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検事にしか
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「朝比奈さん? 今日は早いですね。すぐまたお戻りですか?」
マンションに着いて凛香の部屋を訪ねると、エプロン姿の凛香が驚いたように聞いてくる。
「いや、今日はもう上がりだ。あとは矢島に任せてきた」
「そうなんですね。よかったら夕食ご一緒にどうぞ。すぐできますから」
「ああ、お邪魔します」
靴を脱いで上がると、礼央はキッチンに戻る凛香の様子をそっと見守る。
(作戦を聞かされて、不安に駆られていないだろうか)
それが気になって、急いで帰ってきた。
平気なはずはない。
警察官でも、こんな任務を任されたら緊張せずにはいられないだろう。
一般の、ましてやまだ二十代の女の子が、平常心でいられるわけがなかった。
(今は平気でも、夜が更けると気持ちも滅入るかもしれない)
とにかく今日は、凛香のそばについていようと思った。
「お待たせしました。はい、今夜は天ぷらそうめんです」
「おっ、いいな」
「たくさん揚げたので、おかわりもありますからね」
「ありがとう、いただきます」
早速海老の天ぷらを口に運ぶと、サクッと小気味いい音がした。
「うまい」
「よかったです、揚げたてを食べてもらえて。矢島さんにも差し入れしたかったなあ」
ポツリとそう付け加える凛香に、礼央は思わず視線を上げる。
「矢島のこと、好きか?」
言ってからハッとした。
(俺は今、なんて……?)
すると凛香はにっこり笑う。
「はい、好きです」
今度は驚きのあまり固まった。
もはや、なにも言葉が出てこない。
凛香は伏し目がちにしみじみと話し出す。
「私、矢島さんの想いに胸を打たれたんです。あんなにも優しくて真っ直ぐな人だったなんて」
矢島の、想い?
どういう意味だ?
もしや、彼女に気持ちを打ち明けたのか?
どんな気持ちを?
「矢島さんだけじゃなくて、鮎川社長も」
なに!? 社長にもなにか言われたのか?
「感謝してるんです。私の周りには、優しくていい人がたくさんいてくれる。私、皆さんのことが大好きです。もちろん、朝比奈さんのことも」
「…………は?」
ーー大好きです、朝比奈さんのこともーー
その部分だけが頭の中で何度もリフレインする。
「だから、なんとしてでもがんばらなきゃいけない。そう思っています」
ハッとしてようやく現実に引き戻された。
凜香は自分に言い聞かせるように、ギュッと唇を引き結んでうつむいている。
礼央は箸を置いて深く息をつき、凜香に言い聞かせた。
「無理にがんばろうとしなくていい。なにも心配するな。俺がずっとそばにいるから」
凜香はそっと視線を上げる。
その瞳が潤んでいて、けれども必死に涙をこぼすまいとしているのがわかった。
「いいか? 決して忘れるな。俺と矢島はいつだって君を守っている。絶対に君を傷つけたりしないと誓う。信じられるか? 俺と矢島を」
「……はい。信じます」
健気に真っ直ぐに礼央に頷いてみせる凜香に、礼央の胸はキュッと痛んだ。
「必ず犯人を捕まえて、君を幸せな日常に戻す。あと少しの辛抱だ」
「はい」
そうだ、必ず彼女をもとの生活に戻してみせる。
(犯罪なんて無縁な、俺たちとは違う世界に)
凜香の幸せは、自分からは遠い所にある。
そう気づいた瞬間、礼央の心に暗い影が射し込んだ気がした。
◇
翌朝も九時に凜香を迎えに行き、二人で警視庁に向かう。
凜香が作ってくれたおにぎりを食べてから、作戦について確認した。
「深月さんと朝比奈検事は今夜遅く、一時四十分にここを出発して、覆面車両でワンアクトの本社ビルに向かいます。ビル周辺は常に私服警察官が張り込んで状況を確認中。異常がなければビルの裏路地、この位置に車を停めて中で待機してください」
そう言って矢島が、大きな地図に赤い丸印をつける。
「私は警視庁内の捜査本部で準備し、インカムで指示します。ニ時十八分に私がリモート操作でビルの警備室の映像をループ再生し、セキュリティーゲートの通知をオフに設定します。完了したらインカムでお知らせしますので、深月さんはIDカードをタッチして電子ロックを解除してください。カメラの映像も通知も変化がないので、警備員は気づきません。そのすきに、お二人は通用口の中に入って、この階段を下りて地下駐車場に行きます。その後ただちに深月さんの社用パソコンを開き、社内Wi-Fiに接続してください。あとは私の作業を待つだけです。完了すればお知らせしますので、深月さんと朝比奈検事は即座に来た道を戻って退出し、車に戻ってください」
「はい、わかりました」
凜香は神妙な面持ちで返事をした。
