【R18】待って!悪役令息だよ?

MEIKO

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1・婚約解消までのカウントダウン*

 「ちょっと聞いてる?デイビスは僕の婚約者だよ!?それなのに近付いてさぁ。そもそも男爵家の令息なんかが声を掛けてもいい人なんかじゃないんだよ…分かってる?」

 僕は男爵家の令息であるアンジー・ホワイトにそう言い放つ。
 アンダーソン侯爵家の僕、ロビンを怒らせたらこの社交界に居られない…っていうのを教えてやってるのさ!今お城で開かれているパーティー真っ最中で。

 アンジーはその可愛い顔をビクつかせ、ぶるぶると震えている。
 僕は、なんて小動物みたいで可愛いの!って内心悶えていたが、冷たい表情をして睨みつける。

 (まだ?まだ来ないの?)

 「そもそもさ、そんな平凡な顔でデイビスに似合うと思ってる?ハッ、笑っちゃうね!鏡見て出直して来いよ?」

 そんな僕の言葉にアンジーは目に涙をいっぱいに溜めて動揺している…

 (ちょっとー!早く来いって~。そんなモブと話し込んでる場合じゃないだろ?)

 そんな険悪な雰囲気に皆は口々に「酷い…」「可哀想だよね」って呟いている。だけど侯爵家令息の僕に正面から意見を言えるヤツなんて、王族か公爵家の者だけだろう。

 「グスッ…ウッ、ン…」

 とうとうアンジーは耐えきれなくなって、顔を真っ赤にして泣き始める。

 (ほら、泣いてるよ?こういう時にさっと現れて僕を断罪しなきゃ!もーう、早くぅ~。おいモブ!どけって…)

 「ア、アンジー?んーっと、僕も…誤解があったみたいだ…。だからね、泣くのはやめて欲しいな~って。もう来ないみたいだからさ、泣いても無駄だよ?なんつって!」

 僕は嫌な汗をかきながら、アハハハッって誤魔化し笑いを浮かべて、アンジーの手にハンカチを握らせ、「ごめんなさい!」って叫んで逃げ出した。

 「もう何だよ…デイビスのヤツよぉー。どんだけモブとの話し面白いんだ?って!あっ、あれ公爵家の令息だったか?攻略対象揃い踏みだったのね…」

 よくよく考えたらツートップがあそこに居たからさ、今回の僕の悪役令息ターンなんて意味なかったな…なんて考える。

 僕は異世界転生ってやつを今、経験している。
 この世界は「綺羅綺羅キラキラロマンスタ!」というBLゲームの中に存在する。

 ──そう!僕はなんとBLゲームの中の攻略対象人気No.1、デイビス王子の婚約者である悪役令息に転生してしまっていた…

 僕の前世は日本人の男子で、このゲームは全くやったことがない…
 じゃあ何故知っているのかというと、妹が物凄くこのゲームに嵌っていたから。
 僕は全く興味ないのに、構わず内容を話して来る妹に辟易していたけど、刷り込みって恐ろしい!何故か大まかな流れ程度は理解してしまった…だからあの時、気付いたんだな!この世界がゲームの中だって…

 僕だって生まれて直ぐから前世の記憶があった訳じゃない。
 きっかけは僕がこの国の第一王子、デイビスの婚約者として選ばれた事だ。
 この世界には一定数の男だけど子供が産める男性が存在する。そのうちの一人が僕だ…

 ──何でだって?知らないよ…そんなの神の領域じゃん!細かい事は考えない…それが異世界転生のお約束だろ?

 そんなこんなで婚約者として初めての顔合わせ当日…僕らはまだ十歳だった。

 「デイビス・フォン・ガルシアだ。この国の第一王子だよ」

 そのデイビスからの言葉を聞いた瞬間、頭の中で聞き覚えがあるテーマソングが鳴り響く。

 チャララ~ララ!ララ!キラキラ~ロマンスタ!

