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必ずやり遂げてみせる
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翌朝も、九時に礼央が迎えに来て一緒に霞が関に向かう。
「今朝はホットサンドにしてみました。あとで矢島さんと一緒に食べてください。ハムとチーズ、照り焼きチキンとマスタード、トマトとコールスローのサンドです」
「へえ。名前だけで既にうまそう」
「ぐふっ……」
吹き出しそうになるのをこらえて、変な声を出してしまう。
(名前だけでうまそうって。ふふっ)
ちなみに夕べ寝る前に「寝ます!」とメッセージを送ると「了解」と返事がきた。
(それもきっと、朝比奈さんにとっては大真面目なのよね。教えてあげる? 寝る前には『おやすみなさい』って挨拶するんですよって)
でもおもしろいからそのままにしようと思い、凜香はまた笑いをこらえていた。
◇
「おはようございます、矢島さん」
いつもの相談室に入ると、パソコンに向かっていた矢島が顔を上げる。
「おはよう、深月さん。今日もオシャレだね」
「あ、えっと。私のチョイスではないんですけど」
「似合ってるよ。新鮮だな、深月さんのワンピース姿」
今日は上がオフショルダー、下がプリーツスカートのドッキングワンピースだった。
ウエストの高い位置で切り替わった、水色のスカートが夏らしい。
「矢島さん、朝食をどうぞ」
「え、今日も作って来てくれたの? 嬉しいなあ、ありがとう。夕べの夜食も美味しかったよ」
「よかったです。夏バテしないように気をつけてくださいね」
並んで座った矢島と礼央の前に、凜香はホットサンドとスープやサラダを並べる。
二人ともあっという間に平らげた。
◇
「深月さん、今日はこれからの捜査方針を説明してもいいかな」
「はい、お願いします」
食事のあと、真剣な表情で切り出した矢島に、凜香も気を引き締める。
「まず、黒岩副社長には共犯者がいる。それは間違いない。我々はこれから黒岩副社長の横領と共犯者の悪事を暴き、証拠を手に入れる」
思わず凛香は、ゴクリと喉を鳴らした。
礼央も視線を伏せてじっと矢島の言葉に耳を傾けている。
「これはあくまで我々の推察に過ぎないけれど、おそらく黒岩副社長はその共犯者と一度社内で会った。副社長の横領をごまかすため、とかなんとか言って、その共犯者は副社長が社内ネットワークに繋いだパソコンにUSBメモリを差し込んだ可能性がある。そのUSBには、経理システムに侵入するバックドアをインストールするプログラムが仕込まれていた」
「バックドア、ですか?」
「そう、つまり裏口ってわけ。以降その共犯者はその裏口を使って、遠隔操作で経理システムに侵入。送金データの改ざん、帳簿のすり替え、ログの消去などを離れた場所で実行していたと思われる」
凛香は息を呑んで、しばし呆然とする。
「そんな……。では例えば自宅から深夜にこっそり操作して改ざんできる、ということですか?」
「その通りです」
「なんてこと……。犯人は安全な場所で、のうのうとそんなことを? 捕まえようがないんじゃ……」
「いや、捕まえてみせる」
矢島は力を込めてきっぱりと告げた。
そして凛香と真っすぐ視線を合わせる。
「それにはあなたの協力が必要です、深月さん」
「私に……なにができますか?」
「あなたのパソコンを社内ネットワークに繋いでほしい。それだけだ」
「……え? たったそれだけでいいのですか?」
「そう。あとは俺が全てやります。だけど、たったそれだけというほど容易なことだとは思わないでほしい。それを実行するのは、深夜のオフィスの地下駐車場だから」
凛香は目をしばたたかせて首をひねった。
「深夜の、地下駐車場で? どうしてそんな……」
「証拠を押さえるために経理システムに侵入すれば、犯人やセキュリティーシステムの管理人に気づかれる可能性がある。なるべく目立たないよう、深夜に行いたい。だけど社内ネットワークに繋ぐにはオフィスに行くしかない。それに黒岩の息がどこまでかかっているかわからない以上、警備員も欺く必要がある。見つかりにくい地下駐車場が最適だと判断しました。あなたには朝比奈検事が付き添います。本当なら、こんな危険なことには巻き込みたくない。だけどワンアクトの社用パソコンは、フェイスIDでロックを解除する必要がある。あなたのパソコンだけを借りるというわけにはいかない。時間をかけずに確実にログインするには、どうしてもあなた本人にお願いするしかないんだ」
