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第25話:砂漠の氷解と、150億円の味
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「……殿下。治療を開始するにあたり、一つだけ条件がございます」
鏡が、冷徹な医師の顔(ポーカーフェイス)でハッサン殿下に進言する。
「この部屋の人払いを。私と板東先生、そして助手の二人きりにしてください。いかなる雑音も、極限の集中力を要するこの施術においては命取りになります」
「……何だと? 娘と二人きりにしろと言うのか?」
ハッサン殿下が眉を吊り上げる。
「もし、その隙にアミーラに何かあってみろ。貴様ら全員、生きてこの部屋を出られんぞ」
「ご安心を。我々も命が惜しい。逃げ場のないこの場所で、そんな愚かな真似はしませんよ」
鏡は一歩も引かない。その度胸には、私も舌を巻くね。 殿下はしばらく私たちを睨みつけていたが、やがて渋々と衛兵たちに退室を命じた。
「……いいだろう。だが、監視カメラは切らんぞ。別室で見ているからな」
「構いません。ただし、施術中は決して部屋に入らないでください。気圧の変化一つで、結晶化が心臓に達する恐れがあります」
ハッサン殿下が出て行き、重厚な扉が閉められた。 部屋に残されたのは、氷漬けの王女と、私たち四人だけ。
「……ふぅ。行ったか」
私は王女のベッドに近づき、演技をやめて素の顔に戻った。
「さて、鏡。監視カメラの死角を作ってくれ。私が魔法を使うところを見られるわけにはいかない」
「了解しました」
鏡とリオが、さりげなく自分たちの体をカメラと王女の間に滑り込ませ、壁を作る。完璧なフォーメーションだ。
「ヒ、ヒナちゃん……これ、本当に治せるの? 失敗したら、僕たち……」
善さんが首を洗うような仕草をして震えている。
「静かにしな、パパ。……私の見立てが正しければ、これは『病気』じゃない」
私は王女の胸元、結晶化が最も激しく進行している部分に目を凝らした。 そこに、青く輝くペンダントがあった。 一見すると、ただの美しいサファイアに見える。だが、私の魔眼(鑑定スキル)には、そこから溢れ出す禍々しいほどの魔力の奔流が見えていた。
「……やっぱりね。こいつが元凶だ」
私はペンダントを指差した。
「この石、ただの宝石じゃない。……『魔石』だよ。それも、かなり純度の高い、氷属性の魔石だ」
「魔石……? 異世界の、あの?」
リオが小声で聞く。
「ああ。なんでこんな物が地球にあるのかは謎だけどね。……この子がこれを身に着け続けていたせいで、石に込められた膨大な魔力が体に侵食し、細胞を氷の魔力物質に変質させちまったんだ」
普通の人間には、魔力に対する耐性がない。放射能汚染みたいなもんだね。
「じゃあ、それを外せば治るんですか?」
善さんが聞く。
「馬鹿言いな。今外せば、均衡が崩れて一気に全身が凍りつくよ。……やることは一つ。この溢れ出た魔力を、私が全部『頂く』」
私はニヤリと笑った。 ここに来るまでのフライトと、連日の魔法使用で、私の魔力タンクは少し減っていたところだ。 これだけの高純度魔力、願ってもないご馳走だよ。
「……善さん。王女の手を握ってな。あんたが治してるフリをするんだ」
「は、はい!」
善さんが、冷たい王女の手を恐る恐る握る。
私は王女の胸元のペンダントに手をかざした。
(――術式展開。【魔力吸収(マナ・ドレイン)】・フルドライブ!)
私の掌から、見えない吸引の渦が発生する。 ペンダントから溢れ出ていた青い光の粒子が、掃除機に吸い込まれるように、私の体内へと雪崩れ込んでくる。
(……んっ、ううっ……!)
冷たい。 頭がキーンとするような、強烈な冷気が体を駆け巡る。 かき氷を一気に食べた時のような感覚だ。
(……でも、悪くない味だね!)
