短い夢物語

Real

文字の大きさ
上 下
7 / 20
繰り返される運命

もの寂しい

しおりを挟む
冷えきった洋館の中で私は、

ただ一人で両親の帰りを待っていた。

カチ…カチ…カチ…

時計の音がこの部屋に響く。

自分の部屋。

ベッドにくまのぬいぐるみ。

机に私の日記。

床には散らばった紙。

その紙には私が描いた絵。

トントン

私の部屋の扉を外からノックする音。


「お嬢様、お食事の準備が出来ました」

「…」


私は黙って部屋から出る。

そしてメイドについて行く。


「お待ちしておりました。お嬢様」


執事が微笑んで私を迎える。

どうしてなんだろう。

人が二人も、私といてくれるのに。

ものすごく寂しい。

私は席に座った。

メイドも同じく席に座る。


「それでは、いただきます」


執事が言い、それに続けて私とメイドも「いただきます」と言う。

いつも通り豪華な食事が並んでいる。

そして静かなディナータイムは終わった。


「では」


と、執事は汚れた皿を片付け始めた。

カチャカチャと音が鳴る。

私はそれをじっと見つめていた。


「…?お嬢様、どうなさいましたか?」


私の視線に気付いた執事は首を傾げた。

私はフルフルと首を振って脱衣所へ向かった。

そしてお風呂に入る。

お母様と二人ならこんなに静かじゃないのに。

お風呂から出てパジャマに着替える。

こんな広い洋館にたった三人だなんて寂しすぎる。

私は部屋に戻ってベッドに入り、

ぬいぐるみを抱きしめながら両親の帰りを待った。
しおりを挟む

処理中です...