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1巻
1-2
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半月後。
私はアリアとともに、商業ギルドを訪れた。
商業ギルドは、公爵領都の中央広場に面した建物だ。
商業ギルドのエントランスに入ると、さっそくカウンターに向かった。
受付嬢に話しかけ、自分の商会を設立する手続きを行う。
説明を聞いたり書類を書いたりすること1時間。商会の設立が完了した。
名前は【ルチル商会】。商会長はもちろん、私。副会長は、アリアとなった。
完全委託方式なので、実質的にはアリアが商会の舵取りをすることになる。
私はアイディアや経営の指針を提示するだけで、実務としては何もしない。
つまりアリアに丸投げというわけだ。しかしアリアは乗り気だった。
帰り道の馬車で、アリアは言った。
「私、いつか商売をやってみたいと思っておりました」
アリアは嬉しそうな声で続ける。
「ですから、このような機会を用意していただいたルチル様には、とても感謝しています」
アリアはこの日をもって、副メイド長を辞任することとなった。
これからは商会の仕事に専念してくれるそうだ。
彼女は優秀だから、きっと商会を盛り上げてくれるだろう。
さて、商会は設立しても店舗はまだ保有していない。
店を買うためには当然、お金が必要だ。
いや店だけではなく、トマトケチャップの製造にも費用がかかる。
これらの資金を確保するため、私は父上から借りた。
その金額は、ざっと1億ディリンだ。
1ディリンは1円の価値なので、1億円の借金をしたことになる。
その資金を、そのままアリアに譲渡した。
そして彼女は1億ディリンを使い、原材料の仕入れから商品製造までのラインを整えた。
――トマトケチャップには、塩・砂糖が使われている。ところが、トマトケチャップは安価に製造できる。なぜなら、この世界では塩・砂糖も安価だからだ。
塩草・砂糖草という魔法の草がそこらへんに生えており、これを加工すれば、塩と砂糖になる。
だから塩と砂糖が大量に採取でき、低価格を実現できるのだ。
なのでそれらを材料とするトマトケチャップの製造もまた、非常に安価で済む。
貴族だけでなく庶民にもお求めやすい価格で販売することができるし、量産も可能というわけだ。
そうして時は流れ、3か月後。ついに、領都で店を開くことになった。
トマトケチャップだけを販売する専門店である。
開店当初は、閑古鳥が鳴いていた。
しかし、ぽつぽつと客足が増え、やがて爆発的に人気が広がったようだ。
仕事は何もかもアリアに丸投げしていたので、私は屋敷でごろごろしていただけだ。
けれど、そんな私の耳にすら、店の評判が聞こえてくるほどだった。
塩、砂糖、コショウの次に来る、第四の調味料――
それがトマトケチャップであると、世間ではもてはやされるようになった。
屋敷の自室。
私はアリアと売上について話し合っていた。
「上手くいきましたわね、アリア。この成功はあなたのおかげですわよ」
するとアリアは首を横に振った。
「いいえ。ひとえにお嬢様が開発したトマトケチャップのおかげでございます。商品の質が良いので、私はそれを後押しするだけで良かったのです」
確かにトマトケチャップは売れ筋商品だろう。
しかし製造から販売、宣伝までをぬかりなく行ったのはアリアの手際だ。
完全委託方式は、実務担当者が有能でなくては上手くいかない。
アイディアを出す者と、それをプロデュースする者の両輪が揃って、初めて成功するのだ。
「アリア。あなたとなら商会をどこまでも大きくできると確信が持てましたわ。これからも商会のために力をふるってくださいまし」
「もちろんでございます。ご期待に添えるよう、最善を尽くします」
アリアはそう意気込んだ。
この調子で稼ぎ続ければ、スキル石の購入も可能になってくるだろうと、私は思った。