 ──ん……?ハァっ!?もしかして…僕って、よりによって悪役令息のロビン・アンダーソンじゃん!転生?そんな馬鹿なー!

 「ヤダーっ!ロマンスタ!」

 僕は余りのことに、謎の言葉を吐きながら泣き出した。
 あん時の、鳩が豆鉄砲を食らったような皆んなの顔、面白かったなぁ~
 父上も王様もポカンとしちゃってね?あれで良くこの婚約が成立したもんだ!普通、あの時点で婚約破棄にならない?
 その方が手っ取り早かったんだけどね…

 でもさ、幼くして自分のポジションに気付いてしまった僕は、その後は気負いなく過ごしていくのに成功する。
 王様や王子に会ったって、どうせ婚約破棄するんだから緊張したって無駄だよね?って、本音で付き合う。それが逆に良かったのか、凄く仲良しになっちゃったけど…
 そもそも僕が前世で死んだのだって、白い犬を助けようとしてだ。どうなったのかな?その犬だけでも助かってくれていたら、死んだ僕も救われるんだけど!
 だから一寸先は闇!そう思って一生懸命生きなきゃな~って。

 だけど僕だって自分の役割は分かってるよ?来たるべき時期には悪役令息としての役を果たそうと…
 だけどさ、何故か上手くいかない!だから未だにデイビスの婚約者のまま…

 「ロビン!こんな所で何してるのかな?さっき、ワイワイ言ってなかった?」

 僕はブーっと口を尖らせながら、別に…って呟く。

 (デイビスのヤツ、何でさっきのタイミングで来ないんだよ?ベストなシチュエーションだっただろ?もーう!)

 そんな僕にデイビスは鮮やかな笑みを浮かべて、誰も居ない控え室に僕を引き込んでぎゅっと抱き締めてくる…

 (ハアアア!ヤメて?そんな破壊力満点の笑顔見せるの反則でーす!!デイビスは無茶苦茶イケメンで優しいんだ。だから僕だってデイビスのことが…だけど、きっとこの先捨てられる!)

 妖精さんの羽かな?ってくらいの艶のある美しい金の髪に、この世に降り立った神が沐浴してた?ってくらいの碧く澄んだ瞳。
 そんな超絶イケメンとは思えぬ、甘々で優しい性格で… 普通こんなに見た目良かったら、鼻持ちならない性格くらいで丁度良いんだよ?

 「ねぇ聞いてる?ロビン…そんなにぼうっとしてたら心配だよ?私から離れたらダメだからね!ロビンは可愛いから…」

 (な、な、何言ってんだよ?可愛い訳あるか!僕は憎むべき悪役令息だよ?)
 
 うん…ちょっとは可愛いかもだよ?だけどさ主人公のアンジー・ホワイトには負ける!もうね、女の子みたいだもんね?
 フワフワとした桃色の髪にエメラルド色のクリッとした瞳…天使じゃないのかな?って思うよ。

 だからさ、もうイジメるの限界なのよ?
 あんな小さくて可愛い子、愛でるならまだしもイジメるなんてさ…
 だから早く婚約破棄してもらって、その後は…誰か好きな人作って?そんでもって結婚しちゃってさ、子供でもバカスカ産んで幸せになりたい訳!

 「あのね…デイビス。男爵令息のアンジーって可愛いと思わない?もうさ、この国の縁起良い色だとされている桃色の髪だしさぁ…それに宝石みたいな瞳だよね?」

 ちょっと様子をうかがいながらそう言って、デイビスの反応を見る。

 (可愛いだろ?桃色だぞ髪!そんな可愛い子、自分には一番お似合いだろ?)