純度が高い分、魔力の質は極上だ。私の枯渇しかけていた魔力回路が、潤いを取り戻していくのが分かる。
「……お、おい! 見ろ!」
鏡が小声で叫ぶ。
王女の体を覆っていた氷のような結晶が、端の方から徐々に溶け、蒸発していく。 青白かった肌に、少しずつ赤みが戻ってくる。
「……くっ、思ったより量が多いね……! デザートにしては重いよ!」
私は歯を食いしばり、さらに吸収速度を上げた。 ペンダントの中にある魔力を、根こそぎ吸い尽くす。空っぽにしてやる。
バチッ、バチチッ! ペンダントの石に亀裂が入る音がした。
(――ラスト一口! いただきまーす!)
私が最後の魔力を吸いきった瞬間。
パリン! 王女の首にかかっていた青い石が、粉々に砕け散った。
同時に、部屋の中に満ちていた冷気が、嘘のように消え去った。
「……ぷはぁっ!」
私は大きく息を吐き、よろめいた。 満腹だ。もう一滴も入らない。魔力満タン、いやオーバーフロー気味だ。体が内側からポカポカする。
「……き、消えた……!」
善さんが声を上げる。 王女の体を覆っていた結晶は、跡形もなく消滅していた。 残ったのは、濡れたような肌と、健康的な寝息を立てる少女の姿だけ。
「……ん……ぅ……」
王女の睫毛が震え、ゆっくりと瞼が開いた。
「……ここは……? 私……寒くない……?」
王女が不思議そうに自分の手を見つめる。
成功だ。
その瞬間。 バンッ!! 扉が乱暴に開かれた。
「アミーラ!!」
ハッサン殿下が、SPを振り切るようにして部屋に飛び込んできた。モニターで結晶が消えるのを見て、居ても立っても居られなくなったのだろう。
殿下はベッドに駆け寄り、起き上がった王女を抱きしめた。
「おお……おおお、アミーラ! 生きているか! 痛くはないか!?」
「お父様……? 私、平気よ。体が……温かいの」
王女が殿下の背中に手を回す。
ハッサン殿下は、大の男が声を上げて泣いた。 「アラーよ感謝します……! 奇跡だ、奇跡が起きた……!」
そして、殿下は涙で濡れた顔を上げ、善さんの方を見た。
「……板東先生!!」
殿下が善さんの両手をガシッと掴んだ。
「貴殿は神か! いや、神の使いか! 世界中の医者が匙を投げたこの病を、たった数十分で……!」
「い、いえ、あの……私はただ、一生懸命……」
善さんがまたしても英雄になってしまった。
「約束だ! 報酬の1億ドル(約150億円)は即座に支払おう! さらにボーナスもつける! 望むものは何でも言え!」
150億。 その言葉を聞いた瞬間、満腹感で眠くなりかけていた私の脳が覚醒した。
(……勝った。大勝利だ!)
私は心の中でガッツポーズをした。 これで一生遊んで暮らせる。いや、遊んで暮らすどころか、国一つ買えるんじゃないか?
「……殿下。お喜びのところ恐縮ですが」
私は、砕け散ったペンダントの破片をハンカチで拾い上げ、殿下に差し出した。
「この石。……これが原因でした」
「なんだと?」
殿下の表情が険しくなる。
「このペンダント、どこで手に入れたものです?」
「……これは、先月、アミーラの誕生日に私がプレゼントしたものだ。とある骨董商から、『砂漠の遺跡から発掘された古代の秘宝』として買い取ったのだが……」
「古代の秘宝、ですか」
私は砕けた石を見つめた。 やっぱりだ。この世界のものじゃない。 遺跡から発掘された? ということは、ずっと昔からこの世界に「あっちの世界」の遺物が埋まっていたのか? あるいは、最近になって誰かが持ち込んだのか?
