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ボランティア
「こんにちは」
「加納さん!」
2月のある日。
おじいさんは、杖をつきながらもしっかりと自分の足で歩いて図書館に現れた。
「うわー、とってもお元気そう」
「本当に。良かったですね、加納さん」
谷川や館長も、嬉しそうに声をかける。
「先月退院して、こうしてまたいつもの生活に戻れました。皆さんのお蔭です。本当にありがとうございました」
つき添うおばあさんと一緒に、深々と頭を下げる。
「いえいえ、そんな。加納さんが元気になられて、私達も嬉しいです」
「そうですよ。またいつでもいらしてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
菜乃花はおじいさん達を、カウンターの横の大きなテーブルに案内した。
「ここに座ってくださいね。加納さんの読みたがっていた本、何冊か置いておきます。他にもあれば持って来ますね」
「ありがとう、菜乃花ちゃん」
「いいえ、ごゆっくり」
カウンターに戻り、時折目を向けると、おじいさん達は肩を寄せ合って仲良く本を選んでいる。
(ふふ、良かったなあ)
菜乃花は、しみじみと心の中で呟いた。
◇
季節は少しずつ春へと向かい、厳しい寒さもだんだん和らいでいく。
時折電話で話す有希からも、順調に赤ちゃんが成長していると聞いて、菜乃花は自分のことのように嬉しくなった。
穏やかな毎日を過ごしていたある日、いつものようにカウンター業務をしていた菜乃花は、意外な人物に声をかけられた。
「こんにちは」
「宮瀬さん!」
照れたように笑いながら、颯真が控えめに声をかけてきた。
「4階に本を借りに来たんだけど、思い出して寄ってみたんだ」
「そうなんですね。あ、そう言えば加納さん。以前と同じように、週に一度はここに来られるようになりましたよ」
「そうか、良かった。外来でも、いつも元気そうだよ。すっかり元の生活に戻れたみたいだな」
「はい。本当にありがとうございました」
「こちらこそ。それにしても、なんだか夢いっぱいの空間だね、ここは」
そう言って、ぐるりと辺りを見渡す。
クマやパンダ、コアラにカンガルー、色々な動物を画用紙で作って飾ってある。
絵本の紹介や、子育て情報、他にも子ども達の目を引くような飾りで溢れていた。
カーペットエリアでは、お母さんが子どもを膝の上に座らせ、優しく絵本を読んでいる。
「へえ、あんなに小さな子どもでも、ちゃんと本を読むんだね」
「ええ。もちろん最初は興味がなくて、本をポイッと投げちゃう子もいますけど、根気良く色んな本を読んでいるうちに少しずつ耳を傾けてくれます。一度本が好きになれば、乱暴に扱うこともなくなりますよ」
「そうなんだね。この間、救急で運ばれて来たお子さんを小児科に引き継いでもらったんだけど、入院が長引いて退屈してるんだ。ずっとゲームをやってて、仕方ないのかなって思ってたんだけど」
「まあ、ゲームはみんな好きですよね。その気持ちも分かります。でも一日のうちのほんの少しでも、絵本に触れてくれたら嬉しいな」
そこまで言って、菜乃花はふと気になった。
「宮瀬さんの病院は、図書コーナーあるんですか?」
「ああ。大人向けの図書室と、小児科病棟に絵本のコーナーがあるよ。でも絵本は古いし少ないし、みんなひと通り目を通したら寄りつかなくなっちゃうのが現状かな」
「そうなんですね…」
うーん、と少し考えてから、菜乃花は顔を上げた。
「宮瀬さん。もし良かったら、図書ボランティアをさせていただけませんか?」
「え?図書ボランティア?」
「はい。私の仕事が休みの日に伺って、一度絵本のコーナーを見せていただきたいのですが」
「それはもちろん、大歓迎だよ。以前はうちにもボランティアの方が来てくれてたんだけど、やっぱり長く続けてもらうのは難しくて。でも本当にいいの?」
「はい。取り敢えず一度、お手入れだけでもさせてください」
「分かった。小児科病棟にも伝えておくよ。ありがとう!」
詳しいことはまた後日、ということで、二人は連絡先を交換して別れた。
◇
「こんにちは。これからおはなし会を始めます。みんなプレイルームに来てくださいね」
小児科病棟のマイクを借りて菜乃花が呼びかけると、次々と廊下に子ども達が現れた。
「おはなし会ってなーに?」
「おねえさん、だれ?」
「何しにきたの?」
菜乃花の周りに集まって、質問攻めにする。
「あはは!みんな元気だね」
今日は、図書ボランティアの初日。
まずは絵本コーナーの整理と、1冊読み聞かせをすることにして、菜乃花は颯真と約束した時間にみなと医療センターにやって来た。
みんな楽しんでくれるかな?と思いながら、菜乃花は子ども達を引き連れてプレイルームに行く。
「さあ、ではみんな。靴を脱いで上がってくださいね。初めまして、私の名前は菜乃花です。今日はみんなに絵本を紹介しに来ました」
えほんー?なんのー?おもしろいのー?
