約束の甘い檻~寡黙な騎士の一途な愛~

ひなた翠

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第四章:変わりゆく日常

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 心臓が、壊れそうなほど激しく鳴っていた。胸を押さえても、鼓動は収まらない。ダリウスの灰青色の瞳が、脳裏に焼き付いている。あの瞳は——あの夜と同じだった。私を見つめる、熱を帯びた視線。

「まさか……あそこで――」

 兄様がいるのに、ダリウスは私にキスをした。しかも、あんなに深く、甘く、執拗に。私は立ち上がり、鏡の前に行った。鏡に映る自分の顔は、真っ赤に染まっている。唇は腫れていた。

 指先で唇に触れると、まだダリウスの体温が残っているような気がした。舌の痺れも消えず、口の中に彼の味が広がっている。私はベッドに倒れ込み、枕に顔を埋めた。

「何を考えているの、ダリウス……」

 呟いた声は、震えていた。顔が熱い。唇に残る彼の感触が、消えてくれない。身体の奥が、じんわりと疼き始めた。あの夜、彼に触れられた場所が、また熱を持ち始めている。

 私は枕を抱きしめた。ダリウスの匂いが恋しかった。彼の腕の中で眠った、あの夜の記憶が鮮明に蘇ってくる。彼の心臓の音、低い声、温かい手。全てが愛おしくて、切なくて、胸が苦しくなった。

 窓の外では、夕陽が沈み始めていた。オレンジ色の光が部屋を染め、影が長く伸びている。

 私はベッドに横になったまま、天井を見つめた。

 あの濃厚なキスの感触が、まだ唇に残っている。彼の手の温もりが、頬や髪に残っている。

 ダリウスの顔が、瞼の裏に浮かんでくる。灰青色の瞳、無表情な顔、でも私にキスをするときだけ、瞳の奥に熱が宿る。あの眼差しが忘れられない。

 私は枕を抱きしめた。身体の奥が、まだ疼いている。彼に触れられたい。あの日の夜にように、激しく抱かれたい。

「ダリウス――」
 熱っぽく甘ったるい声で漏れてしまう。

「何、アリア。具合が悪そうだったから、見にきた」
 彼の低い声がしてたと思ったら、耳たぶを甘噛みされた。

「……っん、あぁ」
 不意打ちで噛まれた耳から、甘い刺激が身体に走って声が出てしまう。下腹部が熱くなる。

「顔が赤い。息も荒い」
 彼の手が、私の頬に触れた。熱い手のひらが、火照った肌を撫でる。

「身体も熱い」
「それは……」

(ダリウスがキスをするから)