「……呪われていたということか。ええい、忌々しい!」
殿下は破片を地面に叩きつけようとした。
「お待ちなさい、殿下」
私はそれを止めた。
「この破片、研究のために私が引き取ってもよろしいですか? 二度と同じ悲劇を生まないための、ワクチンの材料になるかもしれません」
もちろん嘘だ。 魔力は吸い尽くしたが、この石の成分を調べれば、何か分かるかもしれない。それに、もし「魔石」が採れる鉱脈がこの世界のどこかにあるとしたら……それは150億以上の価値がある。
「……好きにせよ。そんなもの、見るのも嫌だ」
殿下は許可した。
「ありがとうございます」
私は破片をポケット(実質、私のアイテムボックス代わり)にしまい込んだ。
こうして、私たちは砂漠の国で、巨額の富と、新たな謎(と魔力)を手に入れた。
その夜。 王宮で開かれた盛大な祝賀パーティー。 善さんはハッサン殿下の隣に座らされ、王族たちから次々と「奇跡の御手」への称賛を浴びていた。 リオは豪華なバイキング料理(羊の丸焼きなど)を食い尽くす勢いで平らげている。 鏡は現地の医師たちに囲まれ、ドヤ顔で(しかし医学的に意味不明な)解説をしている。
私はテラスに出て、夜風に当たりながら、冷えたジュースを飲んでいた。
空には満月。 『アル・カマル』(月)という国名にふさわしい、美しい夜だ。
「……150億、か」
ポケットの中の通帳(善さん名義だが、実質私のもの)には、既に送金完了の記帳がされている。 目的は達した。 これで日本に帰って、優雅な隠居生活……。
そう思っていた時だった。
ザワッ。
私の【魔力感知】が、反応した。 ペンダントの時のような、強烈な反応じゃない。 もっと微弱で、遠くから……しかし、確実に「私と同じ波長」を持つ何かが、この砂漠のどこかにある。
「……まさか」
私は砂漠の彼方を見つめた。
「……他にも、いるのかい? 私みたいな『迷い人』が」
あるいは、あっちの世界とこっちの世界を繋ぐ「穴」が開いているのか。
私の銭ゲバセンサーと同時に、冒険者としての血が、少しだけ騒いだ気がした。 まあ、150億持ってる今は、冒険なんてリスクの高いことは御免だけどね。
……そう思っていたのだが。 翌日、私たちは知ることになる。 ハッサン殿下の「ボーナス」の意味を。
そして、この国に眠る、本当の「秘宝」の正体を。
次回、「善さん、第四夫人に!? 砂漠のダンジョンと魔王の遺産」 お楽しみに!
鏡が、冷徹な医師の顔(ポーカーフェイス)でハッサン殿下に進言する。
「この部屋の人払いを。私と板東先生、そして助手の二人きりにしてください。いかなる雑音も、極限の集中力を要するこの施術においては命取りになります」
「……何だと? 娘と二人きりにしろと言うのか?」
ハッサン殿下が眉を吊り上げる。
「もし、その隙にアミーラに何かあってみろ。貴様ら全員、生きてこの部屋を出られんぞ」
「ご安心を。我々も命が惜しい。逃げ場のないこの場所で、そんな愚かな真似はしませんよ」
鏡は一歩も引かない。その度胸には、私も舌を巻くね。 殿下はしばらく私たちを睨みつけていたが、やがて渋々と衛兵たちに退室を命じた。
「……いいだろう。だが、監視カメラは切らんぞ。別室で見ているからな」
「構いません。ただし、施術中は決して部屋に入らないでください。気圧の変化一つで、結晶化が心臓に達する恐れがあります」
ハッサン殿下が出て行き、重厚な扉が閉められた。 部屋に残されたのは、氷漬けの王女と、私たち四人だけ。
「……ふぅ。行ったか」
私は王女のベッドに近づき、演技をやめて素の顔に戻った。
「さて、鏡。監視カメラの死角を作ってくれ。私が魔法を使うところを見られるわけにはいかない」
「了解しました」
鏡とリオが、さりげなく自分たちの体をカメラと王女の間に滑り込ませ、壁を作る。完璧なフォーメーションだ。
「ヒ、ヒナちゃん……これ、本当に治せるの? 失敗したら、僕たち……」
善さんが首を洗うような仕草をして震えている。
「静かにしな、パパ。……私の見立てが正しければ、これは『病気』じゃない」
私は王女の胸元、結晶化が最も激しく進行している部分に目を凝らした。 そこに、青く輝くペンダントがあった。 一見すると、ただの美しいサファイアに見える。だが、私の魔眼(鑑定スキル)には、そこから溢れ出す禍々しいほどの魔力の奔流が見えていた。