ところで、トマトケチャップはルチル商会だけが販売する専売品だ。他の店では扱われていない。
製法が知られていないので、他店では製造できないのだ。
しかし製法がバレてしまうこともあるだろう。一番ありうるのは、ルチル商会の従業員が漏らすことだ。
だがこの世界では、それを防ぐために契約魔法というものがある。
正式名称は【契約魔法(商業)】。商売の取り決めに使われる魔法だ。この魔法が、いわゆる契約書として機能する。
しかもその契約は、なんと精霊が守ることを強制してくれるのだ。
つまり、精霊による拘束力が発生する契約であり、破ることは絶対にできなくなる。
(まあ理不尽な契約や、非道な契約はできないようになっているけどね……)
今回、トマトケチャップを販売するにあたっては、従業員に、この契約魔法を使った。
つまり「トマトケチャップの製法を秘密にせよ」という契約だ。
この契約に同意した者のみ、従業員として雇っている。だから製法が従業員の口から漏れることは絶対にない。製法を吹聴しようとしても、従業員の口が魔法で塞がれる……という、直接的な制止が働くからだ。
しかし、それは一時的な処置に過ぎない。
そういう対策をとっても、いずれ製法はバレることになる……と私は思っている。
トマトケチャップはそんなに作るのが難しいわけではないからだ。
いずれ他店が自力で製法に辿り着くことになるだろう。
まあ数年後には作り方が広まってしまっているかな。
それまでに、新しい商品を開発したいところね。
夏になった。
私はさらに商売を広げるために、父上から10億ディリンを借りることにした。日本円にすると10億円。莫大な金額である。
しかしトマトケチャップの成功があったため、父上は喜んで貸してくれた。
この10億ディリンを用いて行うことは、次の三つだ。
1:トマトケチャップの販売数を増やすこと
2:店舗数を増やすこと。
3:新商品の発売。
特に新商品の販売には力を入れたいところだ。
トマトケチャップに加えてマヨネーズ、ドレッシングを開発し、販売を行いたいと思っている。
この手の調味料は永久的な利権になるだろうしね。
ある日の昼。
とりあえずマヨネーズを作って、サラダにかける。そして屋敷の食堂で、アリアに試食してもらった。すると、彼女は驚きに呆然とした。
「これ……すごいですね」
そう感想を漏らす。
「私もメイドをやっていましたから、それなりに料理には通じているつもりでしたが……このマヨネーズというものは、いったいどうやって作られたのか見当もつきません。それでいて調味料として極めて優秀であることはわかります」
「作り方は後で教えますわよ。それで……売れそうですか?」
「これが売れないわけがありません。トマトケチャップと並んで、大流行間違いなしですよ!」
トマトケチャップは本当によく売れてるからなぁ……公爵領の一大名物である。
そこで、私は提案した。
「ところで、そのトマトケチャップですが、公爵領以外の大都市にも店を構えてみてはどうでしょう?」
アリアは困った顔をした。
「私もそれは考えました。が……支店を持つほど、まだ資金に余裕があるわけではありません」
トマトケチャップは薄利多売である。店舗がひとつだけだと、大きく儲けるのは難しい。
まあ、だからこそ店舗数を増やそうと考えているのだけど。
「実は父上から10億ディリンほどお借りしましたの。全てアリアに預けますので、それを使って店舗を増やしてみてください」
「……よろしいのですか?」
「ええ。実務は全てアリアに丸投げしてますからね。せめてこれぐらいは」
「ありがとうございます。10億もあれば、商圏を大幅に拡大できます!」
アリアは歓喜した。
このあと、ドレッシングの試食もしてもらったが、絶賛された。
もちろんドレッシングも販売することになった。
アリアはさっそく10億ディリンを使って店を拡大し始めた。
