だから今日も帰りは来なくて大丈夫だよ」
「その事なんだけど、逆に遅くなるからその方が心配だから迎えは行くよ」
「ほんとに大丈夫だよ?私にばっかり合わせてもらうのも悪いし」
「でも俺んちは店からそんな遠くないし徒歩圏内だから平気だよ?」
「いいって言ってんだからいいよ!」
「もしかして怒ってる?」
「怒ってないよ‥‥」
「じゃあ送らせて」
「‥‥わかった」
あぁ、今日も冬馬さんさえよければお邪魔しようと思ってたのに‥‥。
私たちはしばらく公園で話をすると、街に出てウィンドウショッピングをしたりブラブラして過ごした。その間も私の頭の中は冬馬さんでいっぱいで‥‥。
バイトの時間になり、柊生とは店の前で一旦解散した。
「じゃあ後でね、バイト頑張って!」
「うん、じゃあね」
私は柊生が帰ったのを見送り、店に入る。
「おはようございます」
「ももちゃんおはよう」
冬馬さんはいつも通りだった。私は心なしかテンションが高かった。恐らくずっとニヤニヤしていた事だろう。
クレープも順調に売れていき、閉店時間が近づく。
「冬馬さん、今日も試作作りますよね?」
「あぁ、それなんだけど俺の方で完成させたからもう大丈夫だよ」
「え?私の味見は?」
「うん、じゃあ味見だけしてもらおうかな」
「味見だけって‥‥」
冬馬さんは閉店した後、手際良く試作を作ってくれた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
そして、一口食べると、それはそれは美味しくて驚いた。
「美味しい‥‥いつの間に完成してたんですか?」
「今日店を開ける前からももちゃんが来るまで接客の合間に作ってたんだ」
「そうなんですね‥‥」
「どうしたの?」
「正直もしかしたら今日も冬馬さんと長く居られるのかなって少し期待してました」
「そうなんだ‥‥。ところで店の外で彼氏?待ってるよ」
「え?」
店内は暗いが、確かに外に人影がある。
私は確認しに出てみると、そこには柊生の姿があった。
「なんでいるの?」
「なんでってダメだった?」
「ダメではないけど‥‥」
「遅くても迎えに来るって言ったじゃん」
「うん、そうだったね」
「まだ終わらないの?」
「帰る準備してくるから待ってて」
「分かった」
そう言うと私は店に一旦入り荷物を取った。
「冬馬さん‥‥帰りますね」
「うん、お疲れ様」
なんで冬馬さんは平気なのだろう。目の前で私が柊生と帰るのは嫌じゃないのかな。それとも体が目的だった?一回やったからもう用無し?いや、冬馬さんに限ってそんな事あり得ない。でもじゃあどうして何も言ってこないし引き止めないの?私は頭の中でぐるぐると考えていた。
「ももちゃん元気なくない?」
「そんな事ないよ」
「じゃあさ、カラオケでも行かない?」
「‥‥うん、少しなら」
私はカラオケでストレスを発散させようと柊生の誘いに乗って行く事に。しかしこの日に限ってカラオケは満室で1時間待ちだった。
それならとゲームをしにネットカフェに行く事になった。
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