【完結】お別れするあなたに一言だけ。あなたの恋は、叶うことはないのだと…

MEIKO

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第四章・真実の告白

43・ある疑惑

 物事というのは、表があれば必ず裏があるもの…そうは分かっていても、がむしゃらに生きていたらそれに気付かないこともある。それが不幸かそうでないかは、人から決められることではない。それは自分の心の中だけにあって、否定されたり強制されるものでは決してない。だから…自分の決断を信じていこう!この子との未来の為に…

 「クリスティーヌ様、温かいローズヒップティーをお持ちしました。つわりを抑える効果があるそうですよ?」

 「フフッ。この時期にまだってことは、もうならないんじゃない?でもありがとう!いい香りね」

 私は知っている…ロリーが夜な夜な勉強していることを。仕事を終えて自室に戻ったロリーは、妊娠や子育ての本を読み漁っているとか。その筋のプロにでもなるつもり?
 そう思うけど、その心だけで涙が出るくらい嬉しい。それからロリーがわざわざ用意してくれたローズヒップティーを一口含んでみる。すると…甘酸っぱくてとても美味しい!妊娠中って酸っぱいものが好きになるって噂、本当なんだと知る。すると…

 「クリスティーヌ様、オリフェルト殿下がおいでです」

 執事のルドルフがそう声を掛けてくる。とうとう来た…そう思って思わず立ち上がる。あのデビュタントの一件から一週間…その間に様変わりしたのはミンチェスター家だけじゃない。メイソン家は我が家の変化とは比べようもないくらいに変わってしまっている。

 気の良い使用人達だと思っていた人達は甲冑を身に纏い、物々しい雰囲気になっている。世を忍ぶ仮の姿…なんてよく言うけど、本当にそんなことがあるのだと度肝を抜かれた。知らなかったのは私だけ?
 きっとドノバン卿はその日を迎える為に、何年も前からそれを念頭に置いて準備してきたのだろう。騎士を続けられなくなった者達…そして帰る場所がない者達に声を掛けて、オリヴァーと志を同じくする者に育てる。私はまだ何も知らないけど、きっとそれに至った理由があるはず…それはやはり、オリヴァーのお母様のことなのね?その理由が今日分かるのかしら…

 「ルドルフ、このリビングにお通しして。今や皇族とはいえ、知った仲だもの…許されるんじゃないかしら」

 そう言うとルドルフは頭を下げてここを出て行く。ルドルフだってかなり仲が良かった筈だから、この変化に戸惑っているでしょうね…きっと。

 「やあ、クリスティーヌ。直ぐに来れなくてすまないね。想像以上にバタバタしてしまって…」

 そこに現れたのは一週間ぶりに顔を見せるオリヴァー。色々と大変だったのか、ほんの少し頬がこけている。そしてそんな状況なら遅くなって当然だし、こちらとしても都合が良かったと思う。私の妊娠を知ったらオリヴァーは、どんか反応をするかしら?ちょっと見てみたい気もするわ。そしてロベルトの子を産む決心をした私は、オリヴァーに向けた淡い想いを諦めることを決心した。この子には私しかおらず、オリヴァーにはきっと私以上の新しい出会いがある…そう思ったから。そんな心を隠して、明るい笑顔を浮かべる。そして…

 「いいえ。大変だったでしょう?私も準備が大変だったし疲れちゃったみたい…寝込んでいたから丁度良かったの」

 そう誤魔化して、目の前の席を勧める。オリヴァーはそんな私を心配そうに見ていたけど、もう今は大丈夫なことを伝えると、納得してくれたようだった。そして…

 「あの日、君を巻き込んでしまってすまなかった!最初はあのタイミングで告白する気なんてなかったんだ…君と二人でデビュタントを楽しもうって。だけど…どうも兄の動向が気になって、早めることにしたんだよ」

 「ええっ!兄って…皇太子殿下のことかしら?」

 それにオリヴァーは大きく頷いている。すると、驚くべきことを言って…

 「クリスティーヌの友達のアルフォンソのことだけど…調べたら兄の密偵だったんだ。普段は皇居で補佐官をしているらしい。今は商人でも平民でもなく、アルフォンソ・クリミナと言って…」

 「な、何ですって!まさか…」

 何だかよく分からなくなってきた。ロベルトの同僚がアルフォンソなの?そういうことになる。おまけに密偵って…もしかして私は、監視されていたってことなのかしら。信じられない!

 「誤解しないで欲しいのは、何もクリスティーヌを陥れようとか、そういうのとではなさそうだってことだ。前にドノバンと二人で遠乗りに出掛けただろ?その帰りに親睦を深めようと酒の席に誘い、そこで聞き出したんだ。兄はどうも君を心配しているそうで…」

 皇太子殿下が私の心配をしている?確かに前から、親しみを持って接していただけているのは感じていた。だけど私はそんなこと慣れておらず、ただ愛想笑いを浮かべていただけ…

 「殿下はロベルトと幼馴染みなの。それで心配してそんな行動を?でもそれだったら、こんなに大がかりなことまでする必要がないと思う。それにアルフォンソの身分を偽ってまで…」

 今日はオリヴァーの秘密が聞けるのだと思っていたけど、それよりも先にこんな驚くような事実が!そして更にどんな事情が隠されているのかしら…
 
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