【完結】私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?

MEIKO

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番外編

番外編4・愛すること※

 「そうそう、兄さん。これ、お祝いのプレゼント!」

 盛大な披露宴を終えた私達は、お祝いに来てくれた人達を見送っていた。そして最後に残ったのは何故かスチワート。そして突然プレゼントを渡される。何だか分からないけどズシリと重い……お酒?

 「な、なんだコレ?重いけど瓶なのか」

 思わずエズラはそう言って、眉間に皺を寄せている。それにスチワートは、手を振りながらあっけらかんと笑う。

 「違うよ。前にも言ったけど俺って天才だからね?これは薬だ。前の人生で錬金術師だった頃から研究していたんだ。ちょうど間に合ったからプレゼント!」

 「間に合う?」

 スチワートの言葉に私達は、同時にそう聞き返してしまう。するとスチワートは私達により近付いて来て……

 「これで励めるから!これを飲めば、もう前みたいに命を縮めることはないと思う。臨床段階だからどこまで効果があるかは分からないけど、少なくとも出産で命を落としたりはなくなる筈だよ。今夜からスプーン一杯ずつね。無くなったらまた送るから!」

 ──は、励める?

 途端に真っ赤になった私を見てエズラは、スチワートの背中をバンッと勢いよく叩く。それから「こんなところで何を言ってるんだ!」と怒鳴りつけている。
 それにスチワートはどこ吹く風で「いつかのお返しだよ」と言って更に笑う。なんやかんやで結局仲が良い兄弟がここにいて……

 少し恥ずかしかったけど、スチワートが最後で良かったと思う。それからそのプレゼントは何よりの物だという高揚。その薬は私達が一番求めていたのかもと……

 「どうもありがとう。私達の為に作ってくれたんでしょう?どんなに感謝しても足りないわ!」

 素直にそうお礼を言うとスチワートはちょっとだけ驚いた顔をした。だけど次の瞬間、いつものおどけた表情に戻る。これはきっと照れ隠しね?フフッ。

 「じゃあな、お幸せに!」

 そんな捨て台詞を残して、パチン!と指を鳴らしていつものように消えるスチワート。まるで嵐のように去って行く。
  
 「アイツ、馬鹿か!移動装置あるのに何故使わないんだ?今頃は力を使い過ぎて、クラクラきてるだろうに」

 そう言って笑いながらも、スチワートが立っていたところをいつまでも見ていた。もう既に消えて居なくなっていたけど、どこまでも私達を想う気持ちが嬉しくて……ありがとう!


 +++++


 朝から準備が大変だっただろうと、先に部屋へと戻された私。エズラは後片付けを終えたら戻って来ることになっているけど……新婦を待たせるなんてどういうつもり?
 なんて冗談を言いながらベッドで横になっている。これまでは私一人の寝室だったけど、これからは私達二人のものになる。それにちょっとドキドキ!
 そんなことを思っていると、突然物音が響いて……薄っすらと目を開ける。目の前には心配そうに私を見下ろしているエズラが!

 ──私はこれから、この人のものになるのね。

 前の記憶はあるけど、ここでは初めてのこと。そう思うと途端に緊張してくる。腕を伸ばしエズラの逞しい胸に触れると、まだ身体には水気が残っているのかシットリとした感触が。それを弄ぶように更に滑らせると、エズラはその指をやんわりと掴み、自分の身体を近付けてきて……あっ!

 「フレデリカ、君を求めていいね?」

 それに私の返事を待つこともなく、着ていたシャツを脱ぎ捨てるエズラ。すると彫刻のような逞しい体躯が露わになる。いつの間にか前以上に引き締まった身体を惜しげもなく見せてくるエズラ。それには私は…… 

 「ゴクリッ」

 思わず喉を鳴らし、割れた腹筋を指でなぞる。夢中で繰り返していると、フッと笑い声。

 「俺の奥様はイタズラ好きだ」

 耳元で囁くそんな声に、腹の奥が痺れるような感覚……ジンジンと響いて、何かが溢れ出しそうになる。

 ──ああ、私は……これを求めていたんだわ。

 着ていたネグリジェを少し強引に脱がされ、一糸纏わぬ姿になる私。その瞬間ヒヤリと肌が粟立ち、そんな肌をすかさず大きな手で揉みしだかれる。それから花の蕾のような先を執拗に刺激されて……

 「アッ、ああ!」

 
 エズラの熱いものを身体に感じ、私は全身で歓喜する……この人がこうなるのは私だけ!
 欲を孕んだ瞳と、私の胸や腹に滴り落ちる汗。丹念に指で舌で、与えられる快感に我を忘れて……

 「きて……エズラ。早く私の中に!」

 突然貫かれる熱い楔。その瞬間頭の中が真っ白になる!揺さぶり続ける身体は、確かに一つになっている。もう離れないとしがみついて、喘ぎながら腕を強める。するとパッと弾けて……

 私達は暫く、そのまま離れずにいた。もう二度と離れることはない。これまでも、これからも。
 そして幸せの微睡みの中、私は密かに呟く。もう私のお腹の中に戻ってきていいのよと……
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