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6 何て素敵な週末だ!!
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本当にその後は仕事にならないふわふわ具合で、隣にいるアユさんをまっすぐに見れなかった。
それでもなんとかゲームの様子を写真にとり、でもアユさんの携帯にはたくさんの並んだ二人の写真も増えた。後でもらったら一鉄と奈央さんに負けないくらいくっついてた、そんな写真だった。
気分も大分落ち着いてきた。
そして仕事をすっかり忘れて楽しんでいた。
それでも偶然見つけ合ってしまったので宇佐美さんをアユさんに紹介することにした。
「ギイチさん、こんなかわいい人を隠してたんですね。先輩たちにバレたら奢らされますよ。出会いからの全部を聞き出されて、羨ましがられますよ。多分拷問レベルですよ。」
そう不吉な予言をして笑ったあと、私も連れてくればよかったなあとつぶやいた宇佐美さん。
あ、彼氏いたんだ?
そう思って驚かないように、失礼のないようにそうだねって小さく言ったのに。
「どんな彼氏さんですか?」
アユさんが聞いた。
「残念ですが弟です。来たがってたんです。一人じゃ参加しにくいって言ってたから、どうしようかと思ったんですが。先輩の代わりに仕事させながら話しかけさせて手伝わせようかと思ってたりして。ギイチさんが来てくれるって言うから、まあいいかなって思ったのに・・・・ううう、そこもまさかの裏切りでした。」
「で、ギイチさん、仕事しましたか?なんだか私だけ働いてませんか?」
そう言ったから、宇佐美さんは個人的に参加の意義は見いだせなかったらしい。
「したよ、ちゃんと写真は撮ったよ。」
「アユさんの写真じゃないですよ。」
「もちろん。」
でも赤くなってしまった。正直なんです。
特に今日は心がいろいろと忙しくて不安定なんです。
ぽろぽろと浮かれ気分が漏れ出しそうです。
「じゃあ、あとは先輩ですね。邪魔するのは気が引けるけど。」
「どこにいるの?」
「あそこですっかり仕事を忘れてますよね。」
みんなでそっちを見た、いた、嬉しそうに笑ってる。
ラッキーなことに女の人と二人になれてるらしい。
「あ、あの人だったかも。」
アユさんが言って、一人歩いて近寄っていく。
「あ、アユさん!」
女の人が先にアユさんに気がついた。
当然先輩もこっちを見た。
「知り合いでしょうか?」
「そうなのかな?」
宇佐美さんと後ろからついていく。
「アユさん、会えましたか?」
「お、ギイチ、宇佐美ちゃん。仕事終わったか?」
精一杯先輩風を吹かしてるつもりだろうか?
まったく逆風なのに。
だいたい嬉しそうな顔はもとに戻ってない・・・・でも、自分はもっと酷いかもしれない。
そして隣の女の人は・・・・。
「紹介しますね。一緒に入ってくれた野倉梨乃さんです。」
アユさんが僕たち二人に紹介してくれた。
「探していたギイチさんと後輩の宇佐美さんです。」
そう野倉さんに紹介された。
お互いにお辞儀をする。
顔を上げると先輩の目が紹介しろと言ってる。
「えっと、アユさんです。」
先輩に向かって言った。
「ギイチさんの話にうっすらと滲むように出てきていた彼女さんです。」
宇佐美さんがもう少し具体的に付け加えた。
先輩が驚いてる。声も出ないくらい。
皆がいる今じゃなかったら首を絞められたかも。
「宇佐美さん、僕何も言ってないよ。アユさんのことは教えてないのに。」
「だって、どこかに行った、食べた、買った・・・・なんてほとんど誰かと一緒だってバレてました。まさか・・・・・他にも彼女候補が・・・・・???」
ワザとらしく言う宇佐美さん。
「なんて意地悪もしたくなります。で、仕事そっちのけで先輩も楽しめましたか?」
宇佐美さんが罪無く聞く、むしろワザと罪を明らかにするように聞く、職務怠慢です!!と。
だいたい、そんなのは顔を見たらわかる。
アユさんが友達になった人とくっつけたと言ったのが、まさか仕事中の自分の先輩だったとは。
この中でアユさんがまさかの一番いい仕事をしてたなんて。
アユさんを見たら嬉しい顔になっていた。
まあまあ楽しい先輩です。鉄子さんにとっては素晴らしく物知りです。あとは、浮気はしません!もういいなりです!!
