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第二章 解放へと動き出す
レオンの夜這い
夜中に目が覚めたのは、身体に重みを感じたからだった。
柔らかく、温かく、人間の形をした重みを感じる。寝ぼけた意識が暗い天蓋を捉え、それから視界の手前にある亜麻色の髪を認識した。甘い匂いが鼻先にある。レオンの髪の匂い——石鹸と、それだけでは説明のつかない、もっと甘美な香り。
レオンが毛布の中に潜り込んでいた。エリオットの胸に頬を載せ、両腕を胴に回している。薄い寝衣一枚の身体が密着していて、体温が夜着越しに伝わってくる。
「……レオン?」
「エリオット様――」
暗がりの中で、大きな瞳が蝋燭の残り火を拾って光っている。唇の端が持ち上がり、悪戯を見つかった子どものような笑みが浮かんでいた。
エリオットは横に体重を移し、ベッドの端から転がり落ちた。背中と肩が石の床を打ち、鈍い痛みが背骨を走った。冷たい床の感触が、寝ぼけた身体を一気に覚醒させる。
(何が起きている?)
なぜ、部屋にいる?
なぜ、上に跨っている?
――どういう状況なんだ、これは!
「エリオット様?」
レオンがベッドの端から顔を覗かせた。亜麻色の髪がカーテンのように垂れ下がり、エリオットを見つめている。目を丸くして、きょとんとした顔が可愛らしい。
「なぜ逃げるんですか」
「逃げてない。落ちたんだ」
「嘘。今、自分から転がって落ちていきました」
(――バレている)
立ち上がり、ベッドから距離を取った。暖炉の残り火が部屋を薄い橙色に染めている。高い天井に影が揺れ、壁に掛かった油絵の人物たちが、暗がりの中で裁判官のようにこちらを見下ろしていた。
深夜の寝室に、ベッドから離れて立つ公爵とベッドの上で寝衣姿の少年が見つめ合う。
「レオン。朝、話をしたはずだ。俺は——」
「『私』でしょう? 以前のエルリック様はご自分のことを『私』と言っていました」
レオンの指摘に、ドキッと心臓が跳ねた。
(気づいてる――この子は、俺の人格が変わっているととっくに気づいているんだ)
「……私は、もうそういうことはしない」
「『そういうこと』って?」
レオンがベッドから降りた。裸足の足がぺたりと石の床を踏む。寝衣の裾が足首に触れ、歩くたびに布が揺れた。一歩、近づいてきた。蝋燭の残り火がレオンの横顔を半分だけ照らし、もう半分は影に沈んでいる。
「そういうこと、って何ですか。具体的に言ってくださらないと、僕にはわかりません」
「だから、その——夜、こういう形で——」
「愛し合うこと?」
(直球すぎる。もう少しオブラートに——直接的な言葉を避けて……)
レオンがまた一歩近づいた。エリオットが一歩下がった。素足が冷たい床を踏むたびに、ぺたり、ぺたりと小さな音が暗い部屋に響く。
「エリオット様。カイル様に、僕を引き取るように言ったそうですね」
(なんで知っているんだ!)
声の温度が下がった。甘さが消え、低く、静かな声になった。笑顔は残っているが、目が笑っていない。蝋燭の光を拾っていた瞳が、今は光を吸い込む暗さに変わっていた。
「あの子にはふさわしい相手がいる——そう言ったとか」
もう一歩。エリオットの背中が壁に当たった。冷たい石壁の感触が肩甲骨に伝わる。
(この世界の情報伝達の速さはなんだ?)
