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第1の国 アルカホルン
3話
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前話について一言
顔から火がでるかと思った
むしろ出た
「いや、その……本当にありがとうございました」
コアよりも一足先に立ち直ったタクトは、門を開けてくれた男に話かけた
その男は天然ものであろう茶髪と栗色の目で、無精髭を生やしたガタイのいい男だった。
ガタイの良いぶん少々怖くも感じるかと思ったが、男の浮かべるカラッとした笑い方のおかげかそんな感情はまったく湧かなかった。
「いやいや、全然いいんだ。それにしても、上から来たやつをみるのは俺は初だな!」
そんな男は気をつかったのか、話題を変え快活な笑みを浮かべた。
そのおかげと言ってもいいのかコアもゆっくりと顔をあげた
「本当に助かりました…門を開けてくれて。私達は上の"トランペリド"から来ました。この国は"アルカホルン"ですよね?」
どんな羞恥のあとでもちゃんと礼を言うのは、流石きちんとした教育をうけた領主の娘だな、と所作をみて改めて感じる
「おうとも。いらっしゃい、俺達の国"アルカホルン"にようこそ!」
その言葉をうけ、二人の胸に感慨深いものが生まれる。
やっと、俺/私 達は来たんだ…!
そんな二人の煌めいた目をみて、クツクツと堪えるように笑ってから、彼は再び口を開いた
「俺の名前は チェーバ 。しがない運び屋だ」
そう男、チェーバが名を口にする。それに慌てて二人も名を口にした
「俺はタクトです。下の国に旅をしてます!まだ、ここが初の国ですけどね」
「私はコアです!タクトと一緒に旅を始めました。」
そう聞くと、チェーバは一つ頷いた
「そうか、頑張れよ!なら、俺の家に泊まりだな!」
何がならなのか分からないし、どうして泊まりなのかさっぱりだ。
とりあえず、訳がわからないままでは堪らないとコアが聞きかえした
「え、あの。なぜ?」
酷く語彙力がない。
混乱した頭では、人は言葉を紡ぐことも難しいらしい。
そんなバラバラの単語でも、言いたいことを汲み取ることができたらしいチェーバは簡潔に答えた。
「だってお前ら、宿なしだろ?」
仰る通りで!
「だったら、俺の家でもいいじゃねえか!
まあ、この続きは歩きながらにでも話すさ。そろそろ目線が痛いしな」
「はい?……………ヴァッ!?」
迷惑なんじゃ…とか、そんなにお世話になるわけには……とか、色々言いたいことはあったが、周りからの沢山の視線が痛くて俺たちは大人しく歩きだすチェーバの後ろを付いて歩く
「しょーがないさ!あの門が開くのなんていつぶりか分かったもんじゃないほど昔のことだし、上の国の人なんて初めて見るやつばかりだからね!」
「「それならもっと早くいってくださいよ!!!」」
カラカラと笑い続けるチェーバに恨みがましい視線を浴びせつつ、別の国だからといって見た目はすべて人族と変わりが無いもののはずなのに……と二人は思う。
そう考えているとチェーバがさっきの提案について言葉を発した
「で、宿なしの諸君。俺の家での泊まりでいいかい?
まあ、タダ飯は食わさんけどな!」
無償で、というのは気が引けたが、何かしら働かくというならこの国での滞在中いいのではないかと二人は顔を見合わせる
「働くって言うが、仕事は簡単だ!運び屋の仕事を手伝って欲しいだけだ、あと二週間ほどで祭りがあってな。今は稼ぎ時の大忙しでな、人手が欲しいんだ」
そう言われると断れるものも……と思いながらも、コクリと頷く
それを見て、チェーバはニヤリと笑いながら足を進めるスピードを速めた
「ハハハハハッ!助かるぞ!!稼ぎどきじゃい!!
