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「あっ……・やっ。こばやしっ……そこ、嫌だっ。んんっ!」
「ここ? 弱いの?」
 いきり立つ熱を後ろから突っ込んでいる小林豊が、僕の弱い箇所に擦りつけてきた。

「やめっ……だか、らぁ……」
「すごい締め付けてくる。ああっ……俺のほうがヤバい、かも」

 僕はシーツをぎゅっと掴んで、歯を食いしばる。小林は喜ぶけれど、僕は女みたい声をあげたくない。口を閉じて必死に抑え込む僕に、小林は弱いところばかりを攻め立てて、なんとか声を出させようとしているみたいだけど……。

「一回、先にイクから、マヤ……」
 耳元で熱い吐息を吐くと、律動が早まった。奥の奥まで打ちつけて、「くっ」と声をあげた小林は白い熱を吐き出した。じんわりと腹の奥が温かい。

 小林は腰の動きを止めてもなお、すっかり立ち上がった僕の乳首を抓んでは弄って、首に噛みついていた。

 一度熱を放ってゆるんだはずのモノを、あいつは外に出す気配がない。嫌な予感がして、僕は後ろにいるヤツに振り返った。

「まだ……やる、の?」
「当たり前だろ。一回しかイッてない。それにマヤはイッてないだろ?」
「僕は……いいよ」

 それより寝かせてほしい。今は深夜零時半だ。シャワーを浴びてベッドに入ったのに、小林のしつこい愛撫にすっかり汗をかき、べとべとだ。
 おかしい。今夜はいつもよりも早く床についたはずなのに。いつもより寝る時間が遅くなりそうじゃないか。

「明日も……仕事が……あっ、んぁ、やめっ、てってば!」
「今度はマヤが上な?」
「だからっ!」

 僕の話を全く聞かずに腰を掴んで、小林が態勢を変えてきた。中に入れたままの状態で、小林が横になって僕が上になる。この体制でスルのが、小林は一番好きなようだ。

「乳首が真っ赤だ。ちょっと弄りすぎたかな」
「これじゃあ、明日……痛い、だろ」
「シャツが擦れるたびに甘い声が出ちゃう?」
「出さない!」

「もちろん、出しちゃ駄目。俺がいないところで甘い声を出すなんて……許さない」
「……なら、もう……」
「触るけどね。マヤ、可愛いから。痛いのに気持ちいいんだろ? 抓むたびに、中がきゅって締まるんだ。それが気持ちいいから」
 小林の手が伸びてくると、真っ赤に腫れている突起を抓む。

「いっ……」
 痛いものは痛いんだって。気持ちいいわけ……。

「ほら、またヒクついた。腰を動かして。マヤが気持ちいいように」
「ん……んぅ、あっ」

「そうそう……ああ、いいよ」
 小林の顔が快感で歪む。僕の中で再び熱杭が立ち上がるのがわかる。中を押し広げて、水音を鳴らす。
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