トマトケチャップの店を増やし。マヨネーズ、ドレッシングの店を新たに開店して。さらに領都だけでなく王都にも、支店を建設。
大規模に商売を展開したのだった。
……結果。
これらの調味料は空前の大ブームを巻き起こした。貴族から庶民まで、新しい調味料に強く魅了された。
トマトケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングは完全に人々の食卓に定着。三大調味料と呼ばれるまでになった。
当然、それを開発したルチルの名も広まり、貴族社会でも一目置かれるようになっていった。
◇
その翌年。雪解けの春。
屋敷の執務室。
ルチルの父母であるふたりが、話し合っていた。
「ルチルは、素晴らしい才能に恵まれたな」
ルーガはしみじみと告げた。
この2年間で、ルチルに対する賞賛をあちこちで聞くようになった。
もちろん、調味料を開発した功績について……だ。
トマトケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング。
これらは宮廷料理や社交パーティーにさえ提供されることも、もはや当たり前となっている。
ちなみに貴族の料理関係者の中には、ルチルの熱狂的なファンも多い。
公爵家お抱えの料理長も、ルチルにはすっかり尊敬の眼差しを送っていた。
「まさか調味料ひとつで、ここまで賛美されようとは」
「ルチルの調味料は、お世辞抜きで素晴らしいもの。私もすっかり虜になってしまいました」
「まあ、そうだな」
確かにトマトケチャップやマヨネーズは素晴らしい。
これらの需要は、家庭の食卓だけに留まらない。たとえば飲食店の店主もまた、ルチルの調味料を使った料理を作り始めている。
こうして生まれた料理の一例が、マヨネーズパンだ。
パンにマヨネーズをかけるだけ、というシンプルな料理だが絶大な人気を博した。
そしてそういう料理が人気になればなるほど、連動してマヨネーズも売れていくという按配だ。
――調味料の製法を、ルチル商会は公開していない。
したがってケチャップやマヨネーズが欲しいなら、ルチル商会から購入するしかない。
これによりルチル商会は、調味料の利益を独占し、莫大な利益をあげ……公爵領はおろか、王都でも最も勢いのある新興商会として注目されているのだ。
「これほど売れてしまうと、大商人からの妨害を受けたりはしないものか」
「その心配はないでしょう。公爵令嬢を敵に回したい商人など、そう多くはありませんよ」
ルチルが作った調味料の凄まじい人気ぶり。
商会を立ち上げてわずか2年で、すでに中堅商会と呼べる規模にまで至ろうとしている。
驚くべき急成長だ。しかもその成長はいまだ天井が見えない。
ゆくゆくルチルは、大商人の仲間入りを果たすことは間違いない。
その過程で、既存の利権をおびやかすこともあるだろう。
だが、大商人たちでさえルチル商会の妨害はできない。
なぜなら、相手はルチル……公爵令嬢だ。ルチルに敵対することは、公爵家を敵に回すことと同義である。
しかもただの公爵家ではなく、ミアストーン家は軍の名家。
商人ごときに敵対できるわけがない。
現状、商人たちは、ルチル商会の台頭を警戒すれど、実質的には黙認するしかないのであった。
「しかし最近、ルチルへの縁談が絶えん……」
ルーガがため息をつきながら言った。
トマトケチャップが流行したときから、縁談の申し出は増えていた。
マヨネーズ、ドレッシングのブームにより、さらに縁談の数は急増した。
それだけ婚約することに価値がある、と判断されているのだ。
……ただ、公爵令嬢が相手だ。
実際に婚姻できる家柄は限られている。
けれどダメ元でも、とばかりに、家格のつりあわない貴族からも縁談が持ち込まれていた。
「縁談を拒否する返事を出すのも面倒なぐらいだ」
それを聞いたラティーヌがなだめる。
「まあまあ、それほど娘に価値があると思われているのは、喜ばしいことではないですか?」
「それは否定しないが……」