口々に尋ねながら、子ども達は菜乃花の近くに座る。
「みんな、この絵本知ってる?」
菜乃花は、小さめの絵本を見せた。
「知らない。何これ?」
「何の絵だと思う?」
「えー?鬼!」「目玉の怪物!」「変なおっさん!」
子ども達の反応に、思わず菜乃花は笑い出す。
「確かに。みんな面白いね!鬼にも、怪物にも、変なおっさんにも見えるけど、これは『だるまさん』です」
「だるまー?!」
声を揃えて子ども達が聞く。
「そう、だるまさんです。顔も面白いけど、やることも面白いの。見ててね」
そう言って菜乃花は、歌いながらページをめくる。
「だーるまさん。だーるまさん。だーるまさんが、アッカンベー」
「ぎゃはは!何この顔!」
「変なのー!」
大きな目をギョロッとさせながら、ベーッと舌を出した赤いだるまの絵に、子ども達は指を差して笑う。
「次はどんな顔かな?だーるまさん。だーるまさん。だーるまさんが…知らんぷり」
「ええー?!」
「あはは!」
予想外の展開と、腕を組んでツーンと澄ました顔のだるまに、またみんな笑い転げる。
「まだあるよ。だーるまさん。だーるまさん…」
すると子ども達も菜乃花の声に合わせて、だーるまさん、だーるまさん、と歌い出す。
「だーるまさんが、おしりでボーン!」
「きゃははは!」
お尻を突き出して、もう一人のだるまをボーンと弾き飛ばす絵に、女の子がお腹を抱えて笑う。
次のページをめくる頃には、みんな、だーるまさん!だーるまさん!と元気に歌ってくれた。
「あー、面白かった!」
「あの顔、変だったね!」
絵本を読み終えると、子ども達は顔を見合わせて話し出す。
「みんな、楽しかった?」
「うん!」
「じゃあ、またおはなし会やるから、楽しみにしててね」
「はーい!」
子ども達は楽しそうに、だーるまさん!と歌いながら、病室に戻って行った。
◇
「お疲れ様」
「宮瀬さん!」
絵本を片付けていると、白衣姿の颯真が近づいてきた。
「子ども達、楽しそうだったね」
「え、やだ!見てたんですか?」
「うん。だって凄い盛り上がりようだったから、気になって」
「お恥ずかしい…」
子ども達の前では大げさに面白おかしくやってみせるのだが、冷静に大人に見られていたのかと思うと、急に恥ずかしくなる。
「小児科の看護師長も喜んでたよ。子ども達、みんな楽しそうだったから、また来て欲しいって」
「そうなんですね。じゃあ、またお邪魔します」
「ありがとう。でも無理しないでね」
「はい。あと、このコーナーに何冊か絵本を持って来て置いておきますね」
「助かるよ、ありがとう」
「いいえ」
その時「先生、ちょっといいですか?」とナースが颯真を呼びに来た。
「今行きます。それじゃあ、また」
「はい。失礼します」
菜乃花が見送っていると、ナースステーションの前を通り過ぎる颯真を、カウンターの中から数人のナースが次々と目で追っている。
(さざ波の颯真、だっけ?)
