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13.女装人間~エピローグ【完】
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●アキラの現在
あれから約6年が経つ。
女装には見事にはまり、大学に入ってからもしばらく山下さんとはセフレだった。その後、女装バーで知り合った年上のおじさまとお付き合いさせていただき、卒業までたっぷり可愛がっていただいた。就職してからは仕事の忙しさもあり、女装自体もなかなかできなくなっていた。3年目になってやっと、仕事にも慣れ、また女装バーに来れるくらいに余裕ができた。そして、今日は思い切ってハッテン場に来てしまった。
やはり時々、体がうずくのだ。
以前のように動物のように求められたい。体中をたっぷり愛撫してもらいたい。
そう思ったら、自然とハッテン場として有名なこの公園に来ていた。
「見ない顔だね」
ベンチに座って30分ぐらいだろうか。声をかけたほうを見ると、ホームレスと思わしい、おじいさんが立っていた。
「ここはどういうところか知っていて座っているのかな?」
私は少しだけうなずいた。まだ警戒していた。
「いやね。あなたはまるで昔の私みたいだなって思ったんです。気分を害したら申し訳ない。今はこんなですが、こう見えて昔はいい女に化けたものなんです」
とおじさんは言った。
正直、私は困っていた。あまりにもこのおじいさんが’好みでなかった。
私は、汗のにおいがこちらまで伝わってくるような、男性ホルモンの塊のような野性系の男を求めていたのだ。
しかし老人は私のすっけない態度にも関係なく、話し続けた。
「私は教師をしながら、時間を見つけては女装していました。婚約者もいたのにね。どうして、あんなに女装したのか、未だにわかりませんな・・」
もう一度、よく老人の顔を見て驚いた。
「あ!あの時のスーパーマン!」
この顔!媚薬をくれた浮浪者のおじさんじゃないか。
「あー!あの時の坊主か!自殺しようとした」
「あれ。夢じゃなかったの?あれ?」
「どうだった?世界最強の媚薬は?」
「・・・効果ありました」
「だろう。じゃあ、今こそ恩返ししろ。いいだろう。痛くはしないから」
「嫌だ」
そう言うと、おじいさんはとても悲しい声をした。
「君は、かつての美しかった自分に見えて仕方ないんだ。あの時は、当たり前だと思っていた、それが今では、遠い。あまりにも遠い。だから、この手で確かめたいんだ。」
老人は涙をこぼしていた。
「もう自信というものがこれっぽちもないんだよ。頭の中に残像として、ほこりのようにごくまれに見える。でも、水たまりに反射した自分のみじめな顔を見た瞬間に、その僅かな残像はしばらく思えだせない空間に行ってしまうようだ。
それからしばらくは暗闇の中でみじめに泣くのだよ。
ところがお前を見て、俺はまるであの時の自分を鏡で見ているかのような強烈な既視感に見舞われたのさ。
俺はまだ生きていけるって思ったよ。あの時、お前に媚薬をやったとき、決してお前に見返りは求めなかった。
しかしだ、今はもう土下座してもいい。どう言われてもいい。お願いだ。慈悲に思うなら、あの時のお礼を俺に!」
「慈悲?その見返りが僕の体を触る?バカだ。」
老人は僕の言葉が聞こえていないのか、老人はぶちゅうっと顔面全部を僕の股間に沈めてきた。
「ここじゃ。ここじゃ。これじゃ。これじゃ・・・」
老人のねっとりした唾液のような吐息と熱が僕の下半身に呪文のようにまとわりつく。
老人は無我夢中に僕の下着に密着し、ぶぶぶという不快で野性的な音をだす。
そう。老人はついに彼の「場所」を見つけたのだ。
「僕と同じだ」
空を見上げるとお月様が僕たちを見守ってくれていた。
【完】
あれから約6年が経つ。
女装には見事にはまり、大学に入ってからもしばらく山下さんとはセフレだった。その後、女装バーで知り合った年上のおじさまとお付き合いさせていただき、卒業までたっぷり可愛がっていただいた。就職してからは仕事の忙しさもあり、女装自体もなかなかできなくなっていた。3年目になってやっと、仕事にも慣れ、また女装バーに来れるくらいに余裕ができた。そして、今日は思い切ってハッテン場に来てしまった。
やはり時々、体がうずくのだ。
以前のように動物のように求められたい。体中をたっぷり愛撫してもらいたい。
そう思ったら、自然とハッテン場として有名なこの公園に来ていた。
「見ない顔だね」
ベンチに座って30分ぐらいだろうか。声をかけたほうを見ると、ホームレスと思わしい、おじいさんが立っていた。
「ここはどういうところか知っていて座っているのかな?」
私は少しだけうなずいた。まだ警戒していた。
「いやね。あなたはまるで昔の私みたいだなって思ったんです。気分を害したら申し訳ない。今はこんなですが、こう見えて昔はいい女に化けたものなんです」
とおじさんは言った。
正直、私は困っていた。あまりにもこのおじいさんが’好みでなかった。
私は、汗のにおいがこちらまで伝わってくるような、男性ホルモンの塊のような野性系の男を求めていたのだ。
しかし老人は私のすっけない態度にも関係なく、話し続けた。
「私は教師をしながら、時間を見つけては女装していました。婚約者もいたのにね。どうして、あんなに女装したのか、未だにわかりませんな・・」
もう一度、よく老人の顔を見て驚いた。
「あ!あの時のスーパーマン!」
この顔!媚薬をくれた浮浪者のおじさんじゃないか。
「あー!あの時の坊主か!自殺しようとした」
「あれ。夢じゃなかったの?あれ?」
「どうだった?世界最強の媚薬は?」
「・・・効果ありました」
「だろう。じゃあ、今こそ恩返ししろ。いいだろう。痛くはしないから」
「嫌だ」
そう言うと、おじいさんはとても悲しい声をした。
「君は、かつての美しかった自分に見えて仕方ないんだ。あの時は、当たり前だと思っていた、それが今では、遠い。あまりにも遠い。だから、この手で確かめたいんだ。」
老人は涙をこぼしていた。
「もう自信というものがこれっぽちもないんだよ。頭の中に残像として、ほこりのようにごくまれに見える。でも、水たまりに反射した自分のみじめな顔を見た瞬間に、その僅かな残像はしばらく思えだせない空間に行ってしまうようだ。
それからしばらくは暗闇の中でみじめに泣くのだよ。
ところがお前を見て、俺はまるであの時の自分を鏡で見ているかのような強烈な既視感に見舞われたのさ。
俺はまだ生きていけるって思ったよ。あの時、お前に媚薬をやったとき、決してお前に見返りは求めなかった。
しかしだ、今はもう土下座してもいい。どう言われてもいい。お願いだ。慈悲に思うなら、あの時のお礼を俺に!」
「慈悲?その見返りが僕の体を触る?バカだ。」
老人は僕の言葉が聞こえていないのか、老人はぶちゅうっと顔面全部を僕の股間に沈めてきた。
「ここじゃ。ここじゃ。これじゃ。これじゃ・・・」
老人のねっとりした唾液のような吐息と熱が僕の下半身に呪文のようにまとわりつく。
老人は無我夢中に僕の下着に密着し、ぶぶぶという不快で野性的な音をだす。
そう。老人はついに彼の「場所」を見つけたのだ。
「僕と同じだ」
空を見上げるとお月様が僕たちを見守ってくれていた。
【完】
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