野倉さんに、そう目で伝えた・・・・・。
だんだん自分のことかもと思ってきた。
僕もアユさんにはそうです。そのまんまです。お分かりでしょうが・・・・。
発車のベルが鳴り、アナウンスがかかる。
イベントは終わりらしい。
このあと来月からのイベントの告知記事の取材を頼む。
外で待つと言ったアユさんと野倉さん。
今日の先輩の初仕事、任せた、原稿も先輩に押し付けよう。
二人に見送られ向きを変えた途端、腕を掴まれた。
もちろん先輩に。
宇佐美さんの言う通りになった。
素晴らしいくらいにその通りに。
アユさんのことを早口で根掘り葉掘りと聞いてくる。
口調が好奇心より呪いを帯びた感じだ、もしくは恨みかな?
取材後も続けてきて、しつこくて、もう目の前に二人が見えてるのに、小声になりながらも、最後には『黙ってるとは情けがない。』とまで言われた。
『鉄友の一人です。』
昨日までだったらそう言っただろうけど。今日は違う。
自信もって違うって言える日になった。
出会ってから203日目。
やっとそう思っていいんだって、アユさんが教えてくれた。
何か大切なことを忘れてる気がするけど、今は考えられない。
さっきもそう思って考えてない事だったのに・・・何だっただろう???
まあ、いいや。
「お待たせしました。」
先輩が礼儀正しく言う。
そう、そんなところはきちんとしてます。社会人としては尊敬するところです。
ただどんな緩んだ顔だかは分からない。
当然の成り行きかもしれない。
宇佐美さんはアユさんと野倉さんにまで、自分の名刺を渡したらさっさといなくなった。
残された四人、少しだけお疲れ様会をすることになった。
まだまだ浮足立ってる自分だからいい。
それでもなんとなく避けられたい話題はあり、今日のイベントの感想をアユさんがいい、次回のイベントをフライングで聞いた野倉さんが楽しそうな顔をして、先輩が一節うんちくを披露して、それも面白くなかなかの語り口で、二人の女子が楽しい顔をして。
そんなゆるくも温かい場に大きなくす玉を持ち込んで割ったのはアユさんだった。
「ギイチさん、今度は連休を使って泊りがけで旅行してみたいです。」
ビックリした・・・・一度だけあるけど、今度はいろいろと立場が違う。
彼女との旅行・・・・一人だったら自分の顔がどうなってたか分からない。
人前の今も自信がないから鼻を掻いて顔を隠した。
当然どこですか?と野倉さんが聞いて、それは泊りがけですねと二人が言い合う。
今までの行きたい場所リストの中でも確かに遠い場所だ。
二泊あったら嬉しいくらいに。
野倉さんが携帯で連休を調べて、アユさんと見てる。
「紅葉の綺麗な季節ですね。」
「いいですね、私も行きたいです。でも邪魔はしませんよ~。」
なんて二人が話をしてる間、先輩の驚いた表情は怖い顔になりこっちに向いていた。
「ギイチ、仕事のことならなんとかするから、行けばいい。」
そんな顔で言われても信じられません。邪魔するんじゃないですか?
「あ、そうでした。すみません。週末仕事もこの季節だとたくさんありそうですか?」
「わからない・・・かな?まだ先だしね。」
「じゃあ、根岸さんも週末に仕事だったりするんですね。」
野倉さんに聞かれた先輩。
「まぁ、無くはないけどお互いに助け合えば、今回は頼もしいメンバーも増えたんだし。」
明らかに宇佐美さんがまた便利に使われようとしてる。
野倉さんに愛想よく答えてる先輩。
そこには明らかに安心してくださいのメッセージが込められてる気がする。
「そこはお互い交代でやってるんだよな!」
そう言われた。どうせ皆行きたがるんだ。だって会社のお金で行けるんだから、乗れるんだから、仕事だとしても楽しめるのは自分達だから。
「じゃあ、もう少し考えてみませんか?」
アユさんが言う、嬉しそうだと思う、もちろん僕も嬉しい。
「行けたらいいですね!」
後押ししてくれた野倉さん。
月曜日も先輩の機嫌がいいことを祈ろう。
本当にどんなに詰め寄られるか。
「野倉さん、夕飯食べて帰る予定ですか?」
「うん、そのつもり。一人だと適当に済ませることが多いから。」
「でも、今日は根岸さんが一緒です・・・・・か?」
途端に先輩が慌てる。
「あ、あ、あ、良かったら、お礼に御馳走します。」
なんのお礼だろう?
本当にリアル体験レポートになったことのお礼だと、そう言うのだろうか?
