中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

うさみん

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103,謎と不自然さ

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    神という概念が無い筈のこの世界に来て、初めて神の事を話す存在が居た事は驚きだったが、それがよりにもよって魔族だったなんて、意図的な物を感じさせるには充分だと思う。

    神は消失したと言っていた。

 それの意味する処は俺には測り知ることは出来ないが、この世界の不自然さは感じていた。

 管理する根源が無いにも関わらず、秩序の崩壊もパワーバランスの偏りもまるで見られない。

  人心の荒廃も無いし、魔族の驚異も生存圏を脅かす程のレベルではないらしいし、大規模な天変地異災害が起こる事も無く、戦争等の小競り合いは有るらしいが非人道的に逸脱する様なものでも無い様で、どちらかと言えば平和な部類だ。

    滅びを待つ世界の人達の、仮初めの平和を謳歌する日々・・・。

   まるで嵐の前の静けさの様な不気味さで、氷上の儚い幻か・・・砂上の城か・・・何故か危うい均衡で成り立っている様にしか感じられない。

 何かこうなった要因が有る筈だ・・・。
    もう少し、この世界の事を知る必要があると俺は感じた。
 夕暮れ迄はまだ時間がある。

   今の俺に出来る事と言ったら、図書館で情報収集する位だろうか?

 歴史等は情報操作されている可能性も有るので、正確な情報では無いかも知れないけれど、大まかな概要を知ることは出来るだろう。

 そうと為れば、善は急げだ!

 取り急ぎ、ワーウルフを2体程、解体する。
 手早く済ませて、売れる素材を選別して、近くの茂みから蔦を取ってくると纏める。
 鞄に入る物以外は、そこそこの重量なので、ウィングの多重掛けで浮かせて担ぐ。

 高温の為に灰色に焼き付いた地面に、魔族の魔石が落ちていた。
 あの熱量でも焼け落ちない魔石は不思議な石だな・・・と改めて思う。
 拾ってまじまじと眺めると、魔族の魔石は拳より大きい。
 強さに応じて、魔石の大きさに違いが有るようだ。

 改めて、勝ててよかったと身震いする。

 神の情報を知る為には、魔族との接触も必要になるだろう。
 ごちそうと言っていたから、目をつけられる可能性が濃厚だ。
 魔族との戦い方も、本格的に考えないといけない・・・。

 何だか忙しいかも?
 溜め息一つ付くと、町に向かって走りだす。

 暫く走って街道に戻り、さらに進むと町の門が見える。

 入り口の門番に身分証を見せて門を潜り抜け、素材屋を探す。

「えらく、上等な物を持ってきたな!?坊主!重かったろうに!」

 ワーウルフの素材に、素材屋のおじさんが驚く。

 10歳位に間違えられる外見だったのを思い出し、誤魔化す。

「そうだよ!お父さん凄いんだ!」

「お父さん、凄腕だな!」

 お父さんを誉められて嬉しがっている子供のふりをしながら、記憶を辿る。
 ワーウルフはかなりの強さの魔物だったっけ・・・。
 熟練の冒険者向きだと、そう言えば魔物の載った本に書いてあった。

 換金を終えて、道具屋で羊皮紙とペンを買う。
 かなり高い買い物だったが、流石に情報量が増えるだろうから、覚え書きが必要だ。
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