コタロとマシロ~仲良しの二人~

羽月☆

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13 無理な背伸びを諦めた男、コタロ。

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「コタロは今までも飲み会出てたでしょう?酔わなかったの?」

「あんまり弱くないよ。それにそんなに楽しく盛り上がれたりはしなかったし。」

「だって、コタロ酔っぱらったらすごく可愛い、素直さが表情に出て、いろいろと本当の気持ちも教えてくれるし。変に大人ぶって隠さないし。」

そう言ったマシロ。
記憶にないけど、いつそう思った?

「でも私もそうだったみたい。成美ちゃんにそう言われたんだから、そこはバレてたのかな?本当に悪いことしたなあ。」

ひとり反省してるマシロ。

バレてたとは、どういうことなんだろうか?


「コタロも悪いんだから、反省して。」

腕を叩かれた。そう言われるとそうなんだろうか?
なによりあの時はマシロが変だったから。

迷惑をかけたらしい。
仲良しの友達の後輩だと言ってた。

でも自分が何か言うことはない。
もう、連絡は取らないだろうから。



「コタロ、何考えてる?」

「別に、ぼんやりしてただけだよ。」

その顔はちゃんと言いなさいと言ってる気がする。信じてないらしい。

「マシロは、人気あるんじゃないの?そう言ってたよね。」

「ねえ、コタロのところは違うのかな?うちの会社は圧倒的に女性が多いけど。だから数少ない男性でフリーだったら奪い合いだよ。一応は男性でもそれなりに感じのいい人を採用してるし。」


「何が言いたいの?」

「そんな中であれこれはないでしょう?」


「だって営業じゃん。柴田みたいに営業先でってこともあるよね。」

「よく有るほどじゃないけど、無いとも言えない。」

「何なのさ、それはどっちだよ。」

「だから契約をしてもらうのに、相手としての人も見るって事で。そんな奴は相手にしたくないでしょう。だから、いいじゃない。後は愚痴になる。」


男女で営業もいろいろと問題の質が変わるんだろうか?
逆に今度は矢来さんが柴田の事を心配するんだろうか?

そういうことを言ったんだよね?

「コタロは大人しく会社でお仕事しててね。」

頭を撫でられた。

その手を掴んだ。


「マシロ、僕はマシロの事をすごく褒めたのに、最初から褒めたのに、マシロは全然だよ。変ってないって、それしか言ってくれない。僕が変ってるのは嫌なの?それとも本当に全然変わってない?」

少しは男らしくなってるはずだ。
今掴んでるマシロの手首も細い。
自分の手は易々とその細さを掴めるし、力だって。
このまま押し倒せるくらいには強い。

「変わらないわけないじゃない。だって小学生のコタロだってほとんど知らない、それ以降だってもっと知らない。私が知らない内に身長も伸びて、声も変って、大学生にもなって、大人の仲間入りして、お酒も飲めるようになって。」


「すごくたくましくなって、この間隣に寝ただけじゃあ分からなかった。」

それで満足するべきだろう。
今一つ褒めてくれてないけど。
一般的なレベルで成長したって思ってはくれてるらしい。

『知らない内に』って、勝手に引っ越しして一人暮らしして、道で会ってもすれ違うくらいで、すぐにいなくなるのはマシロだったのに。


掴んだ手の力は緩んでも、離さないまま。

そのまま引き寄せてキスをした。
マシロの手がゆっくりと体に巻き付くように動いたから、手は離した。

隣のマシロを引き寄せる様にしたら、太ももに乗ってきて正面から目を合わせてくる。


腰を引き寄せて、キスを繰り返す。

明かりのついた部屋の出来事。

マシロの顔が良く見える。
甘い息で応えてくれる目を閉じた顔が。
ゆっくりとパジャマの中に入り込んで、胸に沿わせた手が動くのを止められることもなく。
時々うっすらと目が開く顔が色っぽい。
のけぞる首にキスをして、ボタンを外しながら細く浮いた鎖骨に唇を寄せる。

腰を引き寄せる左手に力が入る。

もう目の前には胸しかない。
はだけてよく見える胸。

昨日まで想像もしてなかったのに。
手触りから、リアルに目の前に来た。

無理だよ、隠せないよ・・・・。


「マシロ、やっぱり嫌だよ、あんな水着はダメだよ。」



「分かったから・・・・、もう・・・・・・・・。」


呆れられたんだか、怒られたんだか。
でも言いたかったんだからしょうがないじゃないか。

小さい布で隠すには限界があるんだよ。
あの頃のビニールプールの中じゃないんだから。


そのまま寝室に行って、次の日まで泊めてもらった。


翌朝、さすがにマシロの会社の商品を使うのはやめた。
母親に敏感に反応されたら、今度こそ言い訳が出来ない。

でも、バレてるんだよね。
きっとマシロのおばさんから伝わってるよね。


それでも使わないことにした。


バスタオルを腰に巻いて、そのまま出てみた。

リビングまで行ったらマシロにじっと見られた。
実家でこんな格好でウロウロすることなんてない。

父親だってしない。
下着は着て、とりあえず下半身はちゃんと着て出てくる。
一応家族内のマナーみたいなものだ。
勿論母親はもっとちゃんとしてるけど。


マシロに無言で見られて、さすがにちょっと恥ずかしくなった。
少しだけ大人男ぶりたかっただけだし。
あの頃より逞しくなったと褒めてもらいたかったのかもしれないし。

ゆっくり回れ右をして、気分としてはコソコソとバスルームに戻った。
そこに着替えは置いてあるし。

きちんと服を着て、髪も乾かしてリビングへ再びの登場。



ソファに座って、いれてもらったコーヒーを口にする。

隣にマシロがやってきた。



「コタロ。」

「何?」

「来週はデートしよう。」

「いいね。」


「ねえ、おばさんにちゃんと言って。」

「うん、そのつもりだよ。だってマシロのおばさんだって、黙ってないでしょう?」

「多分ね。でもちゃんとコタロが伝えてね。」

「分かってる。」



「週末は留守がちになるって、ちゃんと言ってね。」

「うん、マシロを怒らせない限り、ここに居るって言う。」



「怒らせたと思ったらすぐに謝ってよ。」

「昔みたいにすぐ忘れてくれるの?」


「もちろん。たいていの事はね。」



楽しそうな目で笑う。
それはあの頃と変わってない。

だからつい錯覚してしまう、もうずっと一緒にいたんじゃないかと。
本当にマシロの隣は居心地がいい。
たまに背伸びをしたいと、頑張って疲れてしまうことがあるけど、少しは褒めてくれる、成長を喜んでくれてると思う。

まだまだ敵わないけど、それだって自分の父親が母親より偉そうな感じになってるところすら見たことないんだから。

幼なじみじゃなくても、一個の年の差なんてなくても、女性の方が強い。
そんな相手を初恋の相手だと認めた時点で負けだったんだから。

そんなものなんだろう、そう思うことにした。



「コタロ、楽しい夢でも見てるの?」


熱く火照った体も冷め、目を閉じて横になってる今、唇にマシロの指を感じる。

今は少しだけ休憩。


肩に置かれたマシロの手に自分の手を重ねて、まだ目を閉じたまま。



指がゆっくり絡み合う。


あと少しだけ休憩時間でいいよね、マシロ。
あと少し、休ませて。



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