【完結】冷遇され臣下に下げ渡された元妃の物語

MEIKO

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第四章・運命の歯車

41・シルバを追って(マクスSide)

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 「オ、オスカーか?こんなところで何故一人で寝ているのだ!?」

 薄暗いこの部屋を見渡してもシルバが居る様子がないし、他の大人も居ない。
 こんな小さな子を一人きりで┉。

 私は憤慨して叫びだしそうだったが、何とか怒りを抑えて小さな声でオスカーに声を掛ける。

 「オスカー起きてくれ!大丈夫か?」

 私の声にピクリと反応するオスカー。
 そして眠そうに目を擦りながら、パッと目を開けた。

 「とうさま!あいたかった~!」

 オスカーが大きな声を出してしまった事よりも、こうして会えた喜びに打ち震える。
 それから口元で人差し指を立て、静かにするように合図する。

 「オスカー、静かに出来るか?人に見つからないように静かにここから出るよ。大丈夫か?」

 それにオスカーは、大きく頷く。
 そして、明日着る為に用意されているものなのか、ベッド脇にあった洋服に着替えさせる。

 それからそっと部屋から出て、見張りの者に合図を送りここから抜け出す。
 ここに入って来た逆のルートで進むと難なく外に出られた。
 そして隠れ家にと用意した安全な所まで駆け抜けて、胸に抱えていたオスカーを下ろした。

 「オスカー、偉かったぞ!大人しくしていたから脱出できた。」

 そう言ってオスカーの頭を撫でて、それからまたぎゅっと身体を抱き締める。

 ──痩せた様子も┉ない!本当に良かった。

 「オスカー、今迄の事を話せるか?その前にシルバはどうしたのだ?」

 「かあさまは、おうさまといっしょに、おにいさまにあいにいくって!こっきょう┉っていうところだよ。ぼくはあぶないから、まっているようにって。とうさまがきてくれるからって、いってた!」

 それからオスカーは、嬉しそうに私にしがみつく。

 ──何だと?兄様に会いにいく┉だと?それも国境へ。
 国境という事は、カサンドラか!?
 シルバの兄で、カサンドラ国の王妃のルイスだろうか?でも何故今で、王と一緒なのだろう。

 それに一番気になるのは、シルバが私がオスカーを迎えに来ると言っていたことだ┉。
 そんな事まるで聞いてはいないし、伝言が行き違いに王都邸へ行っているとしても、早馬で直ぐに私の元に情報が来る筈だ┉。

 ──もしかして、シルバは王に騙されているのでは┉。嫌な予感がよぎる。

 「ぼく、ロベルトのおうちにいたんだよ?そしたらマッケランさんがたすけてくれて。それからおうさまのところへいったよ。そしてさっきいたりきゅうにいったら、かあさまとあえた!」

 オスカーが、それまでの経緯を一つ一つ説明してくれる。

 「オスカー、ちゃんと覚えてて凄いな!良く分かった。それで、母様と王様はいつ国境に向かったんだ?それに何をしに行くのか言っていたかな?」

 「きのう!それと、だいじなおはなしがあるんだって~どうしてもいかないといけないって。」

 ──なんだかとても嫌な予感がする。
 やっと会えたオスカーを置いてまでも、兄とせねばならない話しなどあるのか?全く予想も付かない┉。

 取り敢えず、オスカーを安全な王都邸へ連れ帰る命を出し、それから私はシルバを追って国境の地に向かう。
 でなければ、もう二度とシルバに会えないような気がした┉。
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