「ギイチさん、どうしますか?今日はご褒美ご飯の日にしますよね?美味しいもの食べに行きますか?」
「そうだね。」
なんとなくアユさんが誘導してる方向が分かった。
「いいですね。仲良しで。」
野倉さんがそう言う。
「はい。じゃあ、ご褒美ご飯に出かけるので、ごめんなさい。」
ご褒美が何か、聞かれもしないのに話は進んで。
一緒にと誘い合うこともなく、席を立つアユさん。
「ありがとう、アユさん、いろいろ。楽しかった。」
「私こそありがとうございました。」
僕も野倉さんにお辞儀をして、先輩にも挨拶して、二人を残して立ち去った。
大丈夫だろうか?
いい人っぽいし、まごまごする先輩に愛想つかさないでくれると嬉しい、なんて偉そうにも思った。
「アユさん、先に何か野倉さんに聞いてたの?」
「ご飯に誘えたらいいねって、お互いにそう言ってたんです。一緒でも良かったですが、ギイチさん一緒が良かったですか?」
そんなことないです!先輩はいりません。
「二人がいいです。」
そこは正直に言った。
赤くなる、でもちゃんと言えた。
「みんなそう思ってます。」
それはアユさんも、ってことにしていいのかな、そうだよね。
なんだか今日は行動的なアユさんに引っ張られてる。
もしかしたら先輩もそうなるかも。
「宇佐美さんとも仲良く話ができました。良かったです。」
「一人先に帰ったけど、気を遣ったかな?」
「たぶん。」
そうだろうな。
本当に素晴らしい新人なのだ。先輩が二人共グダグダだとして、きっちり仕事をしたかもしれない。
誰も言ってくれないけど先週も頑張ったから、ベルトの穴は2つくらい動いた!
すっかり馴染んだ穴は大きく楕円形で、新しい穴は小さい丸。
つい満足そうに眺めてしまう。
そしてアユさんの献立付き献立表、第二弾をもらった。
ありがたくて何度もお礼を言った。
少し痩せましたよねって、気がついてくれたし、だから満足だし。
まだまだ頑張るつもり。
この週末、仕事中に堂々とデートして最高にうれしいことがあった土曜日、タッパーをたくさんもらった日曜日、前に一泊で行った鉄旅以外、二日続けて会ったのも初めてだった。
アユさんの部屋で、アユさんの手料理を一緒に食べて、ちょっとだけ近くにいて、少しだけ触れ合う瞬間も繰り返されて・・・・・。
それでもなんとかゲームの様子を写真にとり、でもアユさんの携帯にはたくさんの並んだ二人の写真も増えた。後でもらったら一鉄と奈央さんに負けないくらいくっついてた、そんな写真だった。
気分も大分落ち着いてきた。
そして仕事をすっかり忘れて楽しんでいた。
それでも偶然見つけ合ってしまったので宇佐美さんをアユさんに紹介することにした。
「ギイチさん、こんなかわいい人を隠してたんですね。先輩たちにバレたら奢らされますよ。出会いからの全部を聞き出されて、羨ましがられますよ。多分拷問レベルですよ。」
そう不吉な予言をして笑ったあと、私も連れてくればよかったなあとつぶやいた宇佐美さん。
あ、彼氏いたんだ?
そう思って驚かないように、失礼のないようにそうだねって小さく言ったのに。
「どんな彼氏さんですか?」
アユさんが聞いた。
「残念ですが弟です。来たがってたんです。一人じゃ参加しにくいって言ってたから、どうしようかと思ったんですが。先輩の代わりに仕事させながら話しかけさせて手伝わせようかと思ってたりして。ギイチさんが来てくれるって言うから、まあいいかなって思ったのに・・・・ううう、そこもまさかの裏切りでした。」
「で、ギイチさん、仕事しましたか?なんだか私だけ働いてませんか?」
そう言ったから、宇佐美さんは個人的に参加の意義は見いだせなかったらしい。
「したよ、ちゃんと写真は撮ったよ。」
「アユさんの写真じゃないですよ。」
「もちろん。」
でも赤くなってしまった。正直なんです。
特に今日は心がいろいろと忙しくて不安定なんです。
ぽろぽろと浮かれ気分が漏れ出しそうです。
「じゃあ、あとは先輩ですね。邪魔するのは気が引けるけど。」
「どこにいるの?」
「あそこですっかり仕事を忘れてますよね。」
みんなでそっちを見た、いた、嬉しそうに笑ってる。
ラッキーなことに女の人と二人になれてるらしい。
「あ、あの人だったかも。」
アユさんが言って、一人歩いて近寄っていく。
「あ、アユさん!」
女の人が先にアユさんに気がついた。
当然先輩もこっちを見た。
「知り合いでしょうか?」
「そうなのかな?」
宇佐美さんと後ろからついていく。
「アユさん、会えましたか?」
「お、ギイチ、宇佐美ちゃん。仕事終わったか?」
精一杯先輩風を吹かしてるつもりだろうか?