有希のセリフを思い出して苦笑いする。
そして古い絵本を補強し、綺麗に並べて見やすくしてから、菜乃花は病院をあとにした。
◇
「やあ、君だったんだね。やっと会えた」
何度目かの図書ボランティアの日、持ってきた絵本を並べていると、後ろから声をかけられた。
白衣を着た優しそうな男性が微笑んで立っている。
「子ども達が面白い絵本のことを話してくれたんだよ。それにこのコーナー、見違える程可愛らしくなってる。ずっとお礼を言いたかったんだ。ありがとう」
菜乃花は立ち上がると、向き合って自己紹介をする。
「初めまして。中央図書館で司書をしている鈴原と申します」
「初めまして。小児科医の三浦です。司書さんだったのか。ますますありがたいな。宮瀬先生のお知り合いなんだって?」
「はい、そうです」
そんなことを話していると、男の子がやって来た。
「あ、なのか!今日おはなし会?」
「うん、そうだよ」
すると三浦が男の子の前にかがんで言う。
「まさるくん、女の人を呼び捨てにしていいのは恋人だけだよ」
「えー、じゃあ先生は、なのかって呼んでるの?」
「呼んでないよ。今会ったばかりだし」
「じゃあ先生がなのかって呼んだら、恋人になったってことだよな?」
「ならないよ。やれやれ…」
三浦は苦笑いして立ち上がる。
「先生、人気者なんですね」
菜乃花がクスクス笑って言う。
「どうだろう?軽く見られてる気もするけど」
「そんなことないと思いますよ」
二人の会話に、男の子が菜乃花の手を引っ張りながら割って入る。
「ねえ、今日は何のおはなし?」
「今日はね、紙芝居なんだ」
「えっ!紙芝居?オレ、みんなを呼んでくる」
おーい、走っちゃダメだぞーという三浦の声を背に、男の子は病室に戻って行った。
「ごめんね、失礼な態度で」
「ちっともそんなことないですよ。みんな明るくて可愛いです」
「そう言ってもらえると助かるよ。あの子達やっぱり病気や怪我で色々我慢してるから、俺もつい甘くなってしまって」
「そうですよね。ほんの少しの間でも、絵本を読んで楽しい気持ちになってくれたらいいなと思います」
「ありがとう。今日は俺も少し時間があるんだ。一緒に見させてもらってもいいかな?」
「えっ!」
途端に菜乃花は真顔になる。
「そ、それはちょっと…」
「ん?どうして?」
「いえ、あの。冷静に大人の方に見られると恥ずかしくて…」
「そうなの?じゃあ、隠れてこっそり見るから」
「それも困ります!あ、それなら先生も参加していただけませんか?」
「は?俺も?」
今度は、三浦が真顔に戻った。
「はい。今日の紙芝居、王子様とお姫様のお話なんです。先生、王子様のセリフを読んでいただけませんか?子ども達もきっと喜びます」
「ええー?!そんな。出来るかな?」
「もちろん!」
その時、男の子が大勢の子ども達と一緒に戻ってきた。
「なのかおねえさん、こんにちはー!」
「こんにちは。みんな揃ったかな?」
「うん。今日は紙芝居なの?」
「そうよ。じゃあ早速始めましょう」
菜乃花がプレイマットの上に正座すると、子ども達も慣れたように近くに集まって座る。
菜乃花は三浦を手招きして、隣に座ってもらった。
「あれ?しんじ先生もやるの?」
「え、いや、あの」
「そうなの。みんなも先生を応援してあげてね」
菜乃花がそう言うと、子ども達は盛り上がる。
「うわー、先生できるの?」
「がんばって!しんじ先生」
「あ、ああ。うん。がんばるよ」
クスッと笑って、菜乃花は早速大きな紙芝居を膝に載せた。
「ではみんな、始まるよ。むかーしむかし。ある国に、きれいなお姫様が住んでいました」
子ども達は静かに絵を見ながら菜乃花の話に聞き入る。
「ある日、隣の国の王子様がやって来て、お城の前を通りかかりました。すると、美しい歌声が聴こえてきます」
そこまで読むと、菜乃花は隣の三浦に目配せする。
ん?という顔をしてから、菜乃花が指を差しているセリフに目を落とす。
「えっと…。『おお、なんと美しい歌声なのだろう。いったい誰が歌っているのだ?』」
たどたどしい読み方に、子ども達は、あはは!と笑う。
「しんじ先生、王子様なんだから。かっこよくね」
「あ、うん。えー、『美しい姫君。あなたなのですか?』」
菜乃花は、ふふっと笑ってから話を続ける。
「お城の窓から顔を出していたお姫様は、恥ずかしくて隠れてしまいました」
「え、あ、俺?えっと『待ってください、姫君!せめてお名前だけでも!』」
慣れてきたのか、だんだん感情がこもってくる。
だが、子ども達はおかしそうに笑った。
「しんじ先生、フラレちゃったの?」
「あーあ、もったいない」
「そんなこと言われたって…」
子ども達の言葉に、三浦はタジタジになる。
