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大切なフライト 2
それからしばらくして、翼と舞の27歳の誕生日がやってきた。
朝から美羽が「おめでとう!」と舞にプレゼントを渡し、出社していく。
翔一もフライトの前に部屋に立ち寄った。
「誕生日おめでとう、舞ちゃん。俺、今日からシアトルに行くから、先にプレゼント渡しておく。スイーツと俺の愛の詰め合わせ」
「ありがとう、翔くん。フライト気をつけて行って来てね」
「ああ。舞ちゃんは今日スタンバイだったよな?」
「うん、宅スタ」
「そっか。じゃあ俺が空に飛行機雲でハートマークでも描いてやるよ。ベランダから見てなって」
あはは!と笑って、舞は翔一の背中を押す。
「ほら、変なこと言ってると遅刻するよ。行ってらっしゃい。Good day!」
「舞ちゃんもな、Good day!」
笑顔で送り出すと、さてと、と部屋を振り返る。
掃除や洗濯の家事をこなしてから、テキストを広げて勉強を始めた。
午後になると遅めの昼食を作って食べ、夕食の下ごしらえも済ませる。
夕方にスタンバイの拘束時間が終わると、ベランダに出て空を見上げた。
「誕生日か……。どうせなら飛びたかったな」
このまま一人で部屋で過ごすのも味気なく、舞は思い立って空港に行くことにした。
(美羽とお兄ちゃんも、フライトを終えて帰って来る頃だし。お邪魔虫は退散しよう)
飛べないならせめて、誕生日にも飛行機を見たかった。
(わあ、なんだか新鮮)
展望デッキに行くと、ズラリと並んだ機体に舞は目を輝かせる。
「かっこいいな……」
笑顔で呟き、飛び立っていく飛行機を見送った。
◇
日が暮れるにつれて気温が下がり、くしゅんとくしゃみをした舞は、すぐ下の階のカフェに場所を移した。
カウンター席に座って温かいキャラメルマキアートを飲みながら、滑走路を眺める。
そしてバッグからノートとテキストを取り出し、勉強を始めた。
しばらくすると「あれ、舞ちゃん?」と声がして、舞は顔を上げる。
「泉さん! お疲れ様です。フライト終わりですか?」
「そう。ちょっとコーヒー飲んでから帰ろうと思って。隣、いいかな?」
「もちろんです、どうぞ」
「ありがとう」
泉は舞の左隣の席に座ると、カウンターに広げられたテキストに目をやった。
「自習してたの?」
「はい」
「へえ、やっぱりすごく難しそうだ」
「私も数学とか物理は苦手なので、毎日必死です。でも少しでもしっかり準備をしておきたくて……。一生に一度の、大切なフライトだから」
大切なフライト?と、泉は聞き返す。
舞は泉の正面に向き直って頷いた。
「父の、ラストフライトなんです」
泉はハッとする。
「そうか、佐倉キャプテンの……」
「はい。4か月後の来年3月に、ホノルル往復。父はそれを最後に空を降ります」
「そう。寂しくなるね」
「ええ、考えただけでも涙が込み上げてきます。だけどしっかり送り出さなきゃって。ラストフライトは、家族四人で担当させてもらえるので」
「佐倉キャプテンと藤崎キャプテン、あと舞ちゃんとお兄さんで飛ばすってこと?」
「そうです。チーフパーサーは佐々木さん、それから美羽もアサインされる予定です」
「そうか」
しばらくうつむいてから、泉は顔を上げた。
「舞ちゃん。もしよければそのフライト、俺も乗務を希望させてもらってもいいかな?」
「え、泉さんもキャビンに、ですか?」
「ああ。佐倉キャプテンは我がJWAにとって、かけがえのない存在だ。誰よりも優秀で、誰よりも偉大なキャプテン。そのラストフライトに、出来れば俺も立ち会わせてほしい。最高のフライトになるよう、精一杯努めるよ」
泉の真剣な眼差しに、舞は微笑んで頷く。
「はい、ありがとうございます。たくさんの方が父を温かく送り出してくださるのを感じて、私もとても嬉しいです」
「ああ。最後まで必ず無事に、最高の締めくくりにしよう」
「はい!」
決意のこもった舞の眼差しに、泉も大きく頷いてみせた。
◇
年が明け、新しい1年が始まった。
恵真と大和にとって、大切な年。
40年近く空を飛び続けた大和は、これがパイロットとしての最後の年となる。
新年早々、新たなフライトシリーズが、日本ウイング航空のオフィシャルホームページで発表された。
『大切な人と 心に残るフライトを』
そのコンセプトでつけられたフライト名は『メモリアルフライト』
往路は3月1日の羽田ーホノルル便、復路は3月5日のホノルルー羽田便。
使用機材はB787で、復路のホノルル―羽田便が、大和が操縦桿を握る最後のフライトとなるのだった。
乗務の合間を縫って、大和は様々なインタビューや取材を受ける日々。
夫婦そろっての動画撮影もあり、恵真はその度に込み上げる涙を懸命に堪えていた。
(大和さんのラストフライトは、絶対に笑顔で終える。最後まで無事故でランディングさせる。絶対に)
恵真はそう心に誓った。
2月に入ると家族揃って取材を受け、翼も舞もキリッとした表情で父への想いを語る。
大きな存在である父。
その背中を追って、パイロットを志した自分達。
たとえ空を降りても、父の偉大さは変わらない。
自分の中に根付いた父の想いを胸に、これからも父を道しるべとして空を飛ぶ。
真剣な眼差しでそう語る二人に、恵真はグッと唇を噛みしめて涙を堪えた。
なるべくいつも通りに、普段と変わらず。
そう言い聞かせて毎日を過ごす。