「深月さん、これ以外のことはなにも考えないでください。単純にあなたがやることだけを頭に入れておいて、必要以上にあれこれ心配しないように。難しいかもしれませんが、落ち着いて淡々とこなしてください。そしていつもそばには朝比奈検事がいることをお忘れなく。私も常にあなたと会話できる状態です。あなたを決してひとりにはしない。それだけは覚えておいてくださいね」
「はい、ありがとうございます。とても心強いです」
にこっと笑う凜香に、矢島も安心したように笑みを浮かべる。
「さてと! では今夜に備えて、深月さんはゆっくり休んでください。美味しいものを食べて、テレビでも見て、部屋でリラックスしてお待ちください。ベッドで寝ていてもいいですよ。のちほど朝比奈検事がお迎えに行きますので」
「わかりました。よろしくお願いします」
頭を下げる凜香に、礼央は「こちらこそ」と短く答えた。
◇
一度凜香をマンションまで送り届けてから、再び礼央は警視庁に戻り、捜査本部で会議に臨む。
会議室に集まった刑事たちに、キビキビと指示を与えた。
「今回の作戦は時間が勝負だ。こちらが仕掛けたのを察知すれば、フーメイはすぐに動き出すだろう。証拠隠滅を図るのか、それともわが身ひとつで逃げ出すのか。あらゆるパターンを想定し、先回りして捕まえろ。フーメイの潜伏先は定かではない。陸、海、空、それぞれの関係各所と連携を取り、網を張っておけ。黒岩は今もマークしている。決して目を離すな。フーメイが接触する可能性もある。それから鮎川社長の警護も怠るな」
「はい!」
続いて犯罪収益対策室(JAFIC)の刑事たちにも話し出す。
「フーメイは今後、国際犯罪組織サンクチュアリとコンタクトを取るはずだ。サンクチュアリは麻薬の密売だけでなく、マネーロンダリングでテロ資金も供与している。ICPO(国際刑事警察機構)やFATF(金融活動作業部会)とも連携を取り、しっぽを掴め」
「はい!」
「それぞれぬかりなく今夜のポジションと任務を頭に叩き込み、遂行するように。以上だ」
慌ただしく動き出す刑事たちを見ながら、礼央は大きく息を吸い込んだ。
いよいよ今夜。
必ず証拠を押さえてフーメイを捕まえる。
矢島ともう一度入念に動きを確認してから、夕方の十八時にマンションへと向かった。
◇
インターフォンのチャイムを鳴らすと、いつもと変わりない笑顔で凜香が玄関のドアを開ける。
「おかえりなさい。早かったですね」
「ああ。君は? ゆっくりできたか?」
「はい。普段通りにスーパーで買い物をして、ガーデンを散歩して来ました。夕食、すぐに用意しますね。どうぞ」
部屋に上がると、いい匂いが漂っていた。
「今夜はうな重なんですよ。パワーつけなきゃと思って。矢島さんの分も作ったので、あとで持って行きますね」
そう言って凜香は、ローテーブルに美味しそうなうなぎのかば焼きが載ったどんぶりを置く。
「あと、お吸い物と茶わん蒸しも」
「ありがとう。いただきます」
手を合わせてからじっくりと味わう。
「ふふっ、ようやく朝比奈さん、よく噛んで食べてくれるようになりましたね」
言われて初めて気づく。
どうやら平常心を保ちつつ、やはりどこかで気を張っているのだろう。
(それはそうだ。彼女を必ず守り抜き、フーメイと黒岩を捕まえる。勝負を前に、いつもと同じではいられない)
だが凜香にまで緊張感が伝わってはいけない。
そう思い、さり気なく会話をする。
「食べたら風呂に入って寝るか?」
「え、もう? さすがに寝付けませんよ」
「そうか。じゃあ、散歩にでも行くか」
「ええ? 朝比奈さんでも散歩とかするんですか?」
まずい。
これだと違和感しか与えない。
「いや、隣の棟のコンビニまで。なんか甘いものでも買いに」
「朝比奈さん、コンビニスイーツ食べるんですか?」
食べるわけがない。
だが話を合わせなくては。
「……わらび餅なら」
「わらび餅? そうなんですね。冷蔵庫でキンキンに冷やして食べるわらび餅、私も好きです」
「俺も好きだ」
いや、待て。
なんか今のセリフ引っかかる。
ーー私も好きですーー
ーー俺も好きだーー
またしてもその部分だけが頭の中で繰り返された。
これは本当にまずい。
一度頭を冷やさなければ。
そう思い、食事を終えると凜香と並んで隣のコンビニに向かい、わらび餅を買った。
◇
「冷蔵庫で冷やしておきますね。その間に、お風呂に入って来てもいいですか?」
「ああ、もちろん。俺も部屋でシャワーを浴びてくる」
「わかりました。あ、じゃあ玄関に置いてある鍵を持って行ってください。多分、私の方がお風呂上がるの遅いので」
「わかった」
立ち上がると玄関の棚にある鍵を手に、一度自分の部屋に戻る。
電気を点けると、殺風景な部屋が冷たく感じられた。
(こんなに味気ない部屋だったか?)
