まさかの自分のツボがこれだったとは、三十路を過ぎて自覚する事もあるらしい。

羽月☆

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21 謝罪と話し合いの場が知らぬ間にセッティングされた男。

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ちょっといびつ、そんな雰囲気はあるけど、気のせいだと思うようにしてた。
自分がそう思っていいのか分からないけど、そうしてた。

「緋色さん、これお願い。」

「はい。」

前みたいにくどくどと、ある意味懇切丁寧に説明しなくても何をしてほしいか分かってくれるようになったらしい緋色。
良かった、本当に成長するものだ。

『落ちこぼれ雀』も返上できそうじゃないか。
直接は絶対言えない軽口を心の中でつぶやいた。

それにちゃんとミスなく仕上げてくるものが多い。
ただ、多いというだけで毎回完璧じゃないので安心はできないが、あってもちょっとした手直しをお願いするだけで済んでる。

そんな日々に感動しつつ、先週より一日長い一週間が過ぎようとしていた金曜日。

「江戸川さん、今日飲みに行ける?」

「はい、そんな気分なんですか?」

「そうそうそうなの。ものすごくそうなの。」

珍しい、もしかして彼氏と喧嘩でもしたんだろうか?
だからといって深刻なため息なんて全くなかったし、表情も変らない。
ただの気分転換だろうか?

どうせまっすぐ帰ることはしないだろう。
ちょっと飲んで帰るくらいはしたいから、初めて宗像さんと一緒でもいい。


そう思ってた。
二人で軽く飲む日。
ついでに珍しく上司の愚痴を聞く日かもしれない。
もしかしてその後、緋色の成長を二人で褒め合ってもいいかもしれない。

最後に仕事が残った宗像さん、がっかりしながら先に紙を渡された。

なんと予約をしていたらしい。

「江戸川さんの名前で入ってるからね。」

全く何も聞かれずにそう手配したらしい宗像さん。
京料理をいただくらしい。
先にお酒を飲んでて、そう言われて先に行った。
待っていてもせかすだけだろうし。

ゆっくり会社を出て、検索した地図のお店に着いた。

緋色は自分が与えた課題が終わった時点で終わりだと伝えてた。
お先に失礼しますとお辞儀をして先に帰っていた。
その背中を見送ったのは20分くらい前だったか。


それなのに・・・。


お店にたどり着いて席に案内された。
小さいけど掘りごたつ式のお座敷。個室らしい。
誰かいるとは思わなくて声もかけずに開けたら、いた、先客が一人。


何も聞いてなかったがやっぱり二人じゃなかったらしい。

しかも狭い。
三人入るには明らかに狭い。

お店の人が靴をケースにしまうから、そこにいて待ってくれてる。
とりあえず靴を脱いで入って、座ったのは緋色の向かいだった。

宗像さんはどこに座る?

テーブルは二人分のセッティングだった。


「お疲れ様です。」

「お疲れ。緋色も誘われてたんだ。先に帰ったから、てっきり用事があるんだと思ってた。」

外から声がして料理が運ばれてきた。
まだ注文もしてないのに、お酒まで運ばれてきた。


同じころに携帯が鳴って、チラリと見たら宗像さんだった。


来ないらしい、わざとらしい、部下二人の親睦会らしい。


・・・・諦めた。

今日は何と言われようが耐えるしかないと諦めた。
ただ個室とは言っても狭くて、同じような個室はずらっと並んでる。
声も筒抜けかもしれない。
大人の気遣いで黙ってほしい部分はある、そう願いたい。


「宗像さんは来ないらしい。」

「はい。」

それも知ってたらしい、まぁ、当たり前か。
ここには二人分のセットしかない、明らかに二人用の部屋だった。

日本酒をお互いのお猪口にそそぐ。



「この間、聞かれて、そのまま教えました。」

何を?どこまで?

「金曜日にセッティングするから、ちゃんと話をした方がいいと言われました。」

それは自分が聞く話なのか、それとも自分が謝罪をする話なのか?


「向井さんもそうした方がいいって。」


何?何で向井が出てくる。いつ連絡をしたんだ!


「本当に向井に連絡をとったのか?」

「向こうから心配して聞いてくれました。だから隠さずに教えました。」

隠さずに・・・・それは、何を?