「王子様は、なんとかしてもう一度お姫様に会おうとしました。けれど、どんなに声をかけてもお姫様は現れてくれません」
菜乃花が先を読み進めると、子ども達は更に三浦に詰め寄る。
「先生、そんなんじゃダメだよ」
「そうよ。もっと強引にいかなきゃ」
「え、ええー?!俺のせいなの?」
どちらが子どもか分からない。
大人びた子ども達に、三浦は更に眉根を寄せる。
「そこで王子様は、思いつきました。『そうだ!この竪琴を持っていこう!』そしてお城の下に来ると、綺麗な音色で竪琴を弾き始めました。するとどうでしょう。王子様の弾く音に合わせて、美しい歌声が響いてきました」
「えっと、『姫君、やはりあなただったのですね?』」
「窓から顔を出したお姫様は、王子様に頷きました。『あなたの弾く竪琴は、なんて綺麗な音色なのでしょう。もっと聴かせてくださいな』」
『あなたの為なら、いくらでも』
「王子様はまた竪琴を弾き始め、お姫様も歌い出します。美しい音は国のあちこちまで響き渡り、人々の心を明るくしました。鳥も、花も、森も。みんなが幸せに包み込まれ、国は平和になりました」
『姫君、どうか私と結婚してくれませんか?私はいつまでも、あなたと一緒に暮らしていきたいのです』
『はい。私もあなたの音色をいつまでも聴いていたいです』
「こうして二人は結婚しました。二つの国は一つになり、いつまでも平和に暮らしました。綺麗な二人の音色と共に…。おしまい」
わあ!と子ども達が拍手する。
「やったね!しんじ先生」
「プロポーズ、大成功だね!」
「あ、ああ、うん。フラレなくて良かったよ。あはは…」
照れたように笑う三浦に、菜乃花も微笑む。
「先生、ありがとうございました」
「いやー、オペより緊張したよ」
「え、そんなに?!」
「うん。慣れないことはするもんじゃないな」
「ふふ。そうおっしゃらずに、またお願いします」
子ども達も「そうだよー。先生、またやってね!」と口々に言う。
「うーん、そうだな。みんなもがんばってるし、先生もがんばるか!」
「うん」
「やったー!」
子ども達は菜乃花と三浦の周りをぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。
「ほら、はしゃぎ過ぎないようにな。そろそろみんなベッドに戻ろう」
「はーい!」
ナースステーションの前を通って、ワイワイと病室に戻る子ども達を、颯真は看護師長と一緒に見守っていた。
「子ども達、今日も楽しそうでしたね。今までは自分のベッドでゲームに夢中だったのに、おはなし会がきっかけでみんな仲良くなったんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ。宮瀬先生、良い方を紹介してくれたわ。あら?今日は声かけなくていいんですか?」
帰り支度を始める菜乃花を見て、師長が颯真を促す。
「あ、ええ。特に用事もないので」
そう言うと、颯真は師長に会釈してナースステーションをあとにした。
菜乃花に気づかれないよう、こっそりエレベーターに向かいながら、颯真は自己嫌悪に陥る。
たとえ用がなくても、今日もありがとうと声くらいかけるべきだろう。
それに颯真は今日、ボランティアのお礼として菜乃花を食事にでも誘おうと思っていた。
師長から、菜乃花が何度も来てくれているのは聞いていたが、なかなか時間が合わず、おはなし会を見に来られたのは今日で2度目だった。
子ども達の楽しそうな様子を微笑ましく見ていたのだが、途中からどうにも違う方に気を取られてしまっていた。
(彼女、三浦先生とあんなに仲良さそうに…)
とてもお似合いの二人だと思った。
一生懸命に紙芝居を読む三浦を見守る菜乃花は、屈託のない笑顔を浮かべ、穏やかで優しい雰囲気だった。
三浦は3つ年上の独身で、誰もが認める腕の良い小児科医。
後輩の自分の質問にも丁寧に答えてくれるし、向こうからも気さくに話しかけてくれる。
子ども達や保護者、そしてナースからの信頼も厚く、さわやかな笑顔で職員の女の子達を虜にしていた。
(彼女も、三浦先生みたいな人が好きなのかな。恋人にはあんなふうに微笑むのだろうか)
そう思った時、ふいに以前から気になっていたことを思い出す。
ふとした時に見せる、菜乃花の哀しげな表情。
(いや、あの表情こそ、彼女が恋しい人を想っている時の顔…)
あれはきっと、そう。
春樹を想っていたに違いない。
そう気づいた途端、颯真は急に心に影が射し込んだ気がした。
「加納さん!」
2月のある日。
おじいさんは、杖をつきながらもしっかりと自分の足で歩いて図書館に現れた。
「うわー、とってもお元気そう」