苦渋の決断だったことがうかがえるような矢島の口調に、凛香は胸が痛む。
するとそれまで口を閉ざしていた礼央が、顔を上げて凛香を見つめた。
「必ず俺が守ると約束する。信じてほしい」
心の奥まで真っすぐ届くような熱い眼差しに、凛香も決意を固める。
「はい、信じます」
自分に言い聞かせるように、そう口にした。
◇
凛香をマンションまで送り届けると、午後から捜査本部で会議が始まった。
前方のホワイトボードには、びっしりと今後の作戦の詳細が書かれている。
矢島が会議室をぐるりと見渡してから説明を始めた。
「実行日時は明後日、正確には七月十八日に日付が変わったあとの深夜二時十八分。まずはワンアクト本社ビル警備室の監視モニターの映像をループ再生し、同時にセキュリティーゲートの通知をオフに設定。これらはこの捜査本部で私がリモート操作いたします。次に待機していた深月さんがIDカードで電子ロックを解除し、朝比奈検事と共に社員用通用口から中に侵入。地下駐車場に階段を使って下ります。その後ただちに深月さんの社用パソコンを社内Wi-Fiに接続し、その回線を利用して、私が裏から経理システムに侵入。横領とデータ改ざんの証拠を押さえます。最後にログクリーンを実行、痕跡を消去。深月さんと朝比奈検事が退出して作戦終了。以上です」
手元の資料に目を落としながら聞いていた、東京地検特捜部の主任検事が、ゆったりと椅子に深く背を預けた。
「随分簡単に言うね、矢島くん。そんなに簡単なのか? まるでワンクリック詐欺みたいだな 」
ははっと乾いた笑い声が上がる。
「我々特捜部も絡んでるんだ。失敗しました、じゃ済まされないんだよ、うちは」
会議室の空気が、矢島を蔑むような雰囲気になった。
口を開いて何かを言おうとした矢島の横で、スッと礼央が前に歩み出る。
「……朝比奈さん?」
矢島は呟いて礼央の横顔を見上げた。
「お言葉ですが主任。矢島は失敗などしません。必ずやり遂げてみせます」
「なっ……」
誰よりも矢島が驚いて仰け反る。
「朝比奈検事、なにを……」
「この矢島の手にかかれば、この作戦もあっという間に完遂。おっしゃる通り、ワンクリックで済ませてみせます」
矢島は慌てて礼央を小声で制した。
「ちょっと、なんてことを言うんですか! 朝比奈さん」
「うるさい、黙ってろ」
低い声で鋭く言い放たれ、矢島は言葉を呑み込む。
「ほう、朝比奈検事。いつの間にサイ対課にご心酔あそばしたんだ? 特捜部は辞めたのか?」
上司に当たる主任検事に言われてムッと表情を変える礼央に、今度は矢島がズイッと前に身を乗り出した。
「そ、それではこれより、詳しくこの作戦の全貌をご説明いたします。なるべく噛み砕いてお話しいたしますが、聞き慣れない単語などでてきましたらご容赦ください。まず深月さんが繋いでくれた社内ネットワークを通じて、バックドアから経理システムに進入しますが、普通にアクセスすると即座に感知され、アラートが飛びます。そこでおとりとして、不審なログインを疑似発生させる通称デコイを発動。あえて偽の不正操作を検出させて、管理AIをそちらに誘導し、その隙に本命のログフォルダに潜る。あとは暗号通貨の送金履歴や経理システムの操作履歴などを取得します。以上ですが、なにかご不明な点は?」
「……ふん、まあいいだろう。口先でなら、なんとでも言える。成果を見せて、納得させてもらおう」
「はい、必ず」
矢島が主任検事に深々と頭を下げる。
最後に進行役のサイバー犯罪対策課の主任刑事が、声を張った。
「各自、作戦当日の動きと配置を確認せよ。以上、解散!」
ガヤガヤとざわめきが戻ってきて、ようやく矢島と礼央は肩の力を抜いた。
◇
「矢島、悪いが今日はこれで帰らせてもらう。なにかあったらすぐに連絡してくれ」
帰り支度をしながら声をかけると、矢島はニヤリと意味深な視線を礼央に投げた。
「わかりました。彼女の警護、しっかりお願いします」
「……当然だ」
「作戦当日のことじゃないですよ?」
「……なにが言いたい?」
「そのままです。深月さんの身も心も、しっかり守ってあげてくださいね」
返す言葉が見つからず、礼央は矢島を睨みつける。
「おや? ぐうの音も出ませんか。さすがの敏腕検事も、こういうことには不慣れなんですね」
「おまっ……、なにを調子に乗っている?」
「ははっ、冗談ですよ。嬉しかったです、さっき」
「は? 今度はなんだ」
「そのままですよ。さっきの朝比奈さんの言葉が、素直に嬉しかったんです。俺、必ずやり遂げてみせますから。深月さんと朝比奈さんのためにも」
真剣にそう言う矢島に、礼央も正面から向き合った。
「ああ、必ずやってのけるぞ」
