43 / 64
第四章・真実の告白
42・望まぬ連鎖
次の日の朝、目を開いてみれば身体が物凄く重い…まるで鉛のよう!昨日あんなことがあったから、知らず知らずのうちに負担になっていたのだと思う。まだ起き上がる気にもなれずに、寝返りを打とうとすると…
「お、お祖母様?」
そんな素っ頓狂な声を上げてしまった私。そしてお祖母様はベッドサイドの椅子に腰掛け、こちらをじっと見ている。倒れた私を心配して付いていてくれたのだろうが、一体いつから座っていたのだろう?逆にそちらの方が心配になるわ。それで…
「ごめんなさいね、お祖母様。急に倒れるだなんて…相当な心配を掛けてしまったわね。まだ少し身体が怠いけど、もう大丈夫みたい。だから…」
お祖母様の方に腕を伸ばしながら、安心させようとそう言う。ずっと私に付いていたのだとしたら、休んでもらおうとそう言ったのだけど…どうもお祖母様の様子がおかしい。どうしたのかしら?
「ああ、ごめんね。何でもないの!ないんだけど…」
突然そう謝りながら無理矢理という感じで笑顔を作るお祖母様。だけどその目は、本当の意味で笑っているとは思えない。それでその意味を問おうとしたところで…ハッとする!
「お、お祖母様?どうして…」
真顔に戻ったお祖母様の顔…頬にはツーッと流れ落ちる涙が!それからは無言のまま静かに涙を流し続けている。それほど心配を掛けてしまった?だけどそれにしては尋常ではない様子…
私はその理由に思い当たることはなくて、ただ見つめていることしか出来ない。
──お祖母様、一体どうしたの?
するとお祖母様は、真剣な顔をして私の方へと向き直す。そして私を見つめて…
「クリスティーヌ、気を落ちつけて聞いて欲しいの。あなたは今…妊娠しているわ」
そう聞いた瞬間、何を言われているのか分からなかった。聞き間違い?そうは思うけど…違うのかしら。そう他人事のように思って、それから暫し考え込む。
だけどそう言えば、最近太った気がする。元々凄く痩せていたから、安心出来るお祖母様の元で健康的になったのだと思っていた。それから最後にロベルトに抱かれた日を想い起こして…
──だけど待って!あれから一度、月のものがなかったかしら?ごく少ないものだった覚えがある。もしかしてあれが着床出血というものなの…?
「くっ…ふはっ!」
突如として息が出来なくなる。まるで水の中にいるように胸が圧迫され、ハァハァと浅い息を繰り返す。
「どうしたの?クリスティーヌ!」
お祖母様の大声を聞き付けて、誰かが部屋に入って来る音。だけど私は、それを確認する余裕もない。溺れかけているようにどんどん息苦しくなって…
「クリスティーヌ様、ゆっくり大きな呼吸を繰り返して下さい!大丈夫ですよ?私が付いていますから」
蒼白な顔で横を見ると、ロリーが背中を優しく擦りながら元気づけてくれている。それから言われた通りにゆっくりと大きな呼吸を繰り返すと、そのうちだんだんと息が整ってくる。すると気が抜けたように身体が重くなって…
「早く横になって下さい!クリスティーヌ様は今、大事な身体なのです。無理は禁物ですよ?」
言われるがままベッドに横になると、まるで身体が沈むよう。ズブズブと音を立てて、どこまでも沈んでしまうような感覚になる。それから見上げれば、泣き顔のお祖母様の横で笑顔を浮かべるロリーがいる。だけどその顔には、泣き腫らしたような跡が!私が気落ちしないようにと、精一杯明るく接してくれているのね。
「ああ、どうして今更?望まないのに…」
そう口に出してハッとする!望まない?私はこの子を望んでいないのだろうか…
かつての私は、ロベルトの子を妊娠するのを渇望していた。私を顧みないあの人を振り向かせるのは、もうこれしかないと。子供さえ出来れば、ロベルトは私の元に帰って来てくれる…そう思っていた。そう思いながらも、一度も愛されたこともないのに帰って…だなんて、滑稽じゃないかと自虐めいたことを思いながら。だけどその時を切望して…それはどうして?