 「チッ…」

 えっ…?今、舌打ちしてなかった…
 

 「何言ってんだ?ロビン。君だって桃色だろ?」

 (あーーっ、僕も桃色だったー!キャラ設定、失敗してない?それ…)

 それからデイビスは、自分の腕の中に収まっている僕の桃色の髪を撫でる。

 「絹糸みたいな髪だね…美しい桃色の。これこそ縁起が良い色じゃないか?」

 ──チュッ…

 そう言って僕のその髪を一房すくい取り、口付けを落とす。
 それから艶めいたその碧い瞳を揺らめかせながら、僕をじっと見る…

 (わ、わわっ!破壊力ハンパねぇ…でも、僕にやってどうするの?)

 ──パチン!

 そしてデイビスは後ろ手で控え室の鍵を閉めた…

 (ん?鍵…閉めるの?何でさ…)

 僕はそのデイビスの予想外の行動にたじろぐ。な、何を…?

 「ロビンはさ、何で私とアンジーをくっつけようとする訳?それ、前からやってるよね?」

 「な、何でって言われても…自然の摂理?定めって言うかぁ…」

 僕はその吸い込まれそうな瞳に間近で見つめられて身動きも出来ない!わ、わわ、どうしよう…?

 「定めって何だよ?定めと言うなら、その相手が婚約者であるロビンなんじゃないの?違う?」

 (違いません…その通りです。だけどさ、何とも思わないの?アンジーを)

 「ち、違わないんだけどね、デイビスはアンジーを見て何も感じないの?運命…かなーって」

 「ハッ!運命だって?」

 デイビスは今まで僕に見せていた紳士然とした態度とは全く違って、何か本音と言うか…これはこれで魅力的に感じてしまっている僕が居るんだけどね?だけど何やらヤバい感じがするよね…ハハッ。

 「何言ってんの?いくら私が君を好きでも、言っていい事と悪い事あるよね?そんな事も分からないようだったら…お仕置きしちゃうよ?」

 (お、お、お、お!お仕置き?な、何ぃー?)

 その瞬間、デイビスの瞳がギラリと光る。欲の孕んだ切れ長の目にじっと睨まれると、蛇に睨まれた蛙のように身体が硬直してしまう…

 デイビスがそこにあった大きなソファに僕を押し倒す。それから僕を動けなくする為なのか膝立ちになり、僕の腰辺りをその両膝で挟んだ。

 「これで動けないよね?ロビンが悪いんだよ!私は結婚してから可愛がろうとしていたのに…。ないといけないし、仕方が無いよね?」

 デイビスは僕を見下ろしながら、一つ一つ言葉を言い聞かせるように僕に告げる。

 ──ゾクッ、ゾクゾク!

 (あああぁ!何だかゾクゾクするぅー!いや…何だかとっても…腹の奥が?)

 優しいだけのデイビスはもう居ない!そこには熱っぽく僕を見つめ、今にも組み敷こうとしているデイビスが…

 それから僕の上着の釦を一つずつはずして開け広げ、シャツの上からサッと撫でる。

 「アン!やだぁ~」

 興奮でツンと尖った先をかすめられ、思わず高い声が出た。

 (ヤバい!気持ち良すぎる!僕って感度抜群すぎない?初めてなのに…)

 「ハン…ロビンはいやらしいね?恥ずかしい声出しちゃって。こんなに感じちゃうのに私を遠ざけようとするなんて…ねぇ?」

 それから気を抜いていた僕の下履きを、一気に脱がせる。余りの事に声も出せないでいるけど、恥ずかしさと肌寒さで身をよじった。

 「アハッ、こんな所まで桃色…なんだね?」

 デイビスの視線は明らかに僕の股間を見ていた!それからそっと下生えを撫でながら感動したように笑う。

 (そうです…ピンクなんですぅ~。それにしてもドSだ!嫌いじゃないよ?)

 それからデイビスは驚くべき事を言い放つ。

 「ゲームの世界…なのかな?ここは。違う?さしずめロビンは悪役令息ってトコか。それでアンジーがヒロインの立ち位置?あっ、BLだと何て言うのかなぁ」

 ──な、なんだって!?ゲームの世界…知ってるの?

 僕は驚きで震えた。まさか、デイビスも転生者…なのか!?

