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盗賊5

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私は、ザカルに拳銃を向けた。

発砲する。

ズバァンッ!!

しかし。

避けられる。

「……!!」

ザカルは地面に着地して、走りながらこちらに近づいてきた。

チョコレート・ハンドとチョコレート・カッターが行く手を阻む。

しかし。

「ふっ!!」

ザカルは駆けながらダガーを素早く振り回した。

すると【剣風けんぷう】が巻き起こり、彼に襲い掛かろうとしていたチョコレートたちが細かく寸断すんだんされる。

「む!?」

私の両手も切断された。

両手首りょうてくびが、ポトッと地面に落ちる。

チョコレート・ガンが使えなくなった。

「……!」

直後。

ザカルが何かを投げつけてくる。

瓶だ。

中に入っている物体の色は……濃い紫。

毒か?

でもこんな瓶、避けたら終わりだ。

私は瓶の軌道から逃れようとする。

だが。

「シッ」

ザカルが呼気を一つ。

【剣風】を繰り出す。

私を狙った剣風ではない。

瓶だ。

剣風で瓶を攻撃し、空中で叩き壊した。

次の瞬間、瓶の中に入っていた紫色の物体が、煙のごとく広がる。

毒の煙幕えんまくであった。

(剣風で、投げた毒瓶どくびんを破壊するなんて、面白い戦い方だね)

私は感心した。

だが。

私は告げる。

「――――チョコレートに毒は効かない」

私はチョコレート魔法に関する理解が、かなりのレベルに達している。

ゆえに、わかる。

たとえ、この毒霧どくむが猛毒だとしても、私には通用しないのだということを。

「そうかよ」

とザカルは言った。

「だが、本命はこっちだ」

「!?」

ザカルの持つダガー。

そのダガーは美しい光を帯びていた。

(あれは……光属性ひかりぞくせい!?)

光属性は、アンデッド系の魔物などに有効な属性だ。

どうやらザカルは、ダガーに光属性を込めたようだが……

何のために?

私が思考するが、その前に。

「死ね」

とザカルはつぶやき。

剣風の連撃を繰り出してきた。

光属性の剣風が、私を襲う。

私の身体がバラバラに切断されて、地面に落ちた。

(あー、もしかして)

バラバラになった私が、地面に寝転がりながら、思考する。

(私をアンデッドだと思ったのか)

既に死んでいるがゆえに、殺されても死なないアンデッド。

アンデッドは魔法か、毒などの状態異常か、光属性の武器で攻撃しないと倒せない。

……ザカルは、私をグールやヴァンパイアのようなものだと解釈したのだろう。

なぜなら私が、首をハネられても死ななかったからである。

だからザカルは、アンデッドに有効な毒や光攻撃ひかりこうげきをおこなったのだ。

――――しかし、もちろん。

私はアンデッド系ではない。

強いていうなら【チョコレート系】だ。

光属性で攻撃しても殺せない。

「はぁ……はぁ……はあ……やったか?」

とザカルが冷や汗を流しながら、つぶやく。

彼に教えてあげないといけないな。

チョコレートに、弱点など無いということを。

「……!!?」

バラバラになった私の断片たちが、どろっとした茶色の液体へと解け始める。

【チョコ化】である。

液状化したチョコレートたちは、一ヶ所へと集まり、合体し……

だんだん巨大になり、丸い水球の形を取って、宙に浮き始めた。

大きさ2メートルぐらいの球体。

そのチョコレートきゅうの中央から、ぴょこんと、私が顔を出す。

「ふふ……」

と、私は微笑む。

ザカルの顔が恐怖に歪んだ。

――――次の瞬間。

チョコレートきゅうが、まるで風呂敷ふろしきを広げたかのように大きく拡大し、

ザカルをガバッと飲み込もうとする。

「……ッ!!」

ザカルは慌ててその場を飛び退いて、チョコレートを回避。

「アンデッドじゃねえのかよ!?」

ザカルが恐怖を含んだ声で叫ぶ。

私はチョコレートハンドやロープを生やして、ザカルへと襲いかかった。

「くそ、やってられるか!!」

脱兎だっとのごとく逃亡を始めるザカル。

「逃がしません」

と私は告げて、ザカルの背中を追いかける。

追走劇ついそうげきの始まりであった。
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