全部聞いたんだろう、こっちにはまったく確認の連絡もなかった、ついでの惚気もなかったくらいに『なし』だったけど。


「とりあえず、飲もう、食べよう。珍しい京料理だし、おいしそうだ。お互い飲み過ぎるのは止めよう。」

そうだ、そもそもあの日は飲み過ぎたんだろう。
自分も寝ぼけるくらい飲んだんだろう。



言葉少なに目の前の料理の話をした。
大好きな料理の話だろうに相槌が弱く、本当に心がこもってない。

美味しいと思ってるが自分だってちゃんと味わえてるかと言ったら、どうだろう。
とりあえず目の前に来たものをどんどん口に運んでる感じだ。


今日の緋色の表情はなんだろう。

いつの間にかカラッとしてとぼけた元気さがなくなり、自分に向けては特に笑顔もなくなり、目つきも悪くなり、口も悪くなり・・・・・言葉もなくなるくらいだったし、そしてとうとう表情もなくなった。

時々緋色の変わらない固い表情を見ながらもそんな事をぼんやりと思い。

とうとう最後のわらび餅が出てきた。
暖かいお茶の湯飲みを置かれて、ごゆっくりと言われた。


ちょっと休憩だ。


ため息をゆっくり漏らす、お腹いっぱいだという風に。


向かいでさっきより表情が凍ったようになった緋色。
先に謝るべきだろう。


「この間は、本当に悪かった。疲れてたなんて言って先に寝てしまって。それに次の朝も。」


具体的には言いたくないのは、分かってもらいたい。


「もし今でいいなら、まだ俺でいいのなら、遅くなったけど話を聞くつもりだから。」

そう言った。

そうまるっとシチュエーションをあの夜に戻す。
自分の部屋じゃないが、一応個室で、向き合って話ができる。
あの時したかったという話を、今。


「それは伝えました。私はちゃんと伝えて、江戸川さんも応えてくれたと、そう思ってました。途中まではそう思って、すごく嬉しかったのに。」


答えたらしい、なら良かったんじゃないかと・・・・・。
それで??

「目を閉じてたから・・・でもちゃんと聞こえてたはずです。」


目を閉じて話なんてするか?
いつだ、いつ・・・・。


「ちゃんと会話にもになって・・・・たと思ってたのに、全然覚えてないんだと、今分かりました。」



俺はそれほど酔っていたのか?
いつ?どこで?何を話した?

もう一度は・・・言いたくないんだろうか?
もう必要ないと言われればそれまでだし。

「本当に・・・記憶が・・・心当たりがない。申し訳ない、いつもはちゃんと聞いてるんだ、素っ気ない言葉も、悪口のような言葉も、ちゃんと聞いてるつもりだけど。」



どうして思い出せないのか、分からない。


緋色の顔はだんだんと・・・見てても平謝りしたくなるほどの顔になる。


「もう一度・・・は必要ないか?」


「ちゃんと応えてくれるんですか?ちゃんとあの時の様に。」

あの時がどの時だか。
でもうなずくしかない。

うなずいた。目を見て、見たことないくらい揺れてる目を見てうなずいた。


「ずっとずっと見てたから、いつの間にか好きになって、もっと隣にいてほしいって、そう思ったんです。だからあの夜にもそう伝えたくて。」


今自分の表情がなくなったかもしれない。
顔の筋肉が伸びた気分だった。


「眠れなくて、そっと寝室に入りこんで、声をかけたら返事をしてくれたので、座り込んでちゃんと伝えました。大切なセリフはちゃんと伝えて、そうしたら・・・・。」


おい、そこで終わるな・・・・・どうなった?
聞きたいわけじゃないが、聞かないといけないんだろう。

どうなった?

服は着てたと分かってる、脱いだ気もしない、だから最悪はない。
記憶にない行為はない。
そこは確かだと・・・・思ってたが。

「『もう分かったから来い。』って言われて・・・・。」


言ったのか?分かったのか?疑問もはさまずに?
誰の口がそう言ったんんだ。

何を間違ったんだ?

「一緒に横になって寝ました。」



終わりだ終わり。終わりだろう・・・・?


「確かに目も合わなかったくらいに閉じてたし、抱きついてもすぐに寝て・・・・。」


良かった。終わりだった。


「朝まで。気が付いたらあんな感じで・・・・苦しくて目が覚めたんです。」


どんな夢を見てただろうか?
昔の彼女の記憶でもよみがえってきただろうか?

気が付いたら自分だってあんな感じで・・・・そう言いたい。

必要以上にそんな感じだったけど、何の意識もなかったと、ついでに目的も・・・・・。


そのことを知ってる二人、上司と向井。
宗像さんはいつ聞いたんだろう?
それは月曜日かもしれない。

ずっとそんな目で見られてたんだろうか?
寝ぼけて、ついでに色ボケて、それを都合よく全部忘れた男。


「悪かった・・・・・。」

恥ずかしい、それが一番。
悪かった、それが二番。
じゃあ、三番は、忘れてほしい・・・だろうか?