「本当に。良かったですね、加納さん」
谷川や館長も、嬉しそうに声をかける。
「先月退院して、こうしてまたいつもの生活に戻れました。皆さんのお蔭です。本当にありがとうございました」
つき添うおばあさんと一緒に、深々と頭を下げる。
「いえいえ、そんな。加納さんが元気になられて、私達も嬉しいです」
「そうですよ。またいつでもいらしてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
菜乃花はおじいさん達を、カウンターの横の大きなテーブルに案内した。
「ここに座ってくださいね。加納さんの読みたがっていた本、何冊か置いておきます。他にもあれば持って来ますね」
「ありがとう、菜乃花ちゃん」
「いいえ、ごゆっくり」
カウンターに戻り、時折目を向けると、おじいさん達は肩を寄せ合って仲良く本を選んでいる。
(ふふ、良かったなあ)
菜乃花は、しみじみと心の中で呟いた。
◇
季節は少しずつ春へと向かい、厳しい寒さもだんだん和らいでいく。
時折電話で話す有希からも、順調に赤ちゃんが成長していると聞いて、菜乃花は自分のことのように嬉しくなった。
穏やかな毎日を過ごしていたある日、いつものようにカウンター業務をしていた菜乃花は、意外な人物に声をかけられた。
「こんにちは」
「宮瀬さん!」
照れたように笑いながら、颯真が控えめに声をかけてきた。
「4階に本を借りに来たんだけど、思い出して寄ってみたんだ」
「そうなんですね。あ、そう言えば加納さん。以前と同じように、週に一度はここに来られるようになりましたよ」
「そうか、良かった。外来でも、いつも元気そうだよ。すっかり元の生活に戻れたみたいだな」
「はい。本当にありがとうございました」
「こちらこそ。それにしても、なんだか夢いっぱいの空間だね、ここは」
そう言って、ぐるりと辺りを見渡す。
クマやパンダ、コアラにカンガルー、色々な動物を画用紙で作って飾ってある。
絵本の紹介や、子育て情報、他にも子ども達の目を引くような飾りで溢れていた。
カーペットエリアでは、お母さんが子どもを膝の上に座らせ、優しく絵本を読んでいる。
「へえ、あんなに小さな子どもでも、ちゃんと本を読むんだね」
「ええ。もちろん最初は興味がなくて、本をポイッと投げちゃう子もいますけど、根気良く色んな本を読んでいるうちに少しずつ耳を傾けてくれます。一度本が好きになれば、乱暴に扱うこともなくなりますよ」
「そうなんだね。この間、救急で運ばれて来たお子さんを小児科に引き継いでもらったんだけど、入院が長引いて退屈してるんだ。ずっとゲームをやってて、仕方ないのかなって思ってたんだけど」
「まあ、ゲームはみんな好きですよね。その気持ちも分かります。でも一日のうちのほんの少しでも、絵本に触れてくれたら嬉しいな」
そこまで言って、菜乃花はふと気になった。
「宮瀬さんの病院は、図書コーナーあるんですか?」
「ああ。大人向けの図書室と、小児科病棟に絵本のコーナーがあるよ。でも絵本は古いし少ないし、みんなひと通り目を通したら寄りつかなくなっちゃうのが現状かな」
「そうなんですね…」
うーん、と少し考えてから、菜乃花は顔を上げた。
「宮瀬さん。もし良かったら、図書ボランティアをさせていただけませんか?」
「え?図書ボランティア?」
「はい。私の仕事が休みの日に伺って、一度絵本のコーナーを見せていただきたいのですが」
「それはもちろん、大歓迎だよ。以前はうちにもボランティアの方が来てくれてたんだけど、やっぱり長く続けてもらうのは難しくて。でも本当にいいの?」
「はい。取り敢えず一度、お手入れだけでもさせてください」
「分かった。小児科病棟にも伝えておくよ。ありがとう!」
詳しいことはまた後日、ということで、二人は連絡先を交換して別れた。
◇
「こんにちは。これからおはなし会を始めます。みんなプレイルームに来てくださいね」
小児科病棟のマイクを借りて菜乃花が呼びかけると、次々と廊下に子ども達が現れた。
「おはなし会ってなーに?」
「おねえさん、だれ?」
「何しにきたの?」
菜乃花の周りに集まって、質問攻めにする。
「あはは!みんな元気だね」
今日は、図書ボランティアの初日。
まずは絵本コーナーの整理と、1冊読み聞かせをすることにして、菜乃花は颯真と約束した時間にみなと医療センターにやって来た。
みんな楽しんでくれるかな?と思いながら、菜乃花は子ども達を引き連れてプレイルームに行く。
「さあ、ではみんな。靴を脱いで上がってくださいね。初めまして、私の名前は菜乃花です。今日はみんなに絵本を紹介しに来ました」
えほんー?なんのー?おもしろいのー?