くつろいだり、ゆっくり過ごせる部屋とは言い難い。
凜香の温かみのある部屋とは大違いだった。
(部屋って、そこにいる人で雰囲気が変わるんだな)
そんなことを考えつつ、いつものようにサッとシャワーを浴びる。
クリーニング済みのシャツとスラックスに着替えてから、凜香の部屋に戻った。
(やっぱりこっちは明るくて温かい)
凜香の部屋に入ると、それだけで気分が明るくなる気がした。
バスルームから時折ちゃぽんと音がして、礼央はドギマギし始める。
(ちょっと待て。なんだこれ?)
ずっと仕事漬けの毎日。
最近はつき合いはおろか、女性と言葉を交わしたり接点もないまま過ごしてきた。
刑事や検事にも当然女性はいるが、職業柄まだまだ男社会。
ワンアクトのオフィスで見かけたような、爽やかな男女の会話などなきに等しい。
そもそも、ふわっとしたスカートの女性としゃべることもなかったと、凜香と知り合ってから気づいた。
その時またしても、バスルームからちゃぽんと音が聞こえてきて、礼央は身を固くする。
こういう音を聞くことも、女性の風呂上りを待つシチュエーションも初めてだった。
(なんだ、このちゃぽんって。思考回路を打ち砕く、破壊力抜群の音。落ち着け、今夜は勝負の夜だぞ。いや、そっちの勝負じゃない。……って、俺はいったい、なにを考えているんだ!)
己に喝を入れるように、ペシッと頬を叩く。
バスルームからは、凜香がお湯から上がり、扉を開ける音が聞こえてきた。
礼央はあぐらをかいて目をつむり、両手を組んで無の境地に入る。
もはや座禅だ。
やがて凜香の鼻歌交じりに、ドライヤーの音が聞こえてきた。
(集中、集中……)
だがドライヤーの音が止み、部屋着姿の凜香がふわりと良い香りを漂わせて部屋に入ってくると、一気に心拍数が上がる。
「ん? 朝比奈さん」
凜香が近づいて来て顔を覗き込む。
(ひっ、なにを……)
間近で見つめれ、別の意味で頭が真っ白になった。
「やっぱり。ちゃんと髪を乾かさなかったでしょう? そのままだと風邪を引いちゃいます」
そう言うと凜香は引き返し、ドライヤーを手に戻って来た。
コンセントを繋ぐと、ゴオーッと礼央の髪を乾かし始める。
「朝比奈さんの髪って、ちょっとだけくせっ毛なんですね。なにもしなくても、いい感じにスタイリングされてるみたい」
凜香は容赦なく礼央の髪に手を入れて、さらさらともてあそぶように乾かしていく。
「はい、できた。こんな感じでどうですか?」
「問題ない」
「ふふふ、よかったです。じゃあ、わらび餅食べましょうか。冷えてるかなー?」
そうだ、キンキンに冷たいわらび餅を食べて頭を冷やすんだ。
礼央は、凜香が持って来たわらび餅を受け取ると、よく噛まずに一気に平らげた。
◇
「少し休んだらどうだ?」
わらび餅を食べたあと、お茶を飲みながら礼央は凜香に声をかける。
「はい。でも、眠れそうになくて」
「眠らなくてもいい。身体を横にするだけでも疲れが取れるぞ」
「そうですよね。じゃあ、少しだけ」
「電気暗くする」
「ありがとうございます」
凜香がベッドに入ると、礼央はリモコンで天井の明かりを絞った。
「朝比奈さんは? 眠らないんですか?」
「ああ。時間になったら起こしに来るから、安心して休め」
「自分のお部屋に帰っちゃうんですか?」
「当然だ」
すると凜香は、しょんぼりとうつむく。
礼央はベッドのそばの床に腰を下ろした。
「どうかしたか?」
「はい、あの。ひとりになると不安になりそうで……。おしゃべりして気を紛らわせたいというか」
「なるほど。じゃあ、君が寝付くまではここにいよう」
「私が寝たら帰るんですか?」
「当然だ」
「じゃあ、がんばって起きてます」
「……は?」
呆気にとられていると、凜香は楽しそうに話し出した。
「朝比奈さんや矢島さんと知り合ってから、まだ二週間ちょっとなんですよね。信じられない、もっとずっと長く一緒にいた気がします。色んなことがあったから」
「ああ」
礼央が目を伏せると、凜香が顔を見上げてきた。
「聞いてもいいですか? 朝比奈さんは、どうして検事さんになったのですか?」
「え? いや、話すほどのことでもない」
