短い夢物語

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思い出願望の赤日記帳

ユリの楽しい時間

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どうか忘れないで

貴方がここにいたことも

私が貴方に託した言葉も

素敵な色彩いろで出来た思い出も

全部忘れないでね





赤い日記帳に貴方が何か遺してた

覗き込んでみたら貴方は照れ笑って隠した

高原の花が咲く場所で

貴方と夢を話して

お互いに叶うといいねと

心から笑っていた

その瞬間だけ幸せだった

時間が来ると始まる

絶望だけの世界が

赤く雑に塗られた汚いだけの世界を

無機質なベッドだけの部屋

そこに色も何も無いの

打ち込まれたコンクリートが

ただ冷たいだけ

寝かされて腕に刺される

点滴が少し痛い

また始まる実験

黄色い不気味な薬液を

注射器の中に入れて

それを私の首に刺した

邪魔な液体を入れられた体が

拒絶し始める

違和感しかなくて

痛くて 苦しくて

涙が出てきて

とても居心地が悪かった

また終わりの時間

解放されて急いで高原へ走る

まだ貴方は座っていた

ぼーっとする頭を抱えながら

ゆっくり近付く

また楽しい時間の始まり
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