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しばらく見つめ合っていたがリディーは
我に返った。
「あ、さっき言ったけど忘れてね」
ラウルはリディーを見ながら答える
「何を忘れるの?」
「だから…泣いてた事よ!言わせないでよ
純な乙女にも悩みはあるのよ」
「そうか、リディーが純な乙女だと
知らなかったからさ」
「ラウル。喧嘩したいの?」
「違う…
けどさ、聞くよ。リディーの悩み
力になれるかわからないけど
ちゃんと話しを聞くよ
だから泣かないでほしいな」
もう、ラウルは本当に優しい。
いつも怪我ばかりして子爵に怒られて
泣いて、慰めるのは私の方だったのに…
「話せるようになったらね」
「そうか、、リディー忘れないで
困った時は僕が一緒に居るからさ」
「もう、大丈夫よ
だって私は強い乙女だもの」
「え?純な乙女じゃないの?
まぁリディーは強い乙女の方が似合うよ」
「ふん、ばかラウル!」
ラウルがくしゃくしゃになった
ハンカチをリディーに差し出した
「何これ?」
「よかったら使って
また、泣きそうになったらさ」
「汚いハンカチね
洗濯して。って出したのかと思ったわ」
「……ごめん」
「うそ。ありがとうラウル嬉しいよ
じゃあ、借りるね、、持っていていい?」
「もちろんだよ。僕だと思って!」
「……? ラウルはくしゃくしゃのハンカチ
と同類なのね」
クシュンとしたラウルを見てリディーは
意地悪を言い過ぎたな。と思った
「ごめんラウル。本当に嬉しいよ
ありがとう」
ラウルを抱きしめるとラウルは微笑んだ
「じゃあ行くね」
「ねぇリディー
話せるようになったら話して」
「うん、わかった。またね」
手を大きく振りながら丘を走っておりる
リディーの後ろ姿を見ながら
ラウルは呟いた
「どうしたら君の力になれるような
男になれるのかな」
と…
それからリディーは何度も考えた。
ここでの生活を壊したくはない。
けれど私がここに残っても
両親を困らせてしまうだけ…
それに本当の親子では無いと知って
今までのように過ごせるわけない。
リディーは決心した。
何があるかわからないけど
侯爵家に行ってみよう。
本当の親や兄姉が嫌な奴らだったら
家出してしまえばいい。
全てに従う必要なんかないんだから!
決意を固めた日
リディーは気持ちを伝えた
「お父様、お母様
私、侯爵家に行くわ。
無理やり連れ戻されるなんて嫌だもの
だったら私が自分から堂々と行ってやるわ」
伯爵夫婦は気丈に振る舞う娘を見ながら
グッと拳を握った
「リディー
私達は本当の親では無い。
けれどね君に注いできた愛情は本物だよ
私達がどれだけ君を愛してるかは
忘れないでいてほしい。
ハハッ、、親らしくないな
困らせるつもりは無かったのにダメだな」
「私はお父様もお母様の事も大好きです
ここで食べた採れたての果物も
領地の人達も全部 大好きです
今までありがとうございました」
母は泣き崩れ
父は目頭を押さえた。
執事や使用人もぐすりと鼻をすすった。
そして伯爵は侯爵家に手紙を送った
「娘、リディーをよろしく頼みます」と
リディーはラウルに話さなくちゃ。
そう思い
いつもの丘で待っていた
「あ、リディー!
今日は来ていたんだね。あれから何日も
会えなかったから心配していたんだよ」
「あはは、ごめんねラウル
色々とあったから来れなかったの」
「やっぱり色々あったんだね
もう大丈夫なの?」
「うん」
リディーは自分の生い立ちや侯爵家に
行かなければならなくなった事を
ラウルに話した。
「待ってくれ
リディーは嫌なんだよね
ここに居たいんだよね?
侯爵はなんて勝手なんだよ
いくら古来の言い伝えがあるとしても
今まで会いにも来なかったくせに!
