わかったわ、私が代役になればいいのね?[完]

風龍佳乃

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馬車で王宮を目指して走りながら
景色を眺めていた。

そういえばブェールスに向かう途中に
王宮の前を通ったのよね…
なんだかすごく昔の事みたいに思うわ。

王宮の門についたようだ
リディーはゆっくりと馬車から降りて
王宮騎士について歩いた


デカい!広い…何?ここはまるで迷宮ね。

リディーの心拍数がドクドクと上がっていく

「着きました」

扉の前には騎士が立ちチロリとリディーを見た。

「失礼致します。
ブェールス侯爵令嬢が到着致しました」

「入って」

案内されるまま扉の奧に進んだ

「本日は…」

「あ、いいからそこに座って」

指を指したソファーに「失礼致します」
リディーは優雅な動きで腰をかけた。

皇太子は書類を広げて何かを書いている

部屋にはカリカリとペンをはしらせる音が響いた

ようやく皇太子が「待たせたね」と
ソファーに座る頃
侍女が紅茶を入れると騎士とともに
部屋を出て行った。

「それで、リディー嬢の返事を聞こうか」

リディーは1枚の紙を皇太子の前に
差し出した。

「先に宜しいでしょうか」

皇太子は紙を手に取って読み始める

【契約書】

一  リディアーナを演じるにあたり
      完璧を要求しない事

一  リディアーナが倒れた原因または
      証拠が出てきた場合
      素早くリディーを解放する事

一  リディーの発言、行動に対して
      不敬罪を適用しない事


                        以上 リディー・ブェールス

尚    無茶、難題を強要した場合
        任務終了とし契約を解除する


読み終わった皇太子は口元を押さえた。
が……

「ぶはっ、 くっくっく…
何これ?自分で考えたの?凄いね
あのさ、これを読んで不安になったよ
だってリーならこんな契約書
書かないからさ ハハハッ
君にリディアーナが演じられるのかなぁ」

「わかりません。
けれど契約したならば努力はします」

「そうか、ならば頑張ってもらわないと
ちなみに君が双子の妹だと知っている
のは
両陛下、それと弟のコルシー。
私の秘書官マークだけだよ
具合が悪く倒れた後だし社交デビューまで
日にちはあるから
その間に頑張ってくれ。
しかし…不敬罪に問うな。なんて言うとは
思わなかったからさ。わかったよ
約束しよう」

皇太子はリディーが作成した契約書に
テリウス・アグラッシュとサインした。

「ではよろしく頼んだよリディー嬢」

リディーが皇太子と別れてから
馬車までの帰り道
騎士はリディーの事が気になって仕方ない
いつものリディアーナ嬢ならば
ニコリと微笑みながら「ありがとう」と
言うのだ。
しかし無言のまま
下を向いたまま静かにゆっくりと
歩き表情すらわからないのだ

「リディアーナ嬢大丈夫だろうか」

騎士はいつ倒れてしまうかと心配していた

「ありがとうございました」
挨拶をして馬車に乗り込んだリディーは
扉が閉まり走り出すと

「ぶはぁ、疲れたぁー
あんなにゆっくり歩いたのは初めてよ
すごく長い廊下なのよ
もうね、自分との戦いなの。
走りたくて仕方なかったわ」

「……お嬢様
まだまだ道のりは長いですね」

リディーの専属であるミミは苦笑いした

一方

皇太子は窓の外を眺めていた

リディー嬢か…
シュエル伯爵の元で育ったと聞いたが
なかなか面白い令嬢だったな。
リーとは真逆というのも面白い
彼女が義理の妹になってくれたなら
退屈しないだろうな。

そんな事を考えていた



騎士達は昼の任務を終えて飲んでいた。

「リディアーナ嬢がお倒れになり
殿下の口数が減り心配してましたが
久しぶりに笑い声を聞いて安堵しましたよ」

「あぁ、でもまだ具合は悪そうでしたよ
なんというか…歩き方が人形のようで」

「そう、見ていて
随分と不思議な歩き方をするなって
まぁ体調が万全ではないのだろう」

「しばらくは妃教育にもいらっしゃらないと
聞いているし早く改善して
ほしいですね」

騎士達はそう思っていた。
いや、そう勘違いしているのだった…

その後もリディーのリディアーナ作戦は
ずっと続いていた

「お嬢様、あごはもう少し引いてください。
違います、もっと自然に…
そうです。その角度を忘れないでください」

「ふふっ、あなた達の特訓の成果ね
筋肉痛を感じなくなったわ」

そんなやり取りを繰り返している
リディーにカルロスも見守っていた

「リディー少し休憩しよう
ケーキを用意したよ。おいで」

「わーい」

カルロスが連れて行ってくれた庭園で
リディーに戻る。

パクパク、、パクパク「美味しいです」
パクパク、、パクパク

「リディーは可愛いな
たくさん食べなさい」

「はいっ」パクパクパクパク

「カルロス様
体型が変わってしまったら困ります。
倒れているはずのリディアーナ様が
アカデミーに入学する時に
プックリでは……」

ん?
「………そうね、確かに…
おっしゃる通りだわ」

リディーはフォークを置いた。

カルロスは残念そうな顔でリディーを
見た。

「はぁ、リディーが元気よく食べる姿が
好きなんだよ…皇太子め!」

「仕方ないです。
1番良いのは姉様が目覚めてくれる
事なんですけれどね」

そんな日々が続いて
リディーはアカデミーに入学するまでの間
猛特訓に励むのだった




つづく
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