ブワッと涙が溢れる。自ら抑え込んでいた感情が、滝のように溢れてくる。状況が変わったとしても関係ない。私はこの子を待ち望んでいたわ!私だけの子…
「お祖母様…ごめんなさい。私、この子を産みます!誰も望まない子だったとしても、私だけはこの子を守りたいの」
突如そう宣言してそっとお腹に手を当てる。まだ膨らみも胎動も感じないけど、ここには確かに生きているのね?ごめんなさい…一度でも望まないなんて言って。もう二度と言わないから…あなたを愛しているわ!
すると目の前のお祖母様とロリーは、泣きながら微笑んでいる。それは先程とは違っていて、心からの笑顔のように明るい。それには心強い思いになって…
「本当に私にそっくりなんだから!一人で子供を産む…流石私の孫だわ。だけど大丈夫!あなたには味方がいるんだから」
そのお祖母様の言葉には思わずプッと泣き笑いに。本当だわ…目の前に心強い先輩がいるわね。そして誰よりもこの子を愛してくれるに違いない!
「そうですよ!私だっていますから。だから大船に乗った気でいてくださいね」
ロリーまでもがそう言って、アハハと大きく笑ってしまう。そして私はそんな二人の気遣いに、ほんの少し身体が軽くなった気がした。
「あなたが倒れたからお医者様を呼んでね。それで診察をお願いしたらビックリ仰天よ!そして産むと決めたなら、お腹の子を守れるのはあなただけなのよ?弱気は今日限りで捨てて、気を強く持ちなさいね」
お祖母様の温かくも厳しいその言葉。それを強く胸に刻み込む。それからよくよく聞いてみれば既に四ヶ月に入っていて…それを反省すると共によくぞ無事でいてくれたとも思う。
「きっと強い子だわ…誰よりも」
そう呟いてから四人で、きつく抱き合ったのだった。
「お、お祖母様?」
そんな素っ頓狂な声を上げてしまった私。そしてお祖母様はベッドサイドの椅子に腰掛け、こちらをじっと見ている。倒れた私を心配して付いていてくれたのだろうが、一体いつから座っていたのだろう?逆にそちらの方が心配になるわ。それで…
「ごめんなさいね、お祖母様。急に倒れるだなんて…相当な心配を掛けてしまったわね。まだ少し身体が怠いけど、もう大丈夫みたい。だから…」
お祖母様の方に腕を伸ばしながら、安心させようとそう言う。ずっと私に付いていたのだとしたら、休んでもらおうとそう言ったのだけど…どうもお祖母様の様子がおかしい。どうしたのかしら?
「ああ、ごめんね。何でもないの!ないんだけど…」
突然そう謝りながら無理矢理という感じで笑顔を作るお祖母様。だけどその目は、本当の意味で笑っているとは思えない。それでその意味を問おうとしたところで…ハッとする!
「お、お祖母様?どうして…」
真顔に戻ったお祖母様の顔…頬にはツーッと流れ落ちる涙が!それからは無言のまま静かに涙を流し続けている。それほど心配を掛けてしまった?だけどそれにしては尋常ではない様子…
私はその理由に思い当たることはなくて、ただ見つめていることしか出来ない。
──お祖母様、一体どうしたの?
するとお祖母様は、真剣な顔をして私の方へと向き直す。そして私を見つめて…
「クリスティーヌ、気を落ちつけて聞いて欲しいの。あなたは今…妊娠しているわ」
そう聞いた瞬間、何を言われているのか分からなかった。聞き間違い?そうは思うけど…違うのかしら。そう他人事のように思って、それから暫し考え込む。
だけどそう言えば、最近太った気がする。元々凄く痩せていたから、安心出来るお祖母様の元で健康的になったのだと思っていた。それから最後にロベルトに抱かれた日を想い起こして…
──だけど待って!あれから一度、月のものがなかったかしら?ごく少ないものだった覚えがある。もしかしてあれが着床出血というものなの…?