「ふさわしい相手って、誰ですか。カイル様? 会ったこともない人が、なぜ僕にふさわしいんですか」
「それは——」
「僕はエリオット様のものです」
レオンの両手が壁に付いた。エリオットの顔の両側に。華奢な腕が逃げ道を塞いでいる。身長差があるため見上げる形になるが、圧力は完全にレオンの側にあった。寝衣の合わせから覗く鎖骨の下に、鞭の跡が赤黒く残っている。
「エリオット様がこの跡をつけてくれました」
指で跡をなぞりながら、微笑んだ。
「愛の証です」
(愛の証? 鞭の跡が? どういう解釈をすればそうなるんだ。認知の歪みが——いや、そう思いたい気持ちは、わからなくもない。暴力を愛だと解釈しなければ、この子は自分の状況に耐えられなかったのかもしれない)
「レオン、それは違う。あれは暴力で——」
「違わない」
壁ドンの体勢から、レオンの身体がエリオットに密着してきた。胸に顔を埋め、腕を腰に回す。細い身体なのに、振りほどけなかった。力がないわけではない。だが力を入れれば傷に触る。腕の下にある背中には鞭の跡が走っていて、そこを掴むわけにはいかなかった。
「僕のこと、いらないって言うなら——」
レオンの手が背中から下へ滑った。腰を撫で、腹に回り込み、腰紐に指をかける。
「身体で、思い出させてあげます。いかに、僕が必要か、を」
エリオットはレオンの手首を掴んだ。傷のない場所を選び、強すぎない力で。
「やめろ」
「やめません」
レオンの目が真っ直ぐにエリオットを見上げた。大きな瞳に、涙はなかった。怯えもなかった。強い意志だけがあった。
エリオットは壁から身体を剥がし、横に逃れた。レオンの手から手首を外し、部屋の反対側へ向かう。暗い寝室の中を、大股で歩いた。暖炉を迂回し、窓際の書き物机の前を通り過ぎ——
右足の小指が、ベッドの角に当たった。
「っ——」
痛みに身体が前のめりに傾いだ。手をついたのは、ベッドの上だった。勢いのまま上半身がベッドに倒れ込む。仰向けに転がった瞬間、天蓋が視界を覆った。
レオンは、その機を逃さなかった。
裸足の足音が三歩分、暗い部屋を駆けた。ベッドが軋み、軽い体重がエリオットの上に乗る。細い太腿が腰の両側に降り、腹の上に座る形になった。寝衣の裾がシーツの上に広がり、レオンの体温がエリオットの腹に直接伝わってくる。
「捕まえました」
息を弾ませたレオンが、暗がりの中でエリオットを見下ろしていた。両手をエリオットの胸に置き、体重をかけている。暖炉の残り火がレオンの輪郭を赤く縁取り、亜麻色の髪が肩から流れ落ちていた。
寝間着が開かれ、腰紐が解かれた。レオンの指が布の下に滑り込み、まだ半分眠っていたものに直接触れた。細い指が包むように握り、ゆっくりと動かし始める。
(反応するな——するな——頼むから、勃起するな)
――無理だった。
昨夜、初めて知ったばかりの快楽の記憶が、蘇っていく。レオンの指が触れた瞬間に血が集まり、握られた熱が脈打ち始める。指先が先端を撫でるたびに腰の奥から火花が散り、歯を食いしばっても抑えきれない反応が身体を支配していく。
「もう硬い。エリオット様、本当は嫌じゃないんでしょう?」
レオンが腰を浮かせた。自分の寝衣をたくし上げ、下着をずらす。太腿の内側に光る筋が伝い、準備が既にできているようだ。
エリオットのものを手で導き、入り口に宛てがう。
「待——」
沈んだ。
ゆっくりと、レオンの身体がエリオットを呑み込んでいく。内壁が押し広げられ、圧迫と熱が同時に這い上がってくる。昨夜知ったばかりの感覚だった。だが二度目は一度目よりも鮮明に、一つ一つの感覚を脳が拾い上げる。内壁の襞が竿を締め付ける圧力。奥に進むごとに温度が上がっていく感覚。レオンの体内が自分の形を覚えていて、迎え入れるように開いていく、その感覚がたまらなく気持ちいい。
根元まで沈みきった時、レオンの喉から長い吐息が漏れた。
「ん……っ、あ……」
腰が動き始めた。
小さく、ゆっくりと、円を描くように。内壁がエリオットのものを締め付けながら角度を変えるたびに、快感の質が変わった。浅い場所を擦ると痺れるような甘さが走り、深い場所に押し込むと腹の底が熱く蕩ける。レオンの動きは計算されていた。どの角度が最も気持ちいいか、どの速度が最も理性を削るか、全てを知っている動き方だった。
「あっ……エリオット様、中、熱い……」
甘い声が耳朶を打つ。レオンの声が入ってくるたびに、下腹部の熱が一段階上がった。
(まずい——快楽を、この身体が求めている。頭では駄目だとわかっているのに、腰が動きそうになる——)
レオンの動きが大きくなった。上下に腰を使い始める。一度浅く抜いて、深く沈む。そのたびに濡れた音が暗い部屋に響き、レオンの声が漏れ、エリオットの呼吸が乱れた。下腹部に熱が集まり、身体の中心が灼けるように脈打っている。指先が痺れ、シーツを掴む手に力が入った。
限界が近い——そう思った瞬間。
レオンの動きが、止まった。
繋がったまま、根元まで沈んだ状態で、腰が微動だにしない。内壁だけが脈打っていて、それがかえって焦らすような刺激を送ってくる。解放の直前で全てが止まった身体が、行き場を失った熱に震えた。