「でも刑事さんも検事さんも、とっても大変なお仕事ですよね。強い想いを持ち続けていないとやっていけない、違いますか?」
「それは、そうだが」
「矢島さんも、いつもの明るい雰囲気からは想像できないほど、正義感にあふれて熱意を持っている人でした。朝比奈さんはいつも凛としていて、心の中になにかを秘めている感じがします」
「俺の、心の中に……」
少しためらってから、礼央はポツリと呟いた。
「俺の父は、警察官だったんだ」
凜香はじっと礼央を見つめて、言葉を待っている。
「小さい頃から、俺は父のうしろ姿を見てきた。交番勤務員だった父は、常に地域の人々に目を配り、子どもたちやお年寄りからも慕われていた。休みの日に公園へ行っても、スーパーに買い物に行っても、いつも誰かしらに『朝比奈さん』と声をかけられる父が、俺は自慢だった。ある日、強盗傷害事件の110番通報を受けた通信指令本部から緊急出動要請がきて、父は現場に駆けつけた。顔馴染の小さな酒屋の店主が、ナイフで切りつけられてレジのお金を奪われたとわかって、父はすぐに犯人を追った。なんとか探し出し、犯人を検挙したんだが……、その後犯人は不起訴処分となり、釈放された。明確な証拠が足りないと検事が判断した結果だった」
「そんな……。じゃあ、犯人は罪に問われずに?」
「ああ。しかも不起訴処分になったことで気を大きくしたのか、更なる犯行に出た。今度はスーパーの店長を人質にして、金庫の金を集めさせ、それを奪って逃げようとした。だがパトカーに周囲を囲まれると、焦った犯人は怒鳴り散らして警察を威嚇し、人質の店長の首に当てていたナイフを持つ手に力を込めた。結果、店長は助からなかった」
凜香がハッと息を呑んだ。
「亡くなったスーパーの店長は、俺にも優しく声をかけてくれるおじさんだった。父は、ただひたすら後悔していた。最初にしっかり証拠を押さえて起訴できていれば、と。そして捜査一課に希望して異動した。誰よりも犯人逮捕に執着し、証拠を集め、危険をかえりみずに現場に飛び込むようになった。自分が負傷しても犯人は逃がさない、そんな執念にとらわれていた。あの日も……。俺が小学六年生の時だった。朝、俺たちの登校班を学校まで見送ってから出勤するのが決まりだった父は、いつもと同じように子どもたちを見守りながら付き添っていた。そこに高齢ドライバーの車が突っ込んで来たんだ。父は『止まれ!』と叫びながら俺たちの前に立ちはだかり、そのまま俺の目の前で……」
言葉に詰まると、腕を伸ばした凛香が、ギュッと礼央の手を握りしめた。
大きな瞳に涙を溜め、こぼれ落ちないように懸命にこらえている。
礼央はそんな凜香の手を握り返した。
「父が抱えていた後悔を胸に、俺は検察官を目指した。逮捕するだけでは、犯人に罪を償わせることはできない。起訴して、法の場で裁きを受けさせる。法廷に送り込む権限を持つのは、検察官だけだから」
唇を震わせながら頷いた凛香の瞳から、一筋の涙が頬に流れる。
礼央は右手で凛香の頬を包むと、親指でそっとその涙を拭った。
「朝比奈さん、私……」
言葉を詰まらせながら、凛香は懸命に訴える。
「私、必ずあなたと矢島さんの力になってみせます。なにがあっても、絶対に諦めません」
礼央は、ふっと優しく凛香に微笑んだ。
凛香の頭をなでてから、表情を引き締める。
「頼む。君のことは必ず俺が守り抜くから」
「はい」
そして礼央はもう一度、凛香を見つめて優しい笑みを浮かべた。
マンションに着いて凛香の部屋を訪ねると、エプロン姿の凛香が驚いたように聞いてくる。
「いや、今日はもう上がりだ。あとは矢島に任せてきた」
「そうなんですね。よかったら夕食ご一緒にどうぞ。すぐできますから」
「ああ、お邪魔します」
靴を脱いで上がると、礼央はキッチンに戻る凛香の様子をそっと見守る。
(作戦を聞かされて、不安に駆られていないだろうか)
それが気になって、急いで帰ってきた。
平気なはずはない。
警察官でも、こんな任務を任されたら緊張せずにはいられないだろう。
一般の、ましてやまだ二十代の女の子が、平常心でいられるわけがなかった。
(今は平気でも、夜が更けると気持ちも滅入るかもしれない)
とにかく今日は、凛香のそばについていようと思った。
