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第1章 リアル人狼ゲームへようこそ(1日目)
1ー12 夜の始まり
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『
Your role is……
werewolf(9) 』
赤い逆三角形のアイコンの中で黒い狼が凶暴な牙を剥いている。
『
・同じ配役のプレイヤーは9人です
5日目の夜が終わった時点で変成狼が加わり1名増える予定です
(それまでに役なしの村人がいなくなった場合には変成狼は出現しません)
・〇時から三時の間、人狼のカードキーで居住者の存在する全ての部屋が開きます
・必要と思われる品は窓際の「道具箱」の中にあります
その代わり、この部屋には簡易トイレがありません 』
一見簡易トイレに見えた写真が動きぽかりと上部が開く。
中にはたくさんのものが詰まっている。縄とナタがあるのは見えた。
『
・一晩につき他陣営プレイヤー1人の殺害が必要です
人狼同士で協力して殺しても、1人で殺害してもどちらでも問題ありません
・三時までに仕事が遂行されなかった場合、人狼全員が退場処理となります
ただし武士や聖者の仕事などルール上の理由で阻止された時を除きます
・聖者が「祝福」を選択した翌日以降は1人ずつ殺害可能な人数が増えます
その日許される最大人数から最低必要な1人の間で殺害人数は自由です 』
下部のNEXTを押して進む
『 配役についての最後にー
この部屋は「人狼部屋」です
全員が人狼プレイヤーとなります 』
切り札の説明も読んだ後ゆっくり黒幕から体を引く。
皆で顔を見合わせ、しばらく言葉がなかった。
ーーーーー
配役の説明に続き切り札について読む。
『
あなたの切り札は……
毒中和薬(1)
です。
・同じ切り札のプレイヤーはいません
・「毒」の切り札を持つプレイヤーがいます
あなたの持つ薬は丁度それを中和し無毒化する量があります
〈受け渡し方法〉
明日から午前中のみ玄関横の受け渡し部屋が開きます
・あなたのロッカー番号は2、暗証番号は誕生月日です
(例:1月1日生まれ 0101)
・黒の小箱ごと取り出しこのPCを囲む幕内で保存するか
肌身離さず持ち歩くと安全です
※切り札は使用前に他言すると権利を失います
※切り札を使用してもしなくても自由です 』
(いったいどうしろって言うの)
カマリは途方にくれた。
ーーーーー
『あなたの切り札は……
ゲーム中に1回のみ好きな所へ1分間電話する権利(1)
です。 』
読んでいくと自分が電話出来るのではなく指定した番号に彼らがかけ、伝言もなくただ無言で1分または相手方が切るまでの録音を提供するというものだ。
番号の入力を待つ空欄を見ながらスディープは眉をひそめた。
誦じている電話番号は2つだけで家と、母から自分に何かあったらここへと教えられている父のデスク直通番号だ。
母は今頃パニックになっているだろう。
高校生のクラスひとつまとめて消えたのだから世間はきっと大騒ぎ、記者が家に押しかけたりしていないだろうか。母はその手のものに上手く対処出来ない。
下手に無言電話がかかったら、第一夫人からの嫌がらせか消えた自分のことかと大騒ぎして倒れかねない。困るのは妹と弟だ。
(マスコミはうちよりもっと大物の所に行くだろうけどね。ナイナとか。スレーシュのお父さんも元議員だっけ?)
父はまた敵の多い人だ。
無言電話が一本あったならそれを利用して商売敵に無駄な戦闘能力を発揮しかねない。以前黒社会の助けを借りたとの噂は子どもの自分の耳にも入っている。
だいたい父は、自分が行方不明になったと知っているのだろうか。
(……知ってはいるか。保護者だから連絡はいく)
学校に登録してあるのは父の名前だ。
切り札は不要だと返答しようとしたが、数字しか入力出来ないようだ。
少し考えた末スディープは0を連打して済ませた。
番号を受け取りましたとモニターに表示されて一分も経たず、
『切り札は使用しないとの意向ですか?』
不意に紫の枠のチャットボックスが現れた。
ドクリと胸が鳴る。
この向こうに自分たちを拉致した「人間」がいるー
淡い影のようなイメージがモニター向こうに思い浮かんだ。
『必要ない』
こちらからもチャットに入力出来た。
『確認しました。
この後毎晩同じ問いが表示されます。不要な場合は無記入で結構です。PC使用限度の十分間が過ぎれば自動で処理されます。気が変わったらいつでも指定してください』
上からのアナウンスより少し人間味を感じた。
この人は何を考えて高校生の命を軽んじ、人が死ぬのをモニター越しに見ているのだろうか。祖国の若い人間が苦しむ映像を外国に売るとは愛国心はないのか。それともそもそも同胞ではないのか。
あなたはどこの神を信じ、どのように家族と暮らしているのか。
母親はあなたを愛おしみ、善き人間になるよう導かなかったのか。
『あなたは誰だ』
思わず入力した三呼吸後。
チャットボックスが消え、次にモニターそのものが暗くなった。
まだ十分にはなっていないはずだが。
(都合が悪かったか?)