口々に尋ねながら、子ども達は菜乃花の近くに座る。
「みんな、この絵本知ってる?」
菜乃花は、小さめの絵本を見せた。
「知らない。何これ?」
「何の絵だと思う?」
「えー?鬼!」「目玉の怪物!」「変なおっさん!」
子ども達の反応に、思わず菜乃花は笑い出す。
「確かに。みんな面白いね!鬼にも、怪物にも、変なおっさんにも見えるけど、これは『だるまさん』です」
「だるまー?!」
声を揃えて子ども達が聞く。
「そう、だるまさんです。顔も面白いけど、やることも面白いの。見ててね」
そう言って菜乃花は、歌いながらページをめくる。
「だーるまさん。だーるまさん。だーるまさんが、アッカンベー」
「ぎゃはは!何この顔!」
「変なのー!」
大きな目をギョロッとさせながら、ベーッと舌を出した赤いだるまの絵に、子ども達は指を差して笑う。
「次はどんな顔かな?だーるまさん。だーるまさん。だーるまさんが…知らんぷり」
「ええー?!」
「あはは!」
予想外の展開と、腕を組んでツーンと澄ました顔のだるまに、またみんな笑い転げる。
「まだあるよ。だーるまさん。だーるまさん…」
すると子ども達も菜乃花の声に合わせて、だーるまさん、だーるまさん、と歌い出す。
「だーるまさんが、おしりでボーン!」
「きゃははは!」
お尻を突き出して、もう一人のだるまをボーンと弾き飛ばす絵に、女の子がお腹を抱えて笑う。
次のページをめくる頃には、みんな、だーるまさん!だーるまさん!と元気に歌ってくれた。
「あー、面白かった!」
「あの顔、変だったね!」
絵本を読み終えると、子ども達は顔を見合わせて話し出す。
「みんな、楽しかった?」
「うん!」
「じゃあ、またおはなし会やるから、楽しみにしててね」
「はーい!」
子ども達は楽しそうに、だーるまさん!と歌いながら、病室に戻って行った。
◇
「お疲れ様」
「宮瀬さん!」
絵本を片付けていると、白衣姿の颯真が近づいてきた。
「子ども達、楽しそうだったね」
「え、やだ!見てたんですか?」
「うん。だって凄い盛り上がりようだったから、気になって」
「お恥ずかしい…」
子ども達の前では大げさに面白おかしくやってみせるのだが、冷静に大人に見られていたのかと思うと、急に恥ずかしくなる。
「小児科の看護師長も喜んでたよ。子ども達、みんな楽しそうだったから、また来て欲しいって」
「そうなんですね。じゃあ、またお邪魔します」
「ありがとう。でも無理しないでね」
「はい。あと、このコーナーに何冊か絵本を持って来て置いておきますね」
「助かるよ、ありがとう」
「いいえ」
その時「先生、ちょっといいですか?」とナースが颯真を呼びに来た。
「今行きます。それじゃあ、また」
「はい。失礼します」
菜乃花が見送っていると、ナースステーションの前を通り過ぎる颯真を、カウンターの中から数人のナースが次々と目で追っている。
(さざ波の颯真、だっけ?)