「お待たせしました。はい、今夜は天ぷらそうめんです」
「おっ、いいな」
「たくさん揚げたので、おかわりもありますからね」
「ありがとう、いただきます」
早速海老の天ぷらを口に運ぶと、サクッと小気味いい音がした。
「うまい」
「よかったです、揚げたてを食べてもらえて。矢島さんにも差し入れしたかったなあ」
ポツリとそう付け加える凛香に、礼央は思わず視線を上げる。
「矢島のこと、好きか?」
言ってからハッとした。
(俺は今、なんて……?)
すると凛香はにっこり笑う。
「はい、好きです」
今度は驚きのあまり固まった。
もはや、なにも言葉が出てこない。
凛香は伏し目がちにしみじみと話し出す。
「私、矢島さんの想いに胸を打たれたんです。あんなにも優しくて真っ直ぐな人だったなんて」
矢島の、想い?
どういう意味だ?
もしや、彼女に気持ちを打ち明けたのか?
どんな気持ちを?
「矢島さんだけじゃなくて、鮎川社長も」
なに!? 社長にもなにか言われたのか?
「感謝してるんです。私の周りには、優しくていい人がたくさんいてくれる。私、皆さんのことが大好きです。もちろん、朝比奈さんのことも」
「…………は?」
ーー大好きです、朝比奈さんのこともーー
その部分だけが頭の中で何度もリフレインする。
「だから、なんとしてでもがんばらなきゃいけない。そう思っています」
ハッとしてようやく現実に引き戻された。
凜香は自分に言い聞かせるように、ギュッと唇を引き結んでうつむいている。
礼央は箸を置いて深く息をつき、凜香に言い聞かせた。
「無理にがんばろうとしなくていい。なにも心配するな。俺がずっとそばにいるから」
凜香はそっと視線を上げる。
その瞳が潤んでいて、けれども必死に涙をこぼすまいとしているのがわかった。
「いいか? 決して忘れるな。俺と矢島はいつだって君を守っている。絶対に君を傷つけたりしないと誓う。信じられるか? 俺と矢島を」
「……はい。信じます」
健気に真っ直ぐに礼央に頷いてみせる凜香に、礼央の胸はキュッと痛んだ。
「必ず犯人を捕まえて、君を幸せな日常に戻す。あと少しの辛抱だ」
「はい」
そうだ、必ず彼女をもとの生活に戻してみせる。
(犯罪なんて無縁な、俺たちとは違う世界に)
凜香の幸せは、自分からは遠い所にある。
そう気づいた瞬間、礼央の心に暗い影が射し込んだ気がした。
◇
翌朝も九時に凜香を迎えに行き、二人で警視庁に向かう。
凜香が作ってくれたおにぎりを食べてから、作戦について確認した。
「深月さんと朝比奈検事は今夜遅く、一時四十分にここを出発して、覆面車両でワンアクトの本社ビルに向かいます。ビル周辺は常に私服警察官が張り込んで状況を確認中。異常がなければビルの裏路地、この位置に車を停めて中で待機してください」
そう言って矢島が、大きな地図に赤い丸印をつける。
「私は警視庁内の捜査本部で準備し、インカムで指示します。ニ時十八分に私がリモート操作でビルの警備室の映像をループ再生し、セキュリティーゲートの通知をオフに設定します。完了したらインカムでお知らせしますので、深月さんはIDカードをタッチして電子ロックを解除してください。カメラの映像も通知も変化がないので、警備員は気づきません。そのすきに、お二人は通用口の中に入って、この階段を下りて地下駐車場に行きます。その後ただちに深月さんの社用パソコンを開き、社内Wi-Fiに接続してください。あとは私の作業を待つだけです。完了すればお知らせしますので、深月さんと朝比奈検事は即座に来た道を戻って退出し、車に戻ってください」
「はい、わかりました」
凜香は神妙な面持ちで返事をした。
「深月さん、これ以外のことはなにも考えないでください。単純にあなたがやることだけを頭に入れておいて、必要以上にあれこれ心配しないように。難しいかもしれませんが、落ち着いて淡々とこなしてください。そしていつもそばには朝比奈検事がいることをお忘れなく。私も常にあなたと会話できる状態です。あなたを決してひとりにはしない。それだけは覚えておいてくださいね」
「はい、ありがとうございます。とても心強いです」
にこっと笑う凜香に、矢島も安心したように笑みを浮かべる。