「……やっぱりね。こいつが元凶だ」
私はペンダントを指差した。
「この石、ただの宝石じゃない。……『魔石』だよ。それも、かなり純度の高い、氷属性の魔石だ」
「魔石……? 異世界の、あの?」
リオが小声で聞く。
「ああ。なんでこんな物が地球にあるのかは謎だけどね。……この子がこれを身に着け続けていたせいで、石に込められた膨大な魔力が体に侵食し、細胞を氷の魔力物質に変質させちまったんだ」
普通の人間には、魔力に対する耐性がない。放射能汚染みたいなもんだね。
「じゃあ、それを外せば治るんですか?」
善さんが聞く。
「馬鹿言いな。今外せば、均衡が崩れて一気に全身が凍りつくよ。……やることは一つ。この溢れ出た魔力を、私が全部『頂く』」
私はニヤリと笑った。 ここに来るまでのフライトと、連日の魔法使用で、私の魔力タンクは少し減っていたところだ。 これだけの高純度魔力、願ってもないご馳走だよ。
「……善さん。王女の手を握ってな。あんたが治してるフリをするんだ」
「は、はい!」
善さんが、冷たい王女の手を恐る恐る握る。
私は王女の胸元のペンダントに手をかざした。
(――術式展開。【魔力吸収(マナ・ドレイン)】・フルドライブ!)
私の掌から、見えない吸引の渦が発生する。 ペンダントから溢れ出ていた青い光の粒子が、掃除機に吸い込まれるように、私の体内へと雪崩れ込んでくる。
(……んっ、ううっ……!)
冷たい。 頭がキーンとするような、強烈な冷気が体を駆け巡る。 かき氷を一気に食べた時のような感覚だ。
(……でも、悪くない味だね!)
純度が高い分、魔力の質は極上だ。私の枯渇しかけていた魔力回路が、潤いを取り戻していくのが分かる。
「……お、おい! 見ろ!」
鏡が小声で叫ぶ。
王女の体を覆っていた氷のような結晶が、端の方から徐々に溶け、蒸発していく。 青白かった肌に、少しずつ赤みが戻ってくる。
「……くっ、思ったより量が多いね……! デザートにしては重いよ!」
私は歯を食いしばり、さらに吸収速度を上げた。 ペンダントの中にある魔力を、根こそぎ吸い尽くす。空っぽにしてやる。
バチッ、バチチッ! ペンダントの石に亀裂が入る音がした。
(――ラスト一口! いただきまーす!)
私が最後の魔力を吸いきった瞬間。
パリン! 王女の首にかかっていた青い石が、粉々に砕け散った。
同時に、部屋の中に満ちていた冷気が、嘘のように消え去った。
「……ぷはぁっ!」
私は大きく息を吐き、よろめいた。 満腹だ。もう一滴も入らない。魔力満タン、いやオーバーフロー気味だ。体が内側からポカポカする。
「……き、消えた……!」
善さんが声を上げる。 王女の体を覆っていた結晶は、跡形もなく消滅していた。 残ったのは、濡れたような肌と、健康的な寝息を立てる少女の姿だけ。
「……ん……ぅ……」
王女の睫毛が震え、ゆっくりと瞼が開いた。
「……ここは……? 私……寒くない……?」
王女が不思議そうに自分の手を見つめる。
成功だ。
その瞬間。 バンッ!! 扉が乱暴に開かれた。
「アミーラ!!」
ハッサン殿下が、SPを振り切るようにして部屋に飛び込んできた。モニターで結晶が消えるのを見て、居ても立っても居られなくなったのだろう。
殿下はベッドに駆け寄り、起き上がった王女を抱きしめた。
「おお……おおお、アミーラ! 生きているか! 痛くはないか!?」
「お父様……? 私、平気よ。体が……温かいの」
王女が殿下の背中に手を回す。
ハッサン殿下は、大の男が声を上げて泣いた。 「アラーよ感謝します……! 奇跡だ、奇跡が起きた……!」
そして、殿下は涙で濡れた顔を上げ、善さんの方を見た。
「……板東先生!!」
殿下が善さんの両手をガシッと掴んだ。
「貴殿は神か! いや、神の使いか! 世界中の医者が匙を投げたこの病を、たった数十分で……!」
「い、いえ、あの……私はただ、一生懸命……」
善さんがまたしても英雄になってしまった。
「約束だ! 報酬の1億ドル(約150億円)は即座に支払おう! さらにボーナスもつける! 望むものは何でも言え!」
150億。 その言葉を聞いた瞬間、満腹感で眠くなりかけていた私の脳が覚醒した。
(……勝った。大勝利だ!)