リディー、行く事ないよ
いや、行かないでよリディー!」
「うん、そう思ってたよ
だけど無理なんだよね…わかるでしょう
ねぇラウル…なんて言ったらいいか
わからないけどね
ラウルが居てくれて楽しかった。
だからね、「さよなら」じゃなくて
「ありがとう」と「またね」って
言いたかったの」
「リディー」
泣きそうなラウルを抱きしめた
「ラウル、また会おうね。
私、いつかわからないけど帰ってくるから」
「……」
「約束する。だからさ…笑顔で見送って」
「……」
しばらくラウルを抱きしめたリディーは
「じゃあ行くね」と
いつものように丘を走って行った。
時折 振り返り手を振るリディーに
かけられる言葉など見つけられない
ラウルは涙でかすれていくリディーの
姿をずっと見ていた。
数日後
侯爵家から迎えの馬車が到着した。
使用人達は無言のままリディーの荷物が
入ったカバンを馬車に乗せた。
「荷物は必要ない。こちらで全て用意する」
侯爵からの手紙にはそう書いてあったが
リディーは思う。
「私の宝物はそっちに無いものばかりよ
ラウルのくしゃくしゃハンカチに
お父様が誕生日に買ってくれた人形に
お母様が編んでくれたブランケット。
よし!」
馬車の前に並んだ使用人達は
まるで葬儀のような顔でリディーを見る
「ちょっと!みんながそんな顔をしたら
私が悪い事をしているみたいじゃない」
執事は 「失礼しました」と必死に笑顔を
つくった。
そして使用人達も目を真っ赤にしながら
微笑んでいる
「お父様、お母様、、行って来ますね。
じゃあ、みんなも…またね」
ラウルは…来てくれなかったな
リディーは用意された馬車に乗ると
窓から思い出の丘を見た。
「あ!」
丘の上に誰かが立っている
ラウルだ!
リディーは窓から身をのり出すと
丘に向かって大きく手を振った。
「ラウルー! 元気でねー」
リディーを見ていたラウルは応えるように
手を振った
「リディー。待ってるから
ずっと、、ずっと待ってるから」
つづく
我に返った。
「あ、さっき言ったけど忘れてね」
ラウルはリディーを見ながら答える
「何を忘れるの?」
「だから…泣いてた事よ!言わせないでよ
純な乙女にも悩みはあるのよ」
「そうか、リディーが純な乙女だと
知らなかったからさ」
「ラウル。喧嘩したいの?」
「違う…
けどさ、聞くよ。リディーの悩み
力になれるかわからないけど
ちゃんと話しを聞くよ
だから泣かないでほしいな」
もう、ラウルは本当に優しい。
いつも怪我ばかりして子爵に怒られて
泣いて、慰めるのは私の方だったのに…
「話せるようになったらね」
「そうか、、リディー忘れないで
困った時は僕が一緒に居るからさ」
「もう、大丈夫よ
だって私は強い乙女だもの」
「え?純な乙女じゃないの?
まぁリディーは強い乙女の方が似合うよ」
「ふん、ばかラウル!」
ラウルがくしゃくしゃになった
ハンカチをリディーに差し出した
「何これ?」
「よかったら使って
また、泣きそうになったらさ」
「汚いハンカチね
洗濯して。って出したのかと思ったわ」
「……ごめん」
「うそ。ありがとうラウル嬉しいよ
じゃあ、借りるね、、持っていていい?」
「もちろんだよ。僕だと思って!」
「……? ラウルはくしゃくしゃのハンカチ
と同類なのね」
クシュンとしたラウルを見てリディーは
意地悪を言い過ぎたな。と思った
「ごめんラウル。本当に嬉しいよ
ありがとう」
ラウルを抱きしめるとラウルは微笑んだ
「じゃあ行くね」
「ねぇリディー
話せるようになったら話して」
「うん、わかった。またね」
手を大きく振りながら丘を走っておりる
リディーの後ろ姿を見ながら
ラウルは呟いた
「どうしたら君の力になれるような
男になれるのかな」
と…
それからリディーは何度も考えた。
ここでの生活を壊したくはない。
けれど私がここに残っても
両親を困らせてしまうだけ…
それに本当の親子では無いと知って
今までのように過ごせるわけない。
リディーは決心した。
何があるかわからないけど
侯爵家に行ってみよう。
本当の親や兄姉が嫌な奴らだったら
家出してしまえばいい。
全てに従う必要なんかないんだから!