「っ……何を——」
「僕と、離れないでください」
艶のある声が降ってきた。暗がりの中で、レオンの瞳が真っ直ぐにエリオットを見下ろしている。
「誓ってください。離れないって」
腰が動かない。動いてくれない。下腹部に溜まった熱が逃げ場を失い、身体の内側で暴れている。腰を自分から突き上げたい衝動が背骨を這い上がり、歯を食いしばって堪えた。脱童貞から一日しか経っていない身体は、快楽への耐性がなさすぎた。一度知ってしまった解放の甘さを、身体が狂おしく求めている。
「離れないって……言ってくだされば、動きますよ」
レオンの指がエリオットの胸を撫でた。爪先が乳首を掠め、腹筋の上を下りていく。繋がっている場所のすぐ上を、指先がくるくると円を描く。それだけで腰が跳ねそうになった。
(駄目だ。ここで頷いたら終わりだ。レオンをカイルに渡さなければ、原作通りに断罪される。処刑される。前世に続いて死ぬ——だが身体が、身体が言うことを聞かない——)
「……無理だ」
絞り出した。顔は無表情のままだが、声は掠れ、額には汗が浮き、握りしめた拳の指が白くなっていた。
「お前をカイルに引き合わせるのが、正しいことだ」
「正しい?」
レオンの腰が僅かに動いた。ほんの数ミリ、上に。内壁が絞るように引き上げ、先端の最も敏感な場所を食むように吸い付いた。背骨から頭頂まで電流が走り、視界が白く明滅した。
「正しいことが、気持ちいいことより大事ですか?」
数ミリ動いただけで、また完全に静止する。あの一瞬の快感の残響が身体中に響いていて、もう一度味わいたいと全身が叫んでいる。理性の壁に、快楽が波のように打ちつけている。
「言ってください。離れないって。そしたら——たくさん、気持ちよくしてあげますから」
レオンが身体を前に倒し、エリオットの耳元に唇を寄せた。甘い吐息が耳朶を撫で、内壁が僅かに蠢いた。
(頷きたい。頷いてしまいたい。この熱を、解放してほしい。こんな苦しさは知らない。前世にも今世にも、こんな——)
「……無理だ」
二度目の拒否は声が震えていた。
レオンの表情から、笑みが消えた。怒りでもなく、悲しみでもなく、感情を全て引っ込めた空白の顔で、エリオットを見下ろしている。
「そうですか」
沈黙が三秒。
「無理強いしちゃいましたね」
レオンの声に元の柔らかさが戻ったが、どこか平坦だった。身体を起こし、ゆっくりと腰を浮かせ始める。繋がりが少しずつ解かれていく。内壁が離れるたびに、敏感になった竿を最後の一撫でのように締め上げていく。先端が出口に差しかかる瞬間、ぬるりとした感触と共に冷たい空気が肌に触れた。
完全に離れた。
繋がっていたが消え、寂しさが残った。達していない身体が、宙ぶらりんのまま取り残されている。張り詰めたものが、触れるものを失って夜気に晒されている。
(これでいい。これが正しい。頷かなくてよかった。頷いていたら——)
そう自分に言い聞かせる。
だが下腹部は依然として疼き、レオンの体温が離れた肌が冷えていくのを感じるたびに、手を伸ばしたい衝動を拳を握って堪えた。
レオンがベッドの端に座り直した。寝衣の裾を整え、乱れた髪を耳にかける。何事もなかったかのような所作だった。
「お詫びに、お酒を持ってきたんです。一緒に飲みませんか」
ベッドの下から、小さな瓶と杯を二つ取り出した。最初からこの部屋に持ち込んでいたようだ。この夜這いは、レオンの計画的なものなのだろう。
(酒は飲みたくない。だが断る言葉が見つからない。身体がまだ火照っていて、頭がうまく回らない。何か、この空気を切り替えるものが必要だ――だから、一杯だけ)
それ以上は飲まない。
レオンはきっと酔わせて、エリオットからの『離さない』という言葉を引き出したのだろう。
「……一杯だけだ」
レオンが杯に酒を注いだ。琥珀色の液体が蝋燭の残り火を受けてとろりと光り、甘い果実の香りが鼻をくすぐる。
一口、含んだ。
舌の上に果実の甘さが広がり、喉を熱が落ちていく。前世では缶チューハイしか飲めなかった人間にも、美味いとわかる味だった。身体に残っていた火照りに酒精が溶けていくようで、肩の力が少し抜ける。
二口目。
舌が痺れた。酒が強いのか。一口目にはなかった重さが、急に来る。
三口目を口に運ぼうとして——杯を持つ指から力が抜けた。琥珀色の液体がシーツにこぼれ、染みが広がっていく。
(おかしい。酒にしては……早すぎ——る)
視界が歪んだ。天蓋が二重に見え、レオンの顔が揺れている。身体が横に傾いだ。シーツの上に倒れ込み、手足から感覚が遠ざかっていく。
「エリオット様。お疲れだったんですね」
遠い声が聞こえた。
レオンの指がエリオットの頬に触れた。冷たい指先が、意識の淵で微かに感じ取れた。
「大丈夫。僕がそばにいますから」
――意識が、落ちた。
◇◇◇
蜂蜜を火にかけたような、甘い匂いが鼻を衝いた。
それが最初に認識したことだった。目を開ける前に、匂いが来た。部屋中に充満している。窓からの朝日が瞼の裏を赤く染めているが、匂いの方が先に脳に届いた。
