7 / 170
第1章 リアル人狼ゲームへようこそ(1日目)
1ー4 38人のスタート
しおりを挟む
シュルティは立ち上がった。
そうだとアディティもニルマラも拳を振り上げる。
「皆いるの? 他にいない人いない?」
ニルマラが言えばざわめきが広がる。
「ルクミニー先生はどちらにいらっしゃいますか!」
天井へ叫ぶスティーブンの声が広間を切る。
「僕たちと同じバスに乗っていらした、皆が大変お世話になっている担任の先生です」
(そういえば……)
「ルクミニー・シャルマ先生とマヤ・チョウドリーさん。ふたりはあなたがたの手の中にいるんですか? もしそうなら丁重な扱いを望みます」
『「リアル人狼ゲーム」のプレイヤーはここにいる38人のみです』
クラス40人のうち校外学習欠席が2人で今日の出席者は38人。
マヤ不在では数が合わない。
「37人のはずです! マヤがいないんですから」
『ただ今通告した通りです。現在ゲーム会場にいる38人が今回ゲームのプレイヤーです。その他ことは私の範疇ではありません』
「違うのっ! マヤはどこ?!」
崩れ込むシュルティの耳に今までの英語ではなくヒンディー語が飛び込んできた。
「何をおっしゃっているのか全然わかりません! わたしは何をすればいいのでしょうか。ヒンディー語で教えていただけないでしょうか?」
テーブル向こうで立ち上がったのは見覚えのないソバカス顔の少年だった。
(そうだ)
トラブルでバス荷物室に閉じ込められてしまった学校雑役夫の子がいた。
彼がいてマヤがいなければ丁度38人。だがー
毛羽だって穴も空いてそうな紺のチェックのシャツの少年が手を擦り合わせるのに男子から声がかかる。
「お前、英語わからないんだな」
頷く彼にスティーブンが歩み寄った。自分が代理で聞くと言い、彼は英語で天井に向かって声を張り上げ、返事を聞いて小さく口を引き結んだ。
「えっと名前何だったか?」
「ラジュー、です」
「お前のことを聞いてみた。うちの学生じゃない部外者で、間違ってバスに閉じ込められて巻き込まれただけだからお前だけでも返してくれないかって頼んだんだが、」
首を横に振る。
その時天井からうるさいほどのファンファーレが響き渡った。
『Now let's start the "Real Werewolf Game"!』
首をすくめたシュルティは次の言葉に動きを止めた。
『なおゲームの勝者に与えられる賞金は2500万ルピーとなります。これは当ゲームご鑑賞の皆さま方からの提供です』
想像も出来ない大金だ。
『総額ではありますが現在のプレイヤー38人で割ってもおよそ65万ルピーです。これから進学を控え何かと物入りな皆様には狙うべき金額ではないでしょうか』
各々の表情の変化を感じとりつつシュルティも想像した。
それだけあれば弟に留学させてやれるかもー
『実際には生き残り栄光の勝者となるのはこの中でもごく一握り、賞金はもっと莫大な金額になります。このゲームのプレイヤーに選ばれた幸運を皆様に伝えられることを大変うれしく思いつつ解説を終わります。Thank you.』
時計は20時10分を指している。その後は誰が何を叫んでももう何も返って来なかった。
「さっきの続きだが、上が言うにはここにいる全員がゲームのプレイヤーだってさ」
スティーブンがラジューに両腕を広げる。
「ゲーム、とは……?」
「僕も内容を再確認したいし英語がわからない人間もいるからヒンディー語で説明し直してくれと言ったんだが『当ゲームの公用語は英語です』で断られた」
少し間をあけて少年は前屈み気味に尋ねる。
「……あの、わたしはどうすれば……」
「誰もわかんねんだよ! オレたち訳わかんない奴に捕まっちまったんだ」
横から男子が吐き捨て、
「そう。僕たちも現状を理解していない。お前に説明しないのは意地悪しているんじゃない」
説くスティーブンにすみませんとラジューは小さく肩を縮める。
「スティーブン! ルールあるぞ」
テーブル上で男子が紙をひらひらとさせる。反射するのはラミネートか。
「英語か?」
「That’s right!」
小さく首を振るラジューにスティーブンは自分も確認しつつ訳すからと言いテーブルに近づく。
「おれも手伝うよ。なあラジュー、お前20番だろ? おれはスレーシュ。19番で同じ部屋みたいだから頼りにしてくれていいぜ」
モニターは案内図が表示されたまま止まっている。
「学生さんと同じお部屋なんて……」
スレーシュの言葉にラジューは震えるように首を横に振る。
そばで18番、彼らと同室のヴィノードも顔をしかめる。それはそうだろう。使用人と主人が同じ部屋で寝るなどあり得ない。少年は自分たちとは年が近いようだから余計だ。
「おれたちを捕まえた悪い奴がそうしろってよ。お前も気づまりだろうし、変えられるかどうかも含めて一緒に確認しようぜ」
スレーシュは親指を立てる。
「シュルティ。まずご飯食べて力付けてその後マヤを探しに行こう」
アディティに腕を取られシュルティはノンベジ食堂へ向かった。
(マヤ。どうしてあなただけいないの)
ルクミニー先生が一緒らしいことがせめてもだがー
女子棟に近い側にあるノンベジ食堂に着く前に、
「ヒャアアアアアアッ!」
引き裂くような悲鳴と、
「オイ! オイっ!」