「さてと! では今夜に備えて、深月さんはゆっくり休んでください。美味しいものを食べて、テレビでも見て、部屋でリラックスしてお待ちください。ベッドで寝ていてもいいですよ。のちほど朝比奈検事がお迎えに行きますので」
「わかりました。よろしくお願いします」
頭を下げる凜香に、礼央は「こちらこそ」と短く答えた。
◇
一度凜香をマンションまで送り届けてから、再び礼央は警視庁に戻り、捜査本部で会議に臨む。
会議室に集まった刑事たちに、キビキビと指示を与えた。
「今回の作戦は時間が勝負だ。こちらが仕掛けたのを察知すれば、フーメイはすぐに動き出すだろう。証拠隠滅を図るのか、それともわが身ひとつで逃げ出すのか。あらゆるパターンを想定し、先回りして捕まえろ。フーメイの潜伏先は定かではない。陸、海、空、それぞれの関係各所と連携を取り、網を張っておけ。黒岩は今もマークしている。決して目を離すな。フーメイが接触する可能性もある。それから鮎川社長の警護も怠るな」
「はい!」
続いて犯罪収益対策室(JAFIC)の刑事たちにも話し出す。
「フーメイは今後、国際犯罪組織サンクチュアリとコンタクトを取るはずだ。サンクチュアリは麻薬の密売だけでなく、マネーロンダリングでテロ資金も供与している。ICPO(国際刑事警察機構)やFATF(金融活動作業部会)とも連携を取り、しっぽを掴め」
「はい!」
「それぞれぬかりなく今夜のポジションと任務を頭に叩き込み、遂行するように。以上だ」
慌ただしく動き出す刑事たちを見ながら、礼央は大きく息を吸い込んだ。
いよいよ今夜。
必ず証拠を押さえてフーメイを捕まえる。
矢島ともう一度入念に動きを確認してから、夕方の十八時にマンションへと向かった。
◇
インターフォンのチャイムを鳴らすと、いつもと変わりない笑顔で凜香が玄関のドアを開ける。
「おかえりなさい。早かったですね」
「ああ。君は? ゆっくりできたか?」
「はい。普段通りにスーパーで買い物をして、ガーデンを散歩して来ました。夕食、すぐに用意しますね。どうぞ」
部屋に上がると、いい匂いが漂っていた。
「今夜はうな重なんですよ。パワーつけなきゃと思って。矢島さんの分も作ったので、あとで持って行きますね」
そう言って凜香は、ローテーブルに美味しそうなうなぎのかば焼きが載ったどんぶりを置く。
「あと、お吸い物と茶わん蒸しも」
「ありがとう。いただきます」
手を合わせてからじっくりと味わう。
「ふふっ、ようやく朝比奈さん、よく噛んで食べてくれるようになりましたね」
言われて初めて気づく。
どうやら平常心を保ちつつ、やはりどこかで気を張っているのだろう。
(それはそうだ。彼女を必ず守り抜き、フーメイと黒岩を捕まえる。勝負を前に、いつもと同じではいられない)
だが凜香にまで緊張感が伝わってはいけない。
そう思い、さり気なく会話をする。
「食べたら風呂に入って寝るか?」
「え、もう? さすがに寝付けませんよ」
「そうか。じゃあ、散歩にでも行くか」
「ええ? 朝比奈さんでも散歩とかするんですか?」
まずい。
これだと違和感しか与えない。
「いや、隣の棟のコンビニまで。なんか甘いものでも買いに」
「朝比奈さん、コンビニスイーツ食べるんですか?」
食べるわけがない。
だが話を合わせなくては。
「……わらび餅なら」
「わらび餅? そうなんですね。冷蔵庫でキンキンに冷やして食べるわらび餅、私も好きです」
「俺も好きだ」
いや、待て。
なんか今のセリフ引っかかる。
ーー私も好きですーー
ーー俺も好きだーー
またしてもその部分だけが頭の中で繰り返された。
これは本当にまずい。
一度頭を冷やさなければ。
そう思い、食事を終えると凜香と並んで隣のコンビニに向かい、わらび餅を買った。
◇
「冷蔵庫で冷やしておきますね。その間に、お風呂に入って来てもいいですか?」
「ああ、もちろん。俺も部屋でシャワーを浴びてくる」
「わかりました。あ、じゃあ玄関に置いてある鍵を持って行ってください。多分、私の方がお風呂上がるの遅いので」
「わかった」
立ち上がると玄関の棚にある鍵を手に、一度自分の部屋に戻る。
電気を点けると、殺風景な部屋が冷たく感じられた。
(こんなに味気ない部屋だったか?)