――甘い。
自分の身体から匂っているのか、寝具に染みついたものなのか——そもそも昨夜の記憶がない。酒を飲んで意識が落ちた後、何があったのか、何も覚えていなかった。
目を開けた。
天蓋が見える。朝の光が差し込み、部屋は明るい。
横を見れば、レオンが隣にいた。
(酒を飲んで、一緒に寝たのか――)
「……っ⁉︎」
毛布から肩が出ていて、白い肌に朝の光が当たっている。その肩に——新しい傷があった。昨日まではなかった赤い線が、肩から背中にかけて走っている。鞭の跡だった。鮮やかに赤く、縁が腫れ上がっている。
それだけではなかった。レオンの身体のあちこちに白い痕跡が乾いてこびりついていた。首筋に、鎖骨に、腹に。髪は乱れ、寝衣は捲れ上がって腰まで露わになっている。太腿の内側にも白いものが伝った跡があり、シーツには幾つもの染みが広がっていた。
床に目をやった。
鞭が落ちていた。レオンの寝室の壁に掛けてあったはずの——この部屋には昨夜なかったはずの鞭が、床の上に転がっている。革の先端に、乾いた赤い跡がついていた。
(――嘘だ)
自分の手を見た。右手の掌に、鞭の柄の跡がうっすらと残っている。
(嘘だろ——俺が、やったのか?)
記憶がない。酒を飲んで意識が落ちた後の記憶が、完全に空白だった。
「んん……」
隣で、レオンが身じろぎした。長い睫毛が震え、ゆっくりと瞼が開く。琥珀色の瞳に朝の光が注ぎ、金色に輝いた。焦点がエリオットの顔を捉えると、蕩けるような笑みが唇に浮かんだ。
「おはようございます……エリオット様」
声が甘く、掠れていた。一晩中声を出していた後のような、枯れた甘さだった。身体を起こそうとして、小さく顔をしかめる。腰に手を当て、けれどすぐに笑みに戻った。
「昨夜は……たくさん、愛し合いましたね」
レオンが身体を起こした。乱れた寝衣を直す様子もなく、片方の肩が露出したまま、エリオットにもたれかかってくる。鞭の跡が残る肌を隠すどころか、寝衣の襟をさらに広げて見せた。鎖骨の下、胸の上にも赤い線が走っている。その線を自分の指先でなぞりながら、うっとりと目を細めた。
「すごく気持ちよかったです。エリオット様、いつもみたいに激しくて——」
身体をくねらせるようにエリオットの腕に絡みつく。白い太腿が毛布から出て、乾いた白い痕跡が朝日に照らされている。恥じる素振りは一切なかった。満たされた猫のように細めた瞳で、エリオットの首筋に鼻先を寄せた。
「もっと……していいですよ? 僕、まだ足りないくらい」
(いつもみたいに激しくて? もっとしていい?)
血の気が引いた。
(俺は——酒に酔って、前のエリオットに戻ったのか? 意識がない間に、この身体の中に残っている暴力的な人格が出てきたのか?)
掌の鞭の跡を見つめた。指が震えている。
胃の底から込み上げてくるものを、歯を食いしばって堪えた。
「エリオット様? 顔色が悪いですけど——」
「大丈夫だ」
――まずい。
(急がなければ。カイルにレオンを引き合わせなければ。俺がこの子のそばにいる限り、また同じことが起きる。意識がなくなれば、この身体は勝手にレオンを傷つけてしまう)
レオンの蕩けた笑顔が、エリオットの胸を抉った。
(この子は喜んでいる。打たれたことを。愛し合ったと思っている。それが余計に——たまらなく、苦しい)
ベッドから出た。窓を開けると、朝の冷たい空気が流れ込み、部屋に充満していた甘い匂いを少しだけ薄めた。深呼吸をして、肺の中の甘さを追い出す。
床の鞭を拾い上げた。革の先端についた赤い跡を親指で擦る。乾いた血が、爪の間に入り込んだ。
振り返ると、レオンがベッドの上で頬杖をつき、エリオットをうっとりと見つめていた。毛布を胸元まで引き上げ、その上に白い腕を投げ出している。朝の光に照らされた姿は、官能的なまでに美しかった。乱れた髪、赤みの残る頬、蕩けた瞳。満たされた身体の怠さを隠そうともせず、ベッドの上で気怠くこちらを眺めていた。
「エリオット様。どこかに行くんですか?」
「――少し外の空気を吸ってくる」
「いってらっしゃいませ」
甘い声だった。新しい鞭の跡を纏ったまま、レオンは幸福そうに微笑んでいた。
柔らかく、温かく、人間の形をした重みを感じる。寝ぼけた意識が暗い天蓋を捉え、それから視界の手前にある亜麻色の髪を認識した。甘い匂いが鼻先にある。レオンの髪の匂い——石鹸と、それだけでは説明のつかない、もっと甘美な香り。
レオンが毛布の中に潜り込んでいた。エリオットの胸に頬を載せ、両腕を胴に回している。薄い寝衣一枚の身体が密着していて、体温が夜着越しに伝わってくる。
「……レオン?」
「エリオット様――」
暗がりの中で、大きな瞳が蝋燭の残り火を拾って光っている。唇の端が持ち上がり、悪戯を見つかった子どものような笑みが浮かんでいた。
エリオットは横に体重を移し、ベッドの端から転がり落ちた。背中と肩が石の床を打ち、鈍い痛みが背骨を走った。冷たい床の感触が、寝ぼけた身体を一気に覚醒させる。
(何が起きている?)