有希のセリフを思い出して苦笑いする。
そして古い絵本を補強し、綺麗に並べて見やすくしてから、菜乃花は病院をあとにした。
◇
「やあ、君だったんだね。やっと会えた」
何度目かの図書ボランティアの日、持ってきた絵本を並べていると、後ろから声をかけられた。
白衣を着た優しそうな男性が微笑んで立っている。
「子ども達が面白い絵本のことを話してくれたんだよ。それにこのコーナー、見違える程可愛らしくなってる。ずっとお礼を言いたかったんだ。ありがとう」
菜乃花は立ち上がると、向き合って自己紹介をする。
「初めまして。中央図書館で司書をしている鈴原と申します」
「初めまして。小児科医の三浦です。司書さんだったのか。ますますありがたいな。宮瀬先生のお知り合いなんだって?」
「はい、そうです」
そんなことを話していると、男の子がやって来た。
「あ、なのか!今日おはなし会?」
「うん、そうだよ」
すると三浦が男の子の前にかがんで言う。
「まさるくん、女の人を呼び捨てにしていいのは恋人だけだよ」
「えー、じゃあ先生は、なのかって呼んでるの?」
「呼んでないよ。今会ったばかりだし」
「じゃあ先生がなのかって呼んだら、恋人になったってことだよな?」
「ならないよ。やれやれ…」
三浦は苦笑いして立ち上がる。
「先生、人気者なんですね」
菜乃花がクスクス笑って言う。
「どうだろう?軽く見られてる気もするけど」
「そんなことないと思いますよ」
二人の会話に、男の子が菜乃花の手を引っ張りながら割って入る。
「ねえ、今日は何のおはなし?」
「今日はね、紙芝居なんだ」
「えっ!紙芝居?オレ、みんなを呼んでくる」
おーい、走っちゃダメだぞーという三浦の声を背に、男の子は病室に戻って行った。
「ごめんね、失礼な態度で」
「ちっともそんなことないですよ。みんな明るくて可愛いです」
「そう言ってもらえると助かるよ。あの子達やっぱり病気や怪我で色々我慢してるから、俺もつい甘くなってしまって」
「そうですよね。ほんの少しの間でも、絵本を読んで楽しい気持ちになってくれたらいいなと思います」
「ありがとう。今日は俺も少し時間があるんだ。一緒に見させてもらってもいいかな?」
「えっ!」
途端に菜乃花は真顔になる。
「そ、それはちょっと…」
「ん?どうして?」
「いえ、あの。冷静に大人の方に見られると恥ずかしくて…」
「そうなの?じゃあ、隠れてこっそり見るから」
「それも困ります!あ、それなら先生も参加していただけませんか?」
「は?俺も?」
今度は、三浦が真顔に戻った。
「はい。今日の紙芝居、王子様とお姫様のお話なんです。先生、王子様のセリフを読んでいただけませんか?子ども達もきっと喜びます」
「ええー?!そんな。出来るかな?」
「もちろん!」
その時、男の子が大勢の子ども達と一緒に戻ってきた。
「なのかおねえさん、こんにちはー!」
「こんにちは。みんな揃ったかな?」
「うん。今日は紙芝居なの?」
「そうよ。じゃあ早速始めましょう」
菜乃花がプレイマットの上に正座すると、子ども達も慣れたように近くに集まって座る。
菜乃花は三浦を手招きして、隣に座ってもらった。
「あれ?しんじ先生もやるの?」
「え、いや、あの」
「そうなの。みんなも先生を応援してあげてね」
菜乃花がそう言うと、子ども達は盛り上がる。
「うわー、先生できるの?」
「がんばって!しんじ先生」
「あ、ああ。うん。がんばるよ」
クスッと笑って、菜乃花は早速大きな紙芝居を膝に載せた。
「ではみんな、始まるよ。むかーしむかし。ある国に、きれいなお姫様が住んでいました」
子ども達は静かに絵を見ながら菜乃花の話に聞き入る。
「ある日、隣の国の王子様がやって来て、お城の前を通りかかりました。すると、美しい歌声が聴こえてきます」
そこまで読むと、菜乃花は隣の三浦に目配せする。
ん?という顔をしてから、菜乃花が指を差しているセリフに目を落とす。
「えっと…。『おお、なんと美しい歌声なのだろう。いったい誰が歌っているのだ?』」
たどたどしい読み方に、子ども達は、あはは!と笑う。
「しんじ先生、王子様なんだから。かっこよくね」
「あ、うん。えー、『美しい姫君。あなたなのですか?』」
菜乃花は、ふふっと笑ってから話を続ける。
「お城の窓から顔を出していたお姫様は、恥ずかしくて隠れてしまいました」
「え、あ、俺?えっと『待ってください、姫君!せめてお名前だけでも!』」
慣れてきたのか、だんだん感情がこもってくる。
だが、子ども達はおかしそうに笑った。
「しんじ先生、フラレちゃったの?」
「あーあ、もったいない」
