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第三章・続々新事実が!?
19・皇帝陛下の苦悩
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皇帝陛下の執務室のソファに、勧められるまま座った。そして侍従長のジャックマンが温かい紅茶を注いでくれている。そして目の前を見れば、満面の笑みを浮かべる皇帝陛下が!な、何がそんなに嬉しいのでしょうか?そして私は、まず一番に伝えねばならないことを、意を決して言うことにした。
「皇帝陛下、私の命を救っていただき、本当にありがとうございました。そのおかげでこのように今、元気で過ごさせていただいております。陛下は私の命の恩人です!」
最後は思わず、普通に言ってしまったが、それでも十分私の気持ちは伝わったのではないかと思う。あの時、本当なら私は死んでいただろう…そう思うと、今こうやって楽しく過ごせているのは、奇跡のようだ。そんな私に陛下は、更に優しい笑顔を向ける。
「いいや、謝らねばならないのは私だろう。母君のこと、申し訳なく思っている。それに、一人で大変だったろう?父君を領地に帰すことが出来ずに、本当にすまなかった」
そう言って陛下は、私などに向けて頭を下げられる。それには感動で涙が滲む…このような御方だから父は、これまでもこれからも、お仕えしていくのだろうな…
「いいえ…そのお言葉だけで充分です。母もきっと、喜んでいることでしょう」
そう私は微笑みかける…そしてこれが本心だからだ。それだけで今日、ここへ来たかいがあったと思った。すると…
「そうか…それなら良かった。ところで、今日私がアリシアに皇居に来るよう言ったと聞いた時、どう思った?率直に言ってよい…何故呼ばれたと思ったのだ?」
いきなり陛下は、核心めいたことを言う。これから述べられることが、今日の本来の目的なのだろうな。お赦しが出たところで、本当に私が感じたことを言ってみようと思う。
「皇太子殿下のことではないですか?スティーブ皇子様の…それ以外は考えられません」
そう確信してズバリ言う私に、陛下は目を細め頷かれる。それから再びパチッと目を開けると、真剣な表情に変わった…
「やはり分かっていたか…流石アリシアだな。そしてきっと何を言うのかも、大体分かっているのだと思う。そうだ…私はスティーブの、廃嫡も考えている」
──な、何ですって?廃嫡までも!?そこまでお考えだったなんて…私でさえも、思ってなかった。
「そこまで考えられているとは、思ってもみませんでした!差し支えなければ、どういうことで…」
そんな私の驚く様子に陛下は、哀しそうに笑いながらそっと目を伏せる。
「スティーブは、前皇后の子なのだ。そしてその皇后が病気で亡くなった時、私は戦争中で全くというほど構ってやれなかった。一緒に悲しんでやることも、それを慰めることも…。その代わりに皇妃…今の皇后だが、自分の子のように世話をしてくれた。だけど私に捨てられたという気持ちになったようだ。やがて私は諸外国を平定し帝国を築いて、やっと息子の為に時間を取れるようになった。だけど同時に、皇后が身籠ったのだ。それには私にも皇后にも捨てられたと思ってしまったようで…」
スティーブ殿下が辿ったこれまで…それを初めて知った。確かにその心情は理解出来なくもない。だけど…それとこれとは別な気がする。ルーシーに母を求めて(?)好きになるのは勝手だが、それでキャロラインにあのような扱いをして良い訳はない。
「それで陛下のお耳に、学園で起こった騒動の数々が聞こえて来たのですね?スティーブ殿下がルーシー様に入れあげて、キャロライン様を蔑ろにしていると…」
それに大きく頷く皇帝陛下が。そして苦々しい表情になる…
「そうだ…始めは信じられなかった!私の目から見ても、キャロラインとは上手くいっているように見えていたんだ。お互いが支え合って、この帝国を守っていけると…だけど、実は現皇后の出身がアロワ公爵家なのだ。今のアロワ公爵の妹なのだよ。皇太子妃を選定し始めた時、まだ皇后とスティーブの仲は良好で、尚更キャロラインを選んで正解なんだと思ったのだが…」
私はその事実にハッとする。それではもしかして、現皇后様を牽制する為に…?そんなことの為にキャロラインがあのような目に遭ってるのですって!