そして遂に、その日がやって来た。
朝から美羽が「おめでとう!」と舞にプレゼントを渡し、出社していく。
翔一もフライトの前に部屋に立ち寄った。
「誕生日おめでとう、舞ちゃん。俺、今日からシアトルに行くから、先にプレゼント渡しておく。スイーツと俺の愛の詰め合わせ」
「ありがとう、翔くん。フライト気をつけて行って来てね」
「ああ。舞ちゃんは今日スタンバイだったよな?」
「うん、宅スタ」
「そっか。じゃあ俺が空に飛行機雲でハートマークでも描いてやるよ。ベランダから見てなって」
あはは!と笑って、舞は翔一の背中を押す。
「ほら、変なこと言ってると遅刻するよ。行ってらっしゃい。Good day!」
「舞ちゃんもな、Good day!」
笑顔で送り出すと、さてと、と部屋を振り返る。
掃除や洗濯の家事をこなしてから、テキストを広げて勉強を始めた。
午後になると遅めの昼食を作って食べ、夕食の下ごしらえも済ませる。
夕方にスタンバイの拘束時間が終わると、ベランダに出て空を見上げた。
「誕生日か……。どうせなら飛びたかったな」
このまま一人で部屋で過ごすのも味気なく、舞は思い立って空港に行くことにした。
(美羽とお兄ちゃんも、フライトを終えて帰って来る頃だし。お邪魔虫は退散しよう)
飛べないならせめて、誕生日にも飛行機を見たかった。
(わあ、なんだか新鮮)
展望デッキに行くと、ズラリと並んだ機体に舞は目を輝かせる。
「かっこいいな……」
笑顔で呟き、飛び立っていく飛行機を見送った。
◇
日が暮れるにつれて気温が下がり、くしゅんとくしゃみをした舞は、すぐ下の階のカフェに場所を移した。
カウンター席に座って温かいキャラメルマキアートを飲みながら、滑走路を眺める。
そしてバッグからノートとテキストを取り出し、勉強を始めた。
しばらくすると「あれ、舞ちゃん?」と声がして、舞は顔を上げる。
「泉さん! お疲れ様です。フライト終わりですか?」
「そう。ちょっとコーヒー飲んでから帰ろうと思って。隣、いいかな?」
「もちろんです、どうぞ」
「ありがとう」
泉は舞の左隣の席に座ると、カウンターに広げられたテキストに目をやった。
「自習してたの?」
「はい」
「へえ、やっぱりすごく難しそうだ」
「私も数学とか物理は苦手なので、毎日必死です。でも少しでもしっかり準備をしておきたくて……。一生に一度の、大切なフライトだから」
大切なフライト?と、泉は聞き返す。
舞は泉の正面に向き直って頷いた。
「父の、ラストフライトなんです」
泉はハッとする。
「そうか、佐倉キャプテンの……」
「はい。4か月後の来年3月に、ホノルル往復。父はそれを最後に空を降ります」
「そう。寂しくなるね」
「ええ、考えただけでも涙が込み上げてきます。だけどしっかり送り出さなきゃって。ラストフライトは、家族四人で担当させてもらえるので」
「佐倉キャプテンと藤崎キャプテン、あと舞ちゃんとお兄さんで飛ばすってこと?」
「そうです。チーフパーサーは佐々木さん、それから美羽もアサインされる予定です」
「そうか」
しばらくうつむいてから、泉は顔を上げた。
「舞ちゃん。もしよければそのフライト、俺も乗務を希望させてもらってもいいかな?」
「え、泉さんもキャビンに、ですか?」
「ああ。佐倉キャプテンは我がJWAにとって、かけがえのない存在だ。誰よりも優秀で、誰よりも偉大なキャプテン。そのラストフライトに、出来れば俺も立ち会わせてほしい。最高のフライトになるよう、精一杯努めるよ」
泉の真剣な眼差しに、舞は微笑んで頷く。
「はい、ありがとうございます。たくさんの方が父を温かく送り出してくださるのを感じて、私もとても嬉しいです」
「ああ。最後まで必ず無事に、最高の締めくくりにしよう」
「はい!」
決意のこもった舞の眼差しに、泉も大きく頷いてみせた。
◇
年が明け、新しい1年が始まった。
恵真と大和にとって、大切な年。
40年近く空を飛び続けた大和は、これがパイロットとしての最後の年となる。
新年早々、新たなフライトシリーズが、日本ウイング航空のオフィシャルホームページで発表された。
『大切な人と 心に残るフライトを』
そのコンセプトでつけられたフライト名は『メモリアルフライト』
往路は3月1日の羽田ーホノルル便、復路は3月5日のホノルルー羽田便。
使用機材はB787で、復路のホノルル―羽田便が、大和が操縦桿を握る最後のフライトとなるのだった。
乗務の合間を縫って、大和は様々なインタビューや取材を受ける日々。
夫婦そろっての動画撮影もあり、恵真はその度に込み上げる涙を懸命に堪えていた。
(大和さんのラストフライトは、絶対に笑顔で終える。最後まで無事故でランディングさせる。絶対に)
恵真はそう心に誓った。
2月に入ると家族揃って取材を受け、翼も舞もキリッとした表情で父への想いを語る。
大きな存在である父。
その背中を追って、パイロットを志した自分達。
たとえ空を降りても、父の偉大さは変わらない。
自分の中に根付いた父の想いを胸に、これからも父を道しるべとして空を飛ぶ。
真剣な眼差しでそう語る二人に、恵真はグッと唇を噛みしめて涙を堪えた。
なるべくいつも通りに、普段と変わらず。
そう言い聞かせて毎日を過ごす。
そして遂に、その日がやって来た。
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