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第四章・運命の歯車
39・決心
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「実は以前、そなたの兄はお忍びでこの国に来た事があるのだ。その時シルバはもう私の妃ではなくなって、辺境の地へ旅立った後であった。恐らくその時に伝えるつもりで来たのだと思うが┉」
──そうなのか┉お忍びで来てまで知らせようとしていたのか?
手紙などではなく、きっと直接会って┉と思っているのだろう。でも正直、会うのが怖い┉。
王やマッケランが言っている事が本当だとしたら、どうなるのだろう?
本当にオスカーが、王の子なら!
聞くのは怖い┉怖いが、どうしても聞いておかなければならない。
「そ、それで陛下はどうしたいのですか?もし本当にそうなら、どうしたいとお考えなのですか?」
「オスカーを皇太子として迎えたいと思っている。知っていると思うが、前の王妃との間に生まれた王子はその籍を剥奪した。罪人の子を皇太子にする訳にはいかないのだ。」
──私は愕然とした。やはり┉という気持ちと、罪人の子だというが王の子でもあるのに?そこまで切り捨てなければならないのだろうか┉と。
「なれど、オスカーはまだ小さな子です!私も夫も、あの子の兄弟だってオスカーを必要としています。それにあの子だって┉ですから、とても了承出来ません!」
そう言って目の端に滲んでいた涙が、堰を切ったように流れ落ちる。
──無理だ!あの子と離れて暮らすなど考えられない┉絶対に!
「ですが┉王になられるのですよ?将来。もちろん私達が立派な王になられるように大切にお育て致します。確かエリオット様がご長男ですよね?跡継ぎでいらっしゃる。ではオスカー様は?次男であるオスカー様は騎士団にでも入れるおつもりですか?それともエリオット様のお手伝いを?王になれるお血筋なのに┉良くお考えになってはいかがでしょう?」
そのマッケランの言葉に、胸がズキリと痛む。
王の血筋なのに、王になれない?そう言われてしまうと┉
「それは私の一存では答えられません!夫のマクシミリアンと相談せねばなりませんから。オスカーは、ベルード辺境伯家の人間なのですから!それと、兄上に会う件もです。夫には一緒に国境の地へ行ってもらいたいと┉」
「ですが┉本当に、ベルード辺境伯様に相談出来るのでしょうか?差し出がましいようですが、何と説明するのです?ルイス王妃様からまだ何も聞いていない段階で、説明出来るのでしょうか?なのにオスカー様の本当の父は陛下かも知れません┉と?お疑いになりませんかね┉不貞を。」
──な、何を?┉不貞だと!?疑われるだと?マクシミリアンに┉。
急に怖くなってきた┉。マクスを信じている!だけど、何て説明したら良いのだろう。
だからマッケランの言い分も、一理ある。
「このままルイス王妃とお会いしてみたらいかがでしょう?ここからなら、国境は遠くございません!ベルード卿には手紙で知らせておいて、その前に国境に向かうと良いのではないかと。その後、辺境伯家の王都邸でじっくりと相談されれば┉」
俯きながら考えていたが、マッケランからそう言われてバッと王の顔を見た。王は穏やかな顔をしながら口を開く。
「そうだな┉それが良いのかも知れない。ベルードには、シルバの兄上であるルイス王妃と国境の地で会う事になったと、責任を持って知らせておく。国境に行くのも、きちんと警護の者を付けるから大丈夫だ。それで┉どうだろう?」
私はそれに頷いて了承した。それが正しいのか、間違っているのか┉。
それはまず兄上に会ってみるしか分からない。
だけどその面会が、数々の思惑の上に成り立っているものなんだと、私はまだ気付いていなかった──。
──そうなのか┉お忍びで来てまで知らせようとしていたのか?
手紙などではなく、きっと直接会って┉と思っているのだろう。でも正直、会うのが怖い┉。
王やマッケランが言っている事が本当だとしたら、どうなるのだろう?
本当にオスカーが、王の子なら!
聞くのは怖い┉怖いが、どうしても聞いておかなければならない。
「そ、それで陛下はどうしたいのですか?もし本当にそうなら、どうしたいとお考えなのですか?」
「オスカーを皇太子として迎えたいと思っている。知っていると思うが、前の王妃との間に生まれた王子はその籍を剥奪した。罪人の子を皇太子にする訳にはいかないのだ。」
──私は愕然とした。やはり┉という気持ちと、罪人の子だというが王の子でもあるのに?そこまで切り捨てなければならないのだろうか┉と。
「なれど、オスカーはまだ小さな子です!私も夫も、あの子の兄弟だってオスカーを必要としています。それにあの子だって┉ですから、とても了承出来ません!」
そう言って目の端に滲んでいた涙が、堰を切ったように流れ落ちる。
──無理だ!あの子と離れて暮らすなど考えられない┉絶対に!
「ですが┉王になられるのですよ?将来。もちろん私達が立派な王になられるように大切にお育て致します。確かエリオット様がご長男ですよね?跡継ぎでいらっしゃる。ではオスカー様は?次男であるオスカー様は騎士団にでも入れるおつもりですか?それともエリオット様のお手伝いを?王になれるお血筋なのに┉良くお考えになってはいかがでしょう?」
そのマッケランの言葉に、胸がズキリと痛む。
王の血筋なのに、王になれない?そう言われてしまうと┉
「それは私の一存では答えられません!夫のマクシミリアンと相談せねばなりませんから。オスカーは、ベルード辺境伯家の人間なのですから!それと、兄上に会う件もです。夫には一緒に国境の地へ行ってもらいたいと┉」
「ですが┉本当に、ベルード辺境伯様に相談出来るのでしょうか?差し出がましいようですが、何と説明するのです?ルイス王妃様からまだ何も聞いていない段階で、説明出来るのでしょうか?なのにオスカー様の本当の父は陛下かも知れません┉と?お疑いになりませんかね┉不貞を。」
──な、何を?┉不貞だと!?疑われるだと?マクシミリアンに┉。
急に怖くなってきた┉。マクスを信じている!だけど、何て説明したら良いのだろう。
だからマッケランの言い分も、一理ある。
「このままルイス王妃とお会いしてみたらいかがでしょう?ここからなら、国境は遠くございません!ベルード卿には手紙で知らせておいて、その前に国境に向かうと良いのではないかと。その後、辺境伯家の王都邸でじっくりと相談されれば┉」
俯きながら考えていたが、マッケランからそう言われてバッと王の顔を見た。王は穏やかな顔をしながら口を開く。
「そうだな┉それが良いのかも知れない。ベルードには、シルバの兄上であるルイス王妃と国境の地で会う事になったと、責任を持って知らせておく。国境に行くのも、きちんと警護の者を付けるから大丈夫だ。それで┉どうだろう?」
私はそれに頷いて了承した。それが正しいのか、間違っているのか┉。
それはまず兄上に会ってみるしか分からない。
だけどその面会が、数々の思惑の上に成り立っているものなんだと、私はまだ気付いていなかった──。
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