45 / 64
第四章・真実の告白
44・皇后の策略
アルフォンソが本当の身分を偽って近付いてきた…それはどうして?なのに何故か、それは悪意からではないという。それって…
「君の夫が幼い頃に巻き込まれた、ブロン皇子暗殺の件は聞いたことはあるかい?もう二十年以上前になるんだけど」
「ええっ?今の皇太子殿下の暗殺ですって!それにロベルトも巻き込まれていたって…知らなかったわ」
そんな重大な事件が起きていたなんて…二十年前といえば私は既に生まれているけど、オリヴァーはちょうどお母様のお腹の中かしら。それはきっと大きな騒動になったでしょうね。だけど私は、一切聞いたことがない…そうならちょっと、可怪しくない?それほどのことが起こったなら、その後もずっと言い伝えられていいはず。そして私だってそれを、聞いたことがあって当然なんだと思うわ。なのにどうしてなんだろう…
「実はそのことが私の境遇と大いに関係があるんだ。クリスティーヌは舞踏会の会場で、私について噂されていたことを聞いただろう?あれは間違いなんかじゃない。私の母は、ある意味殺されたんだ…皇后に!」
「こ、皇后様に?それはどういう…」
オリヴァーの発言を非常に驚いた私は、キョロキョロと辺りを見渡す。ミンチェスター家には怪しい者など寄り付くことは出来ないけど、それでもその穏やかならざるその内容にはそうせずにはいられない。
「えっ…そのブロン皇子を狙った凶行と、お母様がお亡くなりになったことが関係があると?それはどういうことなの」
オリヴァーの出生の秘密と、ロベルトとブロン皇子が遭遇した事件。一見関係ないようでいて、根っ子は同じだということなのかしら…
そしてあの噂が本当なのだとしたら、オリヴァーの母親は側妃様だということになる。そう考えると恐ろしい仮説を立ててしまうのだけど…。ブロン皇子を狙ったのがオリヴァーの母である側妃様で、その報復として今度は側妃様を殺そうとしたって訳?だとするとオリヴァーのさっきの言葉…ある意味殺された。その辻褄が合わなくなるけど…
そんなことを思って難しい顔になっていると、オリヴァーは私の戸惑いを察したようだった。そして…
「ごめん…言い方が悪かったね。その襲撃事件…もちろん母は一切関係ない。母は元々、夫である陛下を独り占めしたいとか、自分の子供を皇太子にしたいとか…そういう野望を抱く人ではなかった。そういう性格が陛下に愛されていたとか…」
それからオリヴァーは、もう二度と会うことは出来ない母を想ってサッと目を伏せる。それには私は、一度でも疑ってしまったことを反省して…
「そうなのね、こちらこそごめんなさい!なのにどうして巻き込まれることになったのかしら…もしかしてお亡くなりになったことも関係があるのね?それは一体…」
側妃様がそのようなことをする方ではないのは分かった。その時はただ、産まれてくる子供のことだけを考えていたのだろう。陛下からの寵愛を受けて、きっと幸せに…なのに何故?
「皇后が、兄を襲撃したのが母の手の者だと告発したんだ。証拠をでっち上げられて…そしてそれを覆すことは出来ずに、私を身籠ったまま幽閉されて…」
その後は私でも容易に想像出来ること。その心労が祟って亡くなられたのね…
「母は身の潔白を晴らそうとしたが身重の身ではなかなか…それから力のない家門出身の為に、それを調べることすら満足にはいかなかったらしい。そんな絶望の中私を産み落として、そのまま亡くなってしまったんだ。幸いなのは陛下は母の無実を確信していて、このままでは私の身も危ないと危惧された。だから死産だったと偽り、母の護衛だったドノバンに預けたんだ。命にかえても守り抜くようにと…」
ああ、だからドノバン卿が…そして陛下の見る目は確かだったってこと。ドノバン卿はオリヴァーをこの歳まで守り抜いたのだから。そして陛下が何もかもをご存知だと言っていたのは、このせいだったのね?愛する人は死を迎え、その人が命を懸けて産んだ子は隠しておかなければならない!どんなにか絶望し、また離ればなれになった息子を想ったことだろう。
「母が死産して、おまけに死んだことを聞いた皇后は、人目も憚らず大笑いしたとか…それほど母が疎ましい存在だったらしい。それから真犯人は別の側妃だったことが判明し、母の名誉は守られたが…それに何の意味があるんだ?」
オリヴァーはそう吐き捨てる。母の無念に、そして自分の境遇に…
そのせいでオリヴァーは、このノースブルグという地に縛り付けられることになった。一歩出ればたちまち身分が明かされ、それによって命が危ぶまれる。それを知った皇后様がオリヴァーを生かしておく筈がない!