まったく逆風なのに。
だいたい嬉しそうな顔はもとに戻ってない・・・・でも、自分はもっと酷いかもしれない。
そして隣の女の人は・・・・。
「紹介しますね。一緒に入ってくれた野倉梨乃さんです。」
アユさんが僕たち二人に紹介してくれた。
「探していたギイチさんと後輩の宇佐美さんです。」
そう野倉さんに紹介された。
お互いにお辞儀をする。
顔を上げると先輩の目が紹介しろと言ってる。
「えっと、アユさんです。」
先輩に向かって言った。
「ギイチさんの話にうっすらと滲むように出てきていた彼女さんです。」
宇佐美さんがもう少し具体的に付け加えた。
先輩が驚いてる。声も出ないくらい。
皆がいる今じゃなかったら首を絞められたかも。
「宇佐美さん、僕何も言ってないよ。アユさんのことは教えてないのに。」
「だって、どこかに行った、食べた、買った・・・・なんてほとんど誰かと一緒だってバレてました。まさか・・・・・他にも彼女候補が・・・・・???」
ワザとらしく言う宇佐美さん。
「なんて意地悪もしたくなります。で、仕事そっちのけで先輩も楽しめましたか?」
宇佐美さんが罪無く聞く、むしろワザと罪を明らかにするように聞く、職務怠慢です!!と。
だいたい、そんなのは顔を見たらわかる。
アユさんが友達になった人とくっつけたと言ったのが、まさか仕事中の自分の先輩だったとは。
この中でアユさんがまさかの一番いい仕事をしてたなんて。
アユさんを見たら嬉しい顔になっていた。
まあまあ楽しい先輩です。鉄子さんにとっては素晴らしく物知りです。あとは、浮気はしません!もういいなりです!!
野倉さんに、そう目で伝えた・・・・・。
だんだん自分のことかもと思ってきた。
僕もアユさんにはそうです。そのまんまです。お分かりでしょうが・・・・。
発車のベルが鳴り、アナウンスがかかる。
イベントは終わりらしい。
このあと来月からのイベントの告知記事の取材を頼む。
外で待つと言ったアユさんと野倉さん。
今日の先輩の初仕事、任せた、原稿も先輩に押し付けよう。
二人に見送られ向きを変えた途端、腕を掴まれた。
もちろん先輩に。
宇佐美さんの言う通りになった。
素晴らしいくらいにその通りに。
アユさんのことを早口で根掘り葉掘りと聞いてくる。
口調が好奇心より呪いを帯びた感じだ、もしくは恨みかな?
取材後も続けてきて、しつこくて、もう目の前に二人が見えてるのに、小声になりながらも、最後には『黙ってるとは情けがない。』とまで言われた。
『鉄友の一人です。』
昨日までだったらそう言っただろうけど。今日は違う。
自信もって違うって言える日になった。
出会ってから203日目。
やっとそう思っていいんだって、アユさんが教えてくれた。
何か大切なことを忘れてる気がするけど、今は考えられない。
さっきもそう思って考えてない事だったのに・・・何だっただろう???
まあ、いいや。
「お待たせしました。」
先輩が礼儀正しく言う。
そう、そんなところはきちんとしてます。社会人としては尊敬するところです。
ただどんな緩んだ顔だかは分からない。
当然の成り行きかもしれない。
宇佐美さんはアユさんと野倉さんにまで、自分の名刺を渡したらさっさといなくなった。
残された四人、少しだけお疲れ様会をすることになった。
まだまだ浮足立ってる自分だからいい。
それでもなんとなく避けられたい話題はあり、今日のイベントの感想をアユさんがいい、次回のイベントをフライングで聞いた野倉さんが楽しそうな顔をして、先輩が一節うんちくを披露して、それも面白くなかなかの語り口で、二人の女子が楽しい顔をして。
そんなゆるくも温かい場に大きなくす玉を持ち込んで割ったのはアユさんだった。
「ギイチさん、今度は連休を使って泊りがけで旅行してみたいです。」
ビックリした・・・・一度だけあるけど、今度はいろいろと立場が違う。
彼女との旅行・・・・一人だったら自分の顔がどうなってたか分からない。
人前の今も自信がないから鼻を掻いて顔を隠した。
当然どこですか?と野倉さんが聞いて、それは泊りがけですねと二人が言い合う。
今までの行きたい場所リストの中でも確かに遠い場所だ。
二泊あったら嬉しいくらいに。
野倉さんが携帯で連休を調べて、アユさんと見てる。
「紅葉の綺麗な季節ですね。」
「いいですね、私も行きたいです。でも邪魔はしませんよ~。」
なんて二人が話をしてる間、先輩の驚いた表情は怖い顔になりこっちに向いていた。
「ギイチ、仕事のことならなんとかするから、行けばいい。」
そんな顔で言われても信じられません。邪魔するんじゃないですか?
