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8.装備一式

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 『重力調整室』では、響が朝食を食べ終わり、ティスが食器を運ぼうとしていた。
 本日のメニューは和食で内容は、ごはん、納豆、焼き鮭、お新香、みそ汁(玉ねぎ、わかめ、ジャガイモ)であった。

 最近はそうでもないが、むかし岡山では納豆嫌いの人が多く、納豆を売る店も少なかったようである。

 宇宙船の中で、和食が食べれるて、ありがたいけど調子が狂うなぁ……

 響の本での知識では、錠剤とかチュ-ブ入りの食品とか、見た事もないような、食材の料理が出て来る事を、恐怖しながらも期待していたのだ。
 しかし、ここ数日の間に出て来た料理は、響にとって、食べ慣れた物ばかり出て来ていた。

 ティスが食器を運び『重力調整室』から出て行こうとすると、扉が開きブロッサム姫とメリンダが入ってくる。

 「あっ、姫様、言ってくだされば私が……」

 荷物を持って入って来たブロッサム姫を見て、ティスが慌てて駆け寄る。

 「良いのです」

 ブロッサム姫に言われて、ティスが下がって行く。

 「えっ、姫様?」

 響は、『姫様』のキーワードに、速攻反応して、ベッドの上に正座をするのであった。

 「よいしょっ、ここへ並べて下さい」

 響の態度を見て、ブロッサム姫は笑いながら、ベッドに荷物を置く。

 「はい、姫様」

 ブロッサム姫とメリンダは、持って来た沢山の荷物を、ベッドの上に並べて行く。

 「こちらがオルレオン皇国第五皇女、ブロッサム・オルレオン様です。そして私は、メリンダ・ベルセカンドと言います」

 ブロッサム姫の横に立ち、話し始めたのは、メリンダ・ベルセカンド、二十一歳、ロングのポニーテール、軍用パンツスーツにブーツ、腰にロングサ-ベルと言った、出で立ちの近衛士官である。

 「俺、わたしは、大地 響 です」

 テンパル、響だった。

 「巨大トカゲに襲われた時には、私達を助けて貰い感謝しております。その後、体調はいかがですか?」

 「はい、もう大丈夫です! あの……ところであの巨大トカゲは、何だったのですか?」

 響は、巨大トカゲと聞いて、まだ訪ねていない事を思い出し、思わず聞き返してしまう。

 「あれは、何者かが私に放った生物兵器です。」

 急に質問されて、メリンダが響に何か言おうとするのを、ブロッサム姫は、静止して教えてくれた。

 「生物兵器……命を狙われていた?」

 「姫様、装備品の説明を」

 あまり狙われている事を、知られると不味いのか、メリンダが話を逸らそうとして来る。

 聞くたのは、不味いのかなぁ~

 「そうでした。これが『再生強化』を受けた者に与えられる。装備一式です。」
 ブロッサム姫達が、ベッドの上に広げた装備内容は、響の興味を引くのに十分な内容だった。

 【装備一式】
  ・濃紺のつなぎ形スーツ
  ・濃紺ハ-フブーツ
  ・濃紺アーマ-ベスト
  ・黒いフード付きロングコート
  ・黒いグローブ
  ・ソ-ドブレ-ド一振り
  ・クリスタルガン 一丁
  ・マガジン 三つ
  ・ガンベルト (ホルスター、マガジンポーチ・万能ポーチ付き)
  ・医療キット
  ・グレネード 三個
  ・リストコントロール
  ・小型遠隔ドローン ハチ型

 「響様、それではまず、着替えて下さい」

 姫様は、ベッドの上に並べられた品を指して、命令ポーズをとる。

 なんで?

 食器を片付けて戻って来たティスに、着替えの手伝いをしてもらい、順次着て行く。

 着衣、その他に付いてはすべてに、光学迷彩が付いている。

 『濃紺のつなぎ形スーツ』は、着ると自動的に体にフィットするようになっており、オートクリーニング、体温調節機能付きとなっている。

 『濃紺ハ-フブーツ』は、高所から飛び降りてもダメージを受けない衝撃吸収効果、高速で走っても大丈夫なように耐久・耐熱効果がある。

 『リストコントロール』を左手首に装着する。これは、装備品の設定、調整、調節、索敵、通信、亜空間べ-スへのゲ-ト開閉等の操作端末となる。

 『濃紺アーマ-ベスト』は、薄いのに防弾、防刃機能付き。背中に『ソ-ドブレ-ド』を装着して、『グレネード』と『小型遠隔ドローン ハチ型』をベストに装着する。

 『ガンベルト』を腰に付け、『クリスタルガン』『マガジン』を差し込み、『万能ポーチ』へ『医療キット』と『小型医療ドローン クモ型』を収める。

 『黒いフード付きロングコート』は、衝撃吸収硬化機能付き。衝撃の大きさに合わせて、コ-トの表面が固くなる。コートの裏には、武器が隠し持てるようになっている。

 この他にも、隠し技が色々とありそうな匂いがする物の、この装備一式は、響の男心を満足させるのに、十分な装備品と言えた。

 前に、同級生とサバイバルゲームをした時に、響は二十発の拳銃に、Tシャツとジ-パンだった。
 それに対して、他の同級生は、迷彩服に、三百発のアサルトライフルを持っていた。
 ゲ-ムの方は言うまでもないが、響は、かなり痛い思い出を抱えたのだ。
 その事を思い出し、涙ぐむ響であった。

 「では、参りましょうか」

 装備一式を付けた所で、姫の先導で演習施設へと移動する。

 響は、装備を付けて歩くだけで、心が躍るのであった。
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