陛下や皇后様に構ってもらえなかった?そして将来皇帝になることへの重圧?そして自分の兄弟に立場を脅かされる?そんなの、キャロラインには関係ないでしょう?だからそれは…どう考えても甘えだ!
私は信じられない思いがした…それならまだ、心底ルーシーに惚れている方がマシだ!キャロラインに対しての言動の一因は、それに原因があるような気がしてならない…
そして私は、キャロラインを思い浮かべる…あの心優しく、儚げな親友のことを。そしてあの親友は優し過ぎるが故に、それを我慢している。公女という立場であれば、皇太子殿下は別だが、あとの面々はどうにでも出来る。ようは排除可能…ってこと。そんなことをすれば断罪決定!の可能性は高くなるが、それを別にしてもそうする気など無く、甘んじてそれを受け入れている。それなのに…あの連中は!!
──あいつら…その学園での何不自由ない生活が、キャロラインの我慢の上で成り立っている事実を知るべきよ。そして感謝しなさいよね!
とても陛下の前では言えないことを心の中で吐き出して、それから今回の本題であろうことを聞く。
「それで陛下は、私に何をお望みですの?何か私にさせたいことがあって、今日呼び出されたのではありませんか?」
それに陛下は感心したように目を見開き、それから何度も頷いた。
「そうだ…そんなアリシアだからこそ、今日呼んだのだ。君に是非やって欲しいことがある。それは実はもう、既に君がやっていることだ…キャロラインを守ってやって欲しい!そしてそれは、例えスティーブに対して不敬があったとしても、私の権限でそれを許そう。だから安心して欲しい」
やはり…という思いだった。皇太子殿下の件で、もし陛下が私を赦せないと思っていたとしたら、これ程に温かく迎えてはくださらなかっただろう。そうじゃなかった時点で、それは分かっていた。きっとそうおっしゃるだろうと…
「分かりました。謹んでそのお役目を賜ります!元よりキャロライン様と私は親友なのです。陛下がそうおっしゃらなかったとしても、ずっと守るつもりでおりました」
「それは心強い!今皇后が妊娠中なのだ。第一皇子のスティーブ、そして第二皇子のウィリアム、それから次は皇子なのか皇女なのかまだ分からないが、非常に心を痛めている皇后の憂いを取り除いてやりたい。だから尚更、今これが必要なことなのだ。そしてその期限は帝都学園卒業までだ。それまでにスティーブが改心すれば廃嫡は考え直そう。でなければ…そうするしかないだろうな」
陛下はそう言われて、どこか寂しい顔をされた。やはり親なのだ…息子を廃嫡にするのは、どうしたって苦しむことになるだろう。陛下も、スティーブ殿下も…
「それでもしもスティーブが廃嫡になったとしたら、それですんなりとキャロラインの皇太子妃の内定は取り消せる。次の皇太子となる第二皇子とは血が近過ぎることで問題になるだろうし。そしてこれからは、スティーブが改心した場合の話だが…」
それを聞いて安心した!それなら婚約を解消したとしても、足枷にはならない。傷もつかないからその後の婚約や結婚についても、問題ないだろう。だけど失念していた…もしも改心?そうなった時は、どうなるのだろう…
「それはキャロラインの意志に任せる。もうスティーブとはやっていけないと言うなら、婚約は解消させる。そして穏便に済ませる理由を何か考えよう。それとも皇太子妃になり、将来は皇后となるか…それは気持ち次第になるだろう。そして解消することになっても、その後の縁については一切関知しないと誓おう!」
それに心からホッとする。どちらにしても、キャロラインの心次第で決めて良いということだ。親友として、これ程有り難いことはないと安堵する。
「よし!私とアリシアは、もう仲間だと言えるな?そして出来れば定期的に報告に来てくれ。何か困ったことがある時も…それでよろしく頼む」
「はい!もちろんお伺い致します。こちらこそどうぞよろしくお願いします!」
それで安心した…そしてさっき侍従長のジャックマンが、これからも…と言っていたことは、これなんだと気付く。そうして私は、皇帝陛下という最大の協力者を手に入れる。これから何が待ち受けているのか分からないが、立ち向かってみせる!キャロラインの為に…そして私の為に!