「あ、そうでした。すみません。週末仕事もこの季節だとたくさんありそうですか?」
「わからない・・・かな?まだ先だしね。」
「じゃあ、根岸さんも週末に仕事だったりするんですね。」
野倉さんに聞かれた先輩。
「まぁ、無くはないけどお互いに助け合えば、今回は頼もしいメンバーも増えたんだし。」
明らかに宇佐美さんがまた便利に使われようとしてる。
野倉さんに愛想よく答えてる先輩。
そこには明らかに安心してくださいのメッセージが込められてる気がする。
「そこはお互い交代でやってるんだよな!」
そう言われた。どうせ皆行きたがるんだ。だって会社のお金で行けるんだから、乗れるんだから、仕事だとしても楽しめるのは自分達だから。
「じゃあ、もう少し考えてみませんか?」
アユさんが言う、嬉しそうだと思う、もちろん僕も嬉しい。
「行けたらいいですね!」
後押ししてくれた野倉さん。
月曜日も先輩の機嫌がいいことを祈ろう。
本当にどんなに詰め寄られるか。
「野倉さん、夕飯食べて帰る予定ですか?」
「うん、そのつもり。一人だと適当に済ませることが多いから。」
「でも、今日は根岸さんが一緒です・・・・・か?」
途端に先輩が慌てる。
「あ、あ、あ、良かったら、お礼に御馳走します。」
なんのお礼だろう?
本当にリアル体験レポートになったことのお礼だと、そう言うのだろうか?
「ギイチさん、どうしますか?今日はご褒美ご飯の日にしますよね?美味しいもの食べに行きますか?」
「そうだね。」
なんとなくアユさんが誘導してる方向が分かった。
「いいですね。仲良しで。」
野倉さんがそう言う。
「はい。じゃあ、ご褒美ご飯に出かけるので、ごめんなさい。」
ご褒美が何か、聞かれもしないのに話は進んで。
一緒にと誘い合うこともなく、席を立つアユさん。
「ありがとう、アユさん、いろいろ。楽しかった。」
「私こそありがとうございました。」
僕も野倉さんにお辞儀をして、先輩にも挨拶して、二人を残して立ち去った。
大丈夫だろうか?
いい人っぽいし、まごまごする先輩に愛想つかさないでくれると嬉しい、なんて偉そうにも思った。
「アユさん、先に何か野倉さんに聞いてたの?」
「ご飯に誘えたらいいねって、お互いにそう言ってたんです。一緒でも良かったですが、ギイチさん一緒が良かったですか?」
そんなことないです!先輩はいりません。
「二人がいいです。」
そこは正直に言った。
赤くなる、でもちゃんと言えた。
「みんなそう思ってます。」
それはアユさんも、ってことにしていいのかな、そうだよね。
なんだか今日は行動的なアユさんに引っ張られてる。
もしかしたら先輩もそうなるかも。
「宇佐美さんとも仲良く話ができました。良かったです。」
「一人先に帰ったけど、気を遣ったかな?」
「たぶん。」
そうだろうな。
本当に素晴らしい新人なのだ。先輩が二人共グダグダだとして、きっちり仕事をしたかもしれない。
誰も言ってくれないけど先週も頑張ったから、ベルトの穴は2つくらい動いた!
すっかり馴染んだ穴は大きく楕円形で、新しい穴は小さい丸。
つい満足そうに眺めてしまう。
そしてアユさんの献立付き献立表、第二弾をもらった。
ありがたくて何度もお礼を言った。
少し痩せましたよねって、気がついてくれたし、だから満足だし。
まだまだ頑張るつもり。
この週末、仕事中に堂々とデートして最高にうれしいことがあった土曜日、タッパーをたくさんもらった日曜日、前に一泊で行った鉄旅以外、二日続けて会ったのも初めてだった。
アユさんの部屋で、アユさんの手料理を一緒に食べて、ちょっとだけ近くにいて、少しだけ触れ合う瞬間も繰り返されて・・・・・。
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