「くっ…ふはっ!」
突如として息が出来なくなる。まるで水の中にいるように胸が圧迫され、ハァハァと浅い息を繰り返す。
「どうしたの?クリスティーヌ!」
お祖母様の大声を聞き付けて、誰かが部屋に入って来る音。だけど私は、それを確認する余裕もない。溺れかけているようにどんどん息苦しくなって…
「クリスティーヌ様、ゆっくり大きな呼吸を繰り返して下さい!大丈夫ですよ?私が付いていますから」
蒼白な顔で横を見ると、ロリーが背中を優しく擦りながら元気づけてくれている。それから言われた通りにゆっくりと大きな呼吸を繰り返すと、そのうちだんだんと息が整ってくる。すると気が抜けたように身体が重くなって…
「早く横になって下さい!クリスティーヌ様は今、大事な身体なのです。無理は禁物ですよ?」
言われるがままベッドに横になると、まるで身体が沈むよう。ズブズブと音を立てて、どこまでも沈んでしまうような感覚になる。それから見上げれば、泣き顔のお祖母様の横で笑顔を浮かべるロリーがいる。だけどその顔には、泣き腫らしたような跡が!私が気落ちしないようにと、精一杯明るく接してくれているのね。
「ああ、どうして今更?望まないのに…」
そう口に出してハッとする!望まない?私はこの子を望んでいないのだろうか…
かつての私は、ロベルトの子を妊娠するのを渇望していた。私を顧みないあの人を振り向かせるのは、もうこれしかないと。子供さえ出来れば、ロベルトは私の元に帰って来てくれる…そう思っていた。そう思いながらも、一度も愛されたこともないのに帰って…だなんて、滑稽じゃないかと自虐めいたことを思いながら。だけどその時を切望して…それはどうして?
ブワッと涙が溢れる。自ら抑え込んでいた感情が、滝のように溢れてくる。状況が変わったとしても関係ない。私はこの子を待ち望んでいたわ!私だけの子…
「お祖母様…ごめんなさい。私、この子を産みます!誰も望まない子だったとしても、私だけはこの子を守りたいの」
突如そう宣言してそっとお腹に手を当てる。まだ膨らみも胎動も感じないけど、ここには確かに生きているのね?ごめんなさい…一度でも望まないなんて言って。もう二度と言わないから…あなたを愛しているわ!
すると目の前のお祖母様とロリーは、泣きながら微笑んでいる。それは先程とは違っていて、心からの笑顔のように明るい。それには心強い思いになって…
「本当に私にそっくりなんだから!一人で子供を産む…流石私の孫だわ。だけど大丈夫!あなたには味方がいるんだから」
そのお祖母様の言葉には思わずプッと泣き笑いに。本当だわ…目の前に心強い先輩がいるわね。そして誰よりもこの子を愛してくれるに違いない!
「そうですよ!私だっていますから。だから大船に乗った気でいてくださいね」
ロリーまでもがそう言って、アハハと大きく笑ってしまう。そして私はそんな二人の気遣いに、ほんの少し身体が軽くなった気がした。
「あなたが倒れたからお医者様を呼んでね。それで診察をお願いしたらビックリ仰天よ!そして産むと決めたなら、お腹の子を守れるのはあなただけなのよ?弱気は今日限りで捨てて、気を強く持ちなさいね」
お祖母様の温かくも厳しいその言葉。それを強く胸に刻み込む。それからよくよく聞いてみれば既に四ヶ月に入っていて…それを反省すると共によくぞ無事でいてくれたとも思う。
「きっと強い子だわ…誰よりも」
そう呟いてから四人で、きつく抱き合ったのだった。
あなたにおすすめの小説
幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました
ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。
けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。
やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。
――もう、この結婚には見切りをつけよう。
夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。
身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。
一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。
幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
あなただけが私を信じてくれたから
樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。
一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。
しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。
処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。
婚約する前から、貴方に恋人がいる事は存じておりました
Kouei
恋愛
とある夜会での出来事。
月明りに照らされた庭園で、女性が男性に抱きつき愛を囁いています。
ところが相手の男性は、私リュシュエンヌ・トルディの婚約者オスカー・ノルマンディ伯爵令息でした。
けれど私、お二人が恋人同士という事は婚約する前から存じておりましたの。
ですからオスカー様にその女性を第二夫人として迎えるようにお薦め致しました。
愛する方と過ごすことがオスカー様の幸せ。
オスカー様の幸せが私の幸せですもの。
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
嘘つきな貴方を捨てさせていただきます
梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。
「さっさと死んでくれ」
フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。
愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。
嘘つきな貴方なんて、要らない。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
11/27HOTランキング5位ありがとうございます。
※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。
1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。
完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。
完結 この手からこぼれ落ちるもの
ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。
長かった。。
君は、この家の第一夫人として
最高の女性だよ
全て君に任せるよ
僕は、ベリンダの事で忙しいからね?
全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ
僕が君に触れる事は無いけれど
この家の跡継ぎは、心配要らないよ?
君の父上の姪であるベリンダが
産んでくれるから
心配しないでね
そう、優しく微笑んだオリバー様
今まで優しかったのは?