「皇帝陛下、私の命を救っていただき、本当にありがとうございました。そのおかげでこのように今、元気で過ごさせていただいております。陛下は私の命の恩人です!」
最後は思わず、普通に言ってしまったが、それでも十分私の気持ちは伝わったのではないかと思う。あの時、本当なら私は死んでいただろう…そう思うと、今こうやって楽しく過ごせているのは、奇跡のようだ。そんな私に陛下は、更に優しい笑顔を向ける。
「いいや、謝らねばならないのは私だろう。母君のこと、申し訳なく思っている。それに、一人で大変だったろう?父君を領地に帰すことが出来ずに、本当にすまなかった」
そう言って陛下は、私などに向けて頭を下げられる。それには感動で涙が滲む…このような御方だから父は、これまでもこれからも、お仕えしていくのだろうな…
「いいえ…そのお言葉だけで充分です。母もきっと、喜んでいることでしょう」
そう私は微笑みかける…そしてこれが本心だからだ。それだけで今日、ここへ来たかいがあったと思った。すると…
「そうか…それなら良かった。ところで、今日私がアリシアに皇居に来るよう言ったと聞いた時、どう思った?率直に言ってよい…何故呼ばれたと思ったのだ?」
いきなり陛下は、核心めいたことを言う。これから述べられることが、今日の本来の目的なのだろうな。お赦しが出たところで、本当に私が感じたことを言ってみようと思う。
「皇太子殿下のことではないですか?スティーブ皇子様の…それ以外は考えられません」
そう確信してズバリ言う私に、陛下は目を細め頷かれる。それから再びパチッと目を開けると、真剣な表情に変わった…
「やはり分かっていたか…流石アリシアだな。そしてきっと何を言うのかも、大体分かっているのだと思う。そうだ…私はスティーブの、廃嫡も考えている」
──な、何ですって?廃嫡までも!?そこまでお考えだったなんて…私でさえも、思ってなかった。
「そこまで考えられているとは、思ってもみませんでした!差し支えなければ、どういうことで…」
そんな私の驚く様子に陛下は、哀しそうに笑いながらそっと目を伏せる。
「スティーブは、前皇后の子なのだ。そしてその皇后が病気で亡くなった時、私は戦争中で全くというほど構ってやれなかった。一緒に悲しんでやることも、それを慰めることも…。その代わりに皇妃…今の皇后だが、自分の子のように世話をしてくれた。だけど私に捨てられたという気持ちになったようだ。やがて私は諸外国を平定し帝国を築いて、やっと息子の為に時間を取れるようになった。だけど同時に、皇后が身籠ったのだ。それには私にも皇后にも捨てられたと思ってしまったようで…」
スティーブ殿下が辿ったこれまで…それを初めて知った。確かにその心情は理解出来なくもない。だけど…それとこれとは別な気がする。ルーシーに母を求めて(?)好きになるのは勝手だが、それでキャロラインにあのような扱いをして良い訳はない。
「それで陛下のお耳に、学園で起こった騒動の数々が聞こえて来たのですね?スティーブ殿下がルーシー様に入れあげて、キャロライン様を蔑ろにしていると…」
それに大きく頷く皇帝陛下が。そして苦々しい表情になる…
「そうだ…始めは信じられなかった!私の目から見ても、キャロラインとは上手くいっているように見えていたんだ。お互いが支え合って、この帝国を守っていけると…だけど、実は現皇后の出身がアロワ公爵家なのだ。今のアロワ公爵の妹なのだよ。皇太子妃を選定し始めた時、まだ皇后とスティーブの仲は良好で、尚更キャロラインを選んで正解なんだと思ったのだが…」
私はその事実にハッとする。それではもしかして、現皇后様を牽制する為に…?そんなことの為にキャロラインがあのような目に遭ってるのですって!