ルーガがそう答える。そこでラティーヌが言った。
「実は……王家からも縁談が来ているのですよ」
「なんだと!?」
「しかも第一王子……アレックス王子との縁談です」
ルーガは驚いた。
公爵家の立場を考えれば、王家の者と婚姻を結ぶことは可能である。しかし、王家のほうから縁談が来るというのは珍しいことだった。
「それほどルチルの価値を高く見積もり、将来性にも期待を寄せている、ということでしょう」
「そこまで高く評価されているとは……」
ルーガは改めて娘の実力を再評価した。そして言った。
「王家からの縁談なら、こちらからも望むところだ。前向きに返事をしたほうがいいな」
「ルチルを王妃に据えるのですか?」
「問題なかろう」
なにしろ相手はアレックスだ。
アレックスは第一王子ではある。しかし才能は凡庸であり、未来の国王となるのは厳しい。
そうなればルチルを女王、アレックスを夫……つまり王配として位置づけることも不可能ではないのだ。
そこまで上手くいかなくとも、アレックスを傀儡にして王家を操るのもアリだ。
この婚姻は、受けたほうがいい。
(ルチルを女王にできれば、わが家の権勢は揺るぎないものとなる)
ルーガはほくそ笑んだ。夫の思惑を察したラティーヌは肩をすくめるのだった。
◇
その年の夏。私は112歳になっていた。
母上とともに、公爵領を離れ、王都を訪れていた。
高級馬車に乗って、王城へと入城する。
華やかな廊下を通り、王宮の応接室へ。
そこで待っていたのは、ふたり。
ひとりは、女王陛下ミジェラ。豪奢なドレスに身を包んだ女性。髪は大自然を模したような緑のロングヘア。目は黄金の色。女傑とわかるオーラをまとっている。
もうひとりは、第一王子アレックス。母ミジェラと同じ緑色の髪。目も黄金の色だ。どこか刺々しい印象を受ける態度だ。少しあごを上げて、こちらを見下ろしているような姿勢である。
(王城に呼び出された先で、女王と第一王子か……)
私は何を話されるのか察した。
まずは互いに挨拶を行った。
ミジェラ女王は口を開いた。
「こちらは私の息子……第一王子のアレックスだ」
女王と私は面識があったが、アレックスとは初対面であった。
私はアレックスに自己紹介をした。
「お初にお目にかかります、アレックス殿下。わたくしはルチル・ミアストーンと申しますわ」
「……ああ」
やたらと不満げにアレックスがあいづちを打つ。女王は私に言った。
「ルチル……今日、お前を呼び出した理由についてだが、お前とアレックスの婚約が決定したからだ」
「……!」
やっぱりそうきたか。最悪だ。
アレックスは、ゲームでもだいぶ評判の悪いキャラクターだ。
一言で言えばクズなのである。
そんな相手と婚約なんて遠慮したいところだった。
「すでにお前の両親には話を通してある。そうだな、ラティーヌ?」
「おっしゃるとおりです」
母上は肯定した。
この婚姻は拒否することはできない。
それにしても、いきなり婚約を通告してくるとは、さすが異世界の政略結婚だ。
本人の意思はまるで無視である。
(まあでも、ある程度は予想できていた、かな……)
私は思う。
ゲームでも、ルチルとアレックスは婚約関係にあった。
だからこれはある意味での予定調和だ。
一応、救いがあるのは、アレックスとはいずれ破局する運命にあるということだ。
それまで形だけでも婚約者をやっていればいいのだ。
「私とラティーヌは話がある。ふたりで親交を深めていなさい」
ミジェラ女王はそう述べて、母上とともに部屋を出ていった。
応接室に、私とアレックスが取り残される。
しばし沈黙があったが、やがてアレックスが言った。
「おい。お前、商会を経営しているんだろう?」
「はい。そうですわ」
「それ、やめろ」
「……え?」
「商会経営をやめろ。お前の名声が高まれば、私が比較されて、見劣りすると思われるだろ。それで王子の名に傷がついたらどうするんだ」
なっ……なにふざけたことを言ってるんだ、この王子は?