「はい!」
そうだ、必ずやってみせる。
彼女のためにも。
礼央は拳を握りしめると、足早に会議室をあとにした。
「今朝はホットサンドにしてみました。あとで矢島さんと一緒に食べてください。ハムとチーズ、照り焼きチキンとマスタード、トマトとコールスローのサンドです」
「へえ。名前だけで既にうまそう」
「ぐふっ……」
吹き出しそうになるのをこらえて、変な声を出してしまう。
(名前だけでうまそうって。ふふっ)
ちなみに夕べ寝る前に「寝ます!」とメッセージを送ると「了解」と返事がきた。
(それもきっと、朝比奈さんにとっては大真面目なのよね。教えてあげる? 寝る前には『おやすみなさい』って挨拶するんですよって)
でもおもしろいからそのままにしようと思い、凜香はまた笑いをこらえていた。
◇
「おはようございます、矢島さん」
いつもの相談室に入ると、パソコンに向かっていた矢島が顔を上げる。
「おはよう、深月さん。今日もオシャレだね」
「あ、えっと。私のチョイスではないんですけど」
「似合ってるよ。新鮮だな、深月さんのワンピース姿」
今日は上がオフショルダー、下がプリーツスカートのドッキングワンピースだった。
ウエストの高い位置で切り替わった、水色のスカートが夏らしい。
「矢島さん、朝食をどうぞ」
「え、今日も作って来てくれたの? 嬉しいなあ、ありがとう。夕べの夜食も美味しかったよ」
「よかったです。夏バテしないように気をつけてくださいね」
並んで座った矢島と礼央の前に、凜香はホットサンドとスープやサラダを並べる。
二人ともあっという間に平らげた。
◇
「深月さん、今日はこれからの捜査方針を説明してもいいかな」
「はい、お願いします」
食事のあと、真剣な表情で切り出した矢島に、凜香も気を引き締める。
「まず、黒岩副社長には共犯者がいる。それは間違いない。我々はこれから黒岩副社長の横領と共犯者の悪事を暴き、証拠を手に入れる」
思わず凛香は、ゴクリと喉を鳴らした。
礼央も視線を伏せてじっと矢島の言葉に耳を傾けている。
「これはあくまで我々の推察に過ぎないけれど、おそらく黒岩副社長はその共犯者と一度社内で会った。副社長の横領をごまかすため、とかなんとか言って、その共犯者は副社長が社内ネットワークに繋いだパソコンにUSBメモリを差し込んだ可能性がある。そのUSBには、経理システムに侵入するバックドアをインストールするプログラムが仕込まれていた」
「バックドア、ですか?」
「そう、つまり裏口ってわけ。以降その共犯者はその裏口を使って、遠隔操作で経理システムに侵入。送金データの改ざん、帳簿のすり替え、ログの消去などを離れた場所で実行していたと思われる」
凛香は息を呑んで、しばし呆然とする。
「そんな……。では例えば自宅から深夜にこっそり操作して改ざんできる、ということですか?」
「その通りです」
「なんてこと……。犯人は安全な場所で、のうのうとそんなことを? 捕まえようがないんじゃ……」
「いや、捕まえてみせる」
矢島は力を込めてきっぱりと告げた。
そして凛香と真っすぐ視線を合わせる。
「それにはあなたの協力が必要です、深月さん」
「私に……なにができますか?」
「あなたのパソコンを社内ネットワークに繋いでほしい。それだけだ」
「……え? たったそれだけでいいのですか?」
「そう。あとは俺が全てやります。だけど、たったそれだけというほど容易なことだとは思わないでほしい。それを実行するのは、深夜のオフィスの地下駐車場だから」
凛香は目をしばたたかせて首をひねった。
「深夜の、地下駐車場で? どうしてそんな……」
「証拠を押さえるために経理システムに侵入すれば、犯人やセキュリティーシステムの管理人に気づかれる可能性がある。なるべく目立たないよう、深夜に行いたい。だけど社内ネットワークに繋ぐにはオフィスに行くしかない。それに黒岩の息がどこまでかかっているかわからない以上、警備員も欺く必要がある。見つかりにくい地下駐車場が最適だと判断しました。あなたには朝比奈検事が付き添います。本当なら、こんな危険なことには巻き込みたくない。だけどワンアクトの社用パソコンは、フェイスIDでロックを解除する必要がある。あなたのパソコンだけを借りるというわけにはいかない。時間をかけずに確実にログインするには、どうしてもあなた本人にお願いするしかないんだ」
苦渋の決断だったことがうかがえるような矢島の口調に、凛香は胸が痛む。
するとそれまで口を閉ざしていた礼央が、顔を上げて凛香を見つめた。
「必ず俺が守ると約束する。信じてほしい」