なぜ、部屋にいる?
なぜ、上に跨っている?
――どういう状況なんだ、これは!
「エリオット様?」
レオンがベッドの端から顔を覗かせた。亜麻色の髪がカーテンのように垂れ下がり、エリオットを見つめている。目を丸くして、きょとんとした顔が可愛らしい。
「なぜ逃げるんですか」
「逃げてない。落ちたんだ」
「嘘。今、自分から転がって落ちていきました」
(――バレている)
立ち上がり、ベッドから距離を取った。暖炉の残り火が部屋を薄い橙色に染めている。高い天井に影が揺れ、壁に掛かった油絵の人物たちが、暗がりの中で裁判官のようにこちらを見下ろしていた。
深夜の寝室に、ベッドから離れて立つ公爵とベッドの上で寝衣姿の少年が見つめ合う。
「レオン。朝、話をしたはずだ。俺は——」
「『私』でしょう? 以前のエルリック様はご自分のことを『私』と言っていました」
レオンの指摘に、ドキッと心臓が跳ねた。
(気づいてる――この子は、俺の人格が変わっているととっくに気づいているんだ)
「……私は、もうそういうことはしない」
「『そういうこと』って?」
レオンがベッドから降りた。裸足の足がぺたりと石の床を踏む。寝衣の裾が足首に触れ、歩くたびに布が揺れた。一歩、近づいてきた。蝋燭の残り火がレオンの横顔を半分だけ照らし、もう半分は影に沈んでいる。
「そういうこと、って何ですか。具体的に言ってくださらないと、僕にはわかりません」
「だから、その——夜、こういう形で——」
「愛し合うこと?」
(直球すぎる。もう少しオブラートに——直接的な言葉を避けて……)
レオンがまた一歩近づいた。エリオットが一歩下がった。素足が冷たい床を踏むたびに、ぺたり、ぺたりと小さな音が暗い部屋に響く。
「エリオット様。カイル様に、僕を引き取るように言ったそうですね」
(なんで知っているんだ!)
声の温度が下がった。甘さが消え、低く、静かな声になった。笑顔は残っているが、目が笑っていない。蝋燭の光を拾っていた瞳が、今は光を吸い込む暗さに変わっていた。
「あの子にはふさわしい相手がいる——そう言ったとか」
もう一歩。エリオットの背中が壁に当たった。冷たい石壁の感触が肩甲骨に伝わる。
(この世界の情報伝達の速さはなんだ?)