はぁ……やっぱりこいつ、ゴミだわ。
ゲームでも第一王子は極端なほど自己中心的な性格だった。今の発言を聞くかぎり、ゲームのときと変わらないようだ。
よし。絶対に言うことを聞いてやらないぞ。
私はアリアとともに、商業ギルドを訪れた。
商業ギルドは、公爵領都の中央広場に面した建物だ。
商業ギルドのエントランスに入ると、さっそくカウンターに向かった。
受付嬢に話しかけ、自分の商会を設立する手続きを行う。
説明を聞いたり書類を書いたりすること1時間。商会の設立が完了した。
名前は【ルチル商会】。商会長はもちろん、私。副会長は、アリアとなった。
完全委託方式なので、実質的にはアリアが商会の舵取りをすることになる。
私はアイディアや経営の指針を提示するだけで、実務としては何もしない。
つまりアリアに丸投げというわけだ。しかしアリアは乗り気だった。
帰り道の馬車で、アリアは言った。
「私、いつか商売をやってみたいと思っておりました」
アリアは嬉しそうな声で続ける。
「ですから、このような機会を用意していただいたルチル様には、とても感謝しています」
アリアはこの日をもって、副メイド長を辞任することとなった。
これからは商会の仕事に専念してくれるそうだ。
彼女は優秀だから、きっと商会を盛り上げてくれるだろう。
さて、商会は設立しても店舗はまだ保有していない。
店を買うためには当然、お金が必要だ。
いや店だけではなく、トマトケチャップの製造にも費用がかかる。
これらの資金を確保するため、私は父上から借りた。
その金額は、ざっと1億ディリンだ。
1ディリンは1円の価値なので、1億円の借金をしたことになる。
その資金を、そのままアリアに譲渡した。
そして彼女は1億ディリンを使い、原材料の仕入れから商品製造までのラインを整えた。
――トマトケチャップには、塩・砂糖が使われている。ところが、トマトケチャップは安価に製造できる。なぜなら、この世界では塩・砂糖も安価だからだ。
塩草・砂糖草という魔法の草がそこらへんに生えており、これを加工すれば、塩と砂糖になる。
だから塩と砂糖が大量に採取でき、低価格を実現できるのだ。
なのでそれらを材料とするトマトケチャップの製造もまた、非常に安価で済む。
貴族だけでなく庶民にもお求めやすい価格で販売することができるし、量産も可能というわけだ。
そうして時は流れ、3か月後。ついに、領都で店を開くことになった。
トマトケチャップだけを販売する専門店である。
開店当初は、閑古鳥が鳴いていた。
しかし、ぽつぽつと客足が増え、やがて爆発的に人気が広がったようだ。
仕事は何もかもアリアに丸投げしていたので、私は屋敷でごろごろしていただけだ。
けれど、そんな私の耳にすら、店の評判が聞こえてくるほどだった。
塩、砂糖、コショウの次に来る、第四の調味料――
それがトマトケチャップであると、世間ではもてはやされるようになった。
屋敷の自室。
私はアリアと売上について話し合っていた。
「上手くいきましたわね、アリア。この成功はあなたのおかげですわよ」
するとアリアは首を横に振った。
「いいえ。ひとえにお嬢様が開発したトマトケチャップのおかげでございます。商品の質が良いので、私はそれを後押しするだけで良かったのです」
確かにトマトケチャップは売れ筋商品だろう。
しかし製造から販売、宣伝までをぬかりなく行ったのはアリアの手際だ。
完全委託方式は、実務担当者が有能でなくては上手くいかない。
アイディアを出す者と、それをプロデュースする者の両輪が揃って、初めて成功するのだ。
「アリア。あなたとなら商会をどこまでも大きくできると確信が持てましたわ。これからも商会のために力をふるってくださいまし」
「もちろんでございます。ご期待に添えるよう、最善を尽くします」
アリアはそう意気込んだ。
この調子で稼ぎ続ければ、スキル石の購入も可能になってくるだろうと、私は思った。
ところで、トマトケチャップはルチル商会だけが販売する専売品だ。他の店では扱われていない。