私は心の中でガッツポーズをした。 これで一生遊んで暮らせる。いや、遊んで暮らすどころか、国一つ買えるんじゃないか?
「……殿下。お喜びのところ恐縮ですが」
私は、砕け散ったペンダントの破片をハンカチで拾い上げ、殿下に差し出した。
「この石。……これが原因でした」
「なんだと?」
殿下の表情が険しくなる。
「このペンダント、どこで手に入れたものです?」
「……これは、先月、アミーラの誕生日に私がプレゼントしたものだ。とある骨董商から、『砂漠の遺跡から発掘された古代の秘宝』として買い取ったのだが……」
「古代の秘宝、ですか」
私は砕けた石を見つめた。 やっぱりだ。この世界のものじゃない。 遺跡から発掘された? ということは、ずっと昔からこの世界に「あっちの世界」の遺物が埋まっていたのか? あるいは、最近になって誰かが持ち込んだのか?
「……呪われていたということか。ええい、忌々しい!」
殿下は破片を地面に叩きつけようとした。
「お待ちなさい、殿下」
私はそれを止めた。
「この破片、研究のために私が引き取ってもよろしいですか? 二度と同じ悲劇を生まないための、ワクチンの材料になるかもしれません」
もちろん嘘だ。 魔力は吸い尽くしたが、この石の成分を調べれば、何か分かるかもしれない。それに、もし「魔石」が採れる鉱脈がこの世界のどこかにあるとしたら……それは150億以上の価値がある。
「……好きにせよ。そんなもの、見るのも嫌だ」
殿下は許可した。
「ありがとうございます」
私は破片をポケット(実質、私のアイテムボックス代わり)にしまい込んだ。
こうして、私たちは砂漠の国で、巨額の富と、新たな謎(と魔力)を手に入れた。
その夜。 王宮で開かれた盛大な祝賀パーティー。 善さんはハッサン殿下の隣に座らされ、王族たちから次々と「奇跡の御手」への称賛を浴びていた。 リオは豪華なバイキング料理(羊の丸焼きなど)を食い尽くす勢いで平らげている。 鏡は現地の医師たちに囲まれ、ドヤ顔で(しかし医学的に意味不明な)解説をしている。
私はテラスに出て、夜風に当たりながら、冷えたジュースを飲んでいた。
空には満月。 『アル・カマル』(月)という国名にふさわしい、美しい夜だ。
「……150億、か」
ポケットの中の通帳(善さん名義だが、実質私のもの)には、既に送金完了の記帳がされている。 目的は達した。 これで日本に帰って、優雅な隠居生活……。
そう思っていた時だった。
ザワッ。
私の【魔力感知】が、反応した。 ペンダントの時のような、強烈な反応じゃない。 もっと微弱で、遠くから……しかし、確実に「私と同じ波長」を持つ何かが、この砂漠のどこかにある。
「……まさか」
私は砂漠の彼方を見つめた。
「……他にも、いるのかい? 私みたいな『迷い人』が」
あるいは、あっちの世界とこっちの世界を繋ぐ「穴」が開いているのか。
私の銭ゲバセンサーと同時に、冒険者としての血が、少しだけ騒いだ気がした。 まあ、150億持ってる今は、冒険なんてリスクの高いことは御免だけどね。
……そう思っていたのだが。 翌日、私たちは知ることになる。 ハッサン殿下の「ボーナス」の意味を。
そして、この国に眠る、本当の「秘宝」の正体を。
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