「ふさわしい相手って、誰ですか。カイル様? 会ったこともない人が、なぜ僕にふさわしいんですか」
「それは——」
「僕はエリオット様のものです」
レオンの両手が壁に付いた。エリオットの顔の両側に。華奢な腕が逃げ道を塞いでいる。身長差があるため見上げる形になるが、圧力は完全にレオンの側にあった。寝衣の合わせから覗く鎖骨の下に、鞭の跡が赤黒く残っている。
「エリオット様がこの跡をつけてくれました」
指で跡をなぞりながら、微笑んだ。
「愛の証です」
(愛の証? 鞭の跡が? どういう解釈をすればそうなるんだ。認知の歪みが——いや、そう思いたい気持ちは、わからなくもない。暴力を愛だと解釈しなければ、この子は自分の状況に耐えられなかったのかもしれない)
「レオン、それは違う。あれは暴力で——」
「違わない」
壁ドンの体勢から、レオンの身体がエリオットに密着してきた。胸に顔を埋め、腕を腰に回す。細い身体なのに、振りほどけなかった。力がないわけではない。だが力を入れれば傷に触る。腕の下にある背中には鞭の跡が走っていて、そこを掴むわけにはいかなかった。
「僕のこと、いらないって言うなら——」
レオンの手が背中から下へ滑った。腰を撫で、腹に回り込み、腰紐に指をかける。
「身体で、思い出させてあげます。いかに、僕が必要か、を」
エリオットはレオンの手首を掴んだ。傷のない場所を選び、強すぎない力で。
「やめろ」
「やめません」
レオンの目が真っ直ぐにエリオットを見上げた。大きな瞳に、涙はなかった。怯えもなかった。強い意志だけがあった。
エリオットは壁から身体を剥がし、横に逃れた。レオンの手から手首を外し、部屋の反対側へ向かう。暗い寝室の中を、大股で歩いた。暖炉を迂回し、窓際の書き物机の前を通り過ぎ——
右足の小指が、ベッドの角に当たった。
「っ——」
痛みに身体が前のめりに傾いだ。手をついたのは、ベッドの上だった。勢いのまま上半身がベッドに倒れ込む。仰向けに転がった瞬間、天蓋が視界を覆った。
レオンは、その機を逃さなかった。
裸足の足音が三歩分、暗い部屋を駆けた。ベッドが軋み、軽い体重がエリオットの上に乗る。細い太腿が腰の両側に降り、腹の上に座る形になった。寝衣の裾がシーツの上に広がり、レオンの体温がエリオットの腹に直接伝わってくる。
「捕まえました」
息を弾ませたレオンが、暗がりの中でエリオットを見下ろしていた。両手をエリオットの胸に置き、体重をかけている。暖炉の残り火がレオンの輪郭を赤く縁取り、亜麻色の髪が肩から流れ落ちていた。
寝間着が開かれ、腰紐が解かれた。レオンの指が布の下に滑り込み、まだ半分眠っていたものに直接触れた。細い指が包むように握り、ゆっくりと動かし始める。
(反応するな——するな——頼むから、勃起するな)
――無理だった。
昨夜、初めて知ったばかりの快楽の記憶が、蘇っていく。レオンの指が触れた瞬間に血が集まり、握られた熱が脈打ち始める。指先が先端を撫でるたびに腰の奥から火花が散り、歯を食いしばっても抑えきれない反応が身体を支配していく。
「もう硬い。エリオット様、本当は嫌じゃないんでしょう?」
レオンが腰を浮かせた。自分の寝衣をたくし上げ、下着をずらす。太腿の内側に光る筋が伝い、準備が既にできているようだ。
エリオットのものを手で導き、入り口に宛てがう。
「待——」
沈んだ。
ゆっくりと、レオンの身体がエリオットを呑み込んでいく。内壁が押し広げられ、圧迫と熱が同時に這い上がってくる。昨夜知ったばかりの感覚だった。だが二度目は一度目よりも鮮明に、一つ一つの感覚を脳が拾い上げる。内壁の襞が竿を締め付ける圧力。奥に進むごとに温度が上がっていく感覚。レオンの体内が自分の形を覚えていて、迎え入れるように開いていく、その感覚がたまらなく気持ちいい。
根元まで沈みきった時、レオンの喉から長い吐息が漏れた。
「ん……っ、あ……」
腰が動き始めた。
小さく、ゆっくりと、円を描くように。内壁がエリオットのものを締め付けながら角度を変えるたびに、快感の質が変わった。浅い場所を擦ると痺れるような甘さが走り、深い場所に押し込むと腹の底が熱く蕩ける。レオンの動きは計算されていた。どの角度が最も気持ちいいか、どの速度が最も理性を削るか、全てを知っている動き方だった。
「あっ……エリオット様、中、熱い……」
甘い声が耳朶を打つ。レオンの声が入ってくるたびに、下腹部の熱が一段階上がった。
(まずい——快楽を、この身体が求めている。頭では駄目だとわかっているのに、腰が動きそうになる——)
レオンの動きが大きくなった。上下に腰を使い始める。一度浅く抜いて、深く沈む。そのたびに濡れた音が暗い部屋に響き、レオンの声が漏れ、エリオットの呼吸が乱れた。下腹部に熱が集まり、身体の中心が灼けるように脈打っている。指先が痺れ、シーツを掴む手に力が入った。