薄く笑む。
多額のお金がかかっているだろうこの誘拐、モニターの向こうには山ほどの人間がいる。
(だったらぼくは誰だ)
母のアクセサリーで寄りかかる杖。父の、欲望の果て。
「ここでぼくが死んだら……」
ラケーシュにガーラブ、ディーパックの亡骸を思い出しながら唇を歪めた。
「きっと喜ぶ」
向こうの奥様。そして母の次、妹と同じく大切な女性。
憎悪に満ちた視線の記憶がスディープの胸を焼いた。
「『姉さん』」
Your role is……
werewolf(9) 』
赤い逆三角形のアイコンの中で黒い狼が凶暴な牙を剥いている。
『
・同じ配役のプレイヤーは9人です
5日目の夜が終わった時点で変成狼が加わり1名増える予定です
(それまでに役なしの村人がいなくなった場合には変成狼は出現しません)
・〇時から三時の間、人狼のカードキーで居住者の存在する全ての部屋が開きます
・必要と思われる品は窓際の「道具箱」の中にあります
その代わり、この部屋には簡易トイレがありません 』
一見簡易トイレに見えた写真が動きぽかりと上部が開く。
中にはたくさんのものが詰まっている。縄とナタがあるのは見えた。
『
・一晩につき他陣営プレイヤー1人の殺害が必要です
人狼同士で協力して殺しても、1人で殺害してもどちらでも問題ありません
・三時までに仕事が遂行されなかった場合、人狼全員が退場処理となります
ただし武士や聖者の仕事などルール上の理由で阻止された時を除きます
・聖者が「祝福」を選択した翌日以降は1人ずつ殺害可能な人数が増えます
その日許される最大人数から最低必要な1人の間で殺害人数は自由です 』
下部のNEXTを押して進む
『 配役についての最後にー
この部屋は「人狼部屋」です
全員が人狼プレイヤーとなります 』
切り札の説明も読んだ後ゆっくり黒幕から体を引く。
皆で顔を見合わせ、しばらく言葉がなかった。
ーーーーー
配役の説明に続き切り札について読む。
『
あなたの切り札は……
毒中和薬(1)
です。
・同じ切り札のプレイヤーはいません
・「毒」の切り札を持つプレイヤーがいます
あなたの持つ薬は丁度それを中和し無毒化する量があります
〈受け渡し方法〉
明日から午前中のみ玄関横の受け渡し部屋が開きます
・あなたのロッカー番号は2、暗証番号は誕生月日です
(例:1月1日生まれ 0101)
・黒の小箱ごと取り出しこのPCを囲む幕内で保存するか
肌身離さず持ち歩くと安全です
※切り札は使用前に他言すると権利を失います
※切り札を使用してもしなくても自由です 』
(いったいどうしろって言うの)
カマリは途方にくれた。
ーーーーー
『あなたの切り札は……
ゲーム中に1回のみ好きな所へ1分間電話する権利(1)
です。 』
読んでいくと自分が電話出来るのではなく指定した番号に彼らがかけ、伝言もなくただ無言で1分または相手方が切るまでの録音を提供するというものだ。
番号の入力を待つ空欄を見ながらスディープは眉をひそめた。
誦じている電話番号は2つだけで家と、母から自分に何かあったらここへと教えられている父のデスク直通番号だ。
母は今頃パニックになっているだろう。
高校生のクラスひとつまとめて消えたのだから世間はきっと大騒ぎ、記者が家に押しかけたりしていないだろうか。母はその手のものに上手く対処出来ない。
下手に無言電話がかかったら、第一夫人からの嫌がらせか消えた自分のことかと大騒ぎして倒れかねない。困るのは妹と弟だ。
(マスコミはうちよりもっと大物の所に行くだろうけどね。ナイナとか。スレーシュのお父さんも元議員だっけ?)
父はまた敵の多い人だ。
無言電話が一本あったならそれを利用して商売敵に無駄な戦闘能力を発揮しかねない。以前黒社会の助けを借りたとの噂は子どもの自分の耳にも入っている。
だいたい父は、自分が行方不明になったと知っているのだろうか。
(……知ってはいるか。保護者だから連絡はいく)
学校に登録してあるのは父の名前だ。
切り札は不要だと返答しようとしたが、数字しか入力出来ないようだ。
少し考えた末スディープは0を連打して済ませた。
番号を受け取りましたとモニターに表示されて一分も経たず、
『切り札は使用しないとの意向ですか?』
不意に紫の枠のチャットボックスが現れた。
ドクリと胸が鳴る。
この向こうに自分たちを拉致した「人間」がいるー
淡い影のようなイメージがモニター向こうに思い浮かんだ。
『必要ない』
こちらからもチャットに入力出来た。
『確認しました。
この後毎晩同じ問いが表示されます。不要な場合は無記入で結構です。PC使用限度の十分間が過ぎれば自動で処理されます。気が変わったらいつでも指定してください』
上からのアナウンスより少し人間味を感じた。
この人は何を考えて高校生の命を軽んじ、人が死ぬのをモニター越しに見ているのだろうか。祖国の若い人間が苦しむ映像を外国に売るとは愛国心はないのか。それともそもそも同胞ではないのか。
あなたはどこの神を信じ、どのように家族と暮らしているのか。
母親はあなたを愛おしみ、善き人間になるよう導かなかったのか。
『あなたは誰だ』
思わず入力した三呼吸後。
チャットボックスが消え、次にモニターそのものが暗くなった。
まだ十分にはなっていないはずだが。
(都合が悪かったか?)
薄く笑む。
多額のお金がかかっているだろうこの誘拐、モニターの向こうには山ほどの人間がいる。
(だったらぼくは誰だ)
母のアクセサリーで寄りかかる杖。父の、欲望の果て。
「ここでぼくが死んだら……」
ラケーシュにガーラブ、ディーパックの亡骸を思い出しながら唇を歪めた。
「きっと喜ぶ」
向こうの奥様。そして母の次、妹と同じく大切な女性。
憎悪に満ちた視線の記憶がスディープの胸を焼いた。
「『姉さん』」
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