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クリスティーヌは自室に戻った後で
もう、この家に居ても意味無いわよね。
誰にも必要とされていないのだもの…
こんな事になるなら最初から
魔力なんていらなかったのに…
クリスティーヌは宝石を中心に荷物を
鞄に詰めて部屋を出た。
その時に聞いた使用人達の歓喜の声。
ティファニーの片思いがついに
婚約とまでなったのだから
使用人達は嬉しいのだろう。
「でも、上手くいったわねぇー
手紙を止めて良かったわ
そうじゃなかったら
もっと拗れていたかもしれないわ」
「本当に!まさかビルウィル様に
手紙が届いていないなんて
思っていないでしょうからね」
……! そう、、だったのね。
この屋敷の人間に私はこんなにも嫌われ
相手にされず…馬鹿みたい
クリスティーヌは静かに屋敷を後にした
街外れの教会に着いたクリスティーヌは
黙って女神像を見ていた。
ただ兄妹よりも魔力が弱いだけで
こんなにも簡単に手のひらを返されて
使用人にまで馬鹿にされて…
悲しみよりもふつふつと怒りが
込み上げてきた…何でよ!
私が何をしたのよ!憎い!皆が!
この世界が!
クリスティーヌの身体がブルブルと
震えて身体の中から熱が上がってきた。
ドーン!教会が揺れた。
カタカタとまだ揺れている。
その時クリスティーヌにはわかった。
この感覚は…初めて魔力を感じた時の
ものだ。
身体から熱帯びた空気が溢れ出てくる。
意識はあるがこれは覚醒だ!
クリスティーヌは確信した。
み、見返してやる。クリスティーヌは
女神像に誓った。
数日前のラーモン公爵邸
「ビルウィル、わかっているだろう
クリスティーヌ嬢との婚約は
解消する改めてティファニー嬢と
結ぶぞ」
「父上、待って下さい。
クリスティーヌ嬢にも心の準備が
必要です。それにクリスティーヌ嬢
でもいいじゃないですか」
「ボーン家に幾ら婚約資金を使ったと
思っているんだ。魔力が強い方が
いいに決まってるだろう!
のんびりしていたら
ティファニー嬢を取られるぞ」
「それでも僕は…クリスティーヌが…」
「うるさい。お前だって何度も
ティファニー嬢と会っているだろう」
「それは父上が」
「黙れ!これは決めた事だ
要らぬ情は捨てろ!」
ビルウィルは何度もクリスティーヌに
手紙を書いたが返事が来る事は
なかった。
伯爵はラーモン公爵達が帰った後で
クリスティーヌの表情や言葉を
繰り返し思い浮かべていた。
今まで何度もクリスティーヌには
感情をぶつけられた。
あの子は自分に正直でまっすぐで…
やはりティファニーとの婚約は
早まったか。
もう少し時間をかけるべきだったのか…
クリスティーヌの気持ちも確認せず
傷つけてしまっただけだ…
伯爵はクリスティーヌの部屋へと
向かったが、その姿は既に消えた
後だった。
ラーモン公爵は1日も早く
ビルウィルとティファニーの婚約を
発表したいと考えて伯爵を説得していた
が…
クリスティーヌが姿を消した。
ビルウィルはその一報を聞き愕然とした
婚約解消となった今でも
思い出す笑顔はクリスティーヌだけだ
ティファニーはあくまでも義理妹で
女性として見た事はなかった。
クリスティーヌからティファニーに
婚約者を変更するという父の考えは
わからないではなかったが
ビルウィルはせめてクリスティーヌの
気持ちを確認したかった、、
ビルウィルはクリスティーヌ失踪を知り
拳を握った。
その一方で
クリスティーヌは復讐の準備を
着々と進めていた。
魔力を強めコントロールを繰り返し
こもった森で岩を割り、木を倒し燃やし
川では水を凍らせたり湯にしたり…
ずっと、ずっと…
自分を虐げた
人達の顔を思い浮かべながら…
クリスティーヌがいつも様に
力を溜めて風を天に向けた時
ガサッ 。
足音に気が付き振り返るとそこに
男性が3人立っていた。
1人は貴族と思える人物
そして2人は護衛騎士に見えた
貴族と思える男性がクリスティーヌに
声をかける
「素晴らしい魔力だ。しかし君は
ここで何をしているのだ?」
「あなたには関係ない事よ」
「そうかもな。だが君程の魔力を持つ
人物を知らない。君の事を教えて
くれないか」
「知ってどうするのよ。悪いけど
私の魔力が欲しいなんて下心を
持っても意味無いわよ」
「ははは、君は面白いね
身なりは…普通だが、、貴族かな?
それだけの魔力ならボーン家だと
思うが、違うか?」
クリスティーヌは黙ったまま
その場を後にしようとした。
「今、王都でボーン伯爵家の
クリスティーヌ嬢を探している
らしくてな。知らないかい?」
「さあね、私には関係ない話しよ」
「見つけた。と連絡してもいいんだが
どうする」
「勝手にすれば?別の場所に移る
だけよ」
「ははは、やっぱりクリスティーヌ嬢
だったか、何故こんな所に
居るんだい?」
「ねぇ、あなたは誰なのよ。とはいえ
別に誰でもいいけどね。
私の邪魔をするなら隣国まで
あなた達を飛ばすわよ 」
「なぁ、怒らずに聞いてほしいんだが
というか君はもう怒っているか。
話しを聞かせてくれないかな。
行方不明の貴族令嬢が森の中で
魔力の訓練をしているなんて
普通じゃないだろう」
「悪いけど知らない相手と仲良く話し
するほど暇じゃないのよ」
立ち去ろうとしたクリスティーヌに
「俺はファルコス・ルーマンだ」
ルーマン…
ルーマン大公爵。王弟の子息かぁー
めんどくさい人に会っちゃった…
「初めましてルーマン大公爵子息
私はクリスティーヌですわ。
それで満足かしら?」
「いや、満足じゃないな
もっと君と話しがしたい」
「ふっ、お断りしたら?」
「そうだなー、権力を使って拉致する
かな」
「は?私を捕まえて何か得する事でも
まさか懸賞金でも掛かってますの?」
「俺が懸賞金を狙うって?
今、狙っているのは君なんだけどね」
「はっ!何を言っているのか
分からないわ。じゃ失礼しますね」
クリスティーヌは自身で風を起こすと
その場から消えた。
もう、この家に居ても意味無いわよね。
誰にも必要とされていないのだもの…
こんな事になるなら最初から
魔力なんていらなかったのに…
クリスティーヌは宝石を中心に荷物を
鞄に詰めて部屋を出た。
その時に聞いた使用人達の歓喜の声。
ティファニーの片思いがついに
婚約とまでなったのだから
使用人達は嬉しいのだろう。
「でも、上手くいったわねぇー
手紙を止めて良かったわ
そうじゃなかったら
もっと拗れていたかもしれないわ」
「本当に!まさかビルウィル様に
手紙が届いていないなんて
思っていないでしょうからね」
……! そう、、だったのね。
この屋敷の人間に私はこんなにも嫌われ
相手にされず…馬鹿みたい
クリスティーヌは静かに屋敷を後にした
街外れの教会に着いたクリスティーヌは
黙って女神像を見ていた。
ただ兄妹よりも魔力が弱いだけで
こんなにも簡単に手のひらを返されて
使用人にまで馬鹿にされて…
悲しみよりもふつふつと怒りが
込み上げてきた…何でよ!
私が何をしたのよ!憎い!皆が!
この世界が!
クリスティーヌの身体がブルブルと
震えて身体の中から熱が上がってきた。
ドーン!教会が揺れた。
カタカタとまだ揺れている。
その時クリスティーヌにはわかった。
この感覚は…初めて魔力を感じた時の
ものだ。
身体から熱帯びた空気が溢れ出てくる。
意識はあるがこれは覚醒だ!
クリスティーヌは確信した。
み、見返してやる。クリスティーヌは
女神像に誓った。
数日前のラーモン公爵邸
「ビルウィル、わかっているだろう
クリスティーヌ嬢との婚約は
解消する改めてティファニー嬢と
結ぶぞ」
「父上、待って下さい。
クリスティーヌ嬢にも心の準備が
必要です。それにクリスティーヌ嬢
でもいいじゃないですか」
「ボーン家に幾ら婚約資金を使ったと
思っているんだ。魔力が強い方が
いいに決まってるだろう!