 言い訳をしようとしたが、言葉にはならなかった。ダリウスの灰青色の瞳が、私を見つめている。熱を帯びた視線。さっきと同じ——私を求める眼差し。

「さっきのキス、気持ちよかったか?」
 低く囁かれ、私は顔を背けた。答えられない。答えたら、もう戻れなくなる。

「答えろ」
 顎を掴まれ、顔を向けられる。逃げられない。ダリウスの瞳が、私を捉えて離さない。

「――気持ち、よかったです」
 小さく答えると、ダリウスの唇が緩んだ。微かな笑み。

「もっと、気持ちよくしてやる」

 そう言うと、彼の唇が降りてきた。柔らかく、温かいキス。さっきよりも優しい。唇を何度も重ね、舌で唇をなぞる。

「んっ――」

 口を開くと、舌が入り込んできた。ゆっくりと、丁寧に、口内を蹂躙していく。私の舌に絡みつき、何度も吸い上げる。

 キスをしながら、ダリウスの手が私の身体を撫でた。首筋から鎖骨へ、胸元へと滑っていく。ドレスの上から、柔らかな膨らみを包み込んでくる。

「あっ……」
 声が漏れた。ダリウスの手が、胸を優しく揉みしだく。指先が先端を探り、布越しに摘んだ。

「ん、やぁ――」

 敏感な場所を刺激され、身体が跳ねる。ダリウスの唇が、私の首筋に移動した。舐め、吸い、甘噛みする。

「徴、消えかけてる」
 低く呟きながら、首筋に新しい痕をつけていく。熱い舌が肌を這い、吸い付かれるたびに、身体が震えた。

「ダリウス――」
 名前を呼ぶと、彼の動きが止まった。顔を上げ、私を見つめる。

「なんだ」
「兄様に……見つかったら……」
「ドアに鍵はかけた。怪しまれないように、静かにしてろ」

 そう言うと、ダリウスは私のドレスに手をかけた。ボタンを外し、紐を解いていく。器用な手つきで、あっという間にドレスが緩んだ。

「待って……」
 制止しようとしたが、もう遅かった。ドレスが肩から滑り落ち、胸が晒される。

「綺麗だ」
 ダリウスの声が、震えていた。彼の手が、露わになった肌を撫でる。鎖骨から胸元へ、腹へと滑っていく。

「こっちはこの間つけた徴が、まだ残ってる」
 指先が、薄紅色の痕をなぞった。胸元、鎖骨、首筋。あの夜につけられた痕が、まだ消えずに残っていた。

「恥ずかしい……」
 顔を覆おうとすると、ダリウスが手を掴んだ。

「隠すな。見せろ」
 そう言うと、下着にも手をかけた。。完全に裸にされ、私は身体を縮めた。

「寒いか」
「いえ……恥ずかしくて」

 正直に答えると、ダリウスが微かに笑った。

「可愛い」
 そう呟くと、私の身体を動かし始めた。仰向けから横向きに、そして——。

「四つん這いになれ」
「え……?」

 言われるまま、私は四つん這いの姿勢になった。お尻が高く突き出された格好になり、さらなる羞恥心が込み上げてきた。

「やっぱり恥ずかしい……」
「我慢しろ」

 ダリウスの声が、背後から聞こえた。衣擦れの音がする。彼も服を脱いでいるのだろう。
 ベッドが沈む音がして、ダリウスが私の背後に膝をついた。大きな手が、私の腰を掴む。