あ、ちゃんと週休三日で生活費をぬいて給料も出すからな!自由に国を見て回れよ!」
最後に付け加えられた待遇に、それは好待遇過ぎるのでは!と少し慌てるが、彼の気遣いなのだと思い口にするのをやめる。
優しい人だな……と人手が欲しいにしても、あまりに好待遇の条件に思う。
タクトとコアは男の顔をみてから顔を綻ばせ、彼の気遣ったことへの感謝ではなく別の言葉を使った
「「よろしくお願いします、チェーバさん!!」」
その二人の言葉と笑顔をみて、おう!と快活な笑みを彼はみせた。
顔から火がでるかと思った
むしろ出た
「いや、その……本当にありがとうございました」
コアよりも一足先に立ち直ったタクトは、門を開けてくれた男に話かけた
その男は天然ものであろう茶髪と栗色の目で、無精髭を生やしたガタイのいい男だった。
ガタイの良いぶん少々怖くも感じるかと思ったが、男の浮かべるカラッとした笑い方のおかげかそんな感情はまったく湧かなかった。
「いやいや、全然いいんだ。それにしても、上から来たやつをみるのは俺は初だな!」
そんな男は気をつかったのか、話題を変え快活な笑みを浮かべた。
そのおかげと言ってもいいのかコアもゆっくりと顔をあげた
「本当に助かりました…門を開けてくれて。私達は上の"トランペリド"から来ました。この国は"アルカホルン"ですよね?」
どんな羞恥のあとでもちゃんと礼を言うのは、流石きちんとした教育をうけた領主の娘だな、と所作をみて改めて感じる
「おうとも。いらっしゃい、俺達の国"アルカホルン"にようこそ!」
その言葉をうけ、二人の胸に感慨深いものが生まれる。
やっと、俺/私 達は来たんだ…!
そんな二人の煌めいた目をみて、クツクツと堪えるように笑ってから、彼は再び口を開いた
「俺の名前は チェーバ 。しがない運び屋だ」
そう男、チェーバが名を口にする。それに慌てて二人も名を口にした
「俺はタクトです。下の国に旅をしてます!まだ、ここが初の国ですけどね」
「私はコアです!タクトと一緒に旅を始めました。」
そう聞くと、チェーバは一つ頷いた
「そうか、頑張れよ!なら、俺の家に泊まりだな!」
何がならなのか分からないし、どうして泊まりなのかさっぱりだ。
とりあえず、訳がわからないままでは堪らないとコアが聞きかえした
「え、あの。なぜ?」
酷く語彙力がない。
混乱した頭では、人は言葉を紡ぐことも難しいらしい。
そんなバラバラの単語でも、言いたいことを汲み取ることができたらしいチェーバは簡潔に答えた。
「だってお前ら、宿なしだろ?」
仰る通りで!
「だったら、俺の家でもいいじゃねえか!
まあ、この続きは歩きながらにでも話すさ。そろそろ目線が痛いしな」
「はい?……………ヴァッ!?」
迷惑なんじゃ…とか、そんなにお世話になるわけには……とか、色々言いたいことはあったが、周りからの沢山の視線が痛くて俺たちは大人しく歩きだすチェーバの後ろを付いて歩く
「しょーがないさ!あの門が開くのなんていつぶりか分かったもんじゃないほど昔のことだし、上の国の人なんて初めて見るやつばかりだからね!」
「「それならもっと早くいってくださいよ!!!」」
カラカラと笑い続けるチェーバに恨みがましい視線を浴びせつつ、別の国だからといって見た目はすべて人族と変わりが無いもののはずなのに……と二人は思う。
そう考えているとチェーバがさっきの提案について言葉を発した
「で、宿なしの諸君。俺の家での泊まりでいいかい?
まあ、タダ飯は食わさんけどな!」
無償で、というのは気が引けたが、何かしら働かくというならこの国での滞在中いいのではないかと二人は顔を見合わせる
「働くって言うが、仕事は簡単だ!運び屋の仕事を手伝って欲しいだけだ、あと二週間ほどで祭りがあってな。今は稼ぎ時の大忙しでな、人手が欲しいんだ」
そう言われると断れるものも……と思いながらも、コクリと頷く
それを見て、チェーバはニヤリと笑いながら足を進めるスピードを速めた
「ハハハハハッ!助かるぞ!!稼ぎどきじゃい!!
あ、ちゃんと週休三日で生活費をぬいて給料も出すからな!自由に国を見て回れよ!」
最後に付け加えられた待遇に、それは好待遇過ぎるのでは!と少し慌てるが、彼の気遣いなのだと思い口にするのをやめる。
優しい人だな……と人手が欲しいにしても、あまりに好待遇の条件に思う。
タクトとコアは男の顔をみてから顔を綻ばせ、彼の気遣ったことへの感謝ではなく別の言葉を使った
「「よろしくお願いします、チェーバさん!!」」
その二人の言葉と笑顔をみて、おう!と快活な笑みを彼はみせた。
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