陛下や皇后様に構ってもらえなかった?そして将来皇帝になることへの重圧?そして自分の兄弟に立場を脅かされる?そんなの、キャロラインには関係ないでしょう?だからそれは…どう考えても甘えだ!
私は信じられない思いがした…それならまだ、心底ルーシーに惚れている方がマシだ!キャロラインに対しての言動の一因は、それに原因があるような気がしてならない…
そして私は、キャロラインを思い浮かべる…あの心優しく、儚げな親友のことを。そしてあの親友は優し過ぎるが故に、それを我慢している。公女という立場であれば、皇太子殿下は別だが、あとの面々はどうにでも出来る。ようは排除可能…ってこと。そんなことをすれば断罪決定!の可能性は高くなるが、それを別にしてもそうする気など無く、甘んじてそれを受け入れている。それなのに…あの連中は!!
──あいつら…その学園での何不自由ない生活が、キャロラインの我慢の上で成り立っている事実を知るべきよ。そして感謝しなさいよね!
とても陛下の前では言えないことを心の中で吐き出して、それから今回の本題であろうことを聞く。
「それで陛下は、私に何をお望みですの?何か私にさせたいことがあって、今日呼び出されたのではありませんか?」
それに陛下は感心したように目を見開き、それから何度も頷いた。
「そうだ…そんなアリシアだからこそ、今日呼んだのだ。君に是非やって欲しいことがある。それは実はもう、既に君がやっていることだ…キャロラインを守ってやって欲しい!そしてそれは、例えスティーブに対して不敬があったとしても、私の権限でそれを許そう。だから安心して欲しい」
やはり…という思いだった。皇太子殿下の件で、もし陛下が私を赦せないと思っていたとしたら、これ程に温かく迎えてはくださらなかっただろう。そうじゃなかった時点で、それは分かっていた。きっとそうおっしゃるだろうと…
「分かりました。謹んでそのお役目を賜ります!元よりキャロライン様と私は親友なのです。陛下がそうおっしゃらなかったとしても、ずっと守るつもりでおりました」
「それは心強い!今皇后が妊娠中なのだ。第一皇子のスティーブ、そして第二皇子のウィリアム、それから次は皇子なのか皇女なのかまだ分からないが、非常に心を痛めている皇后の憂いを取り除いてやりたい。だから尚更、今これが必要なことなのだ。そしてその期限は帝都学園卒業までだ。それまでにスティーブが改心すれば廃嫡は考え直そう。でなければ…そうするしかないだろうな」
陛下はそう言われて、どこか寂しい顔をされた。やはり親なのだ…息子を廃嫡にするのは、どうしたって苦しむことになるだろう。陛下も、スティーブ殿下も…
「それでもしもスティーブが廃嫡になったとしたら、それですんなりとキャロラインの皇太子妃の内定は取り消せる。次の皇太子となる第二皇子とは血が近過ぎることで問題になるだろうし。そしてこれからは、スティーブが改心した場合の話だが…」
それを聞いて安心した!それなら婚約を解消したとしても、足枷にはならない。傷もつかないからその後の婚約や結婚についても、問題ないだろう。だけど失念していた…もしも改心?そうなった時は、どうなるのだろう…
「それはキャロラインの意志に任せる。もうスティーブとはやっていけないと言うなら、婚約は解消させる。そして穏便に済ませる理由を何か考えよう。それとも皇太子妃になり、将来は皇后となるか…それは気持ち次第になるだろう。そして解消することになっても、その後の縁については一切関知しないと誓おう!」
それに心からホッとする。どちらにしても、キャロラインの心次第で決めて良いということだ。親友として、これ程有り難いことはないと安堵する。
「よし!私とアリシアは、もう仲間だと言えるな?そして出来れば定期的に報告に来てくれ。何か困ったことがある時も…それでよろしく頼む」
「はい!もちろんお伺い致します。こちらこそどうぞよろしくお願いします!」
それで安心した…そしてさっき侍従長のジャックマンが、これからも…と言っていたことは、これなんだと気付く。そうして私は、皇帝陛下という最大の協力者を手に入れる。これから何が待ち受けているのか分からないが、立ち向かってみせる!キャロラインの為に…そして私の為に!
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