プレパレーション

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第25話

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 2月11日、ゆいとの約束当日。

 その日は学校帰りに近所のスーパーで材料を買い、ゆいの家に向かう。

「そう言えばももは二人にあげるの?」

「その事なんだけど‥‥」

 歩きながら前日までの事を全てゆいに説明した。

「そっかぁ。なんか彼氏は可哀想に感じたけど、ももが自分で決めたんだもんね」

「うん。でも嫌とか言ってた割には連絡もこないし、向こうからしてもその程度だったんだと思う」

「いや、それはないでしょ。ただショックで連絡したくても出来ないだけだと思うよ?まぁ来たとしても思わせぶりな態度はしないよね?」

「そのつもり。とにかくきっぱり別れられてよかったと思ってる」

「モテるのも大変なんだね」

「モテるわけじゃなくてたまたまだよ」

「はいはい。じゃあ着いた事だし早速作りますか!」

 ゆいの家に到着すると、準備を済ませ、動画を参考に手際良く作っていく。
 
 冬馬さんは甘いもの好きだから何を作っても喜ぶはず。好きな人の為に作るのってこんなにも楽しいんだなと実感していた。

「よしっ!やっと出来た~!もも時間大丈夫?」

「うん!今日はバイトも休みだし全然余裕だよ!」

「冬馬さんにいつ渡すの?」

「今日は会う予定ないから、明日かな!」

「そうなんだ!私も少し早いけど明日たいちに渡してその後デートの予定なんだー」

「いいなぁ。冬馬さんは店を閉めない限り休みがないから私もたまにはデートらしいデートしたいなぁ」

「おねだりしてみたら?話を聞く限り冬馬さんはももにぞっこんみたいだし!」

「確かに!明日言ってみるよ!」

 私はゆいの家を後にした。

 冬馬さんに早く渡したいなぁ。そんな事を考えながら自分の家まであとすこしのところで冬馬さんに電話をかけることに。

 しかし冬馬さんは電話に出なかった。
 接客中で気付いてないのだろうとその日は諦めて帰る事に。

 翌日、学校帰りにゆいがたいちにチョコを渡していた。たいちは甘いもの好きじゃないとか言いながらも頬が緩んでいた。ゆいの事が本当に好きなんだろうな。そんな光景を横目に私は店に急いだ。

 店をドアを開ける。

「おはようございます」

「おはよう、昨日はしっかり遊べた?」

「はい、おかげさまで」

 冬馬さんには友達と約束があるからと休みをもらっていた。

「じゃあ着替えてきますね」

 私は更衣室に向かった。
 店が終わった後に渡そう、そう思いチョコはカバンにしまっていた。

 バレンタイン限定のメニューは今日から三日間販売している。

「やっぱり限定メニューがあるとお客さん多いですね!」

「みんな限定には弱いみたい」

「じゃあ私も何か限定でやってみようかな」

「例えば?」

「うーん、そうだなぁ‥‥。思いつきません!」

「ははっ!なんじゃそりゃ!」

 冬馬さんと楽しく会話をしながらのバイトは時間が経つのも早い。

「はぁー、今日はよく働きましたね!」

「お疲れ様」

「冬馬さんもお疲れ様です」

 そう言いながら私はカバンから頑張って包装したチョコを出して冬馬さんにサラッと渡した。

「えっ、これってもしかして?」

「ちょっと早いですけど、昨日作ったんです」

「あー!友達と約束ってこれの為に?」

「はい」

「そっか、ありがとね」

 そう言いながら冬馬さんは嬉しそうに私を抱きしめてくれた。

「食べないんですか?」

「帰ってゆっくり食べるよ、本当ありがとね」

「うぅ、冬馬さん苦しいですよ‥‥」

「あっごめん、嬉しくてつい力が入ってしまって」

「冬馬さん‥‥」

「じゃあ帰ろっか」

「一緒に?」

「ははっ、明日も忙しいと思うし今日は自分の家に帰りな」

「分かりました‥‥」

 がっかりしたのが分かったのだろう。

「そんな顔しないの!明日も会えるじゃん」

「分かってますよ。分かってるけど‥‥」

「そうだ!15日店閉めるからさ、デートしようよ」

「えっ!ほんとですか!」

「まだももちゃんとデートしてないからね」

「嬉しいです!学校終わったら速攻で来ますね!」

「もしよかったら学校まで迎え行くよ?」

「いいんですか?」

「そのくらい全然大丈夫だよ」

「やったー!今から楽しみです!」

「じゃあ今日は早く寝て明日に備えないとね」

「はい!」
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