 「驚いた?僕はね、あの時助けて貰った白い犬です!と言ってもその又前世は人間だよ?社畜でね働き過ぎて死ぬ時、今度は犬に生まれ変わって寝て暮らしたい!って思っちゃって。それで犬ね?でも寝て暮らせたりしなかったけどね~。あの時、エサを横取りした猫を追いかけてたら車にねられそうになっちゃって!それを助けようとしてロビン死んじゃったんだもんね?」

 (あの時の…犬?嘘!?デイビスと同時に転生しちゃったの?あっ、そういえば猫居たわ!犬をかばった時、側にいた猫に危ないからどきな!って僕言ってた…)

 続々の衝撃の事実におっかなびっくりで…じゃあ恩返し的なアレ?

 「違うよ!恩返しか?って思ったでしょ。助けてくれたロビンに一目惚れだよね~。あの時犬の私は助かってたんだけど、運転手が動揺しちゃってさ、車バックさせちゃって…それで。だから十歳のあの時、ロビンに会えて天にも昇る気持ちだったよ!直ぐに分かった」

 僕は呆然としていた…僕とデイビスが同時に転生してて、婚約者として再び出会って、僕に一目惚れしてて…

 「じゃあさ、全然アンジーのこと何とも思ってない訳?」

 「当たり前でしょ!君に前世から一筋なのに、何でアンジーなんかを?」 
 
 僕は下出しっぱなしなのを忘れて、思い返していた。
 そう言えば十歳のあの時、いやにデイビスの顔がキラキラしてたわ!なるほどね…でも待てよ?それじゃ。

 「じゃあ、両想いじゃん!アンジーに譲らなくていいんだよね?」

 僕は思わず声に出していた。それを聞いてデイビスの瞳は再び爛々ランランと輝く。

 「ロビン!嬉しい~私も愛してる!幸せになろ?」

 (しまった…この状態での告白はマズかった?)

 満面の笑顔のデイビスは、もう遠慮などしない!両想いと言う名の免罪符を得て僕にのしかかって来る。

 「あ…んんっ…ハン、あっ」

 僕をすっかりと裸にさせ、身体を弄り始める。
 自分の所有印を押すようにあらゆるところを吸い上げて跡を付け、首筋そして胸の蕾を舐られまくり甲高い声を引っ切り無しに上げる!

 (あうっ、どうしよう…気持ちいい!ヤバい~)

 それから興奮で立ち上がっている僕のものに、デイビスの比べようもなく凶悪なものを擦り合わせる。

 (何それ!凶器?異世界のサイズ感スゲェ…)

 いつの間にかお互いの両の手で懸命に擦って、どちらのものとも分からないヌルっとしたものを塗り込める。
 いつもツンとした上品な顔のデイビスが、欲情しまくって歪めた顔を見ていたら、こっちも興奮しきりで…

 「つ…うっ!」

 「は…んんっ」
  
 ほぼ同時に達して、ハァハァと肩で息をする。
 それからお互いの身体を抱き締め合って幸せの中で微睡まどろんだ…

 (ただただ、気持ち良かった!癖になりそう…)

 それからデイビスが僕のお尻の割れ目にそっと指を添わせ、ここは次やってみよ?って眩しい笑顔をして言ってくる。
 
 ──そんな顔で言われたら断われないじゃん!ズルい~まあ、いいか…

 それから僕達は身なりを整えて、素知らぬ顔で再度パーティーに合流する。
 それから微笑み合って、今までの遠慮が嘘みたいに二人で楽しく過ごした。

 そこに柱の陰から二人をじっと見つめる人物が!アンジー・ホワイトだ…

 「ったく、可愛いねぇ…ロビン!さっき可愛い過ぎて涙でちゃったよ?それにもっと僕をイジメていいんだよ?誰にも渡したくない!」

 そう言って、仲睦まじい二人を冷ややかに見つめている。それから…

 「あの時、助けていただいた猫です!ニャー!」

     ──The end.
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