製法が知られていないので、他店では製造できないのだ。
しかし製法がバレてしまうこともあるだろう。一番ありうるのは、ルチル商会の従業員が漏らすことだ。
だがこの世界では、それを防ぐために契約魔法というものがある。
正式名称は【契約魔法(商業)】。商売の取り決めに使われる魔法だ。この魔法が、いわゆる契約書として機能する。
しかもその契約は、なんと精霊が守ることを強制してくれるのだ。
つまり、精霊による拘束力が発生する契約であり、破ることは絶対にできなくなる。
(まあ理不尽な契約や、非道な契約はできないようになっているけどね……)
今回、トマトケチャップを販売するにあたっては、従業員に、この契約魔法を使った。
つまり「トマトケチャップの製法を秘密にせよ」という契約だ。
この契約に同意した者のみ、従業員として雇っている。だから製法が従業員の口から漏れることは絶対にない。製法を吹聴しようとしても、従業員の口が魔法で塞がれる……という、直接的な制止が働くからだ。
しかし、それは一時的な処置に過ぎない。
そういう対策をとっても、いずれ製法はバレることになる……と私は思っている。
トマトケチャップはそんなに作るのが難しいわけではないからだ。
いずれ他店が自力で製法に辿り着くことになるだろう。
まあ数年後には作り方が広まってしまっているかな。
それまでに、新しい商品を開発したいところね。
夏になった。
私はさらに商売を広げるために、父上から10億ディリンを借りることにした。日本円にすると10億円。莫大な金額である。
しかしトマトケチャップの成功があったため、父上は喜んで貸してくれた。
この10億ディリンを用いて行うことは、次の三つだ。
1:トマトケチャップの販売数を増やすこと
2:店舗数を増やすこと。
3:新商品の発売。
特に新商品の販売には力を入れたいところだ。
トマトケチャップに加えてマヨネーズ、ドレッシングを開発し、販売を行いたいと思っている。
この手の調味料は永久的な利権になるだろうしね。
ある日の昼。
とりあえずマヨネーズを作って、サラダにかける。そして屋敷の食堂で、アリアに試食してもらった。すると、彼女は驚きに呆然とした。
「これ……すごいですね」
そう感想を漏らす。
「私もメイドをやっていましたから、それなりに料理には通じているつもりでしたが……このマヨネーズというものは、いったいどうやって作られたのか見当もつきません。それでいて調味料として極めて優秀であることはわかります」
「作り方は後で教えますわよ。それで……売れそうですか?」
「これが売れないわけがありません。トマトケチャップと並んで、大流行間違いなしですよ!」
トマトケチャップは本当によく売れてるからなぁ……公爵領の一大名物である。
そこで、私は提案した。
「ところで、そのトマトケチャップですが、公爵領以外の大都市にも店を構えてみてはどうでしょう?」
アリアは困った顔をした。
「私もそれは考えました。が……支店を持つほど、まだ資金に余裕があるわけではありません」
トマトケチャップは薄利多売である。店舗がひとつだけだと、大きく儲けるのは難しい。
まあ、だからこそ店舗数を増やそうと考えているのだけど。
「実は父上から10億ディリンほどお借りしましたの。全てアリアに預けますので、それを使って店舗を増やしてみてください」
「……よろしいのですか?」
「ええ。実務は全てアリアに丸投げしてますからね。せめてこれぐらいは」
「ありがとうございます。10億もあれば、商圏を大幅に拡大できます!」
アリアは歓喜した。
このあと、ドレッシングの試食もしてもらったが、絶賛された。
もちろんドレッシングも販売することになった。
アリアはさっそく10億ディリンを使って店を拡大し始めた。
トマトケチャップの店を増やし。マヨネーズ、ドレッシングの店を新たに開店して。さらに領都だけでなく王都にも、支店を建設。
大規模に商売を展開したのだった。
……結果。