くつろいだり、ゆっくり過ごせる部屋とは言い難い。
凜香の温かみのある部屋とは大違いだった。
(部屋って、そこにいる人で雰囲気が変わるんだな)
そんなことを考えつつ、いつものようにサッとシャワーを浴びる。
クリーニング済みのシャツとスラックスに着替えてから、凜香の部屋に戻った。
(やっぱりこっちは明るくて温かい)
凜香の部屋に入ると、それだけで気分が明るくなる気がした。
バスルームから時折ちゃぽんと音がして、礼央はドギマギし始める。
(ちょっと待て。なんだこれ?)
ずっと仕事漬けの毎日。
最近はつき合いはおろか、女性と言葉を交わしたり接点もないまま過ごしてきた。
刑事や検事にも当然女性はいるが、職業柄まだまだ男社会。
ワンアクトのオフィスで見かけたような、爽やかな男女の会話などなきに等しい。
そもそも、ふわっとしたスカートの女性としゃべることもなかったと、凜香と知り合ってから気づいた。
その時またしても、バスルームからちゃぽんと音が聞こえてきて、礼央は身を固くする。
こういう音を聞くことも、女性の風呂上りを待つシチュエーションも初めてだった。
(なんだ、このちゃぽんって。思考回路を打ち砕く、破壊力抜群の音。落ち着け、今夜は勝負の夜だぞ。いや、そっちの勝負じゃない。……って、俺はいったい、なにを考えているんだ!)
己に喝を入れるように、ペシッと頬を叩く。
バスルームからは、凜香がお湯から上がり、扉を開ける音が聞こえてきた。
礼央はあぐらをかいて目をつむり、両手を組んで無の境地に入る。
もはや座禅だ。
やがて凜香の鼻歌交じりに、ドライヤーの音が聞こえてきた。
(集中、集中……)
だがドライヤーの音が止み、部屋着姿の凜香がふわりと良い香りを漂わせて部屋に入ってくると、一気に心拍数が上がる。
「ん? 朝比奈さん」
凜香が近づいて来て顔を覗き込む。
(ひっ、なにを……)
間近で見つめれ、別の意味で頭が真っ白になった。
「やっぱり。ちゃんと髪を乾かさなかったでしょう? そのままだと風邪を引いちゃいます」
そう言うと凜香は引き返し、ドライヤーを手に戻って来た。
コンセントを繋ぐと、ゴオーッと礼央の髪を乾かし始める。
「朝比奈さんの髪って、ちょっとだけくせっ毛なんですね。なにもしなくても、いい感じにスタイリングされてるみたい」
凜香は容赦なく礼央の髪に手を入れて、さらさらともてあそぶように乾かしていく。
「はい、できた。こんな感じでどうですか?」
「問題ない」
「ふふふ、よかったです。じゃあ、わらび餅食べましょうか。冷えてるかなー?」
そうだ、キンキンに冷たいわらび餅を食べて頭を冷やすんだ。
礼央は、凜香が持って来たわらび餅を受け取ると、よく噛まずに一気に平らげた。
◇
「少し休んだらどうだ?」
わらび餅を食べたあと、お茶を飲みながら礼央は凜香に声をかける。
「はい。でも、眠れそうになくて」
「眠らなくてもいい。身体を横にするだけでも疲れが取れるぞ」
「そうですよね。じゃあ、少しだけ」
「電気暗くする」
「ありがとうございます」
凜香がベッドに入ると、礼央はリモコンで天井の明かりを絞った。
「朝比奈さんは? 眠らないんですか?」
「ああ。時間になったら起こしに来るから、安心して休め」
「自分のお部屋に帰っちゃうんですか?」
「当然だ」
すると凜香は、しょんぼりとうつむく。
礼央はベッドのそばの床に腰を下ろした。
「どうかしたか?」
「はい、あの。ひとりになると不安になりそうで……。おしゃべりして気を紛らわせたいというか」
「なるほど。じゃあ、君が寝付くまではここにいよう」
「私が寝たら帰るんですか?」
「当然だ」
「じゃあ、がんばって起きてます」
「……は?」
呆気にとられていると、凜香は楽しそうに話し出した。
「朝比奈さんや矢島さんと知り合ってから、まだ二週間ちょっとなんですよね。信じられない、もっとずっと長く一緒にいた気がします。色んなことがあったから」
