魔王様は今日もDowner

永澄水樹

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第一章Downerな日々に祝福を!!

第十六話 アニータたんのターン

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ファヴレットはフェンリルを召喚を終えて宿屋に戻って来た。

しかし、ラスタを経由した事でカーラとまで婚約してしまったファヴレットはアニータの事を気にしていた。

なので、宿屋に戻って2人と別れた後直ぐに聖王都に戻ることにした……のだが。

ファヴレットは現在聖王都のキャンプ場でアニータの前で正座していた。

事の顛末は簡単である。

ファヴレットは急いで聖王都キャンプ場にゲートで戻っていた。

そして、急いでアニータを探した。

アニータもファヴレットに会いたかったらしく、会った当初は喜んでいた。

しかし、ファヴレットの様子がおかしい事に直ぐに気づき心配そうに聞いてきた。

罪悪感に苛まれてたファヴレットはかなりハブって事情を説明した。

その結果、カーラ以上にパワフルな平手打ちを顔面に食らう事になり、詳しく話してと強く言われたので、個室のテントにいるのだが。

アニータが椅子に座っているのに対して、ファヴレットは地面に正座している。

……とういうのもファヴレットが話しをした後、アニータが酷く悲しそうな表情をして落ち込んでいたのと、かなりの怒りを感じた為である。

その怒りはファヴレットが椅子に座ろうとした時も冷ややかな目で見るほどであった。

悪い事をした子供が叱られた時の様に、正座が当たり前と思わされる……そんな雰囲気であった。

結果がこの有様である。

そして、ファヴレット被告人……つまり刑事罰がかせられた犯人相当は証言を始める。


「それじゃあファヴレット君、詳しいお話を聞かせてい・た・だ・け・る・か・し・ら」

「はい……」



こうして、ファヴレットは話しを開始する。

まず、アニータに告白されたにも関わらず何故こんな事になっているかを……。

ファヴレットは話す、バロー伯爵に上手に嵌められたのだと。

それに対するアニータの感想は「ファヴレット君はかなりちょろいですね」というとっても冷たい言葉だった。

しかし、ファヴレットは訴える。

自分はアニータの事をしっかり考えてたと、もしもジェニファーだけと婚約しろとか言われてたらちゃんと断ってたと。

しかし、アニータはそれは貴族の考えでしょと言った。

そして、一夫多妻は基本的に一般人は認めてないと……。

ファヴレットは訴える。

カーラは一般の女性だけど一夫多妻は当たり前みたいに話していたと。

しかし、それに対してのアニータの感想は……「いえ……それって爵位持てとか言ってる時点で一般人が一夫多妻を認めてないの分かってて婚約してるでしょ」と。

確かに、バロー伯爵にのせられた感は否めない。

アニータの状態を保留にしてた状態だったのでいい踏ん切りだと飛びこんだ感がある。

そして、カーラについては完全にファヴレットは選択肢が無かった様に思う。

女の涙って怖いなとしみじみ思うファヴレットだが、それ以上にやっぱり一般人は一夫多妻認めてないじゃん!

というどうしようもない事実に愕然となる。

なんかトントン拍子で話が進むのでアニータも行けるのではという甘い考えは完全に過ちであった。

そして、ファヴレットは謝る。


「申し訳ありませんでした……やっぱりちゃんと2人に話して婚約はなかった事にしてもらいます……多分許してくれないだろうけど許してくれるまで謝ります。かくなる上は一生独身を貫く覚悟も致します」


ファヴレットは精一杯考えた上に覚悟を決めて言葉を紡いだ。

しかし、その覚悟にアニータが質問を寄こす。


「ちょっと待ってよファヴレット君。そうなると私と婚約してくれるって話も無くなるの?」

「えっと……そうなるね……アニータごめん。一生独身貫くから許してくれ」

「待って、待ってよ!なんでそうなるの!やだよ!ファヴレット君の彼女どころか恋人通り越して婚約まで話が進んだと思ったら、なんで一生独身宣言なんて始めるの?」

「いや、そうしないと、皆に申し訳なくて……」


そういいながらファヴレットがしゅんとしていると頭上からアニータの声がする。


「いいよ……」

「え?」

「だからいいってば……婚約解消しなくて……」

「でも……」

「いいの!!」


アニータはそう大声で言うとブツブツ言っている。

耳を澄ますと独り言が聞こえる。

アニータはブツブツと何を言ってるのかと思ったら「ファヴレット君の婚約者……つまり未来のお嫁さんになれるなら私だって我慢するよ~」というなんとも可愛らしい独白であった。

その後もアニータはブツブツ言っていたが突然ファヴレットに掴み掛かって来る。


「ファヴレット君!爵位をなんとしてもゲットするのよ!」

「えっ?なんで?」

「だって、ファヴレット君はよく分かってなかったかもしれないけど一般庶民が一夫多妻なんてしてたら後ろ指さされるもん!それは嫌!だからなんとしても爵位をゲットするの!」

「爵位なんてそんなに簡単に手に入らないだろ?それに……」

「それにもなにもないの!ファヴレット君が爵位持ちにならないと私達3人に幸せは来ないのよ~」


アニータがそう叫びながら微妙に泣いている……。

ファヴレットはそういえばといった感じで、アニータについポロっと言ってはいけない事を言ってしまう。


「そう言えばジェニファーって伯爵家だよね……俺が当主になればいいんじゃ?そうすれば爵位付いてくるよ?」

「それって!ジェニファーが正妻って事?そうなの!ねぇ!」


ファヴレットをまくし立てるアニータからはただならぬ気配がする。

この世界でも始まってしまうのか……聖杯戦争……もとい正妻戦争が……ファヴレットはこのギャグはないわと自己否定しながら考えを放棄しようとするが、アニータが許してくれない。