怒号が聞こえてきた。
そうだとアディティもニルマラも拳を振り上げる。
「皆いるの? 他にいない人いない?」
ニルマラが言えばざわめきが広がる。
「ルクミニー先生はどちらにいらっしゃいますか!」
天井へ叫ぶスティーブンの声が広間を切る。
「僕たちと同じバスに乗っていらした、皆が大変お世話になっている担任の先生です」
(そういえば……)
「ルクミニー・シャルマ先生とマヤ・チョウドリーさん。ふたりはあなたがたの手の中にいるんですか? もしそうなら丁重な扱いを望みます」
『「リアル人狼ゲーム」のプレイヤーはここにいる38人のみです』
クラス40人のうち校外学習欠席が2人で今日の出席者は38人。
マヤ不在では数が合わない。
「37人のはずです! マヤがいないんですから」
『ただ今通告した通りです。現在ゲーム会場にいる38人が今回ゲームのプレイヤーです。その他ことは私の範疇ではありません』
「違うのっ! マヤはどこ?!」
崩れ込むシュルティの耳に今までの英語ではなくヒンディー語が飛び込んできた。
「何をおっしゃっているのか全然わかりません! わたしは何をすればいいのでしょうか。ヒンディー語で教えていただけないでしょうか?」
テーブル向こうで立ち上がったのは見覚えのないソバカス顔の少年だった。
(そうだ)
トラブルでバス荷物室に閉じ込められてしまった学校雑役夫の子がいた。
彼がいてマヤがいなければ丁度38人。だがー
毛羽だって穴も空いてそうな紺のチェックのシャツの少年が手を擦り合わせるのに男子から声がかかる。
「お前、英語わからないんだな」
頷く彼にスティーブンが歩み寄った。自分が代理で聞くと言い、彼は英語で天井に向かって声を張り上げ、返事を聞いて小さく口を引き結んだ。
「えっと名前何だったか?」
「ラジュー、です」
「お前のことを聞いてみた。うちの学生じゃない部外者で、間違ってバスに閉じ込められて巻き込まれただけだからお前だけでも返してくれないかって頼んだんだが、」
首を横に振る。
その時天井からうるさいほどのファンファーレが響き渡った。
『Now let's start the "Real Werewolf Game"!』
首をすくめたシュルティは次の言葉に動きを止めた。
『なおゲームの勝者に与えられる賞金は2500万ルピーとなります。これは当ゲームご鑑賞の皆さま方からの提供です』
想像も出来ない大金だ。
『総額ではありますが現在のプレイヤー38人で割ってもおよそ65万ルピーです。これから進学を控え何かと物入りな皆様には狙うべき金額ではないでしょうか』
各々の表情の変化を感じとりつつシュルティも想像した。
それだけあれば弟に留学させてやれるかもー
『実際には生き残り栄光の勝者となるのはこの中でもごく一握り、賞金はもっと莫大な金額になります。このゲームのプレイヤーに選ばれた幸運を皆様に伝えられることを大変うれしく思いつつ解説を終わります。Thank you.』
時計は20時10分を指している。その後は誰が何を叫んでももう何も返って来なかった。
「さっきの続きだが、上が言うにはここにいる全員がゲームのプレイヤーだってさ」
スティーブンがラジューに両腕を広げる。
「ゲーム、とは……?」
「僕も内容を再確認したいし英語がわからない人間もいるからヒンディー語で説明し直してくれと言ったんだが『当ゲームの公用語は英語です』で断られた」
少し間をあけて少年は前屈み気味に尋ねる。
「……あの、わたしはどうすれば……」
「誰もわかんねんだよ! オレたち訳わかんない奴に捕まっちまったんだ」
横から男子が吐き捨て、
「そう。僕たちも現状を理解していない。お前に説明しないのは意地悪しているんじゃない」
説くスティーブンにすみませんとラジューは小さく肩を縮める。
「スティーブン! ルールあるぞ」
テーブル上で男子が紙をひらひらとさせる。反射するのはラミネートか。
「英語か?」
「That’s right!」
小さく首を振るラジューにスティーブンは自分も確認しつつ訳すからと言いテーブルに近づく。
「おれも手伝うよ。なあラジュー、お前20番だろ? おれはスレーシュ。19番で同じ部屋みたいだから頼りにしてくれていいぜ」
モニターは案内図が表示されたまま止まっている。
「学生さんと同じお部屋なんて……」
スレーシュの言葉にラジューは震えるように首を横に振る。
そばで18番、彼らと同室のヴィノードも顔をしかめる。それはそうだろう。使用人と主人が同じ部屋で寝るなどあり得ない。少年は自分たちとは年が近いようだから余計だ。
「おれたちを捕まえた悪い奴がそうしろってよ。お前も気づまりだろうし、変えられるかどうかも含めて一緒に確認しようぜ」
スレーシュは親指を立てる。
「シュルティ。まずご飯食べて力付けてその後マヤを探しに行こう」
アディティに腕を取られシュルティはノンベジ食堂へ向かった。
(マヤ。どうしてあなただけいないの)
ルクミニー先生が一緒らしいことがせめてもだがー
女子棟に近い側にあるノンベジ食堂に着く前に、
「ヒャアアアアアアッ!」
引き裂くような悲鳴と、
「オイ! オイっ!」
怒号が聞こえてきた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる