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美しく光る祭壇の前、
タキシードを身につけたマークスがいた
フレッドとゆっくり祭壇へと向かう。

マークス。私はお飾り夫人になる
つもり何てないわよ。
私を望んだのは都合いい女だと
思ったのかしら?
冗談じゃないわよ…
私は貴方のお人形さんになんか
ならないから。

マークスの前に立つとフレッドは
スッと席についた。

手を出したマークスを一切見ず
エスコートされる。

誓いの言葉。指輪の交換。
そして…
マークスがティアナのベールを
ゆっくりと上げる。

そこに見えたのは
マークスを刺すように見上げた
ティアナの瞳だった。

マークスは平常心を保ちながら
ティアナの額にキスをした。

会場からは拍手が響き式は無事に
終わった。

パーティ会場では
参列者への挨拶回りが落ち着いた
ところだった。
ティアナはマークスに
「先に失礼しますわ」そう告げた。
式を終えたばかりの夫人が
別々に会場を出るのは不思議ではないが
友人達は
早々に会場を出たティアナに
目を向ける。
視線を感じる先にピンクのふわふわ令嬢
が居た。

あれね。ティアナはふわふわ令嬢から
視線を外した。

追って来たのは兄だった
「馬車まで送るよ」

「お義姉様は?」

「母上と一緒に居るから大丈夫だ」

「そう…」

「何があった?」
心配そうに除き込む兄に頼み事をする

「お兄様…早速で申し訳ないけど…
    リーナ・モルダー子爵令嬢を
    調べてくれないかしら。」

「あぁ、、あれか…」

「ご存知なの?」

「学園で同級だったよ。アレが
    何かしたのか?」

「……。」

「はぁ、察しはつくな。
    わかった。手紙を送るよ」

「ありがとう」

馬車に乗り込み兄と別れた
ティアナは1人でワトソン公爵家に
向かった。

大きな屋敷。さすが公爵家ね…

使用人達が出迎えてくれた。が、、
ティアナが1人で到着した事に
一瞬の戸惑いがはしった。

執事のガルバンと名乗る男性と
メイド長キイラが挨拶をして
部屋へと案内してくれた。

部屋も広く綺麗だ。

ガルバンは
必要な物があればすぐに言って欲しい。
と言い
2週間後にはドレスとアクセサリーが
届くと伝えてきた。

キイラは
専属メイドのアイラを紹介し、
すぐにアイラは
湯浴みの準備と身支度の整えを
手伝ってくれた。

部屋で軽食をとったティアナは
アイラに訪ねた
「マークス様には想い人でも
    いらっしゃるのかしら?」

アイラはピクリとした後
「まさか、、私は存じません」
と答えた

ティアナは
想い人ねぇ…何故、一緒にならなかった
のかしら?
兄からの手紙を待つしかなさそうね。
と思った。
支度を終えたティアナは
夫婦の寝室へと連れられた。
寝室は落ち着いた雰囲気で
高級感たっぷりのベッドが
ティアナを迎えた。

翌朝、
目を覚ましたティアナは
いつもと違う寝室に驚き、ガバリと
ベッドから出た。そして
初夜だった事を思い出した。

疲れていたからぐっすり寝れたわ。
マークス。
来なかったのね…

それが貴方の考えなら
私は私よ。
今日からここは戦場だわ。
まさか、、こんな事になるなんてね。
ティアナは1人苦笑いをした。

コンコン
「奥様、お目覚めでしょうか」

入って来たのは
ガルバンとキイラ
そして専属メイドのアイラだ。

執事のガルバンは深々と頭を下げ
「昨夜、パーティ会場でトラブルが
    あった様で…旦那様は明け方に
    帰宅されました。」

しばらく沈黙が流れて…

ティアナは「それで?」とガルバンを
見る

「はい、旦那様はとてもお疲れの
    ご様子でして、倒れる様に
    寝ってしまわれました…」

ティアナは素っ気なく「そう」と
返事をした。

「あの、、奥様……」

「何?」

ガルバン達は言いにくそうに話す

「旦那様に想い人などおりません。
    奥様は旦那様が求められた方。
    ですので何も心配事など
    ございません。
    昨夜については、、その、、
    問題がありましたが、我々は
    奥様を歓迎しておりますし
    これからお2人が仲良く
    過ごされる事を願っております」

そうよね。この人達が悪い訳じゃ
ないもの…

「わかったわ。これから
    よろしくお願いします。
    早速だけど朝食は部屋に運んで」

「かしこまりました」
3人は部屋から出て行った。

はぁ、ティアナはため息をついた

新婚だからと学園を10日も休みに
してしまったわ。
暇になっちゃった…
お兄様からの手紙もまだ先よね…
お父様からの事業計画書も…

うーん、今のうちに出来る事って
何かしら?

あの時、私が見た光景は
間違っていない。きっとそのままの
意味だ…
夫人の怒りもエリーの表情も
誰もが(そう思う)事だったわ。

夕方になりメイドのアイラが
手紙を持って来た。
兄からだわ、早いわね。
ティアナは手紙を読んだ。

Toティアナ

兄は自分が知っている事を書いてきた。

リーナは学園時代に上位貴族の男性に
近ずいては男性達に囲まれて過ごし、
令嬢達から無視されていた事。

リーナの行いが原因で婚約破棄した
人がいた事。

リーナは途中で学園を去り
その後は誰も知らないとの事だった。

そして結婚パーティ会場で、
ティアナが帰った後

マークスの隣にリーナが張り付き
まるで新婦の様に振る舞い
父、フレッドが
リーナの存在をマークスに問い詰めて
不貞があるならば
今すぐにティアナを連れ帰り
この結婚は無き事にする。と
怒り、会場は修羅場となった。
らしい。

マークスとリーナがいつ、どこで
繋がり、どんな関係なのか
調べているから
もう少し待つ様に記してあった。

そして、父からだと
同封されていたのは(白い結婚)証明書
1年間、夫婦生活が無く
白い結婚が認められた場合
戸籍から結婚の事実が消されて
嫁ぎ先から契約なく出られる。
と、いうものだ。

ティアナは…白い結婚かぁー
まぁね、愛人どうこうでグダグダ
するなら白い結婚を認めてもらって
その女と一緒になればいいのよ。

そのうち、リーナって女に子が
出来た。なんて言ってくるんだ
ろうから…

まずはマークスにサインを
貰わないとね。

ティアナはため息をついた。





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