限界が近い——そう思った瞬間。
レオンの動きが、止まった。
繋がったまま、根元まで沈んだ状態で、腰が微動だにしない。内壁だけが脈打っていて、それがかえって焦らすような刺激を送ってくる。解放の直前で全てが止まった身体が、行き場を失った熱に震えた。
「っ……何を——」
「僕と、離れないでください」
艶のある声が降ってきた。暗がりの中で、レオンの瞳が真っ直ぐにエリオットを見下ろしている。
「誓ってください。離れないって」
腰が動かない。動いてくれない。下腹部に溜まった熱が逃げ場を失い、身体の内側で暴れている。腰を自分から突き上げたい衝動が背骨を這い上がり、歯を食いしばって堪えた。脱童貞から一日しか経っていない身体は、快楽への耐性がなさすぎた。一度知ってしまった解放の甘さを、身体が狂おしく求めている。
「離れないって……言ってくだされば、動きますよ」
レオンの指がエリオットの胸を撫でた。爪先が乳首を掠め、腹筋の上を下りていく。繋がっている場所のすぐ上を、指先がくるくると円を描く。それだけで腰が跳ねそうになった。
(駄目だ。ここで頷いたら終わりだ。レオンをカイルに渡さなければ、原作通りに断罪される。処刑される。前世に続いて死ぬ——だが身体が、身体が言うことを聞かない——)
「……無理だ」
絞り出した。顔は無表情のままだが、声は掠れ、額には汗が浮き、握りしめた拳の指が白くなっていた。
「お前をカイルに引き合わせるのが、正しいことだ」
「正しい?」
レオンの腰が僅かに動いた。ほんの数ミリ、上に。内壁が絞るように引き上げ、先端の最も敏感な場所を食むように吸い付いた。背骨から頭頂まで電流が走り、視界が白く明滅した。
「正しいことが、気持ちいいことより大事ですか?」
数ミリ動いただけで、また完全に静止する。あの一瞬の快感の残響が身体中に響いていて、もう一度味わいたいと全身が叫んでいる。理性の壁に、快楽が波のように打ちつけている。
「言ってください。離れないって。そしたら——たくさん、気持ちよくしてあげますから」
レオンが身体を前に倒し、エリオットの耳元に唇を寄せた。甘い吐息が耳朶を撫で、内壁が僅かに蠢いた。
(頷きたい。頷いてしまいたい。この熱を、解放してほしい。こんな苦しさは知らない。前世にも今世にも、こんな——)
「……無理だ」
二度目の拒否は声が震えていた。
レオンの表情から、笑みが消えた。怒りでもなく、悲しみでもなく、感情を全て引っ込めた空白の顔で、エリオットを見下ろしている。
「そうですか」
沈黙が三秒。
「無理強いしちゃいましたね」
レオンの声に元の柔らかさが戻ったが、どこか平坦だった。身体を起こし、ゆっくりと腰を浮かせ始める。繋がりが少しずつ解かれていく。内壁が離れるたびに、敏感になった竿を最後の一撫でのように締め上げていく。先端が出口に差しかかる瞬間、ぬるりとした感触と共に冷たい空気が肌に触れた。
完全に離れた。
繋がっていたが消え、寂しさが残った。達していない身体が、宙ぶらりんのまま取り残されている。張り詰めたものが、触れるものを失って夜気に晒されている。
(これでいい。これが正しい。頷かなくてよかった。頷いていたら——)
そう自分に言い聞かせる。
だが下腹部は依然として疼き、レオンの体温が離れた肌が冷えていくのを感じるたびに、手を伸ばしたい衝動を拳を握って堪えた。
レオンがベッドの端に座り直した。寝衣の裾を整え、乱れた髪を耳にかける。何事もなかったかのような所作だった。
「お詫びに、お酒を持ってきたんです。一緒に飲みませんか」
ベッドの下から、小さな瓶と杯を二つ取り出した。最初からこの部屋に持ち込んでいたようだ。この夜這いは、レオンの計画的なものなのだろう。
(酒は飲みたくない。だが断る言葉が見つからない。身体がまだ火照っていて、頭がうまく回らない。何か、この空気を切り替えるものが必要だ――だから、一杯だけ)
それ以上は飲まない。
レオンはきっと酔わせて、エリオットからの『離さない』という言葉を引き出したのだろう。
「……一杯だけだ」
レオンが杯に酒を注いだ。琥珀色の液体が蝋燭の残り火を受けてとろりと光り、甘い果実の香りが鼻をくすぐる。
一口、含んだ。
舌の上に果実の甘さが広がり、喉を熱が落ちていく。前世では缶チューハイしか飲めなかった人間にも、美味いとわかる味だった。身体に残っていた火照りに酒精が溶けていくようで、肩の力が少し抜ける。
二口目。
舌が痺れた。酒が強いのか。一口目にはなかった重さが、急に来る。
三口目を口に運ぼうとして——杯を持つ指から力が抜けた。琥珀色の液体がシーツにこぼれ、染みが広がっていく。
(おかしい。酒にしては……早すぎ——る)
視界が歪んだ。天蓋が二重に見え、レオンの顔が揺れている。身体が横に傾いだ。シーツの上に倒れ込み、手足から感覚が遠ざかっていく。
