【完結】お別れするあなたに一言だけ。あなたの恋は、叶うことはないのだと…

MEIKO

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第四章・真実の告白

36・オリヴァーの真実

 ※皇族の名前(苗字)が国名と似すぎていて紛らわしいので、変更しております。すみません!ご了承下さいませ。

 〈以下本編〉

 オリフェルト・ルード・アーガソン。それはどう考えても皇族の名前…

 以前少しだけ考えたことがあった。ドノバン卿の名前がメイソンであり、その孫であるオリヴァーは、果たして本当に同じなのかと。だからやっぱりそうだったというのが正直な感想だったと思う。それだけだったなら…
 
 なのに今、流石に想像も出来なかったことが起きる…実はオリヴァーが皇族だったなんて!

 シンと静まり返っている中、参加者達はどうしてよいのか分からず辺りを見回す。そんな中、いきなり響く声が…

 「オリフェルト殿下、おめでとうございます!」

 誰が発したのかは分からない。だけど聞いたことがある声のような気がする…
 気のせいなのかとも思うけど、余りの衝撃に茫然とし、深く考えることも出来ずにいた。それからこの場がワッと沸く。堰を切ったように鳴り響く拍手と祝いの言葉。そして私の近くではこんな会話が…

 「二十年前くらいに側妃様が死産されて、そのままお亡くなりになられたよな?その時のお子様が実は生きていて、オリフェルト殿下なのか…?」

 「そうそう、何か理由があって幽閉された方だったわよね?その後疑いは晴れたんだけど、その心労で体調を崩されて…それでお亡くなりになったと聞いたけど」

 私がまるで知らない、そんな噂に愕然とする…
 
 オリヴァーの身に起きたことは、本人の口から聞くまでは全てを信じることは出来ない。だけど…あながち間違っている訳でもなさそうで。そして私がデビュタント中に感じたあの違和感…その意味は、このことだったのね?

 デビュタントが進むにつれ、オリヴァーの様子がおかしくなっていった。緊張が酷くなるというのか、思い詰めているような顔で。初めての社交の場で、気負い過ぎているのだと思っていたけど…それで全てが納得がいく。
 
 オリヴァーは、このノースブルグから出なかったのではなく、のね?その理由は皇族だったから。おまけに今の噂の殆どが事実だったとして、かなりのいわくがありそうだわ…

 本来の身分が明かされたオリヴァーは、領主様からの指示なのか警備の騎士達に囲まれる。そして安全の為に騎士達と共に会場から出て行くようで、案内の者が慌てて近付いている。
 私一人残され寂しいけど、そんなことを言っている場合ではない。だけどオリヴァーを残して帰るのも後で後悔しそう!どうしたらいいのか…

 「クリスティーヌ、一緒に行こう」

 その声に振り向くと、少し離れたところにいるオリヴァーが、私に向かって手を差し出している。そんなオリヴァーの行動で私は注目を浴び、ええっ?と躊躇するけど…後悔するよりマシ!と勇気を振り絞ってその手を取る。するとオリヴァーは私をグッと引き寄せたかと思うと、マントの中に隠すように抱き寄せる。そんな行動に私はドギマギして…

 ──ち、近いわよ!密着し過ぎる…

 人目に晒されないようにというオリヴァーなりの配慮だと思うけど、ぴったりと密着する身体は熱を帯びて…
 一つ下で弟みたいだと思っていたのに、意外にもガッチリとした体格が触れる。おまけに私の腰に回された腕と大きな手が熱い!すると途端に恥ずかしくなってくる。真っ赤に染まる顔を見られたくないと、俯きながら移動することに。そして…

 「オリフェルト殿下…まずはこれからのご意向をお聞きしたい。皇帝陛下にお報せしてよろしいですか?」

 そうオリヴァーに聞くのは領主様。先程まで私は会いたくないと、避けまくっていたけど今はそれどころではない。それに領主様だって私が居ても見向きも出来ない状況で…

 領主城の応接室に通された私達。オリヴァーの向かいには領主様とロウ男爵がおり、そして貴族家の当主らしき人達が取り囲んでいる。そして私はというと、応接室内ではあるけど少し離れて座っている。今は邪魔にならないように、静かに成り行きを見守る他はないから…

 「もう既に陛下はご存知だ」

 それには騒然とする!信じられないと皆が顔を見合わせて…だけど当のオリヴァーはそれに、凄く落ち着いている。

 ──皇帝陛下が…オリヴァーの存在を知っているですって?

 それならこうやってノースブルグに隠れるように暮らしていたのは、皇帝陛下の指示だったということになる。他には一切知らせず、そして当然皇族の方々も知らないのだと思う。ごくごく僅かな人達以外は…

 「それでは今回のデビュタントで殿下の身分を明らかにし、そしてその存在をガレリア帝国は元より、この大陸中に知らしめようとなさったこと、その全てを陛下がご了承されているということでしょうか?」

 領主様に続きロウ男爵も、恐る恐るオリヴァーに尋ねている。そしてそれは誰もが気になっていること…その答え次第では騒動が起こることを意味している。すると…

 「ああ、そうだ。これまで未成人だった私が皇居にいたなら、安全に暮らすなど夢のまた夢だ…。だが成人になった今なら自軍を持つことも可能。なにより自分の身は自分で守れることになる。それまではこの地で、待たせてもらったという訳だ」

 その言葉に胸がズキリと痛む!その真なる意味は言わなくても分かる…皇居に居たなら、命を狙われるということ。そしてそれが可能な人物は一人しかあり得ない…皇后様。

 私も何度かお茶会で招待を受けたが、美しくも厳しい御方だった。失敗を犯せば二度と呼ばれない…そしてその後、その者の家門が消えることすらあったこと。オリヴァーはそんな恐ろしい方から狙われていたの?

 「それでは今後は、首都の方に向かわれるということですね。そうでなければ今日身分を明らかにされることは無かった筈です」

 流石領主様…核心を突いてくる。さっきオリヴァーが言った軍を率いる…それだけだったら、今日明かす必要はない。それも今夜はこの領地の有力貴族や、貴族でなくともそれに準ずるほどの力を持つ者…そんな人達が一同に集まっている。おまけに領地外の貴族だって…これは思った以上に計画的だったのね。これだけの大勢の人達に知られていたら明日…もしかして今夜中にその噂は首都にまで届くでしょう。そしてそんな中、新しい皇族が堂々と到着したとしたら…人々から熱狂的に迎えられることに。そう思うと複雑な気持ちになって…

 ──そうなると、オリヴァーがここからいなくなる?そんなの私、耐えられるかしら…

 もう既に私の隣には、オリヴァーがいて当たり前になっている。最初は隣人として仲良くなり、その後は昔からの幼馴染みのように…楽しいことも嬉しいことも、苦しいことだって一緒に過ごしてきた。それなのにオリヴァーが居なくなるですって?そんなの無理だわ!だけどそれって…

 ──私はただ、オリヴァーを家族みたいに思っていただけ?だから嫌なのかしら…

 私は今気付いてしまった。オリヴァーという存在が、私の心の大きな部分を占めていたことを。心のどこかでいつかオリヴァーとなら、になれるんじゃないかと思っていたことを…
 
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