決意を固めた日
リディーは気持ちを伝えた
「お父様、お母様
私、侯爵家に行くわ。
無理やり連れ戻されるなんて嫌だもの
だったら私が自分から堂々と行ってやるわ」
伯爵夫婦は気丈に振る舞う娘を見ながら
グッと拳を握った
「リディー
私達は本当の親では無い。
けれどね君に注いできた愛情は本物だよ
私達がどれだけ君を愛してるかは
忘れないでいてほしい。
ハハッ、、親らしくないな
困らせるつもりは無かったのにダメだな」
「私はお父様もお母様の事も大好きです
ここで食べた採れたての果物も
領地の人達も全部 大好きです
今までありがとうございました」
母は泣き崩れ
父は目頭を押さえた。
執事や使用人もぐすりと鼻をすすった。
そして伯爵は侯爵家に手紙を送った
「娘、リディーをよろしく頼みます」と
リディーはラウルに話さなくちゃ。
そう思い
いつもの丘で待っていた
「あ、リディー!
今日は来ていたんだね。あれから何日も
会えなかったから心配していたんだよ」
「あはは、ごめんねラウル
色々とあったから来れなかったの」
「やっぱり色々あったんだね
もう大丈夫なの?」
「うん」
リディーは自分の生い立ちや侯爵家に
行かなければならなくなった事を
ラウルに話した。
「待ってくれ
リディーは嫌なんだよね
ここに居たいんだよね?
侯爵はなんて勝手なんだよ
いくら古来の言い伝えがあるとしても
今まで会いにも来なかったくせに!
リディー、行く事ないよ
いや、行かないでよリディー!」
「うん、そう思ってたよ
だけど無理なんだよね…わかるでしょう
ねぇラウル…なんて言ったらいいか
わからないけどね
ラウルが居てくれて楽しかった。
だからね、「さよなら」じゃなくて
「ありがとう」と「またね」って
言いたかったの」
「リディー」
泣きそうなラウルを抱きしめた
「ラウル、また会おうね。
私、いつかわからないけど帰ってくるから」
「……」
「約束する。だからさ…笑顔で見送って」
「……」
しばらくラウルを抱きしめたリディーは
「じゃあ行くね」と
いつものように丘を走って行った。
時折 振り返り手を振るリディーに
かけられる言葉など見つけられない
ラウルは涙でかすれていくリディーの
姿をずっと見ていた。
数日後
侯爵家から迎えの馬車が到着した。
使用人達は無言のままリディーの荷物が
入ったカバンを馬車に乗せた。
「荷物は必要ない。こちらで全て用意する」
侯爵からの手紙にはそう書いてあったが
リディーは思う。
「私の宝物はそっちに無いものばかりよ
ラウルのくしゃくしゃハンカチに
お父様が誕生日に買ってくれた人形に
お母様が編んでくれたブランケット。
よし!」
馬車の前に並んだ使用人達は
まるで葬儀のような顔でリディーを見る
「ちょっと!みんながそんな顔をしたら
私が悪い事をしているみたいじゃない」
執事は 「失礼しました」と必死に笑顔を
つくった。
そして使用人達も目を真っ赤にしながら
微笑んでいる
「お父様、お母様、、行って来ますね。
じゃあ、みんなも…またね」
ラウルは…来てくれなかったな
リディーは用意された馬車に乗ると
窓から思い出の丘を見た。
「あ!」
丘の上に誰かが立っている
ラウルだ!
リディーは窓から身をのり出すと
丘に向かって大きく手を振った。
「ラウルー! 元気でねー」
リディーを見ていたラウルは応えるように
手を振った
「リディー。待ってるから
ずっと、、ずっと待ってるから」
つづく
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