「ああ」
礼央が目を伏せると、凜香が顔を見上げてきた。
「聞いてもいいですか? 朝比奈さんは、どうして検事さんになったのですか?」
「え? いや、話すほどのことでもない」
「でも刑事さんも検事さんも、とっても大変なお仕事ですよね。強い想いを持ち続けていないとやっていけない、違いますか?」
「それは、そうだが」
「矢島さんも、いつもの明るい雰囲気からは想像できないほど、正義感にあふれて熱意を持っている人でした。朝比奈さんはいつも凛としていて、心の中になにかを秘めている感じがします」
「俺の、心の中に……」
少しためらってから、礼央はポツリと呟いた。
「俺の父は、警察官だったんだ」
凜香はじっと礼央を見つめて、言葉を待っている。
「小さい頃から、俺は父のうしろ姿を見てきた。交番勤務員だった父は、常に地域の人々に目を配り、子どもたちやお年寄りからも慕われていた。休みの日に公園へ行っても、スーパーに買い物に行っても、いつも誰かしらに『朝比奈さん』と声をかけられる父が、俺は自慢だった。ある日、強盗傷害事件の110番通報を受けた通信指令本部から緊急出動要請がきて、父は現場に駆けつけた。顔馴染の小さな酒屋の店主が、ナイフで切りつけられてレジのお金を奪われたとわかって、父はすぐに犯人を追った。なんとか探し出し、犯人を検挙したんだが……、その後犯人は不起訴処分となり、釈放された。明確な証拠が足りないと検事が判断した結果だった」
「そんな……。じゃあ、犯人は罪に問われずに?」
「ああ。しかも不起訴処分になったことで気を大きくしたのか、更なる犯行に出た。今度はスーパーの店長を人質にして、金庫の金を集めさせ、それを奪って逃げようとした。だがパトカーに周囲を囲まれると、焦った犯人は怒鳴り散らして警察を威嚇し、人質の店長の首に当てていたナイフを持つ手に力を込めた。結果、店長は助からなかった」
凜香がハッと息を呑んだ。
「亡くなったスーパーの店長は、俺にも優しく声をかけてくれるおじさんだった。父は、ただひたすら後悔していた。最初にしっかり証拠を押さえて起訴できていれば、と。そして捜査一課に希望して異動した。誰よりも犯人逮捕に執着し、証拠を集め、危険をかえりみずに現場に飛び込むようになった。自分が負傷しても犯人は逃がさない、そんな執念にとらわれていた。あの日も……。俺が小学六年生の時だった。朝、俺たちの登校班を学校まで見送ってから出勤するのが決まりだった父は、いつもと同じように子どもたちを見守りながら付き添っていた。そこに高齢ドライバーの車が突っ込んで来たんだ。父は『止まれ!』と叫びながら俺たちの前に立ちはだかり、そのまま俺の目の前で……」
言葉に詰まると、腕を伸ばした凛香が、ギュッと礼央の手を握りしめた。
大きな瞳に涙を溜め、こぼれ落ちないように懸命にこらえている。
礼央はそんな凜香の手を握り返した。
「父が抱えていた後悔を胸に、俺は検察官を目指した。逮捕するだけでは、犯人に罪を償わせることはできない。起訴して、法の場で裁きを受けさせる。法廷に送り込む権限を持つのは、検察官だけだから」
唇を震わせながら頷いた凛香の瞳から、一筋の涙が頬に流れる。
礼央は右手で凛香の頬を包むと、親指でそっとその涙を拭った。
「朝比奈さん、私……」
言葉を詰まらせながら、凛香は懸命に訴える。
「私、必ずあなたと矢島さんの力になってみせます。なにがあっても、絶対に諦めません」
礼央は、ふっと優しく凛香に微笑んだ。
凛香の頭をなでてから、表情を引き締める。
「頼む。君のことは必ず俺が守り抜くから」
「はい」
そして礼央はもう一度、凛香を見つめて優しい笑みを浮かべた。
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