これらの調味料は空前の大ブームを巻き起こした。貴族から庶民まで、新しい調味料に強く魅了された。
トマトケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングは完全に人々の食卓に定着。三大調味料と呼ばれるまでになった。
当然、それを開発したルチルの名も広まり、貴族社会でも一目置かれるようになっていった。
◇
その翌年。雪解けの春。
屋敷の執務室。
ルチルの父母であるふたりが、話し合っていた。
「ルチルは、素晴らしい才能に恵まれたな」
ルーガはしみじみと告げた。
この2年間で、ルチルに対する賞賛をあちこちで聞くようになった。
もちろん、調味料を開発した功績について……だ。
トマトケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング。
これらは宮廷料理や社交パーティーにさえ提供されることも、もはや当たり前となっている。
ちなみに貴族の料理関係者の中には、ルチルの熱狂的なファンも多い。
公爵家お抱えの料理長も、ルチルにはすっかり尊敬の眼差しを送っていた。
「まさか調味料ひとつで、ここまで賛美されようとは」
「ルチルの調味料は、お世辞抜きで素晴らしいもの。私もすっかり虜になってしまいました」
「まあ、そうだな」
確かにトマトケチャップやマヨネーズは素晴らしい。
これらの需要は、家庭の食卓だけに留まらない。たとえば飲食店の店主もまた、ルチルの調味料を使った料理を作り始めている。
こうして生まれた料理の一例が、マヨネーズパンだ。
パンにマヨネーズをかけるだけ、というシンプルな料理だが絶大な人気を博した。
そしてそういう料理が人気になればなるほど、連動してマヨネーズも売れていくという按配だ。
――調味料の製法を、ルチル商会は公開していない。
したがってケチャップやマヨネーズが欲しいなら、ルチル商会から購入するしかない。
これによりルチル商会は、調味料の利益を独占し、莫大な利益をあげ……公爵領はおろか、王都でも最も勢いのある新興商会として注目されているのだ。
「これほど売れてしまうと、大商人からの妨害を受けたりはしないものか」
「その心配はないでしょう。公爵令嬢を敵に回したい商人など、そう多くはありませんよ」
ルチルが作った調味料の凄まじい人気ぶり。
商会を立ち上げてわずか2年で、すでに中堅商会と呼べる規模にまで至ろうとしている。
驚くべき急成長だ。しかもその成長はいまだ天井が見えない。
ゆくゆくルチルは、大商人の仲間入りを果たすことは間違いない。
その過程で、既存の利権をおびやかすこともあるだろう。
だが、大商人たちでさえルチル商会の妨害はできない。
なぜなら、相手はルチル……公爵令嬢だ。ルチルに敵対することは、公爵家を敵に回すことと同義である。
しかもただの公爵家ではなく、ミアストーン家は軍の名家。
商人ごときに敵対できるわけがない。
現状、商人たちは、ルチル商会の台頭を警戒すれど、実質的には黙認するしかないのであった。
「しかし最近、ルチルへの縁談が絶えん……」
ルーガがため息をつきながら言った。
トマトケチャップが流行したときから、縁談の申し出は増えていた。
マヨネーズ、ドレッシングのブームにより、さらに縁談の数は急増した。
それだけ婚約することに価値がある、と判断されているのだ。
……ただ、公爵令嬢が相手だ。
実際に婚姻できる家柄は限られている。
けれどダメ元でも、とばかりに、家格のつりあわない貴族からも縁談が持ち込まれていた。
「縁談を拒否する返事を出すのも面倒なぐらいだ」
それを聞いたラティーヌがなだめる。
「まあまあ、それほど娘に価値があると思われているのは、喜ばしいことではないですか?」
「それは否定しないが……」
ルーガがそう答える。そこでラティーヌが言った。
「実は……王家からも縁談が来ているのですよ」
「なんだと!?」
「しかも第一王子……アレックス王子との縁談です」
ルーガは驚いた。