「エリオット様。お疲れだったんですね」
遠い声が聞こえた。
レオンの指がエリオットの頬に触れた。冷たい指先が、意識の淵で微かに感じ取れた。
「大丈夫。僕がそばにいますから」
――意識が、落ちた。
◇◇◇
蜂蜜を火にかけたような、甘い匂いが鼻を衝いた。
それが最初に認識したことだった。目を開ける前に、匂いが来た。部屋中に充満している。窓からの朝日が瞼の裏を赤く染めているが、匂いの方が先に脳に届いた。
――甘い。
自分の身体から匂っているのか、寝具に染みついたものなのか——そもそも昨夜の記憶がない。酒を飲んで意識が落ちた後、何があったのか、何も覚えていなかった。
目を開けた。
天蓋が見える。朝の光が差し込み、部屋は明るい。
横を見れば、レオンが隣にいた。
(酒を飲んで、一緒に寝たのか――)
「……っ⁉︎」
毛布から肩が出ていて、白い肌に朝の光が当たっている。その肩に——新しい傷があった。昨日まではなかった赤い線が、肩から背中にかけて走っている。鞭の跡だった。鮮やかに赤く、縁が腫れ上がっている。
それだけではなかった。レオンの身体のあちこちに白い痕跡が乾いてこびりついていた。首筋に、鎖骨に、腹に。髪は乱れ、寝衣は捲れ上がって腰まで露わになっている。太腿の内側にも白いものが伝った跡があり、シーツには幾つもの染みが広がっていた。
床に目をやった。
鞭が落ちていた。レオンの寝室の壁に掛けてあったはずの——この部屋には昨夜なかったはずの鞭が、床の上に転がっている。革の先端に、乾いた赤い跡がついていた。
(――嘘だ)
自分の手を見た。右手の掌に、鞭の柄の跡がうっすらと残っている。
(嘘だろ——俺が、やったのか?)
記憶がない。酒を飲んで意識が落ちた後の記憶が、完全に空白だった。
「んん……」
隣で、レオンが身じろぎした。長い睫毛が震え、ゆっくりと瞼が開く。琥珀色の瞳に朝の光が注ぎ、金色に輝いた。焦点がエリオットの顔を捉えると、蕩けるような笑みが唇に浮かんだ。
「おはようございます……エリオット様」
声が甘く、掠れていた。一晩中声を出していた後のような、枯れた甘さだった。身体を起こそうとして、小さく顔をしかめる。腰に手を当て、けれどすぐに笑みに戻った。
「昨夜は……たくさん、愛し合いましたね」
レオンが身体を起こした。乱れた寝衣を直す様子もなく、片方の肩が露出したまま、エリオットにもたれかかってくる。鞭の跡が残る肌を隠すどころか、寝衣の襟をさらに広げて見せた。鎖骨の下、胸の上にも赤い線が走っている。その線を自分の指先でなぞりながら、うっとりと目を細めた。
「すごく気持ちよかったです。エリオット様、いつもみたいに激しくて——」
身体をくねらせるようにエリオットの腕に絡みつく。白い太腿が毛布から出て、乾いた白い痕跡が朝日に照らされている。恥じる素振りは一切なかった。満たされた猫のように細めた瞳で、エリオットの首筋に鼻先を寄せた。
「もっと……していいですよ? 僕、まだ足りないくらい」
(いつもみたいに激しくて? もっとしていい?)
血の気が引いた。
(俺は——酒に酔って、前のエリオットに戻ったのか? 意識がない間に、この身体の中に残っている暴力的な人格が出てきたのか?)
掌の鞭の跡を見つめた。指が震えている。
胃の底から込み上げてくるものを、歯を食いしばって堪えた。
「エリオット様? 顔色が悪いですけど——」
「大丈夫だ」
――まずい。
(急がなければ。カイルにレオンを引き合わせなければ。俺がこの子のそばにいる限り、また同じことが起きる。意識がなくなれば、この身体は勝手にレオンを傷つけてしまう)
レオンの蕩けた笑顔が、エリオットの胸を抉った。
(この子は喜んでいる。打たれたことを。愛し合ったと思っている。それが余計に——たまらなく、苦しい)
ベッドから出た。窓を開けると、朝の冷たい空気が流れ込み、部屋に充満していた甘い匂いを少しだけ薄めた。深呼吸をして、肺の中の甘さを追い出す。
床の鞭を拾い上げた。革の先端についた赤い跡を親指で擦る。乾いた血が、爪の間に入り込んだ。
振り返ると、レオンがベッドの上で頬杖をつき、エリオットをうっとりと見つめていた。毛布を胸元まで引き上げ、その上に白い腕を投げ出している。朝の光に照らされた姿は、官能的なまでに美しかった。乱れた髪、赤みの残る頬、蕩けた瞳。満たされた身体の怠さを隠そうともせず、ベッドの上で気怠くこちらを眺めていた。
「エリオット様。どこかに行くんですか?」
「――少し外の空気を吸ってくる」
「いってらっしゃいませ」
甘い声だった。新しい鞭の跡を纏ったまま、レオンは幸福そうに微笑んでいた。
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