「やっぱり応えてはくれないじゃないですか。あの時と同じようにって、そう言ったのに。」

そう言う緋色は途中何かを諦めたらしい表情だった。
『やっぱり』そう思っただろう。
今なら『情けがない』といわれても何も言えない。

だからといってすぐに答えられる事か?
大体何で寝てる先輩にそんな事を言いたくなるんだ。
もっとしっかり起こしてから目を見て話すべきだろう。

だいたい寝室は真っ暗にしてたのに。


「緋色、今すぐは、無理だ。申し訳ない。ちゃんと考えて、伝えるから。今度は責任もてる言葉で。」


そう言っても俯いた顔は上がらない。

「緋色・・・・。」

もう謝ることは出来ない。傷つけるだけだ。
何を言ってもそうだろう。


動かない頭を撫でた。思わず手が伸びた。二度目だった。


本当に記憶外だとしても最低な夜にしてしまったのに。
それなのに何をしてるんだか自分でも分からない。
思わず伸びた手はひっこめた。

お酒を飲んでるのに、いつもの悪口も出ないとは。

今こそ最大に非難されていい時なのに。
今ならかつてないほど心当たりがあるだけに甘んじで聞くのに。



元気がない緋色なんて、らしくないじゃないか。


自分の手の残像すら残りそうなその頭を見ていた。


しばらくわらび餅は放っとかれて、お茶も飲み頃をとっくに過ぎて。
静かな個室は時々すする緋色の鼻水の音だけだった。


「緋色、外に出よう。」


また頭に手を置いて、さっさと荷物を取り上げた。
ゆっくり立ち上がりついてくる。

「トイレに行ってくるか?」

小さく頷いたから荷物は返した。


会計をして、入り口で待っていた。
同時に急いで向井に連絡を取ってみた。



『緋色に何を言った?』

『大丈夫だから、ちゃんと言ってみたらいいよって。良かったじゃん。春の異動は出会いの季節だね。惚気ならちょっとくらい聞くよ、相手が若いといろいろ気苦労もあるだろうけど、感動も同じくらいあるからね。』


暢気に結末を決めてるらしい向井。
いつそう決めた?何に気が付いたんだ?

携帯をポケットに入れて、ぼんやりしてるように待つ。


ただ頭は高速回転をしていた。

どうなる?どうなりたい?どうすれば一番いい?



歩いてきた緋色を見て立ち上がった。

一緒に外に出ると眼下には綺麗な夜景が見えていた。
静かな通路を歩く。
レストランのある一角からは離れたエレベーターに歩いてきた。

別に知ってたわけじゃない。
どんどん暗がりを求めてる自分はどうしたいんだろう。

端にたどり着いた。
一面ガラス張りの下は光の点滅だった。

側を歩いていた緋色の手を取り、やや強引にガラスの方へ近寄った。
エレベーターはまっすぐ行った先にあるのに。
途中で止まって、角の場所に張り付いた。

緋色はやっぱり俯いたまま、その目に綺麗な夜景は映ってるんだろうか?


目を閉じてその存在を感じる。

ただどう思うか。

他に横にいたい誰かがいるか。


目を開けると同時に手をあげて、頭を寄せるように、緋色を引き寄せた。


「本当に悪かった、ちゃんと応える。本当に寝ぼけてたんだろうけど、さすがにそこまで理性は手放してないと思う。まったく聞き覚えのない声で、興味のない相手だったら目が覚めてたと思う。緋色が望んでくれるなら、横にいてほしい。」


自分では結構正直に、精いっぱい伝えたつもりだったのに、想像する感動の反応はなく。


起きてるか?


そう聞きたいくらいだった。


それでもジワジワと言葉が染みたのかもしれない。
もっとわかりやすく二文字で伝えた方が良かったのかもしれない。

でも伝わったらしい。

ゆっくり顔が上がり、体の向きがこっちになった。



「起きてますか?」


まさか自分が聞かれるとは。

ゆっくり頷いた。視線もちゃんと合ってる。
綺麗な夜景は映らなくなって、ちゃんと緋色が映ってるだろう。

「もう、忘れないでください。」


やっぱり見たことない表情をして見上げられた。


『分かってる。』『当たり前だ。』『お前に言われるとはな。』
なんてどんなセリフで答えるべきかいろいろと頭に浮かんだけど、ゆっくり顔を寄せてキスをした。

そのまま腰に手をやって引っ張るように引き寄せて背伸びをさせて。


このために暗がりに来たのか、自分・・・・・。


顔が離れたら、そのまま背伸びをやめられて抱きつかれた。
同じように抱き寄せて頭を撫でた。

何度か頭にキスを落として、名前を呼んだ。



「創さん・・・・。」


あの夜もそう呼ばれたんだろうか?
そういえば何度かそう呼ばれてた。

寝ぼけて、いつもとは違う呼び名でも呼ばれても応えたんだろうか?

よっぽどしつこく聞かせたんじゃないだろうかと思えて来た。

想像はするけど、どうだったかは教えてくれないかもしれない。
そもそも、その先を続けられても恥ずかしい。
朝のことに限っては・・・本当にきれいに忘れてほしい。


「帰ろう。」



そう言っても動かない緋色。


「この間の荷物、預かったままだけど。」




「今夜使ってもいいですか?」


「ああ。ちゃんと買い物をして帰ろう。必要なものもあるから。」


ようやく暗がりから出てエレベーターに向かった二人。
手をつないで歩く。

二人の姿がガラスに映るたびに、ドキッとする。
誰がこうなると思ったんだ?
自分でも意外だなって、自分に言いたい。

だけど何故か宗像さんや向井の笑顔はすぐに浮かんできた。

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