「さっきのキスで、もうトロトロだな」
 囁きながら、手が太ももの内側を撫でた。ゆっくりと上へ滑っていき、一番敏感な場所に触れる。

「あっ……!」

 指先が、濡れた蜜口を撫でた。ぬるりとした感触で濡れているのがわかる。あのキスだけで、私の身体は彼の熱を受け入れる準備を整えていた。

「凄い、濡れてる」

 ダリウスの満足そうな声が響く。指が割れ目をなぞり、入口を探る。ゆっくりと一本の指が、中に入ってきた。

「んぅ……」

 異物感に身体が強張る。ダリウスの指が、ゆっくりと出し入れを始めた。中を探るように動き、敏感な場所を見つけていく。

「ここか」
 奥の一点を擦られ、身体が跳ねた。

「あっ、そこ……!」
「気持ちいいのか」

 何度も同じ場所を擦られ、腰が浮く。快楽が波のように押し寄せ、息が荒くなった。
 指が抜かれるとすぐに熱くて硬いものが、蜜口に押し当てられた。

「入れるぞ」
 ダリウスの低い声。私は両手でシーツを握りしめた。心の準備をする間もなく、彼のものが押し入ってきた。

「あっ、ああっ……!」

 蜜口が押し広げられ、熱い塊が侵入してくる。ゆっくりと、でも確実に、奥へと進んでいく。

「大きい――」
 呟くと、背後からダリウスの手が伸びてきた。腰に手を当て、私の身体を支える。

「力を抜け」
 囁かれ、意識的に身体の力を抜く。すると、ダリウスのものがさらに奥へと入り込んできた。

「んぅ、ああ」

 奥まで入り込まれ、お腹の奥が圧迫される。四つん這いの姿勢だからか、あの夜よりもさらに深く入っている気がした。

「全部、入った」

 ダリウスの声が、背後から聞こえる。腰を掴まれたまま、しばらく動かない。私の身体が彼のカタチに慣れるのを待ってくれているようだった。

 だんだんと奥に異物がある感覚に慣れてきて、ダリウスの熱杭が入っていることに快感が芽生えてくる。

「動くぞ」

 そう言うと、ゆっくりと腰を引いた。抜けていく感覚に、思わず声が漏れる。そして——再び、奥へと押し込まれた。

「あっ!」

 奥を突かれ、身体が跳ねる。ダリウスの腰が、ゆっくりと動き始めた。引いて、押し込む。その動きを繰り返す。

「んっ、あ、ああ……」

 声が漏れ続ける。兄様に気づかれないように、声は抑えたいのに我慢ができない。

 四つん這いの姿勢で――お尻を高く突き出した格好で、後ろから何度も何度も突かれるたびに、身体が震えて嬌声があがった。

 ダリウスの手が伸びてきて、私の胸に触れた。垂れ下がった胸を下から掴み、揉みしだく。先端を摘み、転がす。

「あっ、そんな――!」
 前からも後ろからも刺激され、頭が真っ白になる。快楽が全身を駆け巡り、思考が溶けていく。

「アリア、気持ちいいか」
「あっ、ん……はい」

 正直に答えると、ダリウスの動きが速くなった。腰を打ち付ける音が、部屋に響く。ベッドが軋む音も混ざり、生々しい音が響き渡る。

「あまり声、出すな。あいつに聞こえる」

 囁かれ、私は必死で声を押し殺した。唇を噛み、喉の奥で呻く。でも、快楽に耐えきれず、小さく喘ぎ声が漏れてしまう。

「んっ、あ、ダリウス……」
「ああ、アリア」

 彼の声も、少し荒くなっている。呼吸が乱れ、動きが激しくなっていく。

 体勢が変えられた。片手を背中に回され、身体を起こされる。背中がダリウスの胸に押し付けられ、密着した状態になった。

「あっ!」
 角度が変わり、さらに深く入り込んでくる。ダリウスの片手が私の腰を抱き、もう片方の手が胸を揉む。

「この体勢、もっと深く入る」
 耳元で囁かれ、腰を突き上げられる。奥の奥まで、彼のものが届く。

「ああっ、だめぇ――!」
「我慢しろ。もうすぐだ」

 ダリウスの動きが、さらに激しくなる。何度も何度も、奥を突かれる。私の身体は彼の腕に支えられ、ただ快楽を受け入れるしかなかった。

「イキそうか」
「わから、ないっ」
「すぐに分かる」

 そう言うと、片手が下へ滑っていった。結合部に触れ、敏感な突起を探る。見つけると、指先で弾いた。

「あっ、ああっ!」
 声が大きくなりそうになり、慌てて口を押さえる。ダリウスの指が、敏感な場所を激しく刺激する。同時に、奥を突き続ける。

 身体の中心から、何かが弾けた。全身が痙攣し、声にならない叫びが喉から漏れる。ダリウスの腕に支えられながら、私は絶頂に達した。

「っ……んんんぅ!」

 ダリウスも奥で止まり、熱いものが注がれる感覚があった。彼の腕が、私を強く抱きしめる。
 力が抜け、前に倒れそうになる。ダリウスが支えてくれて、ゆっくりとベッドに横たえられた。彼のものが抜け、中から彼の白濁した液体が流れ出てくる。

「ダリウス――」
 名前を呼ぶと、彼が私の隣に横になった。汗ばんだ身体を抱き寄せ、額にキスを落とす。

「そろそろ行く。長居をすると、カレルにバレる」

 ダリウスは乱れた着衣を直すと、私の部屋を出て行った。廊下では、兄様が私を心配する声が聞こえてくる。

(兄様、近くにいたの?)

 ダリウスに溺れて、甘い声をあげていたのを思い出すと血の気が下がっていく。

『もう寝てるから』とダリウスが言い、二言三言の会話のあとに二人の足音が遠ざかっていった。

 兄様に知られてしまうかもしれないと緊張していたが、小さくなり足音を聞いて身体からフッと力が抜ける。腹の奥に注ぎ込まれたダリウスの熱がどろりと溢れ出てくるのがわかり、身震いをする。

(やだ、出て行かないで)

 大好きな人の熱を零したくない。留めておけるのなら、ずっと中に入れておきたい。
 私は布団をかぶると、身体を小さく丸めてお腹にグッと力をいれた。
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