中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

19,襲撃

　日暮から夜になり、水は飲んだが食事はまだ出来そうに無い。

　 本来なら、食べなくても問題は無いのだろうが、経験則が邪魔をしてモチベーションが下がってしまうのだ。
 
　 精神が影響する魔力強化には、モチベーションの低下は最悪だと言える。　

「早目に手を打たないといけないな。」

　生き残るために要求される事が多すぎて、16年しか生きていない自分には荷が重い。

　関連本や専門書からの知識は有っても、経験の伴わない事柄は成功率も低い。

　所詮は子供なのだと、突き付けられる現実が厳しくて泣いてしまいたいが、この体は今は未だ涙までは再現してくれない様だ。

　ラノベなんかに良く有るだろう未成年の転生は御都合主義だが、リアルだとこんなに苦しくて辛い。

　暖かかった生前を思い起こしながら、寂しくベットに潜り込む事にした。


　どのくらい眠ってしまっていただろうか？

　不審な物音に目が覚めた。
　　
　カリカリカリカリ　　カリカリカリカリ

　何かを引っ掻くような音がドアの下の辺りから聞こえてくる。

　俺は音を立てないように静かにベットから降りると、落とし戸風の窓から慎重に外を伺う。

　隙間から見えたのは狼の様な魔物の群れだった。

　見た感じ5～6匹は居そうだ。

　昼間やり過ごした時に、匂いかなにかで気付かれたのかも知れない。

　武器らしい武器もないが、武器に成りそうなのは、木こりの物であろう錆び付いた斧と炭焼き小屋で見つけた先の焼け落ちた火掻き棒位だ。

　頼りないが、無いよりはマシと言った感じた。

　自分の腕力は充てに出来ない今の現状で、どうやって切り抜けるか考えるしかなかった。