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青天の霹靂
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「あれ? なんか様子がおかしくない?」
その日の午前中、花純は千鶴と一緒に都内一円の店舗を回る予定でオフィスを出た。
ロビーを横切り、セキュリティーゲートにIDカードをかざして通り抜けると、ガラス扉の向こうに大勢の人が待ち構えているのが見える。
「ほんとだ。何だろう? 用があるなら入ればいいのにね」
花純がそう言うと、千鶴は人差し指を立てる。
「あれじゃない? 出待ちってやつ」
「それって、アイドルとかの? うちのオフィスビルにそんな人いないよ」
「いるじゃない。上条社長!」
「えー? まさかそんな」
笑って否定しながら自動ドアの外に出ると、花純と千鶴は一斉に詰め寄られた。
「すみません、クロスリンクワールドの社員の方ですか?」
はっ?と二人で立ち止まる。
「違いますけど」
「上条社長をご存知ですか?」
今度は二人してハッと息を呑んだ。
「知りません。行こう、花純」
「うん……」
千鶴に手を引かれて、花純は人だかりの間を通り抜ける。
心臓がうるさく高鳴り、嫌な予感に身体がヒヤリとした。
「どういうこと? 花純、上条さんに何かあったの?」
オフィスビルを離れると、後ろを振り返りながら千鶴が尋ねた。
「ううん、知らない。今朝もいつもと変わらず7時に一緒に出社して、エレベーターで別れたよ」
「そう。何か連絡とかないの?」
「えっと、待ってね」
カバンからスマートフォンを取り出してみると、光星からの着信履歴があった。
「あ、光星さんから電話あったみたい。マナーモードで気づかなかった」
「かけ直してみたら?」
「うん。千鶴ちゃん、ちょっとごめんね」
花純はすぐさま光星に電話をかけるが、話し中になる。
何度かけ直しても同じだった。
「どうしたんだろう。取り敢えずメッセージ送ってみる」
アプリを開くと『電話に出られなくてごめんなさい。何かありましたか?』と送っておいた。
◇
気になりつつも、花純は千鶴と店舗に移動しようと駅に向かった。
電車に乗ると吊り革に掴まり、何気なく視線を上げる。
その途端、花純は凍りついたように動けなくなった。
「花純? どうかし……」
花純の視線を追って中吊り広告に目をやった千鶴も、同じように目を見開く。
「な、なにこれ。どういうこと?」
それはセンセーショナルな見出しが並ぶ週刊誌の広告だった。
派手で目を引くデザインの中、『クロスリンクワールド若きイケメン社長』の文字が躍っている。
そしてそこに続く文言は……
『インサイダー取引疑惑!』
花純の身体がカタカタと震え出した。
「花純! 一体どういうことなの?」
「……分からない。どうしてこんな……」
「落ち着いて、こんなの嘘に決まってる。上条さんから何か聞いてない?」
「何も……」
千鶴はしばし考えを巡らせてから花純の手を引いて、次の駅で電車を降りる。
「花純、一旦オフィスに戻るわよ」
「え? でも、仕事が……」
「花純を送り届けたら私が一人で店舗回りするから」
「そんな、千鶴ちゃん一人でなんて……」
「別にどうってことないわ。それより花純は一刻も早く上条さんのところに行かなきゃ。ね?」
花純はじっとうつむいてから顔を上げた。
「うん、そうする。ありがとう、千鶴ちゃん」
「よし、急ぐわよ」
二人で電車を乗り直してオフィスに戻ると、先程と同じように大勢の人に取り囲まれる。
どうやら週刊誌の記者やマスコミ関係者らしかった。
なんとかかき分けて自動ドアを入り、セキュリティーゲートを通過する。
「じゃあ花純、行ってらっしゃい。何かあったらすぐ知らせるのよ? 私に出来ることは何でもするから」
「うん、分かった。ありがとう! 千鶴ちゃん」
千鶴に見送られて、花純は高層階エレベーターに乗り込んだ。
52階に着き、光星のオフィスのドアの前まで来ると、花純は深呼吸する。
意を決してドアをノックするが、返事は返って来なかった。
(不在なのかしら)
そう思って引き返そうとした時、カチャリとかすかにドアが開く。
「森川さん?」
「臼井さん! あの、光星さんは?」
険しい表情の臼井がそっとうかがうようにドアから少し顔を覗かせ、花純は詰め寄った。
「光星さんは今どこに? あの記事は一体……」
臼井は視線を落としてから暗い表情のままドアを開いた。
「……どうぞ、お入りください」
「はい。失礼いたします」
気持ちを落ち着かせようと胸に手を当て、緊張の面持ちで足を踏み入れる。
見慣れた大きなデスクで、光星が誰かと電話で話していた。
だがいつもの光星とは明らかに様子が違う。
