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魔族の存在3

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「人族に姿を替えて擬態出来る魔族もかなり多いらしいのです。いつの間にか紛れ込んでいて、ギルドや町の情報が筒抜けになり甚大な被害がもたらされた事も過去に実際にあるのですよ。魔族を相手にするのは本当に厄介なのです。ステータスを鑑定出来るレベルのスキルを持った者や、高ランクの鑑定石を使えば見分けることは可能ですが、そこまでの高レベルの鑑定が出来る者は極僅かですし、鑑定石については更に大変稀少な物で数が少なく入手はほぼ困難です。現実問題として一人一人鑑定していき、探しだすのは不可能ですし、頭の痛い事ですよ。」


 アイシャのぼやきに、響は少し考えた。

 クリエイトを使えば、もしかしたら魔族を探し出す道具を作り出すことが出来るかもしれない。

 後で試すだけ試してみる事にする。

 とりあえず、鑑定が使える事は伝えておこうと、響は口を開いた。


「鑑定でしたら、俺が使えますけど···。何かお役に立てますか?」


 響の言葉にアイシャは目の色を変えて、響の手をがっしりと掴む。


「本当にヒビキは多才ですね!?鑑定が使えるなら、是非!!魔族の捜索に貴方の力を貸してください!勿論、緊急事態ですのでギルドからの正式な依頼として、報酬は出し惜しみしませんから!」


 響は頷くとにこやかに答える。


「わかりました。協力しますよ。ですが···今日はもう規定の数だけ依頼をこなしてしまったので···直ぐと言うわけには行きませんよね?」


 チラリとアンナを見ると、アンナは肩を竦める。


「緊急事態の時は規定の限りでは無いわ···。ギルドからの正式な緊急依頼ですもの···。ヒビキ、今回の件は慎重かつ迅速にお願いするわ!」


 アンナの了解も得て安心する。

 魔族を野放しにしておくと後々大変そうであるし、今回は出し惜しみ無く事に当たろうと心に留める。

 こうして響はアイシャと供に、町中を捜索する事になったのであった。


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