のんびりしていたら
ティファニー嬢を取られるぞ」
「それでも僕は…クリスティーヌが…」
「うるさい。お前だって何度も
ティファニー嬢と会っているだろう」
「それは父上が」
「黙れ!これは決めた事だ
要らぬ情は捨てろ!」
ビルウィルは何度もクリスティーヌに
手紙を書いたが返事が来る事は
なかった。
伯爵はラーモン公爵達が帰った後で
クリスティーヌの表情や言葉を
繰り返し思い浮かべていた。
今まで何度もクリスティーヌには
感情をぶつけられた。
あの子は自分に正直でまっすぐで…
やはりティファニーとの婚約は
早まったか。
もう少し時間をかけるべきだったのか…
クリスティーヌの気持ちも確認せず
傷つけてしまっただけだ…
伯爵はクリスティーヌの部屋へと
向かったが、その姿は既に消えた
後だった。
ラーモン公爵は1日も早く
ビルウィルとティファニーの婚約を
発表したいと考えて伯爵を説得していた
が…
クリスティーヌが姿を消した。
ビルウィルはその一報を聞き愕然とした
婚約解消となった今でも
思い出す笑顔はクリスティーヌだけだ
ティファニーはあくまでも義理妹で
女性として見た事はなかった。
クリスティーヌからティファニーに
婚約者を変更するという父の考えは
わからないではなかったが
ビルウィルはせめてクリスティーヌの
気持ちを確認したかった、、
ビルウィルはクリスティーヌ失踪を知り
拳を握った。
その一方で
クリスティーヌは復讐の準備を
着々と進めていた。
魔力を強めコントロールを繰り返し
こもった森で岩を割り、木を倒し燃やし
川では水を凍らせたり湯にしたり…
ずっと、ずっと…
自分を虐げた
人達の顔を思い浮かべながら…
クリスティーヌがいつも様に
力を溜めて風を天に向けた時
ガサッ 。
足音に気が付き振り返るとそこに
男性が3人立っていた。
1人は貴族と思える人物
そして2人は護衛騎士に見えた
貴族と思える男性がクリスティーヌに
声をかける
「素晴らしい魔力だ。しかし君は
ここで何をしているのだ?」
「あなたには関係ない事よ」
「そうかもな。だが君程の魔力を持つ
人物を知らない。君の事を教えて
くれないか」
「知ってどうするのよ。悪いけど
私の魔力が欲しいなんて下心を
持っても意味無いわよ」
「ははは、君は面白いね
身なりは…普通だが、、貴族かな?
それだけの魔力ならボーン家だと
思うが、違うか?」
クリスティーヌは黙ったまま
その場を後にしようとした。
「今、王都でボーン伯爵家の
クリスティーヌ嬢を探している
らしくてな。知らないかい?」
「さあね、私には関係ない話しよ」
「見つけた。と連絡してもいいんだが
どうする」
「勝手にすれば?別の場所に移る
だけよ」
「ははは、やっぱりクリスティーヌ嬢
だったか、何故こんな所に
居るんだい?」
「ねぇ、あなたは誰なのよ。とはいえ
別に誰でもいいけどね。
私の邪魔をするなら隣国まで
あなた達を飛ばすわよ 」
「なぁ、怒らずに聞いてほしいんだが
というか君はもう怒っているか。
話しを聞かせてくれないかな。
行方不明の貴族令嬢が森の中で
魔力の訓練をしているなんて
普通じゃないだろう」
「悪いけど知らない相手と仲良く話し
するほど暇じゃないのよ」
立ち去ろうとしたクリスティーヌに
「俺はファルコス・ルーマンだ」
ルーマン…
ルーマン大公爵。王弟の子息かぁー
めんどくさい人に会っちゃった…
「初めましてルーマン大公爵子息
私はクリスティーヌですわ。
それで満足かしら?」
「いや、満足じゃないな
もっと君と話しがしたい」
「ふっ、お断りしたら?」
「そうだなー、権力を使って拉致する
かな」
「は?私を捕まえて何か得する事でも
まさか懸賞金でも掛かってますの?」
「俺が懸賞金を狙うって?
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