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第二章・辺境伯夫人へ
17・傾国の美(ルイスSide)
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「ルイス、お前はカサンドラ国王アルベルトに嫁ぐか?」
父である、カリシュの国王にそう問われて驚いた。
何故なら、より強い国に嫁ぐように言われていたから。
私が嫁ぐ先は、間違いなく大帝国のガルド王の元だ┉ずっとそう言われてきた。
先日、そのガルド王が我が国までやって来て初めての対面を済ませたのだが┉。
まだ先方からは何の沙汰もないが、わざわざ来るという事はその気持ちがあるのだと思われるが┉?
その事を問うと、父は渋い顔をした。
「大帝国側は、今は半性身の者を妃として迎えるつもりはないらしい。」
──これは意外な事を聞くな?今は┉それでは、いずれは迎えるつもりがあるという事か。もしかして、シルバか?
シルバ┉あの子は三つ離れた弟で、母親は違うが同じ半性身で特別な繋がりがある。
果たしてあの子に、ガルド王の妃が務まるのか?
大帝国には既に王妃がいて、後継者と目される王子もいるという┉。おまけに各国から送り込まれた数多くの妃達が居て。
私ならまだしも、あの控え目なシルバが。
──ガルド王は、シルバがお気に召したのか┉。それでは、結婚できる十六までは三年ほど後┉そういう意味合いなのだな。
「父上、なれどカサンドラ国には既に王妃がおられるのでは?王子も確かお二人はおられますね。大帝国に嫁ぐのではなければ、まだ他の国の王妃になれるところへ行った方がいいと思うのですが┉?」
大帝国ほどの大国ならば、王妃になれずとも嫁ぐ価値があるが、カサンドラ程度では┉わざわざ私が嫁ぐ必要はないと思う。それに、王妃に目くじら立てられるのも面倒だ。
間違いなく私の方が美しいのだぞ?女の嫉妬ほど醜いものはないしな。
「それならば、カサンドラ側にはお断りしておく。何処かでお前を見掛けて惚れ込んでいると聞いたがな┉。」
──私を見掛けた?お会いした事は無いのに。何やらきな臭い感じがする┉そんな男は近付かないに限るだろう。
そんな父とのやり取りなど忘れかけた時、衝撃の事実を知る。
カサンドラ国王が、謀反の疑いで王妃とそのお子二人を処刑したのだ!
表向きでは幽閉した事になっているが┉。
──それほど迄に、私を求めていると┉。
私が王妃とお子が既にいるからと断ったからとて、自分の血を分けた子を殺すのか!?
私は空恐ろしくなった┉。
このまま、断り続けたらカリシュに攻め込むのではないか?と。大帝国に次ぐ軍事力を持つ国だ。この国など一溜りもないだろうと思う。
私は怖かった┉この国が滅ぼされるかもしれない。
それよりも怖いのが、アルベルト王だ。
私はカサンドラ国に行く決心をした。私が嫁ぐ他はない。
せめて、あの子シルバが大帝国のガルド王に嫁ぐまでは┉。
そうして意を決してアルベルト王に嫁いだが『そんな男は近付かないに限る』そう最初に感じた私の予感が当たっている事を思い知らされることとなった。
二人の王子を産み、我が子さえも人質のように感じてしまう。
──あの恐ろしい人、アルベルトの前では。
父である、カリシュの国王にそう問われて驚いた。
何故なら、より強い国に嫁ぐように言われていたから。
私が嫁ぐ先は、間違いなく大帝国のガルド王の元だ┉ずっとそう言われてきた。
先日、そのガルド王が我が国までやって来て初めての対面を済ませたのだが┉。
まだ先方からは何の沙汰もないが、わざわざ来るという事はその気持ちがあるのだと思われるが┉?
その事を問うと、父は渋い顔をした。
「大帝国側は、今は半性身の者を妃として迎えるつもりはないらしい。」
──これは意外な事を聞くな?今は┉それでは、いずれは迎えるつもりがあるという事か。もしかして、シルバか?
シルバ┉あの子は三つ離れた弟で、母親は違うが同じ半性身で特別な繋がりがある。
果たしてあの子に、ガルド王の妃が務まるのか?
大帝国には既に王妃がいて、後継者と目される王子もいるという┉。おまけに各国から送り込まれた数多くの妃達が居て。
私ならまだしも、あの控え目なシルバが。
──ガルド王は、シルバがお気に召したのか┉。それでは、結婚できる十六までは三年ほど後┉そういう意味合いなのだな。
「父上、なれどカサンドラ国には既に王妃がおられるのでは?王子も確かお二人はおられますね。大帝国に嫁ぐのではなければ、まだ他の国の王妃になれるところへ行った方がいいと思うのですが┉?」
大帝国ほどの大国ならば、王妃になれずとも嫁ぐ価値があるが、カサンドラ程度では┉わざわざ私が嫁ぐ必要はないと思う。それに、王妃に目くじら立てられるのも面倒だ。
間違いなく私の方が美しいのだぞ?女の嫉妬ほど醜いものはないしな。
「それならば、カサンドラ側にはお断りしておく。何処かでお前を見掛けて惚れ込んでいると聞いたがな┉。」
──私を見掛けた?お会いした事は無いのに。何やらきな臭い感じがする┉そんな男は近付かないに限るだろう。
そんな父とのやり取りなど忘れかけた時、衝撃の事実を知る。
カサンドラ国王が、謀反の疑いで王妃とそのお子二人を処刑したのだ!
表向きでは幽閉した事になっているが┉。
──それほど迄に、私を求めていると┉。
私が王妃とお子が既にいるからと断ったからとて、自分の血を分けた子を殺すのか!?
私は空恐ろしくなった┉。
このまま、断り続けたらカリシュに攻め込むのではないか?と。大帝国に次ぐ軍事力を持つ国だ。この国など一溜りもないだろうと思う。
私は怖かった┉この国が滅ぼされるかもしれない。
それよりも怖いのが、アルベルト王だ。
私はカサンドラ国に行く決心をした。私が嫁ぐ他はない。
せめて、あの子シルバが大帝国のガルド王に嫁ぐまでは┉。
そうして意を決してアルベルト王に嫁いだが『そんな男は近付かないに限る』そう最初に感じた私の予感が当たっている事を思い知らされることとなった。
二人の王子を産み、我が子さえも人質のように感じてしまう。
──あの恐ろしい人、アルベルトの前では。
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