「そんなこと言われたって…」
子ども達の言葉に、三浦はタジタジになる。
「王子様は、なんとかしてもう一度お姫様に会おうとしました。けれど、どんなに声をかけてもお姫様は現れてくれません」
菜乃花が先を読み進めると、子ども達は更に三浦に詰め寄る。
「先生、そんなんじゃダメだよ」
「そうよ。もっと強引にいかなきゃ」
「え、ええー?!俺のせいなの?」
どちらが子どもか分からない。
大人びた子ども達に、三浦は更に眉根を寄せる。
「そこで王子様は、思いつきました。『そうだ!この竪琴を持っていこう!』そしてお城の下に来ると、綺麗な音色で竪琴を弾き始めました。するとどうでしょう。王子様の弾く音に合わせて、美しい歌声が響いてきました」
「えっと、『姫君、やはりあなただったのですね?』」
「窓から顔を出したお姫様は、王子様に頷きました。『あなたの弾く竪琴は、なんて綺麗な音色なのでしょう。もっと聴かせてくださいな』」
『あなたの為なら、いくらでも』
「王子様はまた竪琴を弾き始め、お姫様も歌い出します。美しい音は国のあちこちまで響き渡り、人々の心を明るくしました。鳥も、花も、森も。みんなが幸せに包み込まれ、国は平和になりました」
『姫君、どうか私と結婚してくれませんか?私はいつまでも、あなたと一緒に暮らしていきたいのです』
『はい。私もあなたの音色をいつまでも聴いていたいです』
「こうして二人は結婚しました。二つの国は一つになり、いつまでも平和に暮らしました。綺麗な二人の音色と共に…。おしまい」
わあ!と子ども達が拍手する。
「やったね!しんじ先生」
「プロポーズ、大成功だね!」
「あ、ああ、うん。フラレなくて良かったよ。あはは…」
照れたように笑う三浦に、菜乃花も微笑む。
「先生、ありがとうございました」
「いやー、オペより緊張したよ」
「え、そんなに?!」
「うん。慣れないことはするもんじゃないな」
「ふふ。そうおっしゃらずに、またお願いします」
子ども達も「そうだよー。先生、またやってね!」と口々に言う。
「うーん、そうだな。みんなもがんばってるし、先生もがんばるか!」
「うん」
「やったー!」
子ども達は菜乃花と三浦の周りをぴょんぴょん跳ねて喜ぶ。
「ほら、はしゃぎ過ぎないようにな。そろそろみんなベッドに戻ろう」
「はーい!」
ナースステーションの前を通って、ワイワイと病室に戻る子ども達を、颯真は看護師長と一緒に見守っていた。
「子ども達、今日も楽しそうでしたね。今までは自分のベッドでゲームに夢中だったのに、おはなし会がきっかけでみんな仲良くなったんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ。宮瀬先生、良い方を紹介してくれたわ。あら?今日は声かけなくていいんですか?」
帰り支度を始める菜乃花を見て、師長が颯真を促す。
「あ、ええ。特に用事もないので」
そう言うと、颯真は師長に会釈してナースステーションをあとにした。
菜乃花に気づかれないよう、こっそりエレベーターに向かいながら、颯真は自己嫌悪に陥る。
たとえ用がなくても、今日もありがとうと声くらいかけるべきだろう。
それに颯真は今日、ボランティアのお礼として菜乃花を食事にでも誘おうと思っていた。
師長から、菜乃花が何度も来てくれているのは聞いていたが、なかなか時間が合わず、おはなし会を見に来られたのは今日で2度目だった。
子ども達の楽しそうな様子を微笑ましく見ていたのだが、途中からどうにも違う方に気を取られてしまっていた。
(彼女、三浦先生とあんなに仲良さそうに…)
とてもお似合いの二人だと思った。
一生懸命に紙芝居を読む三浦を見守る菜乃花は、屈託のない笑顔を浮かべ、穏やかで優しい雰囲気だった。
三浦は3つ年上の独身で、誰もが認める腕の良い小児科医。
後輩の自分の質問にも丁寧に答えてくれるし、向こうからも気さくに話しかけてくれる。
子ども達や保護者、そしてナースからの信頼も厚く、さわやかな笑顔で職員の女の子達を虜にしていた。
(彼女も、三浦先生みたいな人が好きなのかな。恋人にはあんなふうに微笑むのだろうか)
そう思った時、ふいに以前から気になっていたことを思い出す。
ふとした時に見せる、菜乃花の哀しげな表情。
(いや、あの表情こそ、彼女が恋しい人を想っている時の顔…)
あれはきっと、そう。
春樹を想っていたに違いない。
そう気づいた途端、颯真は急に心に影が射し込んだ気がした。
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