青春と恋の物語

NISHINO TAKUMI

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3章 青春恋物語

青春恋物語3-2

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美月side

部長の私を差し置いて
なぜか一哉がしきっていた。
私は料理のサポート役…
『(なんでよ…私だってやろうと思えば…)』
そんなことを思いながらも、
練習がなしになった午後の時間を
私は部屋で過ごしていた。
本当なら決勝戦をやって午後2.3時に
練習が終わる予定だったのだ。
なのに…予定よりも2時間も早く終わってしまい用意されてた昼食も食べたため
本当にやることがなくなってしまっていた。
寺の副住職さんが道場の鍵を閉めてしまったので完全な練習なし状態なのだ。

最初の頃説明をしてなかったので
説明をしておくと
寺の所有者が私の親戚である沢木さんで
寺の住職は沢木さんがやっている。
副住職は沢木さんとの弟がやっている。

その副住職さんも沢木さんと一緒に
出掛けてしまったので鍵も外に…
つまり開ける手段もないのだ。

私はやることがなくボーッとしていた。
そこで思い出したことがあって
一哉を部屋に呼びにいった。
(世話役を終えたので元の部屋割に戻っています。七瀬が一哉と同じ部屋がいいと言い張るので3人部屋は使ってません。)
私『一哉!いる?さっき言った場所にきてほしいんだけど…』
私は戸を開けてみると…
一哉『zzz……』
私『(なっ!ね、寝てるし…)か、一哉!起きて!』
一哉『…ふぇ?……み、美月!?
なんでここに!?』
私『一哉を呼びに来たんだよ…七瀬は?』
一哉『あ、七瀬なら夕食の食材になるものが少ないから買い出しに行くって言って…出掛けてったよ。多分真面目で張り切ってたから…3時半ぐらいから準備始めると思うよ?』
私『そっか…(じゃあ…調理場で話すのは危険か…)ていうか、さっき約束したじゃん?調理場って』
一哉『あ、あぁ…だって留守電終わって
美月が部屋にどんどん戻っちゃったから…』
私『呼んでくれればいいじゃん!』
一哉『じゃ、ここではなそうよ?』
私『ここじゃなくて…散歩しながら話さない?』
一哉『いいけど…何の話なのよ…』
一哉は渋々と言った感じで私と散歩に出掛けた。

一哉『んで?何?』
私『言ったでしょ?負けたら言うこと聞いてって。』
一哉『あー、あったね。で?何?
何なりと申し付けください美月様』
ふざけた感じの言い方をする一哉。
私『あのね…合宿終わったらさ
2人でどっか行こうよ…っていうか連れてって』
一哉『え?どっかって…どこ?ていうか夏休み中?』
私『どこでもいいから連れてって。旅行したいの!』
一哉『いいけど…金もないからそんな遠くとかいけないからね?』
私『連れて行ってくれればどこでもいいの。行くことが大事なんだから。』
一哉『わかったよ。どこに行くかは…合宿最後の日までに考えておくよ。帰りのバスか学校からの帰り道で言うよ。』
私『うん!楽しみにしてる!』
私は一哉と出掛ける約束をした。
それだけ話して帰るのもなんかもったいないのでしばらく散歩を続けた。
不意に一哉が言った。
一哉『でも、今日の結果は嬉しかったなぁ』
私『えっ?』
私が聞き返すと一哉は嬉しそうに話し出した。
一哉『この前の試合稽古じゃさ……沢木さんに言われるまでもなく酷い有り様…というか
俺と美月以外ドングリの背比べ状態だったのにさ?勇紀はまぐれでも将太をきれいに倒したしさ?俺をもう少しのところまで追い込んだりもして…あの運動音痴で弱かった蓮は瑠夏相手に互角に勝負できてたんだよ?
さらに言えば…将太が俺と互角にやってくれたのも嬉しかったし…美月と瑠夏の試合は白熱したなぁ…』
私はそんな一哉を見てて…胸が熱くなった。
私『一哉だってすごかったじゃん。
結構追い込まれるところまでやられても…
最後は綺麗に逆転勝ちするじゃん。
私の時は時間が足りなかったけどさ?』
最後だけ意地悪っぽく言ってみた。
一哉『くそ…なんか馬鹿にされた気分…
でも、決勝戦ではそうはいかないからな?
覚えとけよー?』
一哉はいつもの笑顔で私にそう言った。
私はこの笑顔が好きなんだよな…。
一哉『どうした?美月』
私『ん?なにが?』
一哉『急に黙ったからさ…』
私『あ、いや別に?イメトレしたけど…やっぱり一哉は私に勝てないよ~?』
一哉『言い切ったな?俺が勝ったら…
そうだなぁ…もう一回抱き締めてでももらおうかな~』
一哉が苦笑しながら冗談気味に笑った。
私『…』
一哉『あ、ごめんごめん。冗談だよ。
勝ってもそんなこと要求しないから…怒らないで…?』
私『…』
一哉『ね、ねぇ…?』
無意識に私は…



一哉を抱き締めていた。

一哉『!?…美月…どうしたの…?』
私『…こうしていたいの…そういう気分なの…』
私はそう言いながら涙が溢れてきた。
理由はわからないけど…
一哉が嘘でも…私の勝手な勘違いでも…
私をしっかり求めてくれたような気がした。
私はこの1週間で一哉に散々助けられた。
笑って負けたことをごまかしてたけど…
本当は悔しいって思ってるのはわかっていた。
私『(…だからなのかな)…ごめんね。』
私はそう言って離れようとした。
けれど、一哉は私を離してくれなかった。
一哉『そんな…涙見せながら、そういう気分とか言うのはずるいでしょ。
俺が泣かしたみたいじゃん…』
力強く一哉は私を抱き締めてくれた。
私達は誰もいない田舎の道で
しばらく抱き締めあっていた…


3話につづく。
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