焦りや怒りがにじみ出るような口調で、懸命に何かを相手に訴えていた。
(光星さん……)
花純は言葉もなくその場に立ち尽くす。
「……分かりました。それならこちらも法的措置を取らせていただきますので。……はい、失礼します」
光星は通話を終えると大きく息を吐き、組んだ両手に顔を伏せた。
「社長、森川さんがいらしてます」
臼井の声にハッと顔を上げた光星が、花純を見て急いで立ち上がる。
「花純! 大丈夫だったか? 何か聞かれたりしなかった?」
「あ、はい。ビルのエントランスで取り囲まれましたが、何も答えませんでした」
「そうか……」
臼井に促されて、二人でソファに座った。
「光星さん、あの。何がどうなってるの?」
花純は改めて光星に向き直って尋ねた。
「週刊誌にデタラメの記事を載せられた。俺がインサイダー取引をしていると。もちろんそんなことはしていないし、身に覚えもない。けど、俺の会社は信用だけで成り立ってるようなものだからな。一気にスポンサーから問い合わせが来た。運営しているSNSやコンテンツプラットフォームも炎上している。記事を書いた出版社に訴えても取り下げてもらえなくてね。これから弁護士に相談して動いてもらう。花純、しばらくはマスコミに追いかけられるから俺はここで寝泊まりする。花純も自分のマンションに帰ってくれるか? 俺のマンションは既に張り込まれているんだ」
「そんな……」
「心配かけてすまない。でも俺は誓ってやっていない。なんとしてもそれを証明してみせる。花純、しばらく会えなくなるけど、必ず決着をつけて迎えに行くから」
じっと真剣に見つめられ、花純はゆっくりと首を振る。
「……花純?」
「嫌です」
「えっ? 何を……」
「光星さんと離れたくありません」
光星を真っ直ぐに見つめ返してきっぱりと告げた。
「花純……。ごめん、今だけは一緒にいられないんだ。分かってくれ」
「光星さん、違います。今だけは一緒にいられないんじゃない。今こそ一緒にいなければいけないの」
「え……?」
花純は光星の手を取り、ギュッと握る。
「あなたが大変な時、私は必ずそばにいます。たとえ何もしてあげられなくても」
「花純……。俺こそ、君に何もしてあげられないのに」
「ううん、いつもたくさん幸せにしてもらってます。だから今度は私の番。光星さん、お願いします。あなたのそばにいさせて」
やがてゆっくりと光星は頷いた。
「分かった。花純、俺のそばにいてほしい」
「はい、光星さん」
もう一度しっかりと光星の手を握りしめると、花純は優しく微笑みかけた。
その日の午前中、花純は千鶴と一緒に都内一円の店舗を回る予定でオフィスを出た。
ロビーを横切り、セキュリティーゲートにIDカードをかざして通り抜けると、ガラス扉の向こうに大勢の人が待ち構えているのが見える。
「ほんとだ。何だろう? 用があるなら入ればいいのにね」
花純がそう言うと、千鶴は人差し指を立てる。
「あれじゃない? 出待ちってやつ」
「それって、アイドルとかの? うちのオフィスビルにそんな人いないよ」
「いるじゃない。上条社長!」
「えー? まさかそんな」
笑って否定しながら自動ドアの外に出ると、花純と千鶴は一斉に詰め寄られた。
「すみません、クロスリンクワールドの社員の方ですか?」
はっ?と二人で立ち止まる。
「違いますけど」
「上条社長をご存知ですか?」
今度は二人してハッと息を呑んだ。
「知りません。行こう、花純」
「うん……」
千鶴に手を引かれて、花純は人だかりの間を通り抜ける。
心臓がうるさく高鳴り、嫌な予感に身体がヒヤリとした。
「どういうこと? 花純、上条さんに何かあったの?」
オフィスビルを離れると、後ろを振り返りながら千鶴が尋ねた。
「ううん、知らない。今朝もいつもと変わらず7時に一緒に出社して、エレベーターで別れたよ」
「そう。何か連絡とかないの?」
「えっと、待ってね」
カバンからスマートフォンを取り出してみると、光星からの着信履歴があった。
「あ、光星さんから電話あったみたい。マナーモードで気づかなかった」
「かけ直してみたら?」
「うん。千鶴ちゃん、ちょっとごめんね」
花純はすぐさま光星に電話をかけるが、話し中になる。
何度かけ直しても同じだった。
「どうしたんだろう。取り敢えずメッセージ送ってみる」
アプリを開くと『電話に出られなくてごめんなさい。何かありましたか?』と送っておいた。
◇
気になりつつも、花純は千鶴と店舗に移動しようと駅に向かった。
電車に乗ると吊り革に掴まり、何気なく視線を上げる。
その途端、花純は凍りついたように動けなくなった。
「花純? どうかし……」
花純の視線を追って中吊り広告に目をやった千鶴も、同じように目を見開く。
「な、なにこれ。どういうこと?」
それはセンセーショナルな見出しが並ぶ週刊誌の広告だった。