公爵家の立場を考えれば、王家の者と婚姻を結ぶことは可能である。しかし、王家のほうから縁談が来るというのは珍しいことだった。
「それほどルチルの価値を高く見積もり、将来性にも期待を寄せている、ということでしょう」
「そこまで高く評価されているとは……」
ルーガは改めて娘の実力を再評価した。そして言った。
「王家からの縁談なら、こちらからも望むところだ。前向きに返事をしたほうがいいな」
「ルチルを王妃に据えるのですか?」
「問題なかろう」
なにしろ相手はアレックスだ。
アレックスは第一王子ではある。しかし才能は凡庸であり、未来の国王となるのは厳しい。
そうなればルチルを女王、アレックスを夫……つまり王配として位置づけることも不可能ではないのだ。
そこまで上手くいかなくとも、アレックスを傀儡にして王家を操るのもアリだ。
この婚姻は、受けたほうがいい。
(ルチルを女王にできれば、わが家の権勢は揺るぎないものとなる)
ルーガはほくそ笑んだ。夫の思惑を察したラティーヌは肩をすくめるのだった。
◇
その年の夏。私は112歳になっていた。
母上とともに、公爵領を離れ、王都を訪れていた。
高級馬車に乗って、王城へと入城する。
華やかな廊下を通り、王宮の応接室へ。
そこで待っていたのは、ふたり。
ひとりは、女王陛下ミジェラ。豪奢なドレスに身を包んだ女性。髪は大自然を模したような緑のロングヘア。目は黄金の色。女傑とわかるオーラをまとっている。
もうひとりは、第一王子アレックス。母ミジェラと同じ緑色の髪。目も黄金の色だ。どこか刺々しい印象を受ける態度だ。少しあごを上げて、こちらを見下ろしているような姿勢である。
(王城に呼び出された先で、女王と第一王子か……)
私は何を話されるのか察した。
まずは互いに挨拶を行った。
ミジェラ女王は口を開いた。
「こちらは私の息子……第一王子のアレックスだ」
女王と私は面識があったが、アレックスとは初対面であった。
私はアレックスに自己紹介をした。
「お初にお目にかかります、アレックス殿下。わたくしはルチル・ミアストーンと申しますわ」
「……ああ」
やたらと不満げにアレックスがあいづちを打つ。女王は私に言った。
「ルチル……今日、お前を呼び出した理由についてだが、お前とアレックスの婚約が決定したからだ」
「……!」
やっぱりそうきたか。最悪だ。
アレックスは、ゲームでもだいぶ評判の悪いキャラクターだ。
一言で言えばクズなのである。
そんな相手と婚約なんて遠慮したいところだった。
「すでにお前の両親には話を通してある。そうだな、ラティーヌ?」
「おっしゃるとおりです」
母上は肯定した。
この婚姻は拒否することはできない。
それにしても、いきなり婚約を通告してくるとは、さすが異世界の政略結婚だ。
本人の意思はまるで無視である。
(まあでも、ある程度は予想できていた、かな……)
私は思う。
ゲームでも、ルチルとアレックスは婚約関係にあった。
だからこれはある意味での予定調和だ。
一応、救いがあるのは、アレックスとはいずれ破局する運命にあるということだ。
それまで形だけでも婚約者をやっていればいいのだ。
「私とラティーヌは話がある。ふたりで親交を深めていなさい」
ミジェラ女王はそう述べて、母上とともに部屋を出ていった。
応接室に、私とアレックスが取り残される。
しばし沈黙があったが、やがてアレックスが言った。
「おい。お前、商会を経営しているんだろう?」
「はい。そうですわ」
「それ、やめろ」
「……え?」
「商会経営をやめろ。お前の名声が高まれば、私が比較されて、見劣りすると思われるだろ。それで王子の名に傷がついたらどうするんだ」
なっ……なにふざけたことを言ってるんだ、この王子は?
はぁ……やっぱりこいつ、ゴミだわ。
ゲームでも第一王子は極端なほど自己中心的な性格だった。今の発言を聞くかぎり、ゲームのときと変わらないようだ。
よし。絶対に言うことを聞いてやらないぞ。
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