とりあえず、ファヴレットは今までの事を考える。

結局、権力があればいいんだろと結論に至ったファヴレットは自分が魔王である事を説明する事にする。

ファヴレット的にはあまり切りたくない手札だったが、2人共魔王というのをあまり嫌がっていなかったので、アニータも大丈夫という謎の自信と共に打ち明けた。

その結果……ファヴレットはまた平手打ちを食らった。

そのあとのアニータは泣きに泣いていた。


「アニータ……魔王だって事を黙ってたのは謝るよ……でもいいじゃん王様だよ?一夫多妻オールオーケーじゃないかね?」

「ファヴレット君の馬鹿ー!」


アニータはそう言うと泣きながら出て行ってしまう。

ファヴレットは直ぐにレーダーの魔法でアニータを補足したが、何故かアニータは崖に目掛けて走っている。

流石にファヴレットは紐なしバンジーする気かと一瞬思ったが流石に無いだろと、思った。

しかし、アニータの座標は確実に崖で止まるとは思えない勢いで進んでいる。

焦ったファヴレットはゲートで急いで崖に移動してアニータを確認した後直ぐに確保しようと足に力を込めた。

しかし、ファヴレットが飛び出したと同時に、アニータは崖で急停止すると叫んだ。


『ファヴレット君のバカー!魔王のお嫁さんなんて夢が壊れたよーーーーーーーーーーーえーーーーーーーーん!』


それを聞いたファヴレットはガクッとしてしまい、飛び出したはいいが、アニータの横を通り過ぎてしまう。

そして、『あっ』『えっ?』とういう言葉をアニータと交わした後、ファヴレット一世一代の崖からの紐なしバンジーが行われたのであった。

下は川だったのでファヴレットからすると、咄嗟に魔法で浮かぶのも忘れちゃったよっと、失敗、失敗と反省していると、上からアニータが降ってきた……。

降ってきた???降ってきたーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

なんとファヴレットが川に落ちた後直ぐにアニータも紐なしバンジーをしたらしい……ファヴレットは大丈夫だったが、アニータは……浮かんできた……??浮かんできた?


「アニータたんのばかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


その絶叫を最後にこの戦いは終った。

助け出したアニータを復活させてファヴレットは怒った。

怒りに怒った!

なんて危ないことしてるんだと怒った。

しばらくファヴレットが怒ってると、何故かアニータが怒りだした。

そもそもファヴレットが原因だと。

魔王ってなによと言われた。

イメージがとも言われた。

確かにファヴレットも魔王の嫁になって喜べるかと言われたら答えはNOである。

NOと言える日本人である。

魔王の嫁はNOである。

……でもこれではファヴレットに未来は無いと悟。

確かに日本人的感覚が大半を占めるファヴレットとしては魔王は微妙である。

しかし、魔王の体に入れられて魔王になってしまった。

魔王であるファヴレットは不滅の存在であり永遠の命がある……とは言っても殺されれば終わりだが。

だが、現状のファヴレットは今までの魔王より凶悪な存在だと自分でも確信している。

まず、この世界とはかけ離れたオーバーテクノロジーに身を置いていた日本人である。

そして、この世界は魔法という、地球とは……いや……あの世界とは違う法則が存在している。

しかも、魔法はかなり万能で、殆んどなんでも出来る。

後は日本にあった技術を魔法というチートアシストを使うことで実現が可能になってしまっているのが問題である。

ファヴレットは魔法の実験の一環で核実験もしていた……その結果……詳しい理論がわかってる訳でもない一般ピーポーな日本人であったファヴレットは成功してしまったのである。

原因は分からないが、ラノベで使われていた魔法の再現実験をした結果……それも出来てしまった。

確かにゲートの魔法はまだ完成してない……現状自分を対象にした移動しか出来ない。

しかし、空間と空間をつなげる事も可能かもしれないとファヴレットは思っている。

ただ、あまりに危険が多いのとあまり必要性を感じなかった為に作らなかった。

でも、街一つどころか国……いや大陸……というかファヴレットの差配次第ではこの星ごと滅ぼすほどの高威力魔法まで開発してしまっていた。

これらの事実からファヴレットは魔王なんてなりたくなかったな……という微妙な気持ちであった。

そんな感じで反省している間もアニータは怒っていた。

結局の所どうしたらいいのだろうと思ってアニータに問いかける。

すると、アニータがまた泣き始める。

そしていう、魔王なんてやめてしまえと……。

ファヴレットも同意である。

しかし、魔王はこの世界で唯一無二の存在である。

やめようとしてやめられる物ではない。

だが、ファヴレットは考える。

実質的に魔王じゃないと思われる様な存在になればいいのではと。

そして、アニータに言う……俺魔王やめる……努力すると……。

アニータは魔王はやめられないでしょと怒るが、最初に言ったのはアニータである。

それに、魔王という存在なのは確かだが、魔王という名を背負う必要は無い。

そもそも、魔王をやめるという考えはファヴレットの考えとも一致する。

その為アニータに言う。

これから、世界を変えると……魔王でありながら、世界の皆から魔王でないと言われる存在になると。

アニータは何を言ってるのといった顔をしていたがファヴレットが本気だとわかった様で笑い出した。

しかし、ファヴレットは笑われても絶対に魔王をやめてやると心に決めるのだった。

この時より世界で一番魔王らしくない魔王の物語が進んでいく……事になるのか???
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