心の奥まで真っすぐ届くような熱い眼差しに、凛香も決意を固める。
「はい、信じます」
自分に言い聞かせるように、そう口にした。
◇
凛香をマンションまで送り届けると、午後から捜査本部で会議が始まった。
前方のホワイトボードには、びっしりと今後の作戦の詳細が書かれている。
矢島が会議室をぐるりと見渡してから説明を始めた。
「実行日時は明後日、正確には七月十八日に日付が変わったあとの深夜二時十八分。まずはワンアクト本社ビル警備室の監視モニターの映像をループ再生し、同時にセキュリティーゲートの通知をオフに設定。これらはこの捜査本部で私がリモート操作いたします。次に待機していた深月さんがIDカードで電子ロックを解除し、朝比奈検事と共に社員用通用口から中に侵入。地下駐車場に階段を使って下ります。その後ただちに深月さんの社用パソコンを社内Wi-Fiに接続し、その回線を利用して、私が裏から経理システムに侵入。横領とデータ改ざんの証拠を押さえます。最後にログクリーンを実行、痕跡を消去。深月さんと朝比奈検事が退出して作戦終了。以上です」
手元の資料に目を落としながら聞いていた、東京地検特捜部の主任検事が、ゆったりと椅子に深く背を預けた。
「随分簡単に言うね、矢島くん。そんなに簡単なのか? まるでワンクリック詐欺みたいだな 」
ははっと乾いた笑い声が上がる。
「我々特捜部も絡んでるんだ。失敗しました、じゃ済まされないんだよ、うちは」
会議室の空気が、矢島を蔑むような雰囲気になった。
口を開いて何かを言おうとした矢島の横で、スッと礼央が前に歩み出る。
「……朝比奈さん?」
矢島は呟いて礼央の横顔を見上げた。
「お言葉ですが主任。矢島は失敗などしません。必ずやり遂げてみせます」
「なっ……」
誰よりも矢島が驚いて仰け反る。
「朝比奈検事、なにを……」
「この矢島の手にかかれば、この作戦もあっという間に完遂。おっしゃる通り、ワンクリックで済ませてみせます」
矢島は慌てて礼央を小声で制した。
「ちょっと、なんてことを言うんですか! 朝比奈さん」
「うるさい、黙ってろ」
低い声で鋭く言い放たれ、矢島は言葉を呑み込む。
「ほう、朝比奈検事。いつの間にサイ対課にご心酔あそばしたんだ? 特捜部は辞めたのか?」
上司に当たる主任検事に言われてムッと表情を変える礼央に、今度は矢島がズイッと前に身を乗り出した。
「そ、それではこれより、詳しくこの作戦の全貌をご説明いたします。なるべく噛み砕いてお話しいたしますが、聞き慣れない単語などでてきましたらご容赦ください。まず深月さんが繋いでくれた社内ネットワークを通じて、バックドアから経理システムに進入しますが、普通にアクセスすると即座に感知され、アラートが飛びます。そこでおとりとして、不審なログインを疑似発生させる通称デコイを発動。あえて偽の不正操作を検出させて、管理AIをそちらに誘導し、その隙に本命のログフォルダに潜る。あとは暗号通貨の送金履歴や経理システムの操作履歴などを取得します。以上ですが、なにかご不明な点は?」
「……ふん、まあいいだろう。口先でなら、なんとでも言える。成果を見せて、納得させてもらおう」
「はい、必ず」
矢島が主任検事に深々と頭を下げる。
最後に進行役のサイバー犯罪対策課の主任刑事が、声を張った。
「各自、作戦当日の動きと配置を確認せよ。以上、解散!」
ガヤガヤとざわめきが戻ってきて、ようやく矢島と礼央は肩の力を抜いた。
◇
「矢島、悪いが今日はこれで帰らせてもらう。なにかあったらすぐに連絡してくれ」
帰り支度をしながら声をかけると、矢島はニヤリと意味深な視線を礼央に投げた。
「わかりました。彼女の警護、しっかりお願いします」
「……当然だ」
「作戦当日のことじゃないですよ?」
「……なにが言いたい?」
「そのままです。深月さんの身も心も、しっかり守ってあげてくださいね」
返す言葉が見つからず、礼央は矢島を睨みつける。
「おや? ぐうの音も出ませんか。さすがの敏腕検事も、こういうことには不慣れなんですね」
「おまっ……、なにを調子に乗っている?」
「ははっ、冗談ですよ。嬉しかったです、さっき」
「は? 今度はなんだ」
「そのままですよ。さっきの朝比奈さんの言葉が、素直に嬉しかったんです。俺、必ずやり遂げてみせますから。深月さんと朝比奈さんのためにも」
真剣にそう言う矢島に、礼央も正面から向き合った。
「ああ、必ずやってのけるぞ」
「はい!」
そうだ、必ずやってみせる。
彼女のためにも。
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