フィオナの運命

葉月 まい

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友好な国同士

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案内された豪華な客間で少し休憩すると、晩餐会の為にドレスを着替える。

「フィオナ様、薄紅色のこちらのドレスはいかがですか? 髪もふんわり巻いて、キュートな感じに仕上げたいのですが」

張り切るローラに、フィオナは頷くしかない。

「ええ、お任せするわ」
「かしこまりました!」

パススリーブのドレスに着替えると、ローラは早速フィオナの髪を巻いてハーフアップに整える。

キラキラと輝く髪飾りやアクセサリーも着けると、ローラは満足そうに笑顔を浮かべた。

「とっても可愛らしいです。さ、早くルシアス様に見ていただきましょう」

ローラに手を引かれて、フィオナはルシアスが待つ隣の部屋へと向かった。



「フィオナ」

ルシアスはフィオナをひと目見るなり、頬を緩めて笑いかけた。

「どうしてそんなに可愛いんだ。参ったな……」
「はい? なにがでしょう」

キョトンとするフィオナに、ルシアスは真顔で答える。

「晩餐会には行かず、そなたを独り占めしたい。1時間くらいなら遅刻してもいいかな」
「いけませんよ! ほら、まいりましょう」

慌ててルシアスと腕を組んで身を寄せると、ルシアスは嬉しそうにフィオナの肩を抱き寄せた。

「フィオナ、愛してる」
「えっ、ちょっ、あの、いきなりなにを?」

フィオナは、後ろに控えているローラとユーリを気にして慌てふためく。

「いきなりじゃない。いつもどんな時も、そなただけを愛している」
「は、はい。分かりましたから、まいりましょう」
「フィオナは? そなたの気持ちも聞かせてほしい」

甘い視線で見つめられ、フィオナは真っ赤になった。

「あの、こんなところで、そんな……」
「では二人きりになれる寝室に行こうか」
「だめです! もう、分かりましたから。わたくしも、その、ルシアス様を、愛しております」

恥ずかしさにうつむきながら小さく答えると、ルシアスはクスッと笑ってからフィオナの耳元でささやいた。

「ありがとう。可愛い俺のフィオナ」

さり気なくチュッと頬にキスを落としてから、ルシアスは涼しい顔で歩き始める。

フィオナは顔を上げられずに、ルシアスに寄り添ったまま手を引かれていた。



晩餐会の準備が整えられた大広間に行くと、サージャリーがにこやかにテーブルに二人を促した。

「それでは、アレクシア王国と我がジャイラ共和国の友好を祈念して、乾杯!」

乾杯!とグラスを掲げてから、早速豪華な料理を味わう。

「ジャイラは海に面しているので、魚介が豊富なんですよ」
「そうなのですね。このスープもとても美味しいです」

すっかり打ち解けたサージャリーと和やかに食事を終えると、それまでクラシカルな曲を演奏していた弦楽四重奏曲が、アレクシアに伝わるポルカを奏で始めた。

「まあ、この曲を?」
「はい、歓迎の気持ちを込めて」
「ありがとうございます」

笑顔を浮かべるフィオナに、サージャリーは続ける。

「ジャイラにも、市民の間で古くから伝えられているフォークダンスがありますが、アレクシア王国は、今でもこのポルカを?」
「ええ。季節のお祭りの際には、村人達が輪になって踊ります。誰もが大切にしている伝統ですわ」
「いいですね。よろしければ踊りを教えていただけませんか?」

そう言ってサージャリーは立ち上がる。

フィオナも立ち上がり、ローラと向かい合ってお辞儀をしてから、スカートをつまんで踊り始めた。

サージャリーの前にはユーリが立ち、ポルカに合わせて簡単なステップを踏む。

「なるほど、これは楽しいな」

明るく軽快な曲調に合わせて、弾むようにステップを踏み、手を繋いでクルリと回る。

サージャリーもすぐに振りを覚えて、四人で楽しく踊った。

ジャン!と曲が終わると、笑顔で互いに手を叩く。

「いやー、楽しかった。ありがとうございます、フィオナ様」
「こちらこそ、ありがとうございました」

するとルシアスが近づいて来て、胸に手を当てながらフィオナに笑いかけた。

「フィオナ、次は俺と踊ってくれるか?」
「え? はい」

二人で向かい合ってお辞儀をすると、ルシアスはグッとフィオナのウエストを抱き寄せ、流れてきた優美なワルツに合わせてステップを踏む。

フィオナも頬をほんのりピンクに染めながら、ルシアスに寄り添って踊り始めた。

「フィオナ、ダンスも上手いな」
「いえ、そんな。ローラが教えてくれたのです」
「そうか。ではこれからは、俺と踊ってほしい」
「はい」

そっと視線を上げるフィオナに、ルシアスは優しく微笑む。

二人をうっとりと見守る侍女達から、感嘆のため息がもれた。

「素敵ねえ、おとぎ話の王子様とお姫様みたい」

それを聞いて、ローラが得意気に笑いかける。

「あら。ルシアス様とフィオナ様は、正真正銘アレクシア王国のプリンスとプリンセスよ」
「確かにそうね。いいなあ、王子様。ジャイラには、変なオヤジの王族しかいなかったのよ」

ローラは思わず吹き出した。

「変なオヤジって……。いくら王族でも、慕われなければ意味がないわね」
「そうなのよ。でもルシアス様は、国民に慕われていらっしゃるのでしょう?」
「もちろんよ。フィオナ様との結婚を、国民の誰もが心待ちにしているわ」
「ロイヤルウェディングね、素敵! ひと目だけでも拝見したいわ」
「それなら、アレクシアに遊びに来て」
「え、いいの?」
「もちろん。だって私達、友好条約を結んだ国同士でしょ?」

茶目っ気たっぷりにウインクするローラに、ジャイラの侍女達も嬉しそうに頷いていた。
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