呪文のような名前が気になって・・・・もしかして本当に幸せの呪文でしたか?

羽月☆

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17 ちなみ ~すっかり忘れてた頃にきた報告も喜ぼう~

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そんな・・・・・。

うれしいけど、ビックリで・・・・。

「新さん、水鳥ちゃんから何か連絡ありましたか?」

「別にないよ。」


「あ・・・・もしかしてお正月、家に誘われた?」

まさかです。そんな話じゃないです!!


「水鳥ちゃんが有田君と楽しいクリスマスを過ごしたという報告が来ました。」

控えめに伝えた。
スッピンでくっついたツーショットが、しかも有田君の驚いた顔、二人ともパジャマだし。
それがすべてを物語っていた。
丸く収まったらしい。

もう、心配してたのに・・・・なんてセリフは私のどこからも出てこなかった。
自分の事でいっぱいいっぱいだった。
そこは、いいだろう。こうなったんだったら、いいだろう。

それにこの写真はさすがに新さんには見せれない。
非公開だよね?
まさか丸く抜かれてアイコンにしたりしないもんね。


でも、よかった。今なら・・・ホッとする。


「お正月どうするの?」

「実家に帰ってきます。」

「どのくらい?」

「まだ決めてないです。友達と連絡とったりしてから決めようかと思ってます。」

「そうだよね。」

「お土産買ってきます。そう遠くないですから。」

本当にただ通勤が無理って言うだけ。
のんびりした電車でゴトゴトと揺られたら着く。

「新さんは友達と会ったりしませんか?」


「なかなか、地元にいるヤツは家庭があったりするし、旅行に行ったり、それぞれだよね。」


「年越しは家族とですよね?」

「別に決めてない。毎年年明けに顔を出してたし、ちなみちゃんがいなかったら実家に泊まろうかな。」



さすがに毎年お正月は実家で過ごしていた。
年越しから初詣とあと少しは。

だってバイトでもないと友達もそんな感じだった。

今年はちょっと短いだろうか?
何でって思われるかもしれない。
それより隠せなくて教えちゃうかもしれない。

水鳥ちゃんのお陰で私の事はすっかりバレてるんだから、私も少しは報告したい。


あれからちょっとだけ聞いた。
こっそり聞いたというか、水鳥ちゃんがうっかり漏らした。
それには気がついてないらしいし、別に私も気にしないようにしてる。

新さんの昔の彼女は綺麗な人だったらしい、少なくとも私とはタイプが違うらしい。 
それはそれでいいけど、付き合った期間の方だった。
その人とは二年間くらいお付き合いしたらしい、新さんはそれなりに考えてたらしい、そんな感じの事を水鳥ちゃんがちらりと漏らした。

二年・・・・・長い。

水鳥ちゃんは会ったことはないらしい、写真をちらりと盗み見たと言ってた。
携帯に入ってた彼女の写真かツーショットの写真だろう。
今は私との写真が入ってる、ふつう入ってるよね、お付き合いしてるなら。
当たり前だ。


時々思い出すと何とも言えない気持ちになる。

二年って長いから、別れた後針貝さんが落ち込んでたと言うくらいには悲しみが隠せなかったんだろう。
あれから半年たって、だから一年半くらい前の話だろう。

もちろんうっかり名前を間違えられたりなんてされた事はない。

誰にだって過去も今も未来もある。

ただ、まだ半年ちょっとだ。

二年なんてずっと先。


水鳥ちゃんがすっかり会社員らしくなって落ち着いたころ、やっと二年。
そんなの想像できないのと同じくらい、私と新さんの二年後も思い浮かばないけど。


「ちなみちゃん、どうした?」

マグカップを持ってぼんやりしていた。
携帯はテーブルに置いたまま。

「別にぼんやりしてました。」

「そう。」


クリスマス後の週末。
あの浮かれた二日間は本当に数日前だった。


隣に座った新さんがタブレットを持って来た。


「前に言ってた旅行の計画でも立てる?冬にのんびり温泉とかどう?」

そう今、今、現在。
ぼんやりしてると大切な今はすぐに過去になっちゃう。

「いいですね。」

「でもこの間のところは寒いよね、暖かい所にしようか?一泊でも余裕だし。」

「はい、いつがいいですか?」


携帯でカレンダーを出しながら、タブレットを見る。


本当に二人の間の砂時計はゆっくり落ちている、昼も夜も、静かに、ゆっくりと。
決して過去には戻らないから、あの時に未来がいいって言ったのは私で、そうだねって言ってくれた新さんだから。

また違う半年後の未来にむけて落ちる砂の音を聞こう。
それを繰り返してたら、あっという間に二年くらい経つんだろうか?


今までより楽しくてあっという間かもしれない。
そんな楽しい時間はあっという間だから。


時々このまま時間が止まればいいって思うけど。

そんな事を思う夜は毎週あるけど。



そんな今はやっぱり過去になり、未来へ。



もうすぐ新しい年になる。
去年は想像もしてなかった楽しい半年がもっと楽しい一年に引き継がれますように。


雨の日も、晴れた日も、空を見上げてそう思う。


すてきな未来へ。
見上げた空と同じ空が続いてるように、私にも同じ幸せが続いてますように。


あ、もちろん水鳥ちゃんと有田君にもね。





       終わり
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