「だからね、私はどうしても首都に行き、自分の身分を取り返さなければならないんだ!母の為に…父の為に。だからクリスティーヌ、一緒に行ってはくれないか?」
それに私は、ヒュッと息を吸い込む。な、何を?と…
それから頭の中でぐるぐると思いが巡る…それはどういう意味なのだろうと。
「君の夫が幼い頃に巻き込まれた、ブロン皇子暗殺の件は聞いたことはあるかい?もう二十年以上前になるんだけど」
「ええっ?今の皇太子殿下の暗殺ですって!それにロベルトも巻き込まれていたって…知らなかったわ」
そんな重大な事件が起きていたなんて…二十年前といえば私は既に生まれているけど、オリヴァーはちょうどお母様のお腹の中かしら。それはきっと大きな騒動になったでしょうね。だけど私は、一切聞いたことがない…そうならちょっと、可怪しくない?それほどのことが起こったなら、その後もずっと言い伝えられていいはず。そして私だってそれを、聞いたことがあって当然なんだと思うわ。なのにどうしてなんだろう…
「実はそのことが私の境遇と大いに関係があるんだ。クリスティーヌは舞踏会の会場で、私について噂されていたことを聞いただろう?あれは間違いなんかじゃない。私の母は、ある意味殺されたんだ…皇后に!」
「こ、皇后様に?それはどういう…」
オリヴァーの発言を非常に驚いた私は、キョロキョロと辺りを見渡す。ミンチェスター家には怪しい者など寄り付くことは出来ないけど、それでもその穏やかならざるその内容にはそうせずにはいられない。
「えっ…そのブロン皇子を狙った凶行と、お母様がお亡くなりになったことが関係があると?それはどういうことなの」
オリヴァーの出生の秘密と、ロベルトとブロン皇子が遭遇した事件。一見関係ないようでいて、根っ子は同じだということなのかしら…
そしてあの噂が本当なのだとしたら、オリヴァーの母親は側妃様だということになる。そう考えると恐ろしい仮説を立ててしまうのだけど…。ブロン皇子を狙ったのがオリヴァーの母である側妃様で、その報復として今度は側妃様を殺そうとしたって訳?だとするとオリヴァーのさっきの言葉…ある意味殺された。その辻褄が合わなくなるけど…
そんなことを思って難しい顔になっていると、オリヴァーは私の戸惑いを察したようだった。そして…
「ごめん…言い方が悪かったね。その襲撃事件…もちろん母は一切関係ない。母は元々、夫である陛下を独り占めしたいとか、自分の子供を皇太子にしたいとか…そういう野望を抱く人ではなかった。そういう性格が陛下に愛されていたとか…」
それからオリヴァーは、もう二度と会うことは出来ない母を想ってサッと目を伏せる。それには私は、一度でも疑ってしまったことを反省して…
「そうなのね、こちらこそごめんなさい!なのにどうして巻き込まれることになったのかしら…もしかしてお亡くなりになったことも関係があるのね?それは一体…」
側妃様がそのようなことをする方ではないのは分かった。その時はただ、産まれてくる子供のことだけを考えていたのだろう。陛下からの寵愛を受けて、きっと幸せに…なのに何故?
「皇后が、兄を襲撃したのが母の手の者だと告発したんだ。証拠をでっち上げられて…そしてそれを覆すことは出来ずに、私を身籠ったまま幽閉されて…」
その後は私でも容易に想像出来ること。その心労が祟って亡くなられたのね…
「母は身の潔白を晴らそうとしたが身重の身ではなかなか…それから力のない家門出身の為に、それを調べることすら満足にはいかなかったらしい。そんな絶望の中私を産み落として、そのまま亡くなってしまったんだ。幸いなのは陛下は母の無実を確信していて、このままでは私の身も危ないと危惧された。だから死産だったと偽り、母の護衛だったドノバンに預けたんだ。命にかえても守り抜くようにと…」
ああ、だからドノバン卿が…そして陛下の見る目は確かだったってこと。ドノバン卿はオリヴァーをこの歳まで守り抜いたのだから。そして陛下が何もかもをご存知だと言っていたのは、このせいだったのね?愛する人は死を迎え、その人が命を懸けて産んだ子は隠しておかなければならない!どんなにか絶望し、また離ればなれになった息子を想ったことだろう。
「母が死産して、おまけに死んだことを聞いた皇后は、人目も憚らず大笑いしたとか…それほど母が疎ましい存在だったらしい。それから真犯人は別の側妃だったことが判明し、母の名誉は守られたが…それに何の意味があるんだ?」
オリヴァーはそう吐き捨てる。母の無念に、そして自分の境遇に…
そのせいでオリヴァーは、このノースブルグという地に縛り付けられることになった。一歩出ればたちまち身分が明かされ、それによって命が危ぶまれる。それを知った皇后様がオリヴァーを生かしておく筈がない!
「だからね、私はどうしても首都に行き、自分の身分を取り返さなければならないんだ!母の為に…父の為に。だからクリスティーヌ、一緒に行ってはくれないか?」
それに私は、ヒュッと息を吸い込む。な、何を?と…
それから頭の中でぐるぐると思いが巡る…それはどういう意味なのだろうと。
あなたにおすすめの小説
幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました
ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。
けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。
やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。
――もう、この結婚には見切りをつけよう。
夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。
身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。
一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。
幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
あなただけが私を信じてくれたから
樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。
一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。
しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。
処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。
婚約する前から、貴方に恋人がいる事は存じておりました
Kouei
恋愛
とある夜会での出来事。
月明りに照らされた庭園で、女性が男性に抱きつき愛を囁いています。
ところが相手の男性は、私リュシュエンヌ・トルディの婚約者オスカー・ノルマンディ伯爵令息でした。
けれど私、お二人が恋人同士という事は婚約する前から存じておりましたの。
ですからオスカー様にその女性を第二夫人として迎えるようにお薦め致しました。
愛する方と過ごすことがオスカー様の幸せ。
オスカー様の幸せが私の幸せですもの。
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
嘘つきな貴方を捨てさせていただきます
梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。
「さっさと死んでくれ」
フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。
愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。
嘘つきな貴方なんて、要らない。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
11/27HOTランキング5位ありがとうございます。
※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。
1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。
完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。
完結 この手からこぼれ落ちるもの
ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。
長かった。。
君は、この家の第一夫人として
最高の女性だよ
全て君に任せるよ
僕は、ベリンダの事で忙しいからね?
全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ
僕が君に触れる事は無いけれど
この家の跡継ぎは、心配要らないよ?
君の父上の姪であるベリンダが
産んでくれるから
心配しないでね
そう、優しく微笑んだオリバー様
今まで優しかったのは?