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五章

24.お説教

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「んで~?何か言い訳はありますか、ミーシャさん?」

ここは王様の執務室。

絶賛お説教ナウ★って感じだ。

「ありません……」

あのスタイリッシュな王様がなっがい足を組んで、ニコニコしている。

この怒ったままでも笑顔な感じ、マシマタイプの人間だな。

「まぁ?あの状況での判断はよかった。確かにスミュル国の民とはいえ、人は人。救うという選択に間違いはない。ただね……ちゃんと周りの大人の力を借りなさい!ミーシャはまだ子供なんだから!」
「はい……」

しょぼくれモードのミーシャ。

そしてその隣にはマシマ。

「マシマさん!」
「はい」
「貴女は四つ問題行動があります。その一、三人と一匹だけで行くという判断が間違ってます。その二、エレン・ガーウェンが襲われた時点で帰って来なさい。その三、それに王城に突っ込むなんてもってのほか!その四、勝手にスミュル国貰ってこないで下さい!」
「まず一つ目ですが、決めたのはシャーレンです。二つ目、退路はありませんでした。三つ目、もはやその選択以外に選べる道がありません。四つ目、スミュル国との冷戦状態に納得していなかったの貴方も同じはずです」

マシマはすっと、まるで何事もなかったかのように言う。

「っ~!わかりました。一つ目はシャーレンに言い聞かせておきます。二つ目も仕方ないでしょう。四つ目はなんかもう普通にありがとうございます!ただ三つ目です!貴女ほどの人がわざわざ王城に乗り込むなんて普通はしない!どうせ愛弟子と共闘してみたいとか思ってたんでしょう!」

王様は「ハー……ハー……」としゃべり疲れてしまっている。

「……まぁわくわくはししていましたね。そこに関しては反省しています」

いっそ清々しい程に悪びれもなく頭を下げるマシマ。

が、その頭はすぐ上がる。

「ですが陛下、まだ問題は山積みです。まずスミュルの復旧が必要です。次に、シャーレンがまだ動物です。そして……」

言い淀む。

ミーシャも、察したようにうつむいた。

「エレンの消息が不明です……」

マシマが絞り出すようにそう言った。

よどんだ空気に、沈黙が流れる。

「ま、まぁとりあえず!まずは復興!よし、みんな帰っていいよ!」

ぐいぐいと、ミーシャとマシマの背中を押して王様が僕らを部屋から追い出そうとしてくる。

「あ」

と、マシマが声を上げた。

「今からシャーレンのところに行きますが、何か伝えておくことはありますか?」

王様は少し悩んだ後、

「シャーレンちゃん愛してるって伝えておいて」
「嫌です。言い聞かせておくってさっきご自分で仰ってらしたじゃないですか」

マシマは冷たくドアを閉めると、ミーシャに向かって

「さぁ、行きましょうか」

と、にっこり微笑んだ。

「うん、そうだね!」

と、ミーシャも笑う。

ねぇ、二人ともわりと僕の事無視してない?
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