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105,魔法附与の実践

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    用意された部屋に入ると、思わずため息をつく様なポーズを取る。

    呼吸はしていないから実際に息を吐く事は出来ないので、そういう気分を味わう形だけのものだったが・・・。

    記憶を辿り、神様がこの世界を、たらい回しにされた案件だと話していたのを思い出す。

    神の概念が無くなったのが、人類が滅びに瀕した千年前のタイミングだとしたら、多分辻褄は合う。

    絶望に瀕した中で、はたして神にすがる余裕があるだろうか?

    襲い来る魔族に対して救いを求めても、神が直接魔族と対峙する訳ではない。

    目に見える成果でなければ、絶望に瀕した人の心は救えないだろう。

    つまり、絶望するあまり人類が神を棄てたのかもしれない。

    しかし、それで概念迄も無くなるとは、到底考えられない。

    文化が有れば宗教が派生するのは、心の弱さのある人ならではだと思う。

    神で無くても、それに成り代わる何かの信仰が在っても良さそうなのに、その断片も無い。

    それなのに、俺が行った降って湧いたような神の出現や奇跡は、簡単に信じられ受け入れられている違和感は何故だろう?

    時間を掛けて考えても答えが出ずに、俺は思考を一旦放置した。


    それよりもマジックバックを作るために、魔法附与を試そう。

    シャルダンに察知されないように、部屋の中に慎重に通常の魔力量だと誤認識させる為の結界を張る。

    シャルダンはどうやら魔力をを持っている様なので、用心の為だ。

    色々とコツはあるが、結界は色々な物を遮断したり通したり出来る。

    これも色々試した経験から、身に付けられた力だ。

    所謂、器用貧乏なのかもしれないが・・・。

    準備も万全に調えて、魔族の残した魔石を布のカバンに乗せる。

    シャルダンのやり方を思い起こしながら、やり易い様に我流のやり方を織り混ぜていく。

    先ずは、自分の魔力を手に触れた布のカバンと魔石を体の一部と捉えて循環させる。

    細かい魔力制御を行いながら同化させる為に自分の魔力を少しずつ馴染ませていく。

    魔石がカバンに吸収され、格好いいアクセントに成る。

    慎重に魔力が安定するように操作しながら、魔石に附与する為の魔法を唱える。
  
「我が身の魂を記憶せし一部として在る物よ!不変なる静止の時を内包し、留め置かれた空間の狭間の時を縫い停める礎と成せ!」

    イメージさえちゃんと出来てれば、附与する時は本当は何を唱えても良いのだが、中二の血が騒ぐんだよな~。

   「タイム」や「スペース」だと味気無いので、それっぽくシャルダンを真似て附与してみたけど、大成功!!

    ついでに、使用者限定も附与出来たようだ。

    物は試しで試してみるものだな・・・。

    後は定着する迄、魔力を注ぐだけだ・・・。

    俺は目一杯に、魔力を注ぎ続ける・・・。

    注ぎ続ける・・・注ぎ続ける・・・注ぎ続ける・・・注ぎ続ける・・・あれ?終わりが無い?!

    時間ばかりが過ぎ、窓の外が白んできた・・・。

    ああ・・・もうすぐ夜明けだ・・・。

    魔力が枯渇しそう・・・まだ終わらない?

    ジリジリと精神力を削られながら、漸く魔力が入らなくなる。

「やっと終わった!!」

    思わず、その場に倒れ込む。

    回復にある程度、時間を充てようと思っていたのだが、そうは問屋が卸さなかった・・・。


    

 
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