派手で目を引くデザインの中、『クロスリンクワールド若きイケメン社長』の文字が躍っている。
そしてそこに続く文言は……
『インサイダー取引疑惑!』
花純の身体がカタカタと震え出した。
「花純! 一体どういうことなの?」
「……分からない。どうしてこんな……」
「落ち着いて、こんなの嘘に決まってる。上条さんから何か聞いてない?」
「何も……」
千鶴はしばし考えを巡らせてから花純の手を引いて、次の駅で電車を降りる。
「花純、一旦オフィスに戻るわよ」
「え? でも、仕事が……」
「花純を送り届けたら私が一人で店舗回りするから」
「そんな、千鶴ちゃん一人でなんて……」
「別にどうってことないわ。それより花純は一刻も早く上条さんのところに行かなきゃ。ね?」
花純はじっとうつむいてから顔を上げた。
「うん、そうする。ありがとう、千鶴ちゃん」
「よし、急ぐわよ」
二人で電車を乗り直してオフィスに戻ると、先程と同じように大勢の人に取り囲まれる。
どうやら週刊誌の記者やマスコミ関係者らしかった。
なんとかかき分けて自動ドアを入り、セキュリティーゲートを通過する。
「じゃあ花純、行ってらっしゃい。何かあったらすぐ知らせるのよ? 私に出来ることは何でもするから」
「うん、分かった。ありがとう! 千鶴ちゃん」
千鶴に見送られて、花純は高層階エレベーターに乗り込んだ。
52階に着き、光星のオフィスのドアの前まで来ると、花純は深呼吸する。
意を決してドアをノックするが、返事は返って来なかった。
(不在なのかしら)
そう思って引き返そうとした時、カチャリとかすかにドアが開く。
「森川さん?」
「臼井さん! あの、光星さんは?」
険しい表情の臼井がそっとうかがうようにドアから少し顔を覗かせ、花純は詰め寄った。
「光星さんは今どこに? あの記事は一体……」
臼井は視線を落としてから暗い表情のままドアを開いた。
「……どうぞ、お入りください」
「はい。失礼いたします」
気持ちを落ち着かせようと胸に手を当て、緊張の面持ちで足を踏み入れる。
見慣れた大きなデスクで、光星が誰かと電話で話していた。
だがいつもの光星とは明らかに様子が違う。
焦りや怒りがにじみ出るような口調で、懸命に何かを相手に訴えていた。
(光星さん……)
花純は言葉もなくその場に立ち尽くす。
「……分かりました。それならこちらも法的措置を取らせていただきますので。……はい、失礼します」
光星は通話を終えると大きく息を吐き、組んだ両手に顔を伏せた。
「社長、森川さんがいらしてます」
臼井の声にハッと顔を上げた光星が、花純を見て急いで立ち上がる。
「花純! 大丈夫だったか? 何か聞かれたりしなかった?」
「あ、はい。ビルのエントランスで取り囲まれましたが、何も答えませんでした」
「そうか……」
臼井に促されて、二人でソファに座った。
「光星さん、あの。何がどうなってるの?」
花純は改めて光星に向き直って尋ねた。
「週刊誌にデタラメの記事を載せられた。俺がインサイダー取引をしていると。もちろんそんなことはしていないし、身に覚えもない。けど、俺の会社は信用だけで成り立ってるようなものだからな。一気にスポンサーから問い合わせが来た。運営しているSNSやコンテンツプラットフォームも炎上している。記事を書いた出版社に訴えても取り下げてもらえなくてね。これから弁護士に相談して動いてもらう。花純、しばらくはマスコミに追いかけられるから俺はここで寝泊まりする。花純も自分のマンションに帰ってくれるか? 俺のマンションは既に張り込まれているんだ」
「そんな……」
「心配かけてすまない。でも俺は誓ってやっていない。なんとしてもそれを証明してみせる。花純、しばらく会えなくなるけど、必ず決着をつけて迎えに行くから」
じっと真剣に見つめられ、花純はゆっくりと首を振る。
「……花純?」
「嫌です」
「えっ? 何を……」
「光星さんと離れたくありません」
光星を真っ直ぐに見つめ返してきっぱりと告げた。
「花純……。ごめん、今だけは一緒にいられないんだ。分かってくれ」
「光星さん、違います。今だけは一緒にいられないんじゃない。今こそ一緒にいなければいけないの」
「え……?」
花純は光星の手を取り、ギュッと握る。
「あなたが大変な時、私は必ずそばにいます。たとえ何もしてあげられなくても」
「花純……。俺こそ、君に何もしてあげられないのに」
「ううん、いつもたくさん幸せにしてもらってます。だから今度は私の番。光星さん、お願いします。あなたのそばにいさせて」
やがてゆっくりと光星は頷いた。
「分かった。花純、俺のそばにいてほしい」
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